
み「立派な大木だわ。
森の中では、広がった樹冠が……。
地面の高温化を防ぐわけだ」
ハ「猛暑の影響を受けにくいってことやな」
み「そうそう。
道路の街路樹なんて、気の毒だよ。
カンカン照りに晒されて。
新潟では一時期、ハナミズキを街路樹に植えるのが流行ったんだけどね……。
ほとんど、まともに育たなかった。
年々、小さくなってく感じ。
今は、まったく植えられなくなったね」
ハ「猛暑のせいか?」
み「猛暑っていうより……。
普通に、カンカン照りに弱いわけよ。
ハナミズキは、ヤマボウシの仲間だからね。
山の中に生えてる木の性質なんだよ。
モミジなんかと一緒。
モミジを道路に植えて、育つと思う?」
ハ「ダメやろな」
み「あと、ナナカマドを街路樹にしてたバカな設計もあったね。
もちろん、全滅。
ナナカマドを街路樹に出来るのは……。
北海道くらいだよ」

み「バカに古そうな灯籠だな。
札になんて書いてあんの?」

ハ「三層塔やて」
み「3つの層の塔?
そのまんまじゃん。
でも、この丸み、すり減ったんじゃないよね?
最初から、こういう形の石を重ねたんでしょ?
いつごろ作られたものなの?」
ハ「園内の案内板には……。
“伝鎌倉初期”と書かれとるみたいやな。
福島県の重要文化財やて」
み「鎌倉時代じゃ、国の重文にはならないわな」

み「お、なんか書いてある。
ほー、ビュースポットか」

み「これだな」
ハ「確かに、絵みたいな景色やな」
み「自然そのものの景色じゃなくて……。
ああいう建物があるってのが、むしろいい感じに見せてるよね」

み「モミジが生えてる」
ハ「隣の幹から出てるんやないか?」
み「こんな低いとこから、ひこばえは出さないよ」
ハ「なんでや。
街路樹とかやと……。
地際から、よう枝、出しとるやないけ」
み「あれは、地際に陽があたるから。
同じ陽があたるところなら……。
木のてっぺんより、根に近いとこの方が効率的でしょ。
逆に、森や林だと、地際に陽はあたらない。
そんなところから枝を出しても、意味ないわけ。
だから、この小さなモミジは、実生が育ったものだよ」
ハ「陽があたらんやないけ」
み「ま、このまま成長できるかどうかは……。
まさに運命次第だね。
近くの大木が倒れて……。
樹冠がぱかっと開くこともあるからね」

み「タケノコだ!」
ハ「けっこう立派やで」
み「周りに竹がないけど……。
伐採されたのかな。
しかし、タケノコ……。
長らく食べてないな。
お味噌汁のタケノコ、大好物なんだよね」
ハ「タケノコなら、スーパーで売っとるやろ」
み「売っとる。
でも、料理が面倒じゃない。
アク抜きとかするんでしょ」
ハ「すればいいがな」
み「簡単に言うな!
仕事とこのブログで手一杯なの。
でも、仕事を退職したら、ぜったいチャレンジする。
あと、梅干し作りも。
しかしねー。
この物価高が続くと、年金だけじゃ食べていけないかも。
新聞配達でもするかな。
朝、早いのだけは得意だから。
でもやっぱ、新潟は怖いよ」
ハ「何がや?」
み「冬さ。
雪道。
バイクなんて走れないよ。
どうやって配達してるんだろ?」
ハ「そりゃ、歩いてやないんか?」
み「アホタレ。
新潟は、東京みたいに家が密集してないから……。
配達エリアが広いのよ。
歩いて回ってたら、何時間かかると思ってるんだ。
新聞が届かないって苦情も来るだろうし。
12月から2月まで休みにしてもらえないかな?」
ハ「条件次第やな」
み「どんな?」
ハ「あんたの代わりに……。
12月から2月までだけ、配達する人間を見つけて来ることや」
み「そんなバカがいるか!」

