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豚小屋にでもいるのだろうか。
絵里子の幼いころ……。
実家の周りには、まだ養豚場があった。
風向きによっては、それなりの臭いが住宅地まで流れて来た。
小学校の社会科の授業では、養豚場の見学もした。
強烈な臭いの中、豚の鳴らす鼻音が響いていた。
その音が聞こえる。
ここは……。
うっすらと目を開く。
霧が晴れるように、意識がはっきりしてきた。
薄暗い部屋だった。
絵里子の正面に、人が座っていた。
いや、座らされているのだ。
侑人だった。
すべての顛末が蘇った。
椅子に拘束された侑人の肛門から、バイブを抜こうと手を伸ばしたとき……。
電撃に打たれたようなショックを受けて、気を失ったのだ。
おそらくあれは、スタンガンだったに違いない。
豚の鼻音を鳴らしていたのは、侑人だった。
まだ、ボールギャグを噛まされている。
垂れ零した涎が、顎から鍾乳石のように下がっていた。
相変わらず、陰茎を勃起させていた。
座面では、アナルバイブがうねっている。
まだ、過酷な刑罰が続いているのだ。
意に沿わない射精を、尽きることなく繰り返しているのだろう。
絵里子は、身を起こそうとした。
しかし、出来なかった。
暗がりに目が慣れるにつれ、自分が侑人と同じ境遇にあることを悟った。
両脚の膝裏が、椅子の肘掛けに乗りあげていた。
膝上には、赤いロープが幾重にも巻かれていた。
肘掛けに固定されているのだ。
両腕も動かなかった。
椅子の背もたれに回されて、手首が束ねられているようだ。
身を揺すってみた。
椅子の脚が、ガタガタと音を立てた。
床はコンクリートなのかも知れない。
このまま椅子ごと転倒したら、かなりのダメージを受けそうだ。
しかし椅子の上にいる限り、打開策は見つかりそうにない。
なんとかして、侑人と協力できないものか。
豚小屋にでもいるのだろうか。
絵里子の幼いころ……。
実家の周りには、まだ養豚場があった。
風向きによっては、それなりの臭いが住宅地まで流れて来た。
小学校の社会科の授業では、養豚場の見学もした。
強烈な臭いの中、豚の鳴らす鼻音が響いていた。
その音が聞こえる。
ここは……。
うっすらと目を開く。
霧が晴れるように、意識がはっきりしてきた。
薄暗い部屋だった。
絵里子の正面に、人が座っていた。
いや、座らされているのだ。
侑人だった。
すべての顛末が蘇った。
椅子に拘束された侑人の肛門から、バイブを抜こうと手を伸ばしたとき……。
電撃に打たれたようなショックを受けて、気を失ったのだ。
おそらくあれは、スタンガンだったに違いない。
豚の鼻音を鳴らしていたのは、侑人だった。
まだ、ボールギャグを噛まされている。
垂れ零した涎が、顎から鍾乳石のように下がっていた。
相変わらず、陰茎を勃起させていた。
座面では、アナルバイブがうねっている。
まだ、過酷な刑罰が続いているのだ。
意に沿わない射精を、尽きることなく繰り返しているのだろう。
絵里子は、身を起こそうとした。
しかし、出来なかった。
暗がりに目が慣れるにつれ、自分が侑人と同じ境遇にあることを悟った。
両脚の膝裏が、椅子の肘掛けに乗りあげていた。
膝上には、赤いロープが幾重にも巻かれていた。
肘掛けに固定されているのだ。
両腕も動かなかった。
椅子の背もたれに回されて、手首が束ねられているようだ。
身を揺すってみた。
椅子の脚が、ガタガタと音を立てた。
床はコンクリートなのかも知れない。
このまま椅子ごと転倒したら、かなりのダメージを受けそうだ。
しかし椅子の上にいる限り、打開策は見つかりそうにない。
なんとかして、侑人と協力できないものか。
絵里子は目をこらし、暗い部屋の隅々まで見通した。
誰もいない。
しかし、侑人の両腕は背中に回っている。
自分では縛れないはずだ。
やはりさっきの女性が縛ったのか。
だが、もしそうだとしても……。
自分が、あの女にどうかされるとは思えない。
絵里子がひと突きすれば、あんな華奢な女はひとたまりもないはずだ。
壁まで吹き飛ぶだろう。
侑人は、半分白目を剥いていた。
瞳の下弦が、上目蓋に隠れようとしている。
「おごっ。
ごっ。
ごっ」
拘束された侑人の全身に、腱が浮きあがった。
同時に、勃ちあげた陰茎の先から、精液が吹きあげた。
公園の水飲み水栓のようだった。
重たそうにあがった半透明の液体は、座面に落ちると縁に向かって流れた。
侑人の精液は、もっと粘度が高かったはずだ。
座面の縁から滴った精液が、床に落ちた。
そこには既に、精液溜まりが出来ていた。
ということは、今が最初の射精ではないのだ。
おそらく、アナルバイブを挿入されたまま放置され、幾度も射精しているのだろう。
精液の粘度が落ちているのも頷ける。
侑人はもう、完全に白目を剥いていた。
ボールギャグの端からは、唾液が泡となって溢れ出ていた。
腎虚という現象が、現実にあるのかわからないが……。
意に沿わない射精を繰り返すことが、身体に良いはずはないだろう。
絵里子は、暗がりの中に踏みこんだ。
精液の臭いが鼻を打つ。
初夏の森の中のようだった。
絵里子は、休まずに蠢くアナルバイブに手を伸ばした。
そのときだった。
バチバチという電撃音と共に、首筋に激痛が走った。
視界が、真っ白くハレーションを起こした。
その白い闇の中……。
絵里子の意識は、ドライアイスのように溶けていった。
誰もいない。
しかし、侑人の両腕は背中に回っている。
自分では縛れないはずだ。
やはりさっきの女性が縛ったのか。
だが、もしそうだとしても……。
自分が、あの女にどうかされるとは思えない。
絵里子がひと突きすれば、あんな華奢な女はひとたまりもないはずだ。
壁まで吹き飛ぶだろう。
侑人は、半分白目を剥いていた。
瞳の下弦が、上目蓋に隠れようとしている。
「おごっ。
ごっ。
ごっ」
拘束された侑人の全身に、腱が浮きあがった。
同時に、勃ちあげた陰茎の先から、精液が吹きあげた。
公園の水飲み水栓のようだった。
重たそうにあがった半透明の液体は、座面に落ちると縁に向かって流れた。
侑人の精液は、もっと粘度が高かったはずだ。
座面の縁から滴った精液が、床に落ちた。
そこには既に、精液溜まりが出来ていた。
ということは、今が最初の射精ではないのだ。
おそらく、アナルバイブを挿入されたまま放置され、幾度も射精しているのだろう。
精液の粘度が落ちているのも頷ける。
侑人はもう、完全に白目を剥いていた。
ボールギャグの端からは、唾液が泡となって溢れ出ていた。
腎虚という現象が、現実にあるのかわからないが……。
意に沿わない射精を繰り返すことが、身体に良いはずはないだろう。
絵里子は、暗がりの中に踏みこんだ。
精液の臭いが鼻を打つ。
初夏の森の中のようだった。
絵里子は、休まずに蠢くアナルバイブに手を伸ばした。
そのときだった。
バチバチという電撃音と共に、首筋に激痛が走った。
視界が、真っ白くハレーションを起こした。
その白い闇の中……。
絵里子の意識は、ドライアイスのように溶けていった。