夏実は縛られ、床に仰向けに転がされたまま、ぼんやりと天井を眺めていた。時折、窓の外を見やる。豊かだった昼の陽光は翳りかけている。
傍らに突っ伏していた由美が身じろぎし、目を覚ました。夏実を見つめ微笑みかけてくる。夏実も微笑み返す。
由美は夏実ににじり寄り、唇を合わせてくる。夏実も唇を返す。夏実の顔は由美の膣液に塗れていた。由美は愛おしそうに夏実の顔中に唇と舌を合わせ、自らの膣液を舐め取っていく。
「夏実……」
「由美さん……」
「夏実、どう、苦しかったでしょ」
「あ、はい、でも……辛くはなかったです」
「じゃ、どうだった」
「嬉しかった、とても」
「そう、そうね、これでわかったでしょ、もう一つの夏実」
「はい……わたし縛られて……さっきのシャワーの時とおんなじで、由美さんに触れられなくて、もどかしくて……あ、口だけは、由美さんの……お、おまんこに」
夏実は、頬を染める。
おまんこ、という女性器の名称は初めて知った。もちろん口にするのも初めてだ。しかしその、異様に卑猥な語感が夏実をとまどわせる。
「あとは身動きできなくて、もどかしくて……でも、そのもどかしさが、たまらなくって」
「感じたでしょ」
「はい、別にどこも触られていないのに、全身を触られてるみたいでした」
「夏実、あなたのおまんこもぐしょぐしょだよ」
「えーっ、やだ、由美さん」
「夏実、あなた、いったでしょ」
「はい、いきました、由美さんがいったすぐ後だったと思います」
「そう、間違いないよ夏実、あなたは虐められて感じる人なんだよ、そういう人をマゾ、マゾヒストっていうの。その反対がサディスト、サドね」
由美は夏実の上体を起こさせ、ロープを解いていく。ロープが緩んでいくたびに、夏実の口から吐息が漏れる。解放される安堵なのか、縛しめを解かれることへの未練なのか、夏実にもよくわからない。夏実の両手首と上腕には、ロープの跡がくっきりと残っている。
ロープがすべて解けると、由美は夏実を正面から羽交い絞めに抱きしめる。夏実も由美の背に両手を伸ばし、由美に縋るように抱きしめる。
由美が夏実の耳に囁く。
「夏実……ネコでマゾの可愛い夏実」
「由美さん……ありがとう」
「あ、もう一つあったな、本当は女の子の服を着たい……そうだよね」
「はい、そうですね、でも、さっき由美さんの服、勝手に借りましたけど、ぜんぜん似合わなかったんで……どうしようかなって」
「似合わないって、そんなことないと思うよ、何なら私がコーチしてあげる」
「ほんとですか! 嬉しい」
「そうか、そんなに着たいということは、夏実はフェムだね」
耳慣れない言葉に、夏実は少し由美から体を離し、由美の顔を見つめる。
「フェムって、由美さん」
「あ、そうか、あのね夏実、女の子同士で愛し合う関係をレズビアン、ビアンっていうんだけどね、そのビアンの言葉でフェムかボイかっていうのがあるの」
「フェムかボイか……」
「これは見た目、つまりヘアやファッションスタイルによる分類のこと」
「はい」
「フェムはフェミニンの略、フェミニズムって言葉は知ってるよね、フェミニンとは『女性らしい』スタイル、ということね」
「あ、じゃあ、ボイはボーイッシュ、『男性の様な』スタイル、ということですか」
由美は、笑みを満面に湛えて夏実に答える。
「そうそう、へえ、夏実って柔道が強いうえに頭もいいんだ」
「やだ由美さん、顔が赤くなっちゃう」
二人は顔を見合わせ、ころころと笑い転げる。
「でも由美さん、よく御存じですねえ、私が何も知らないだけかなあ」
「わたしも受け売りよ、そんなに詳しいわけじゃないわ」
夏実は少し考え、頭の中を整理するように、由美に問いかける。
「じゃあ由美さん、こういうことですか、以前の私はボイだった」
