「何なら写真を院内にばら撒いてやってもいいぜ」
「そんなことしたらあなた達の顔も丸判りじゃないの」
「残念だが俺たちの顔はちゃんとカットしているから問題なしって訳さ。気を遣ってくれてありがとうよ」
「くっ……」
「先生方が見たらさぞかし驚くことだろうな~。だってこの病院ナンバー1の美人看護師さんが病院ですげえことやってるんだからな~」
「そんな卑怯なことやめて!」
「ふふふ、そう心配すんなって。あんたさえこれからも俺たちの言うことを素直に聞いてりゃ変なことしねえよ」
「私を脅かすのね」
「何か人聞きが悪いなあ。ははは~」
◇◇◇
早乙女
その表情には隠しきれない疲労の色が滲み、雪曇りの空のようなどんよりとした影が心を覆っていた。
衣葡は重い足取りで部屋を出た。
ボタンがちぎれ着衣も乱れたままでナースステーションに戻る訳には行かなかったので、一度更衣室に寄ることにした。
途中悔しくて涙がこぼれ落ちた。
(口惜しい……何故こんな仕打ちを受けなければいけないのか……)
そんな衣葡を廊下の陰から冷ややかに見つめる一つの視線があった。
山本詩織である。
(うふふ、いい気味だわ。あの細い腰がガタガタになるくらい責められたようね。写真楽しみだわ。あられもない姿で悶え狂っている衣葡さん、とくと見てあげるわ。でもこれで終わりじゃないの。もっといっぱい楽しませてあげるわね。うふふふ……)
一方、当番医師の吉岡は午前5時に目を覚ました。
頭の芯にズキズキと鈍い痛みを感じた。
「ううっ、頭が痛い……どうしたんだろう……風邪を引いたかな? あっ、しまった! もうこんな時間だ!」
吉岡は時計を見て驚いた。
午前2時に仮眠をとって午前5時まで眠ってしまったことになる。
こんなことは病院に勤務して初めてだ。
眠っている間に患者に異常はなかっただろうか?
吉岡は患者のことが気がかりだった。
「すぐに様子を見に行かなくては。でもおかしいな……どうしてこんなに眠ってしまったのだろう……?」
当直の日は予め自宅で睡眠をとってから勤務についているから、仮眠から起きられないことはないはずなのだが。
目覚ましもセットしたのに、不思議なことに鳴らなかったのだ。
吉岡は首を傾げながらとにかくナースステーションに急ぐことにした。
ナースステーションには詩織がいた。
「山本さん、すまない。うっかり寝過ごしてしまったよ。患者さんに特に変わりは無かった?」
「あら、吉岡先生。どうされたのかなと思っていました。特に異常はありませんでしたわ。先生はかなり疲れが溜まってらっしゃるみたいですね」
「自覚症状はそんなに無いんだけどもしかしたら疲労かも知れないね。ああ、ところで早乙女さんと吉田さんはどこに行ったの?」
「はい、早乙女さんは今巡回中で、吉田さんは頭痛がするとかで今休憩室で横になっています」
「そうなんだ。大丈夫かなあ」
その頃、吉田幸子も吉岡と同様に目を覚ましていた。
「きゃっ、大変! 仮眠時間を過ぎているわ。早く起きなくては。あぁ、でも頭痛が……どうしたのかしら……」
幸子は頭を押さえながらナースステーションに向かった。
◇◇◇
同じ時刻、着衣の乱れを正し終えた衣葡も足早にナースステーションへと急いでいた。
長時間ナースステーションを離れていたことで、詩織や幸子に迷惑をかけてしまった……責任感の強い衣葡は緊急事態が発生していないだろうかと気が気ではなかった。
戻ってみると不機嫌そうな表情の詩織が衣葡を睨みつけた。
「いったいどこに行ってたのよ。幸い緊急はなかったけど、あちこちの病室からコール鳴りまくりで走り回ったのよ」
「ごめんなさい。515号室の患者さんから色々と頼まれて」
「ふ~ん、そうだったの。やたら時間掛かったのね。まあいいけど」
「……」
「早乙女さんは戻ってこないしおまけに吉田さんも頭痛で仮眠室で休んでしまって、ほんと大変だったわ」
「本当にごめんなさい」
「次から気をつけてね」
「はい、すみません」
515号室で繰り広げられた悪夢のような受難劇が、まさか目前で飄々と語っている詩織の企てにより行なわれたとは露ほども知らない衣葡は、詩織にひたすら謝るのだった。
5日後に再び衣葡の当直日が訪れる。
鬱蒼とした虚無感が衣葡の心を支配し、冬の夕闇のように胸に沈み込むのであった。
「まさか! 爺さんはすでに85歳だぜ!」
川島老人の下半身の元気さに内田と山口は唖然としている。
