「何か、資格取るの?」
「キミと違って、勉強、苦手だからね。
学校なんか通ったら、700万なんてあっという間でしょ」
「自宅学習?」
「無理無理。
自分の性格は、自分で一番わかってるから。
教科書なんか放り出して、こうなっちゃうわよ」
主婦は、缶ビールを掲げてみせた。
確かに、自分のことはよくわかってるようだ。
「そしたらどうすんの?」
「だから考え中」
「お酒飲んで、オナニーしながら?」
「そうよ。
合い間に、中坊とのセックスも挟んでね」
「いっそ、AV女優とかは?」
「いいわねー。
毎日セックス三昧。
しかも不妊症だから、便利極まりないわ。
重宝されるかも。
でもねー。
この顔が世の中に出るとね……。
やっぱ親とかにバレたら、悲しむでしょ。
もう、ほとんど会ってないけど」
「どこに住んでるの?」
「愛知。
喫茶店のモーニングサービスがすごいって知ってる?」
「テレビで見たことある」
「うちの両親も、毎朝通ってるのよ。
近所の喫茶店。
社交場になってるみたい。
わたしがAV出てるとか噂が広がったら……。
行けなくなっちゃうじゃない。
可哀想よ、楽しみがなくなっちゃって。
それに、毎朝、家で食べるようになったら……。
兄嫁にも恨まれるだろうし」
「あ、そうだ。
700万の使い道、いいのがあったよ」
「なに?」
「整形。
それだけあれば、別人になれるじゃん」
「そうか。
AVなんて芸名で出ればいいんだもんね。
バレっこないわね。
はは」
主婦は、缶ビールをあおった。
口の端から零れた液体が乳房に落ちて、黄金色の滴が流れた。
侑人の陰茎は、再び鎌首をもたげ始めた。
「でも、やっぱダメよ」
「どうして?」
「だって、絶縁したわけじゃないんだから。
親の葬儀とかあれば、帰らなくちゃならないでしょ。
別人の顔じゃ出れないわ」
「それもそうか。
親には言ったの、離婚のこと?」
「まだ」
「苗字も変わるんでしょ?」
「キミと違って、勉強、苦手だからね。
学校なんか通ったら、700万なんてあっという間でしょ」
「自宅学習?」
「無理無理。
自分の性格は、自分で一番わかってるから。
教科書なんか放り出して、こうなっちゃうわよ」
主婦は、缶ビールを掲げてみせた。
確かに、自分のことはよくわかってるようだ。
「そしたらどうすんの?」
「だから考え中」
「お酒飲んで、オナニーしながら?」
「そうよ。
合い間に、中坊とのセックスも挟んでね」
「いっそ、AV女優とかは?」
「いいわねー。
毎日セックス三昧。
しかも不妊症だから、便利極まりないわ。
重宝されるかも。
でもねー。
この顔が世の中に出るとね……。
やっぱ親とかにバレたら、悲しむでしょ。
もう、ほとんど会ってないけど」
「どこに住んでるの?」
「愛知。
喫茶店のモーニングサービスがすごいって知ってる?」
「テレビで見たことある」
「うちの両親も、毎朝通ってるのよ。
近所の喫茶店。
社交場になってるみたい。
わたしがAV出てるとか噂が広がったら……。
行けなくなっちゃうじゃない。
可哀想よ、楽しみがなくなっちゃって。
それに、毎朝、家で食べるようになったら……。
兄嫁にも恨まれるだろうし」
「あ、そうだ。
700万の使い道、いいのがあったよ」
「なに?」
「整形。
それだけあれば、別人になれるじゃん」
「そうか。
AVなんて芸名で出ればいいんだもんね。
バレっこないわね。
はは」
主婦は、缶ビールをあおった。
口の端から零れた液体が乳房に落ちて、黄金色の滴が流れた。
侑人の陰茎は、再び鎌首をもたげ始めた。
「でも、やっぱダメよ」
「どうして?」
「だって、絶縁したわけじゃないんだから。
親の葬儀とかあれば、帰らなくちゃならないでしょ。
別人の顔じゃ出れないわ」
「それもそうか。
親には言ったの、離婚のこと?」
「まだ」
「苗字も変わるんでしょ?」
■
目を覚ましたのは主婦の方が先だった。
ソファーの背もたれに身を預け、まだビールをあおっていた。
もちろん、全裸のままだった。
湯あがりの匂いもしないから、シャワーも使っていないようだ。
それどころか、股間前のソファーの座面には黒い染みが認められた。
おそらく、膣口から流れ出た侑人の精液だろう。
床には、丸めたティッシュが落ちていた。
さすがに、ティッシュでは拭ったということか。
しかし歳を重ねると、これほどたしなみがなくなってしまうものなのか。
いや、これは年齢のせいではないだろう。
奈美なら、ぜったいにこんなことにはならない。
やはり人間性の問題か。
旦那は、何も言わないのだろうか。
「ゆうべ帰らなかったの?」
「ん?」
「旦那さん」
「帰らなかったわ。
もう永遠に」
「え?
