「ひいっ! いや~っ!!」
ふと伊織の身体が悲鳴と共に反り返った。
女の人差し指の先が、伊織の蜜壺の中にのぞき込んだからである。
「まあ、きついこと・・・。」
「いやっ、やめてっ!」
伊織は精一杯その指から腰を逃がしながら叫んだ。
乙女の伊織には、女の細い指先がまるで太い木刀のように感じられたからである。
「まあ大げさねえ・・・。でもこれが嫌だったら、伊織様・・・書付の行先を教えておくんなさい。」
「そ、それは死んでも・・・。」
「死んでも嫌だじゃあしょうがありませんね。もっとも死ぬよりましどころか、今に奥まで気持ち良くなって昇天するくらいですからね・・。」
そう言うと女は、人差し指を一寸ほど滑り込ませて、くりくりとうねらせた。
伊織は激しく身を揉むと、か細い声で言った。
「はあっ、もうやめてっ・・・、い、言います・・・。書付は松川家下屋敷に届けるはずだったもの。で、でもあきらめなさい、この書状は符号になっています。下屋敷にある書状と符を合わせねば意味はありません。 う、う・・・うう~・・・。」
そう言うと伊織は堪りかねたように嗚咽を漏らした。
「まあ、よくお教えいただきました。あたしだって伊織様にこんな無理強いはしたくなかたんだ。もう十分でございますよ。」
女は泣きぬれる伊織の肩をあやすように抱き締めた。
しかしやがて伊織の肩先で、再び女の目が怪しく光り始める。
「折角お話しいただいたのに、このまま半端じゃ申し訳ありません。あたしが最後まで、いい思いをさせて差し上げますよ。なに、こんどはちっとも恐い思いなんかさせやしません・・・。・・さあ、伊織様・・・。」
そう言うと女は、己が裸身を伸びやかな伊織の身体に絡み付かせていく。
「ああいや・・、もうやめて・・・。」
伊織は首を振りながら力なく呟いた。
しかし散々いたぶられた身体は、抱かれたとたんに背筋を震わせてその女の身体に応えてしまうのだ。
「ああ・・伊織様・・・。」
熱い吐息と共に女の唇が伊織の右耳を這い廻った。
右足が伊織の両足の間に割り込み、女の太腿の肌が濡れた女の部分に擦り付いてきた。
「はああ・・・あうっ・・・。」
やるせなく反らしたお乳に女の右手が滑り上がり、長い指がたちまち桃色の乳首をしこり立たせる。
「んぐ~・・、だめ、ゆるして・・・。」
先ほどより一層熱を帯びた抱かれ方に、伊織は呻いた。
「んうう・・・いいえ、まだ許しませんよう~、まだ伊織様が何もかも分からなくなるまで・・・はあ・・・。」
耳元でそう囁いた女の唇が、そのまま伊織の右の乳房に吸い付いていく。
その唇に乳首を細かく吸い離される度に、伊織の乳房がぶるぶると弾んだ。
女は伊織の濡れたものに擦り付けていた右腿を緩めて、右手を差し込んでいく。
「んああっ、・・・ああ~・・・。」
土間の上で組み敷かれた伊織の白い裸身が、いっそう激しくくねり返った。
女の指が熱い露を絡ませながら、再び伊織の花びらに戯れ始めたのである。
伊織の反応を窺うと、女は身をずり上げて囁いた。
「ねえ、伊織様・・・。お口を吸わせて・・・。」
「はあ・・・、いや・・・あはっ・・。」
伊織は熱に浮かされるように喘いでいる。
女はにんまりとほくそ笑んだ。
もう伊織が我を忘れかけていることが、その表情で十分に感じとれたからである。
第一、痺れ薬の効き目は、もうとうに切れているはずだった。
女は花びらに戯れていた指を、その上の小さくしこったものに這わせた。
そのまま露を滑らせながら、僅かに薄皮が動く程度に擦り始める。
「んくうっ!」
女の腕の中で、伊織の身体がガクガクと震えた。
「ああ・・可愛い・・きれい・・。ねえ伊織様・・・お口を吸わせて・・・、ねえ吸わせて・・・・。」
そう囁きながら、女が熱い吐息で唇を近づけていった時、伊織はその息の温かみの方へ迎えるように顔を向けた。
次の瞬間、女のふくよかな唇が伊織の端正な唇にしっとりと絡み付いた。
二人の荒い鼻息が互いの頬をなぶった。
女の舌が、伊織の薄紅色の唇を押し分けて滑り込んでいく。
「あっ、いやっ・・・。」
思い直したように、伊織は悲しげな表情で顔を逸らした。
「はああ・・・舌を噛みますよ・・。」
「どうぞ、噛んでごらんなさい、あたしの舌を・・・・。」
女は首を振って逃げる伊織の唇を、同じように唇で追って、再び吸い合わせた。
左右に首を振って伊織の唇を割ると、舌を滑り込ませる。
同時に右手の指を、伊織の敏感なしこりにぬらぬらと戯れかけた。
「むんんん~・・・・、ふむうんん・・・。」
相手の舌を噛むどころか、ねっとりと舌を絡まれながら、伊織は甘えるような鼻声を漏らした。
熱い蜜を滑らせて固い突起を可愛がりながら、女は蕩ける様に舌に絡んだ伊織の甘い唾を吸い出してやる。
「んふうう~ん・・・・。」
女の魅力を煮詰めたようなその味わいに、今度は女が堪らず呻きをあげた。
女が純白の襦袢の紐を解くと、はだけた合わせ目の隙間から、豊かな胸の膨らみの面影と白い肌の中に黒く濡れたような茂みまで垣間見える。