「うんうん」
「でも、自分では気づいてなかったけど、実はそのスタイルが嫌だと感じていた」
「そうそう」
「で、こうやって由美さんと巡り合って、締め落とした由美さんを見ているうちに、あ、すみません」
「夏実、もういちいち謝らないで」
「はい、すみま……あ、で、由美さんを見ているうちに、実は自分の本質はフェムだと気付いた」
「はい、よくできました、100点をあげます」
「有難うございます、由美先生」
再び体をぶつけるように抱き合った二人は、強く唇を合わせる。舌と舌を絡め合う。互いの両唇を舐めまわす。二人の口の端から多量の唾液が零れ、二人の胸を流れ落ちていく。
「ん……んん」
「あ、む……ふむう」
「なつ、なつう」
「ゆみ、さあん」
「んああ、んんん」
「あん、あむう」
由美は夏実の唇から唇をはずし夏実のうなじに這わせる、舐め、強く吸う。
「はんっ、ゆみ……さんっ」
由美は右手で夏実の左の乳房を探り当て、人差し指と中指の第一関節のあたりで挟み込むとともに、乳房全体を揉みたてる。
「あ、いやあああっ、いっ、くうっ……いきますっ」
夏実の身体は、由美を跳ね飛ばすように瞬間的に伸びあがり、そのまま床に倒れ伏した。
「夏実、夏っちゃん、だいじょうぶ? いっちゃったの」
「あ、はあっ……はい、いっちゃいました」
「すごいね夏実、乳首だけでいっちゃうんだ」
「恥ずかしい……」
「いったい今日、何度いったんだろうね」
「そんなあ、わかりません」
「今までオナニーすらしなかった分を、取り返そうとしてるのかな」
「やだもう、由美さん」
夏実は身を揉むように由美から顔をそむけ、恥ずかしさに悶えるようなしぐさを見せる。その様には、つい先日まで女子高柔道界で幾多の強敵を退け、無敵の強さを誇ってきた面影は全く見られない。いや、つい先ほど、拳法の技を次々と繰り出し夏実を手古摺らせた由美をねじ伏せ、締め落とした、柔道家夏実の姿は何処にもない。
「じゃ、夏実、フェムネコでマゾの夏実さん、今度は私のお願いを聞いてくれる?」
「あ、はい、由美さん、何でも言って下さい」
「嫌なら遠慮なく、いやだと言っていいのよ」
夏実は、上から覗き込む由美の瞳を、下から見上げしっかりと捉えた。古の武士なら『天地神明に誓って』とでも言うところだろう。夏実の口調はそれほど厳かに聞こえた。
「わたしは先ほど『由美さんの言いつけには何でも従う』と誓いました、口先だけではありません、ほんとに何でも仰って下さい」
「そう、ありがとう、で夏実、念の為確認するけど、あなたバージンよね」
いくら夏実でも、バージンという言葉くらいは知っている。
「はい、由美さん」
「そのあなたのバージンが欲しいの、わたしにくれるかしら」
「は、はい……由美さん」
夏実の返答が一瞬ためらいを見せた。
「あ、やっぱり、考えるよね」
「いえ! いえ、絶対そうじゃないです、ただ、意味がよくわからなかったので……」
「女どうしで『バージンをあげる』ってことの意味だよね、それはそうね、普通は『処女のおまんこに、男性のおちんちんを挿入する』ってことだものね、あ、おちんちんはわかるよね」
「わかります、男の人がおしっこする……あれですよね」
「そうね、夏実、ちょっとおいで」
由美は立ち上がり、クローゼットに向かう。引き出しを開ける。引き出しの隅、ショーツやブラなどをきちんと整理して収めてある箱を横によける。その下にはもう一つ、ティッシュの箱を二回り大きくしたほどの箱があった。表面には千代紙が張ってある。由美はその箱を取り出すと、後に続いてきた夏実の眼前にかざす。
「これなんだけどね」
「何ですか、これ」
「開けてみて」