まさか、亡くなった?」
「はは。
勝手に殺さないでよ。
ひょっとして、わたしが殺したと思ったんじゃない?」
「何で帰らないの?」
「ほんとに急転直下の展開だったのよ。
あれよあれよね。
想像してたことと、あまりにもドンピシャだったから、あっけにとられたわ」
「どういうこと?」
「やっぱり、女がいたわけよ。
で、離婚してくれって。
後から訴訟になると面倒だから、正直に言うけど……。
子供が出来たって」
「承知したの?」
「条件がさ、悪くなかったのよ。
まず、このマンション、くれるって。
しかも残りのローンは、旦那の両親が綺麗にしてくれるんだって。
それだけでも、2000万くらいよ。
さらに、職を見つけるまでの準備期間の生活費も付けるって。
その間に資格とか取った方が、就職に有利だろうからって。
700万。
半端な金額だけど、逆にギリギリ頑張ってくれたって感じがしたわよ。
ま、向こうはとにかく、ゴタゴタになるのが嫌だったんだろうけど。
でも700万あったらさ、住居費がかからないんだから……。
2年半くらいは十分暮らせるわよね」
「だけど、こんな生活してて、2年半でお金使い切ったらどうすんの?」
「もちろん、ちゃんと考えてるわよ。
ローンはなくなっても、管理費と修繕積立金で、月々3万円かかるんだし。
一生、働かないわけにはいかないもの」
目を覚ましたのは主婦の方が先だった。
ソファーの背もたれに身を預け、まだビールをあおっていた。
もちろん、全裸のままだった。
湯あがりの匂いもしないから、シャワーも使っていないようだ。
それどころか、股間前のソファーの座面には黒い染みが認められた。
おそらく、膣口から流れ出た侑人の精液だろう。
床には、丸めたティッシュが落ちていた。
さすがに、ティッシュでは拭ったということか。
しかし歳を重ねると、これほどたしなみがなくなってしまうものなのか。
いや、これは年齢のせいではないだろう。
奈美なら、ぜったいにこんなことにはならない。
やはり人間性の問題か。
旦那は、何も言わないのだろうか。
「ゆうべ帰らなかったの?」
「ん?」
「旦那さん」
「帰らなかったわ。
もう永遠に」
「え?
まさか、亡くなった?」
「はは。
勝手に殺さないでよ。
ひょっとして、わたしが殺したと思ったんじゃない?」
「何で帰らないの?」
「ほんとに急転直下の展開だったのよ。
あれよあれよね。
想像してたことと、あまりにもドンピシャだったから、あっけにとられたわ」
「どういうこと?」
「やっぱり、女がいたわけよ。
で、離婚してくれって。
後から訴訟になると面倒だから、正直に言うけど……。
子供が出来たって」
「承知したの?」
「条件がさ、悪くなかったのよ。
まず、このマンション、くれるって。
しかも残りのローンは、旦那の両親が綺麗にしてくれるんだって。
それだけでも、2000万くらいよ。
さらに、職を見つけるまでの準備期間の生活費も付けるって。
その間に資格とか取った方が、就職に有利だろうからって。
700万。
半端な金額だけど、逆にギリギリ頑張ってくれたって感じがしたわよ。
ま、向こうはとにかく、ゴタゴタになるのが嫌だったんだろうけど。
でも700万あったらさ、住居費がかからないんだから……。
2年半くらいは十分暮らせるわよね」
「だけど、こんな生活してて、2年半でお金使い切ったらどうすんの?」
「もちろん、ちゃんと考えてるわよ。
ローンはなくなっても、管理費と修繕積立金で、月々3万円かかるんだし。
一生、働かないわけにはいかないもの」