襦袢が音も無く足元へ滑り落ちて、まさにこれから女盛りを迎えんとする、匂い立つように豊かな女体が現れた。
ほどよく脂の乗った肌はしっとりと白く輝き、形良く盛り上がった胸は垂れる事なくその重みを湛えている。
柔らかそうな胴のくびれから下腹辺りに反して、忍びで鍛えた尻から両足にかけては、引き締まった野性を感じさせた。
「そ、そんな・・・。恥を知りなさい・・。」
しばし女の悪戯から逃れた伊織は、斜に顔を伏せながらお蝶を垣間見て言った。
「あらあ~、伊織様だってその恰好じゃござんせんか。あたしもそれに合わせただけのこと・・・。それじゃ、ちょっとお邪魔を・・・。」
そう言うと女は伊織の傍に身を寄せていく。
「ああっ、寄るな、・・・汚らわしい。」
「伊織様・・・・。」
女は熱い息を吐きながらそう囁くと、その豊満な裸身で伊織の身体を抱き締めた。
「いやっ! 離せっ!」
「んんまあ、お身体がぴちぴちと弾んで、・・・あたしも堪りませんわ。でも、あたしの身体も温ったこうございましょう・・・?」
一層隙間なく身体を抱き合わせながら、女はそう囁きかける。
そうしておいて、背中と言わず脇腹と言わず、優しく両の手で撫でてくるのだった。
その身を抱かれて、女に柔らかい肌を合わされた伊織は、抗えば抗うほど自分の胸が女の豊かな乳房に揉まれるようで、成す術も無く喘いでいる。
次第に固さを増す己が乳首が、女の胸の柔らかみに食い込むのを感じ、時折その乳首と競り合うと、疼くような切なさを覚え始めた。
「はあっ、もう、ゆ・・ゆるして。」
我知らず相手の身体に懐きたくなるのを恐れて、つい伊織は弱音を吐いた。
「まあ色っぽい声をお出しだこと・・・。でもまだ序の口ですよ。」
女は少し身を離すと、うなじに舌を這わせながら、右手で伊織の左の乳房をやわやわと揉みたて始めた。
「ああっ、いやっいやっ・・。」
自由の利かないはずの伊織の身体が、簗の上の魚のように小さく跳ねる。
さらに女の舌は首筋から右の乳房へと這い降りると、震えている桜色の乳首を絡め取った。
「はぐっ!」
熱く滑るものの中に敏感な部分が吸い込まれて、伊織は息を詰め、背筋を強張らせた。
そして優しく吸い出しされたかと思うと、熱い舌に渦を巻くように絡みつかれたり、あやすように舐め叩かれたりするのだ。
「あうあ、・・・はっ! ・・うう~・・・。」
伊織はおへその辺りに相手の乳房の柔らかみを感じながら、ますます身を火照らせてくる快感に呻きをあげた。
左の乳首もお蝶の白く長い指でいいように遊ばれている。
「あああ、いやああ~・・。」
「ああ、いいお声・・。喜びを知ってる者でしたら、今のいやあは、気持ちいいと同じことですよう・・・。」
そんな事を言っては、女は伊織が狂いそうな恥戯を続けていく。
荒い息を吐いて身をくねらせながら、次第に伊織は頭の中を白い霧に覆い尽くされようとしていた。
「ああ・・・伊織様、お綺麗ですよ。ねえ、これが女の喜びですよ・・・。あたしだっておんなじ・・・。」
もう女は伊織を逆撫でする言いようはやめて、喜びの縁に引き込もうとしていた。
再び伊織の右の乳房に吸い付くと、右手を臍から下へと滑り下していく。
女の右手の指が、伊織の淡い繊毛に絡みついていった。
「ひっ! いっ、いやっ!!。」
伊織が思い出したように再び大きな声を出すと、女は左手でそのうねる身体を抱きながら、乳房と言わず、脇腹と言わず、忙しなく唇を這わせ舌で舐め廻した。
「くうう~、はっ、・・・あああ~。」
伊織は激しく身をくねらせた。自分の女の部分への恐れも、女が与えてくる狂おしい刺激に霞み飛びそうになる。
すかさず女のしなやかな指が、伊織の茂みを掻き分けた。
「ああっ、いやああ~・・・!。」
伊織は狂ったように身を戦慄かすと、必死で両足を閉じ合わせようとした。
しかしまだ痺れ薬の効いた身体では、抗いにも限りがあるのだった。
女の指が苦も無くその狭間に潜り込むと、果たしてそこは、指が滑るほどの温かい露が滲み出ていたのである。
「ふうう~、もう・・・ゆ、ゆるして・・・。」
伊織は堪らず鳴き声になって身体を揺らした。
「おほほ・・、このご様子では、まだお自分でも何の慰みもなさってはおられないご様子・・・。ほれ、こんなにあたしの指に震え付いて・・・。いえ、恥ずかしい事ではございませんよ。ほんに可愛い・・・。」
女は伊織の弾き返すような胸に頬を擦り付け、ふるふると濡れた花びらを優しく撫で始めた。
伊織は唇を噛んで悲しげな呻きを漏らしながら、この上もない恥辱に耐えていた。
しかし一方では、自分の恥ずかしい部分から、熱く疼くような快感が湧き上がって来るのをどうすることも出来なかった。
細糸を紡ぐように、女の長い指は伊織の秘部の隅々まで刺激してくる。
伊織自身も信じられないほど、泉の奥から熱い露が湧き出てきて、白桃のようなお尻の狭間まで滴り落ち始めた。
切なさに身体がくねり、時折下腹や内腿にさざ波のような震えが走る。
女に抱かれて辱めに会うばかりか、自分の身体がもう何もかも忘れてそれに応えようとしている事に、伊織は目の端から一筋の涙をこぼした。