夏実が蓋を取ると、異様なものが見えた。中身はもちろん、双頭ディルドゥ。その巨大さと凶悪な外見からは、夏実には一体何なのか見当もつかない。
「由美さん、これ、一体……」
「これはね、ディルドゥというの、男性のおちんちんの、いわば実物大の模型ね。あ、ただしこれは二本の同形同大のディルドゥを根元でくっつけたものでね、普通のおちんちんは一本だけだよ」
「おちんちんって、こんなに大きいんですか」
「まあ、これは普通のおちんちんより大きく作ってあるんだけど……あ、夏実、普段からこの大きさだと思ってるんじゃないでしょうね」
「え、普段って、どう違うんですか」
「だからね、ディルドゥっていうのは、男性が性的に興奮した時のおちんちんの模型なの、普段はもっとずっと小さいわよ」
「ええっ、大きくなったり小さくなったりするんですか」
「それはそうよ、そうでないと不便でしょ」
「へー、知らなかった……」
由美は、箱からディルドゥを取出し、開く。カン、カン、カン……金属音が室内に響く。
夏実は全身を凝固させて見つめる。
「このディルドゥはこうやってね、開いてね、二人の女性で使うのよ
「あ、二人が一本ずつ挿入するわけですね」
「そうそう」
「あ、それで、由美さんが一方を挿入して、もう一方をわたしに……そうやって私のバージンを……そういうことですか、わかりました、由美さん、どうぞ私のバージン、もらって下さい」
すべてを理解した夏実の全身の緊張が解け、言葉には力がこもる。両の瞳で由美の瞳を求める。由美に自分の覚悟を改めて宣言するように。
「でも夏実……痛いよすごく、初めてだと、私は慣れてるけど」
「大丈夫です、痛いのは柔道で慣れっこですから」
「わかった、じゃ改めて夏実、あなたのバージンは私がもらう」
「はい、由美さん、私のバージンをあなたに捧げます」
二人は、ディルドゥを捧げ持つようにして、部屋の奥に戻る。 ベッドの端に腰を下ろし、軽く唇を合わせる。
ベッド脇の床に散らばる赤いロープが、夏実の目に入った。
「由美さん、お願いがあります」
「なあに」
「もう一度……縛ってほしい、縛ったまま、して、下さい」
「夏実あなた……ほんとに虐められるのが好きなのね、虐められたいのね」
「虐められたいです、由美さんに」
「今まで、誰も虐めてくれなかったんだ、あんなに強い夏実だもんねえ」
「そうですね、そういう意味では……母ですかね」
「あ、お母さんが夏実よりずっとずっと強かったころは……夏実はお母さんに虐めてもらえたんだねえ」
「そういうことかもしれませんね」
「あ、だからだよ夏実、だからお母さんが強かったころの夏実には、自分が『マゾのフェムネコ』だってことがわからなかったんだよ」
「そうか……母に一方的にやられていれば、特に『虐められたい』なんて思いませんもんね……それに、『フェム』の反対の『ボイ』になれって母に言いつけられてましたし、もちろん母はボイなんて言葉は使いませんでしたけど……性的なことなんて考える暇も余裕もなかったですから、ビアンを知らなければ『ネコ』も『タチ』もありませんもんね」
夏実は晴れ晴れとした表情になった。全てが理解できた。夏実は思う。
(わたしは今後こう生きればいいんだ)
(このまままっすぐ……)
(由美さん、ありがとう)
由美は、夏実の心中のつぶやきが聞こえたかのように答えた。
「よかったねえ、夏っちゃん」
「はい、で由美さん、聞いていいですか、どうしてこんなロープお持ちなんですか、それとあんな縛り方、なぜご存じなんですか」
「このロープはね、以前に別の子に縛られそうになったの、逆にその子をやっつけた、その時の戦利品ね」
「なんか、すごいですね」
