ともあれ。
まさか、日本人離れした長身女性のリュックに、ディルドゥが入っているとは誰も想像しないだろう。
しかし、いつ何どき、ハプニングが起こるかわからない。
注意を重ねるに越したことはない。
リュック内のディルドゥは、更に鍵のかかる箱で眠っていた。
ターミナル駅で降りた美弥子は、雑居ビルの連なるエリアに歩みを進めた。
風俗店街とおぼしき小路には、客らしい男たちが出入りしている。
あからさまな視線を美弥子に浴びせる男も少なくなかった。
美弥子は、早足でスタジオに向かった。
美弥子が、スタジオのあるビルに入ろうとした、そのときだった。
「あの……。
大室さん」
後ろから声をかけられた。
若い男の声だった。
声をかけられただけなら、無視することも多かった。
東京で、いちいちそういう男たちに応対していたら身が持たない。
しかし、今は違った。
美弥子の苗字を呼んだのだ。
ただのナンパとはわけが違う。
美弥子は振り向いた。
「あ」
知った顔だった。
それも、見たのはつい最近だ。
あのときは夜だったが……。
見まごうはずもない。
ちょっとそこらにいないようなイケメンだ。
いや。
“イケメン”などという軽々しい形容は似合わない。
美貌と云うべきだろう。
しかし……。
とんでもない変態だ。
薫だった。
千葉の民宿でのバイトが終わるころ……。
夏祭りで知り合った。
知り合ったというか、捕まえたのだ。
町内の花火大会の夜だった。
若い男が、女子高生らしい浴衣の並ぶ後ろで、明らかに陰茎を擦っていた。
由美が止めさせようと近づいたところ……。
男は気配に気づいたらしく、その場を逃げ去った。
しかし、ことはそれで済まなかった。
まさか、日本人離れした長身女性のリュックに、ディルドゥが入っているとは誰も想像しないだろう。
しかし、いつ何どき、ハプニングが起こるかわからない。
注意を重ねるに越したことはない。
リュック内のディルドゥは、更に鍵のかかる箱で眠っていた。
ターミナル駅で降りた美弥子は、雑居ビルの連なるエリアに歩みを進めた。
風俗店街とおぼしき小路には、客らしい男たちが出入りしている。
あからさまな視線を美弥子に浴びせる男も少なくなかった。
美弥子は、早足でスタジオに向かった。
美弥子が、スタジオのあるビルに入ろうとした、そのときだった。
「あの……。
大室さん」
後ろから声をかけられた。
若い男の声だった。
声をかけられただけなら、無視することも多かった。
東京で、いちいちそういう男たちに応対していたら身が持たない。
しかし、今は違った。
美弥子の苗字を呼んだのだ。
ただのナンパとはわけが違う。
美弥子は振り向いた。
「あ」
知った顔だった。
それも、見たのはつい最近だ。
あのときは夜だったが……。
見まごうはずもない。
ちょっとそこらにいないようなイケメンだ。
いや。
“イケメン”などという軽々しい形容は似合わない。
美貌と云うべきだろう。
しかし……。
とんでもない変態だ。
薫だった。
千葉の民宿でのバイトが終わるころ……。
夏祭りで知り合った。
知り合ったというか、捕まえたのだ。
町内の花火大会の夜だった。
若い男が、女子高生らしい浴衣の並ぶ後ろで、明らかに陰茎を擦っていた。
由美が止めさせようと近づいたところ……。
男は気配に気づいたらしく、その場を逃げ去った。
しかし、ことはそれで済まなかった。
■
翌日も暑かった。
いつものように身支度をしてマンションを出る。
開け口にロックの掛けられるリュックを背負っていた。
ロックの理由は、ほかでもない。
中に、双頭のディルドゥが入っているからだ。
もちろん剥き出しにはしていないが、いつ何どき、どんなことが起きるかわからない。
万里亜からは、スタジオに置いておけばいいと再三言われていたが……。
頑なに、毎回持ち帰っていた。
万里亜に盗られてしまいそうな気もしたし……。
それよりむしろ、情が移りすぎて、置いて帰れないのだ。
ほんとうは持って行きたくはないのだが……。
万里亜からの強い要請を断るわけにはいかなかった。
万里亜のiPhoneには、高校時代の美弥子の映像が残っているのだ。
女教師のコレクションから、万里亜が無断で抜き取ったと言っていた。
万里亜のことだ、映像のコピーは取ってあるはずだ。
iPhoneをどうかしても、無駄だろう。
見せられた映像の大半は……。
美弥子が、双頭のディルドゥを付けた女教師に犯されている場面だった。
しかし、力尽くで犯されているのではないことは、一目見ればわかる。
2人の体格が、まったく違うのだ。
責める女教師は、ひと言で云って貧弱そのものだった。
麻幹 のような二の腕。
肋の浮いた細い胴体。
薄い尻。
一方、責められる美弥子は、170センチ台半ばの長身。
今よりも体重があった。
60キロを越えていただろう。
女教師とは、20キロほども体重差があったはずだ。
大人と子供の違いだ。
大人が子供に、力尽くで犯されるはずがない。
「ふふ。
これ見ながら、何回オナニーしたかわからないわ」
万里亜は、iPhoneの画面に蕩けるような笑顔を零していたものだ。
翌日も暑かった。
いつものように身支度をしてマンションを出る。
開け口にロックの掛けられるリュックを背負っていた。
ロックの理由は、ほかでもない。
中に、双頭のディルドゥが入っているからだ。
もちろん剥き出しにはしていないが、いつ何どき、どんなことが起きるかわからない。
万里亜からは、スタジオに置いておけばいいと再三言われていたが……。
頑なに、毎回持ち帰っていた。
万里亜に盗られてしまいそうな気もしたし……。
それよりむしろ、情が移りすぎて、置いて帰れないのだ。
ほんとうは持って行きたくはないのだが……。
万里亜からの強い要請を断るわけにはいかなかった。
万里亜のiPhoneには、高校時代の美弥子の映像が残っているのだ。
女教師のコレクションから、万里亜が無断で抜き取ったと言っていた。
万里亜のことだ、映像のコピーは取ってあるはずだ。
iPhoneをどうかしても、無駄だろう。
見せられた映像の大半は……。
美弥子が、双頭のディルドゥを付けた女教師に犯されている場面だった。
しかし、力尽くで犯されているのではないことは、一目見ればわかる。
2人の体格が、まったく違うのだ。
責める女教師は、ひと言で云って貧弱そのものだった。
肋の浮いた細い胴体。
薄い尻。
一方、責められる美弥子は、170センチ台半ばの長身。
今よりも体重があった。
60キロを越えていただろう。
女教師とは、20キロほども体重差があったはずだ。
大人と子供の違いだ。
大人が子供に、力尽くで犯されるはずがない。
「ふふ。
これ見ながら、何回オナニーしたかわからないわ」
万里亜は、iPhoneの画面に蕩けるような笑顔を零していたものだ。