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内臓が出たのかと思うほどの量だった。
身体が軽くなったみたいだ。
トイレを出ても、廊下に主婦の姿はなかった。
さっき聞いた足音の方向からして、リビングに向かったのだろう。
リビングに戻ると、案の定、主婦の姿はカウチソファーにあった。
缶ビールを煽っている。
しかし、格好はさっきのままだった。
侑人のトレーナーとカーゴパンツを身に着けている。
以前なら、ここで飲むときは必ずと云っていいほど全裸だった。
ボーイッシュな格好でいることが、よほど気に入ったらしい。
「出た?」
「うん」
「ほほ。
洒落?」
主婦は、点いていたテレビをリモコンで消した。
「じゃ、始めるわよ」
主婦はソファー前のテーブルから、アナルバイブを取りあげた。
透明の球体が連なるかたちで棒状になっているバイブだ。
球体の材質は、シリコンらしい。
その中芯を通る棒状の部分は、金属製だった。
昔のデスクライトの首みたいに蛇腹状になっていて、屈曲性があった。
折り曲げるとU字の形状を描き、先端と手元が着きそうなまでに曲がった。
「これ塗ればするっと入るわよ」
テーブルには、潤滑ゼリーまで出ていた。
最初に化粧台の引き出しから出て来たゼリーは、とっくに使い切っていた。
新しいゼリーは、アマゾンで買ったそうだ。
主婦が、バイブとゼリーを両手に翳すのを見たら、むくむくと陰茎が膨れあがってきた。
「ふふ。
やられる気、満々ね。
どこでしようかな……。
やっぱり、お風呂かな。
ほら、回れ右」
主婦は起ちあがると、侑人の背中を押した。
真っ直ぐ廊下を戻る。
浴室はトイレの隣だ。
「ちょっとこれ持ってて」
主婦にバイブとゼリーを手渡される。
「濡れちゃうかも知れないから、わたしも脱ぐわ」
主婦は、侑人のトレーナーを抜きあげた。
そのまま廊下に放り出す。
カーゴパンツも踏み脱ぐと、足で蹴ってトレーナーに寄せた。
下には何も着けていないから、あっという間に全裸の出来あがりだ。
内臓が出たのかと思うほどの量だった。
身体が軽くなったみたいだ。
トイレを出ても、廊下に主婦の姿はなかった。
さっき聞いた足音の方向からして、リビングに向かったのだろう。
リビングに戻ると、案の定、主婦の姿はカウチソファーにあった。
缶ビールを煽っている。
しかし、格好はさっきのままだった。
侑人のトレーナーとカーゴパンツを身に着けている。
以前なら、ここで飲むときは必ずと云っていいほど全裸だった。
ボーイッシュな格好でいることが、よほど気に入ったらしい。
「出た?」
「うん」
「ほほ。
洒落?」
主婦は、点いていたテレビをリモコンで消した。
「じゃ、始めるわよ」
主婦はソファー前のテーブルから、アナルバイブを取りあげた。
透明の球体が連なるかたちで棒状になっているバイブだ。
球体の材質は、シリコンらしい。
その中芯を通る棒状の部分は、金属製だった。
昔のデスクライトの首みたいに蛇腹状になっていて、屈曲性があった。
折り曲げるとU字の形状を描き、先端と手元が着きそうなまでに曲がった。
「これ塗ればするっと入るわよ」
テーブルには、潤滑ゼリーまで出ていた。
最初に化粧台の引き出しから出て来たゼリーは、とっくに使い切っていた。
新しいゼリーは、アマゾンで買ったそうだ。
主婦が、バイブとゼリーを両手に翳すのを見たら、むくむくと陰茎が膨れあがってきた。
「ふふ。
やられる気、満々ね。
どこでしようかな……。
やっぱり、お風呂かな。
ほら、回れ右」
主婦は起ちあがると、侑人の背中を押した。
真っ直ぐ廊下を戻る。
浴室はトイレの隣だ。
「ちょっとこれ持ってて」
主婦にバイブとゼリーを手渡される。
「濡れちゃうかも知れないから、わたしも脱ぐわ」
主婦は、侑人のトレーナーを抜きあげた。
そのまま廊下に放り出す。
カーゴパンツも踏み脱ぐと、足で蹴ってトレーナーに寄せた。
下には何も着けていないから、あっという間に全裸の出来あがりだ。
トイレの傍らにいるせいか、安心感があるのかも知れない。
焦燥を感じなかった。
侑人は、その場に起ちあがった。
「ちょっと、外に出てみる」
「ウソでしょ」
「玄関前に出るだけだから。
見張ってて」