「縛り方はね、ほら、さっき話した美弥ちゃんとネットでいろんなエッチなサイトを見て覚えたの、ま、そんなに本格的な縛り方でもないでしょうけどね、いろんなサイトがあるんだよ、そのうち夏実にも見せてあげるね」
「はい、由美さん」
「じゃ夏実、立って、縛るよ」
二人の少女は、互いにバスタオルを相手の体に這わせ、全身を濡らした湯を拭き取り合う。泉のほとりで戯れ合う妖精のように。
「あの、由美さん」
「なあに」
「さっきの……もう一つって」
「ああ、そうね、うーん」
「難しいことなんですか」
「そうでもないんだけどね、でも……これも夏実の身体に聞いた方が早いかな」
「えー、またですか」
「また、って、いやなの」
「えー、そんなことありません、楽しみです」
「あらあら、やらしい娘、夏実って、そんなにいやらしい娘だったかなあ」
「やだ、それは由美さんのせいです、う、んんっ」
由美は、夏実の口を塞ぐように、口全体でキスをする。
夏実は、侵入してくる由美の舌を待ち構え、反撃する。
「う、ふうん」
「んむ、む」
「うあ、あ、夏ぅ……」
「ゆみ、さあん、ゆみぃ……いいっ」
ひとしきり戯れあった二人の少女は、全裸のまま部屋に戻る。上体をベッドに縁にもたせ掛け、下半身を床に伸ばして寄り添う。抱き合う。
「んんっ、ゆみ、さぁん」
「なつ、夏実ぃ、可愛いよ」
「ゆみさん、ゆみ……さん、好き、好き、大好きです」
「ふううん」
「むふ、うん……」
由美は、夏実の肩に回した腕で夏実を抱き寄せる。
「んね、夏……、もう一つ、だけど」
「あ、はい、由美さん」
「ちょっと待ってて」
由美は、名残惜しそうに夏実を離れて立ち上がり、クローゼットの下の引き出しを開ける。夏実の位置からは、引き出しの中は見えない。
由美が引出しから取り出して夏実の傍らに持ってきた物は、真紅のロープだった。太さはおよそ1センチ。
「え、由美さん、これ……」
「夏実、縛るよ」
「し、縛るって、由美さん」
「いやなの」
「え、いえ、でも、なぜ、わたしもう、由美さんに逆らったりしません」
「それはわかってるわよ、縛るってのはね、そうじゃなくて意味が違うの」
「あ、はい……」
「いいから、私に任せなさい」
「はい……はい、由美さん」
由美は赤いロープを中央で折り、全体を二重の状態にする。
「夏実、両手を後ろに回しなさい」
「はい、由美さん」
由美は、背に回した夏実の肘を深く曲げ、肘から手首にかけての両腕を水平にさせる。
両手首をまとめて左手で握り、右手に掴んだロープの端を巻き付け、縛る。
「あっ」
「痛いかな、夏実」
「いえ、全然、大丈夫です」
由美は、手首を縛ったロープの続きを夏実の胸に水平に巻き付ける。乳房の上に一巻き、更に下に一巻き。
夏実は、両腕を背中で固定された状態で、胸を締め上げられる。
「んんっ、ん、あ……はあっ」
「どう、夏実、きついかな」
「……いえ、由美さん、あん……」
由美は、背後から両手を夏実の胸前に廻し、ロープに絞り上げられた乳房を掴む。指で乳首を捉える。
「あ、はっ、いいっ」
「夏実、可愛いよ」
由美は、自分の乳房を夏実の固定された両手に擦りつけながら、夏実の耳に唇を這わせる。舌を耳穴に差し込む。舐める……。
耳たぶを噛む。優しく、時に強く。
うなじを舌で舐める。吸う。唇で吸う、吸う。舐める、吸う。
乳首を摘む。擦る。潰す。
「あ、ゆみ、さあん、はんっ、んんっ」
「夏実、どうなの、縛られて」
「どうって、由美さん、よくわかりません」
由美は、いきなり夏実の肩と額に手を当て、夏実の上半身を叩きつけるように床に押し倒す。
夏実は顎を胸元に引き付け、後頭部が床に当たるのを防ぐ。柔道の受け身技の技法である。
「ひいっ」
「わからないわけないでしょ、夏実!」
「す、すみません」
「また! 謝れなんて言ってないでしょ!