み「やっぱり、水があるといいよね。
ボウフラが湧きそうだけど」
ハ「メダカでも飼うたらどうや」
み「大名庭園でメダカ?
もっとほかに方法ないの?
ちょっと調べて」
ハ「今度はボウフラ対策かいな。
人使いの荒いやっちゃで。
お、あったあった。
10円玉やて」
み「なんじゃそれ?」
ハ「10円玉やら銅板を、水ん中入れたら……。
銅イオンが発生するんやて。
銅イオンにはな、菌なんかを抑制する作用があるとされとって……。
これが、ボウフラの発生を抑えるちゅうことらしいな」
み「ボウフラは、菌じゃないだろ」
ハ「“菌など”やがな」
み「どれくらい入れるの?」
ハ「1リットルの水につき、10円玉20枚とあるな」
み「パカモン。
この池、何リットルあると思ってんだ。
直径10メートルの円だとして……。
面積は、5メートル×5メートル×3.14。
計算して」
ハ「78.5㎡やな」
み「深さが平均30㎝として、容積は?」
ハ「23.6m3やな」
み「1m3が1000リットルだよね」
ハ「せやな」
み「23.6m3は、何リットル?」
ハ「23,600リットルや」
み「10円玉は、何個必要?」
ハ「1リットルの水につき、20枚やから……。
47万2千枚やな。
み「金額にすると?」
ハ「小学生の問題やで。
472万円」
み「そんな予算、どっから出ると思うの?
たかがボウフラ対策で。
両替手数料も莫大だぞ。
問題にならん。
却下」
ハ「わしの意見やないがな。
ネットに載ってたん言うただけや」
み「次、行くぞ。
なんか、蚊が湧き出て来そうな気がしてきた」

み「五葉松か?」
ハ「ええ形にしつらえてあるやないか」
み「どーも、こういう樹形は好かん」
ハ「そしたら、どういうのがええんや?」
み「もちろん、自然樹形。
新潟の海岸線には、砂防林として黒松が植えられてる。
冬、猛烈な季節風を受けるからね。
幹は斜めって、風を受ける方の枝がなくなってたりする。
そういう自然樹形に勝るものはないんじゃない?」
ハ「わしはどっちゃでもええけどな」
み「感性のないやつ!」

み「タムシバ?
こんな樹名、初めて聞いた。
由来はなんだろ?
まさか、インキンタムシのタムシじゃないよね。
即、検索!」
ハ「例によって、Wikiさまからやな(出典)。
読むで。
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和名「タムシバ」の由来は2説あり、葉にタムシ状の斑点ができるためという説、あるいは、葉を噛むと独特の甘味があるため「カムシバ(噛む柴)」の名がつき、これが転じて「タムシバ」となったともされる。
+++
やて」
み「なんと、ほんとにインキンタムシが由来だった。
ぜったいこっちだよ」

み「しかし、何の変哲もない木だよね。
何か、効能があるのかな?」
ハ「Wikiさまの続き、読むで。
+++
シモクレンやコブシ、タムシバなどモクレン類のつぼみ(花芽)を風乾したものは「辛夷(しんい)」とよばれ、鼻炎や頭痛、熱、咳などに対する生薬とされることがある。またタムシバは強い香りをもつため、抽出された精油成分が「ニオイコブシ」の名でアロマオイルとして流通している。
+++
やて」
み「やっぱり生薬に使われるんだね」

み「出た、ブナ。
しかし会津は、平地でブナが育つんだね。
新潟市内じゃ、見たことないよ」
ハ「ブナの実が不作やと、熊が里に下りて来るらしいな」
み「なんで不作になるの?」
ハ「えーっとな。
どうやら、気まぐれみたいやで。
そもそも、不作なんがあたり前やて。
豊作になるんは、5年から10年に1度やて」
み「ほとんど毎年不作なんじゃない。
そんなら熊は、毎年下りてくるだろ」
ハ「ふーむ。
熊の出没とブナの豊不作には……。
必ずしも相関がないっちゅう説もあるそうや」
み「さっき言ってたことと違うだろ。
どう責任取るんだ?」
ハ「何で、わしが責任取らなあかんねん。
熊も気まぐれちゅうことやがな」