トイレ前の廊下は、そのまま玄関に繋がっている。
たたきに出ていたエスパドリルを履いた。
「先に出て」
主婦がサンダルをつっかけ、玄関扉を細めに開いた。
隙間から外を覗き、少しずつ開口部を広げながら、自らも外に踏み出した。
廊下の左右を見通して、指でオッケーマークを作った。
侑人も続いて廊下に出た。
開いた扉を背にして立った。
これで、後方からの視線は遮られる。
前方の廊下は、真っ直ぐに伸びている。
片側には扉が連なっている。
どこかの扉が開く可能性はある。
しかし、開く方向はどの扉も一緒だろう。
こちら側に開くはずだから、侑人の姿は開いた扉に隠される。
いきなり見られることはない。
扉が開いたら、玄関に入ればいいだけだ。
しかし、エレベーターホールを出た住人が、廊下の向こうに現れたら……。
一巻の終わりだ。
しかし、侑人の前には主婦が立っている。
侑人はその陰になるから、モロ見えとはならないだろう。
そのくらいのリスクがあった方が刺激的だ。
「撮って」
後ろに扉を背負ったままポーズを付ける。
興が乗ってきた。
扉のノブを両手で持ち、主婦に背中を向ける。
顔を捻って後ろを見据え、尻を高々と持ちあげる。
画角には、肛門まではっきりと収まっているだろう。
そしてその下にわだかまる陰嚢も。
しかし、陰茎は写らない。
腹の下を見通すと、勃起して反りあがっていた。
侑人は片手をノブから離し、陰茎を真下に押し下げた。
これで、後ろからも見えるはずだ。
先端だけ皮の剥けたピンク色の陰茎が。
シャッター音が、銀色のカケラのように降り注ぐ。
ずっとこのままポーズを取っていたかった。
しかし……。
ようやく催してきた。
侑人は我に返った。
そのまま玄関を入り、エスパドリルを踏み脱ぐと、廊下を急いだ。
トイレに飛びこみ、さすがに恥ずかしいので扉を閉めた。
主婦の足音が廊下に聞こえた。
扉は閉めたが、鍵は掛けていない。
開けられるかもと思ったが……。
足音は、トイレ前を素通りしていった。
同時に、雪崩のような脱糞音が狭い個室に鳴り響いた。
焦燥を感じなかった。
侑人は、その場に起ちあがった。
「ちょっと、外に出てみる」
「ウソでしょ」
「玄関前に出るだけだから。
見張ってて」
トイレ前の廊下は、そのまま玄関に繋がっている。
たたきに出ていたエスパドリルを履いた。
「先に出て」
主婦がサンダルをつっかけ、玄関扉を細めに開いた。
隙間から外を覗き、少しずつ開口部を広げながら、自らも外に踏み出した。
廊下の左右を見通して、指でオッケーマークを作った。
侑人も続いて廊下に出た。
開いた扉を背にして立った。
これで、後方からの視線は遮られる。
前方の廊下は、真っ直ぐに伸びている。
片側には扉が連なっている。
どこかの扉が開く可能性はある。
しかし、開く方向はどの扉も一緒だろう。
こちら側に開くはずだから、侑人の姿は開いた扉に隠される。
いきなり見られることはない。
扉が開いたら、玄関に入ればいいだけだ。
しかし、エレベーターホールを出た住人が、廊下の向こうに現れたら……。
一巻の終わりだ。
しかし、侑人の前には主婦が立っている。
侑人はその陰になるから、モロ見えとはならないだろう。
そのくらいのリスクがあった方が刺激的だ。
「撮って」
後ろに扉を背負ったままポーズを付ける。
興が乗ってきた。
扉のノブを両手で持ち、主婦に背中を向ける。
顔を捻って後ろを見据え、尻を高々と持ちあげる。
画角には、肛門まではっきりと収まっているだろう。
そしてその下にわだかまる陰嚢も。
しかし、陰茎は写らない。
腹の下を見通すと、勃起して反りあがっていた。
侑人は片手をノブから離し、陰茎を真下に押し下げた。
これで、後ろからも見えるはずだ。
先端だけ皮の剥けたピンク色の陰茎が。
シャッター音が、銀色のカケラのように降り注ぐ。
ずっとこのままポーズを取っていたかった。
しかし……。
ようやく催してきた。
侑人は我に返った。
そのまま玄関を入り、エスパドリルを踏み脱ぐと、廊下を急いだ。
トイレに飛びこみ、さすがに恥ずかしいので扉を閉めた。
主婦の足音が廊下に聞こえた。
扉は閉めたが、鍵は掛けていない。
開けられるかもと思ったが……。
足音は、トイレ前を素通りしていった。
同時に、雪崩のような脱糞音が狭い個室に鳴り響いた。