今の感じはどうなのって聞いてるの!」
由美は、両脚を開いて夏実の胸の上に馬乗りになり、夏実の首に両手をかけて締め上げる。
夏実は、豹変した由美の仕草、言葉に瞬時に対応する。誰に教わったわけ訳でもなく……
「どうなんだ、夏実、縛られた感じを言えっていってるんだ」
「あ、ああ、はい、なんか……」
「このぉ」
由美は右手を振り上げ、夏実の左頬に平手打ちを見舞う。
「ひっ」
「夏実、まだわからないのかい、今のお前は生かすも殺すもわたしの思うままなんだよ」
「あ、はい、由美さんのお好きなように、して……下さい」
由美は、今度は右手の甲で夏実の右頬を張り飛ばす。往復ビンタだ。
「あ、がっ」
「わかった風なことを言ってんじゃないよ、夏実、人に好き放題されるってことがどんなことか、まだお前にはわかっていない!」
「あ、え、す、すみませ……う、ぐぅっ」
「いちいち謝るなって言ってるだろ、この馬鹿女!」
由美は、左手を広げて夏実の口をふさぐ。
右手を伸ばし、夏実の乳首を捻り潰す。
「ぐうううぅ、ううっ」
「この、この、この、どうだ、堪えたか」
由美が手を離す。
夏実の両目尻から涙がこぼれる。
「ゆみ、さあん」
「泣くのは早いぞ、なつみ、罰だ、縛られるってことがどういうことか、わかっていない馬鹿女に罰を与える」
「はい、はい……ゆみ、さん、なんでも、どんなことでも」
「よおし、いい覚悟だ、死んでもいいんだな」
「ゆみ、さま、こ、殺して、なつみをころして、下さいっ」
「このお、まだ生意気言うか!」
夏実にさらに二度、往復ビンタを与えた由美は、両膝を使ってにじり上がり、夏実の顔の上に股間を持っていく。
「ほら夏実、見ろ、よく見ろ、見えるか」
「はい由美さん」
「なにが見える、言ってみろ」
「あ、あの……いいいいっ」
由美は、夏実の短い髪を掴んで夏実の顔を持ち上げ、股間に擦りつける。
「ほら、ほら、よく見せてやるよ」
「ぐっ、うっ、ううっ」
「見るんだ、夏実、どうだ、夏実、言え、何が見える!」
「ゆみ、さんの……」
「わたしの、何だ、何が見える!」
「あ、あの……お、おちんこ、ひいっ」
由美は、再び夏実の頬を張り飛ばす。
「なんだって! わたしは女だ! ちんこなんかあるか!」
「ご、ごめんなさあい」
「この無礼者め、教えてやる、これは、ま・ん・こ、おまんこと言うのだ」
「はい、はい……まんこ、由美さんのまんこ、おまんこが、見えますっ」
「よおし、由美のまんこ、どうなってる」
「あ、え……ぐああっ」
由美は、再び夏実の髪を鷲掴みにし、のけ反った夏実の咽喉を締め付ける。
「もたもたするんじゃないよ!」
「あ、はい、あの、ぬ、濡れてます、縦に割れた隙間から、透明な、液が……零れています」
「よおし、じゃ、この濡れまんこで、今からお前を殺す」
由美は、いきなり腰を夏実の顔の上に下ろす。
腰を前後に送り、夏実の顔全体に、股間の全てを、膣口を、膣前庭を、会陰を、肛門を、そして……陰核を、擦りつける。
夏実は、誰に何を教わったわけでもなく、由美の腰の動きに的確に応じて、舌を、唇を、激しく動く由美の股間に這わせる。吸う、舐める、噛む。
「いっ、なつみぃ、ひいいいいっ、いいっ」
「む、ぐっ、うぐうっ」
「な、なつ……、いいっ」
夏実は、両腕を縛られて上半身の自由を奪われ、先ほどのシャワーの時のように、由美を抱くこともならぬまま、唇と舌が由美との唯一の絆であるかのように、由美の股間を吸い、舐め、噛み続けた。
「うっ、うぐっ」
「ああっ、ああっ、な、なつ……なつぅ、なつみいっ」