「ひゃっ! やめてっ!」
乳房に手をあてがわれた感触で、伊織は耐えきれずに目を閉じ、声を上げた。
「ふふ、伊織様恥ずかしゅうござんすか・・? まあ、お肌もすべすべして、まるでつきたてのお餅のよう・・・。」
「くっ! 言うな!! ・・・・・あはっ!!」
叱りつけたと同時に、女の長い指が乳房をやわやわと揉みたて始めて、伊織は短い息を吐いて肩を震わせた。
「あらあ、まだ固いお乳だけど、あたしの指に吸い付いてきますわよ。ええ?、伊織様。」
女は左手で伊織の肩を抱くと、屈辱を煽り立てるように伊織の耳元に囁きかける。
男装で化粧気もない伊織の鼻先に、女のほのかな鬢の香りが漂ってきた。
女の右手は、優しく両の乳房の肌を撫でまわすかと思えば、どちらと言わず微妙にその膨らみを揉みあげたりするのだった。
伊織はなす術も無く、女の手から戦慄くような刺激を与えられると、時折身体が小さく跳ねてしまうのだ。
「いっ、いやらしい。あっ、・・・て、手をどけなさい・・・。」
伊織は身を抗わせながら言った。
「そうはいきませんね。初めての慰みが殿方でなくて申し訳ござんせんが、あたしの手管はそこいらの男なんか・・・・、ほら、こうすると気持ちがようございましょう・・? その証拠に、お乳の先がもうこんなに・・・。」
まだ戯れたことのないその小さめの乳首は、もう桃色を強めて弾き立ち始めて、無念にも女の指にぷるぷるとしこった感触を与えていた。
「くっ・・・。」
指がそのいじらしいものに触れる度に、伊織の身の内を響くような切なさが走る。
「まあ、耳までこんなに赤くしちゃって、可愛らしいこと・・・。」
女はそう言うと、伊織の耳からうなじにかけて、くなくなと熱く赤い舌を這わせた。
「ひゃっ、・・や・・やめてっ!」
首筋をねっとりと女の舌になぶられ、肌の下が泡立つような感触を覚えて、伊織は首を曲げてそれから逃れようとした。
しかし女の唇と舌は、伊織の動きに合わせて喉元をめぐり、逆側の首筋まで這い廻るのである。
そして血が沸き立つて首筋を反らすと、なおさら張り出した乳房をあやすように女の手が纏わりつくのだった。
女は左手で伊織の身体を一層深く抱き込むと、背中から廻した左手の指先で伊織の左の乳首を擦りながら、右手は絹のように滑らかな腰のくびれ辺りの肌を撫でまわしていく。
「はあ・・、ああいや・・。」
伊織は今や顔を上気させ、荒い息遣いと共にその身をくねらせるばかりであった。
女は首筋に這わせた舌を腕の付け根に滑り下し、今度は脇から胸の盛り上がりにかけて吸い付いていく。
「ひっ、・・くうっ・・・。」
やるせなく身体をうねらせた時、女の唇が伊織の右の乳首を含み込んだ。
「はう、・・んくつ・・。」
伊織の肩ががくがくと震えた。
にんまりほくそ笑んだ女の唇の端から、伊織の薄桃色の乳首が赤い舌に転がされるのが見え隠れしている。
「はあっ・・・あくっ・・ああああ・・・。」
女は固い乳首に唇を擦り付けながら言った。
「んむんん・・、伊織様、切のうございましょう・・? 女が喜ぶとはこのことでございますよ・・・。」
「い、いやらしい。あ・・・やめてっ。」
「あら、いやらしい事されてお乳をこんなにしてるのは、どこのどなた様です?」
女はからかうようにそう言うと、白い歯で桃色にしこったものを軽く噛んだ。
「あうっ!」
伊織は乳首から稲妻が走ったようで、首筋を反ってて身体を跳ね上げた。
その様子を嬉しげに見やると、女は身体をずり上げて伊織の耳元に囁いた。
「伊織様・・・、おさしみってご存知・・?」
「・・ふう・・。」
伊織は黙って顔を背けた。
「ねえ、伊織様。 お口を吸わせて・・・?」
女は甘い息を伊織の耳に吹きかけるようにして囁いた。
「ひっ、汚らわしい、いやっ。」
恥ずかしく身体を開いたばかりか、伊織にとって女に口を吸われることなど考えもつかないことだったのだ。
「おほほ、まだそうでしょうねえ・・・。やっぱり小手先だけでなく、女は身体で抱かれないとねえ。 この汚らわしい女に抱かれてあなたがどうなるか・・・、あたしが何もかも分からなくしてさしあげますよ・・・・。」
女はそう言うと、ふと立ち上がって帯を解き始めた。
女は伊織の着物の合わせ目から手を滑り込ますと、書状のありかを探った。
「やっ! やめろっ!」
伊織はうろたえたように声を張り上げた。
「ああ・・・、あったあった、・・・・・・・あら・・?」
取り出した書状を懐にしまうと、訝しげに伊織の顔を見て口を開く。
「伊織様、あなたまさか・・・?」
横に逸らした伊織の顔が、みるみる耳まで赤く染まり上がった。
「まさかねえ・・・?」
そう言うと、いきなり女は右手で伊織の顎をわし掴みにした。
「あがっ! あががっ!!」
無理やり伊織の口を開くと、素早く左手を己が懐に差し入れ、何やら小さな革袋を取り出す。
そのままそれを、開いた伊織の口の中へねじ込んだ。
「あがっ! ・・・ごっ! ・・・んごっ!」
たまらなく苦い汁が、伊織の喉の奥へ伝い降りていった。
「さあ、もうようござんしょう・・・。」
女はゆっくりと腰を上げると、寝転がったままの伊織に近づいていく。