男性が高齢を迎えるとその多くは男性ホルモンが減少し、その結果、性欲が減退したり勃起障害を引き起こすことがある。
川島老人もその例外ではないのだが、憧れの早乙女
寝巻の上からではあるが、川島老人のイチブツは天井に向かって隆々と怒張しているのが分かった。
その勢いは若い男性かと思うほど立派なものであった。
「こりゃ驚いたなあ。爺さんにとってこんなチャンスはこれが最後かも知れねえなあ。そこでだ、爺さんにもう一花咲かせてもらいたいと思うんだ。冥土への最高のみやげになると思うぜ」
「内田さんって意外と優しいんですね」
「意外っていうのは余計だぜ」
「あ、ごめん」
「じゃあ、爺さんが萎えないうちにやっちまうか」
内田は川島老人の肉棒の真上に跨るよう衣葡に指示をした。
当然衣葡は首を横に振るが、内田たちはただ黙殺するだけであった。
川島老人の寝巻の裾が広げられ、ニョッキリとそそり立つ肉棒。
衣葡は観念の
(ズニュッ……)
「くぅ~~~っ!」
顔を近づけ結合の一瞬を食い入るようにして覗きこむ内田と山口。
老人のイチブツは奥深くまで埋没した。
ところが衣葡は静止したまま一向に動こうとしない。
相手が老人であれば、上位の女性が能動的に腰を動かさないと事は運ばないだろう。
若い男性相手とは訳が違うのだ。
これには業を煮やした内田が、
「待ってたって爺さんは動いてくれねえよ。あんたが積極的に腰を使わないと。あんたのその色っぽい腰を使って、爺さんの喜ばせてやりなよ」
衣葡は仕方なくゆっくりと腰を前後に動かした。
すると川島老人がすぐに反応して、
「ごほっ、ごほっ、おおっ! おおっ! こりゃたまらん~、こしがぬけそうじゃ~、きもちいいぞ~」
「ううぐっ……!」
日頃滑舌の悪い老人だが、はっきりと聞き取れるほどしっかりとした口調で自身の快感を訴えた。
「おお、おお~、これはいいぞ、すごいぞ~、おお、おお! おお、おお!」
「くぅ! うぐぐぐ!」
85歳の老人と若い女性の淫らな行為を、目を皿のようにして見つめる内田、そして開いた口が塞がらない山口。
おそらく目前でこのようなショーを見ることなど生涯無いだろう。
二人は自分自身が行為に及ぶ以上に胸がぞくぞくと躍るような興奮を覚えた。
しかし川島老人の行為は長くは続かなかった。
腰をビクンと波打たせたかと思うと、次の瞬間「はぁ~」と大きなため息をついたのだ。
「ん? 爺さんイッたのか?」
「そのようっすね」
「意外と早いじゃねえか」
「年寄りは遅漏気味って聞いてたけどそんなことないじゃん」
挿入時間はわずか5分ほどであった。
「爺さん、よかったか?」
「よがっだぁ……さいこうじゃ……」
川島老人は疲れてぐったりとしていたが、衣葡はそれ以上に疲れた様子を見せていた。
サンドウィッチ攻撃の次に入院老人との強制性交と続けば、精神的に参って当然だろう。
だがそんな衣葡に休息のいとまもなく、次なる仕打ちが待っていた。
「看護師さんよ、もう3時だ。あと2時間しかない。俺たちにもう一度相手してもらおうか」
「うぐぐぐ!」
内田たちは拒絶する衣葡を、強引に奥の空きベッドへと運んでいった。
ロープと猿轡が解かれ少しは楽になったが、依然男たちの拘束は続き、衣葡はありとあらゆる体位で責め続けられた。
彼らが真っ先に挑んだのが後背位であった。
衣葡は四つん這いにされ、前方からは山口に口淫を求められ、後方からは内田の肉棒が襲いかかった。
後背位が終わると今度は内田単独で
攻めは淀みなく続く。
次に、衣葡が仰向けに寝かされ両足を大きく開かれ、真正面から山口が攻め立てた。
この時内田は乳房を横から揉み続けるという補佐的役回りに徹した。
痴態は延々と続き、時計の針は午前5時を指している。
窓の外はすでに青みがかっていて朝の訪れを告げている。
「ご苦労だったな。あんたのお陰でいい思いをさせてもらったぜ。ふふふ……だがな、これで終りじゃないんだぜ。俺たちが入院中は月に2回付合ってもらいたいんだ。もちろんあんたが夜勤の時だけでいいんだ」
疲労の色を顔に滲ませながら衣葡は毅然と訴えた。
「もう、いやです。こんなこと二度としないでください。今日のことは言いませんから」
「へえ、強気だね~。だけどそうはいかねえんだよ。あんたのすごい格好は全部カメラに収めさせてもらったからな。下のお口がチ○ポ咥え込んでいるところも全部撮ってるからな。ぐわっはっはっは~~~!」
「そんな、卑劣な……」