伊織の身体に絡まった縄を小刀で切り去ると、袴の腰ひもを緩め始めた。
「なっ、何をする! 無礼なっ! ・・あっ、やめろっ!!」
叫びながら抗おうとした伊織は、己が四肢にほとんど力が入らない事を感じた。
「この薬の効き目はほんの一時ですからね。ふふっ、急がなくっちゃ・・。」
女は委細構わず一枚また一枚と、伊織の着物をはだけていった。
「ふうっ・・、やっぱりねえ・・・。」
横たわる伊織の肩から胸元の肌がぬめるように白く輝き、そのすぐ下から腹にかけて幾重にも固くさらしが巻いてあった。
腰には垂らしを短く切った、似合わない褌を巻いている。
「噂の若侍、美剣士が・・・おんな・・・・。」
女は怪しい輝きを瞳に宿すと、この上もない喜びを見つけたようにほくそ笑んだ。
伊織は堪らず女の視線から顔を背けた。
固く閉じ合わされた長い睫毛がふるふると震えている。
その様子を何とも楽しげに見やると、女は言った。
「伊織様、あたしは何とも今日はついてますよ。まあ何はともあれ、いい男の身体を御開帳と参りますかね。」
そう言うと女はさらしに手をかけて解き始めた。
「無礼者! さわるなっ、やめろ!」
「はいはい、んん・・・もう少しですよ。」
ゆるゆると抵抗する伊織の動きに合わせて、女は器用にさらしを解いていく。
やがてその胸の辺りは、自らさらしを押し出すように膨らみ始めた。
女は溜息交じりに声を出した。
「まあ、きれい・・・。」
はだけられた男の衣装の上に、白くなまめかしい女の身体が現れた。
肩から腰にかけて糸を引くようにくびれていき、男装ゆえ腰のものさえ付けていないお尻に向かって、再び白磁気のように盛り上がっている。
何よりお椀を伏せたような乳房は、女であることを誇るかのように膨らみ、恥ずかしくもうぶな乳首が桜の色を添えていた。
伊織は必死に身体を捩って、女の視線からわが身を隠そうとする。
「もったいない、こんなきれいな身体なのに・・。」
女はその身体から視線を外せないまま呟いた。
「無礼者・・・、もう舌を噛んで死ぬ・・・・。」
伊織は恥辱に消え入りそうな震え声を出した。
「あら、随分しおらしい声になりましたね。もっともそのお姿じゃ、もう男の声はお似合いになりませんわねえ・・・。」
そう言うと女は、白い指を伊織の顎に添えて微笑んだ。
その指を首を振って払いのけると伊織は叫んだ。
「言うな! 私も武家の娘。舌を噛んで死にます!」
最後の意地を見せようと、伊織は目を固く閉じた。
だが女は慌てる様子もなく口を開く。
「どうぞご勝手に。でもそのまま自害なさいますと、どうなりますかねえ・・・。恥ずかしいお姿が世間に晒されて、その上お家は・・・。」
伊織は思わず目を開き、訴えるように女の目を見た。
「そうでござんしょう・・? でしたら、この書状の行き先を教えておくんなさい。」
必死で威厳を保つと、伊織は女を睨みつけながら答える。
「それは死んでも明かす訳にはいかない。」
「死んで恥辱を残し、お家断絶になってもとおっしゃるんですか?」
「・・・・・・。」
伊織は返事をせず、眉を吊り上げて女を睨んだままであった。
「さすがは伊織様、相当の覚悟でいらっしゃいますね。」
女はそう言うと、立ち上がって小屋の入り口まで行き、改めて外の様子を窺うと、戸を閉めてかんぬきを掛けた。
ゆっくりと歩を戻しながら、女は嘗めるように伊織の裸身を見て言った。
「じゃあ、あたしも別の方法を考えなくちゃなりませんねえ。」
「な、何を考えている。」
女は伊織の脇に身をかがめると、思わず背けた伊織の顔に、匂い立つような色気のある笑みを近づけて囁いた。
「くのいちの術は、跳んだ跳ねたばっかしじゃありませんのよ。まあお嬢様、いや、伊織様はまだご存じないでしょうけど。」
女は再び伊織の身体に視線を走らせながら続ける。
「まあ、でも本当にきれいな身体・・・。まだ何のお手付きもなく、初雪のよう・・・。先ほどはお役目を務めながらも、うっとりしてましたけど、これを見たらどんな殿方だって、いえ女のあたしだって震い付きたくなってしまいますわ・・・。」
伊織は何やらおぞましさを感じて、身体を固くすると怯えた目で女の顔を見た。
「わたしの術でお窺いをたてますよ。伊織様には、このやり方がよろしいかと・・・。」
そう言うと女は、伊織のなで肩の白い肌に、細い指を這わせていった。
「はっ、やめなさい! け、汚らわしい!」
思ってもみない女の行いに、伊織は叫びを上げて不自由な体を暴れさせた。
恥ずかしさに身を荒げる伊織の意志に反して、盛り上がったその乳房や下半身は、動きと共にはじけるように弾み、若い女の魅力を見せつけているかのようであった。
「ええ、あたしは汚らわしい女ですよ。でもその元気がいつまで続きますかねえ、こうやって可愛がられると・・・。うふふ・・女の身体って、そんな風にできてますのよ。」
淫らな笑みを口元に漂わせると、女は弾んでいる形の良い乳房に、その手をあてがっていった。
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