あらためまして、『風楡の季節』完結記念、作者挨拶でございます。
【夏実の正体】
連載開始当初は『由美と美弥子』サイドストーリー、と銘打ってスタートしましたが、途中からパラレルワールドものに逃げ、最後は"ご本家と時の流れる速度が異なる世界"というタイムパラドックス(?)ものに変貌するという、しっちゃかめっちゃかの迷走ぶり。
どうも、にわかど素人作家の面目躍如(!?)という、ハチャメチャ作品になってしまい、読者の皆々様には何とも申し訳のない仕儀と相成りました。誠に申し訳ございません。
それでも「夏実とは何者なのか」という、当初の執筆動機は何とか説明がついたのではないか、と自負しております。ただの自己満足に過ぎないのかもしれませんが。
そもそも「夏実の正体」探求の出発点は、『由美美弥』ご本家第61章:脅迫者、622回での夏実の謎の言葉「ボクはね、この体が大嫌いなんだ」これです。この言葉にどう説明をつけるか、これが『風楡』の出発点でした。
本家本元の『由美美弥』作者様は「夏実にそんなセリフ言わせたっけ」と、とぼけておられますが……。
私の結論は、夏実は……。
「フェムネコでマゾ」という、『風楡』開始当初の夏実のイメージと比べますと、180度の転換振り、ということになりました。
その夏実がなぜ「ボイ」だったのか。いやそもそもなぜ「ビアン」でも「マゾ」でもなかったのか。
この点につきましては『風楡』第11章以後、特に第15章~終章(18章)で明かしてあります。ぜひ、も一度お読みください(わはは)。
【由美vs.夏実】
更にもう一つ『風楡』でぜひ書きたかったこと「由美夏バトル」は、ご本家ではもちろん由美ちゃんが勝利するわけですが、これがもし、夏実が勝っていたら。これでした。
ここで夏実に勝たせ、さあ、それを受けて夏実の正体を解明する……という『風楡』の流れだったわけでありまして、作品的にはこの部分がキーであり、クライマックスに繋がっていくわけです。
実は作者としては、由美美弥バトルを書いている時が一番楽しかった。
『風楡』全18章のうち、由美夏がからんだのは、第5章、および第8章~終章(第18章)。『風楡』全体のじつに67%の分量を占めます。
さらに、『風楡』の登場人物はわずか5人(律子叔母さんを勘定に入れても6人)ですが、それぞれの登場人物が登場する(ヘンな日本語)章の数は、美玖ちゃんが4章、恵ちゃんが2章、香奈枝さんが1章と1行。
これに対し由美ちゃん12章、主人公夏実は16章、ほとんど出ずっぱりです。
『風楡』が、これだけ由美夏に偏った話になった原因は、「由美夏のからみの中で夏実の正体が解明されていく」という構成にしたからです。
しんどかった。
管理人さんがコメにお書きになったように「青春群像もの」のような構成にしていれば、もっと楽に展開できたのでしょうが、これは仕方がありません。
『風楡』は"夏実の物語"だったわけですから。
得難い体験をさせていただきましたMikiko's Roomへの初連載。
鷹揚な心で、すべてを笑ってお許し下さり、掲載のお手数をおかけしました管理人さんには、お礼の言葉もございません。
本当にありがとうございました。
HQ、今後もさらに精進させていただく所存です。
【さよなら夏実】
それにしても、日本女子柔道界は、将来の金メダルを狙える貴重な人材を失うことになりました。誠に残念なことです。
そのかわり、日本エロ道界ビアン支部は、新鮮ぴちぴちの新人女優を得ることになりました。
人は何かを失う代わりに何かを得るのでしょう。
「二足の草鞋」という言葉はありますが、夏実の様な頑固で、一途で、不器用な者にはそれは無理。
昨日まで「柔道一直線」だった夏実は今日、由美ちゃんに導かれて華麗な変身を遂げ、明日からは「フェムネコ・バリマゾ」の道を歩いて行きます。持ち前の一途さで、脇目も振らず……。
♪この道は長いけど歩きながら行こう
石っころだらけでも歌いながら行こう
夏実の行く末を末永く見守りたいとは思いますが、今後の夏実は私などの手を離れ、"楡の梢を吹き渡る風"に乗り、四月の空の彼方遥かに飛んで行ってしまうのでしょう。
♪ボク達は果てしない
まだ知らない世界へと
きっと行けるさ
あとは「元気でな」とエールを送るばかりです。
♪サヨナラは悲しい言葉じゃない
それぞれの夢へと僕らを繋ぐ
YELL
ともに過ごした日々を胸に抱いて
飛び立つよ 独りで 未来(つぎ)の空へ
ありがとう、夏実。
もしもまた、どこかで出会うことがあれば、
そのときは、お互い、笑って行き合いたいものだ。
さてさて、次週より、新たな新作(「新た」を「新」にかぶせるでねえ!)で、またまた皆様のお目を汚させていただきます。
【次回作ご紹介】
当然ながらビアン小説、にして本格(!)SM巨(?)編。
タイトルも予告しちゃいましょう。
『センセイのリュック』と称します。
学園ものです。
おっといやいや、「小説」ではありません、なんと「シナリオ」。「台本」「脚本」「戯曲」です。
(この四つ、どう違うんだあ)
登場人物は『風楡』とは異なり、すべて新人女優さん。そのうちの一人は何と、『風楡』に登場した人物です。
あ、ということは、この人は新人とは言えんか。
もちろん夏実ではありません。『由美美弥』の登場人物は、次回作にはどなたも登場しません。
いや、一人くらい出てもらってもええなあ。
(やめとけ!)
確認してみましょう。『風楡』に登場した新人女優さんは、次のお三方です。
●服部美玖 高校3年生。
柔道初段。
夏実柔道部・団体戦の先鋒(せんぽう)。
得意技:双手刈(もろてがり)。
※作者短評:この子も夏実同様、一途な子だったなあ。
"たられば"を言ってもしょうがないが、
ひょっとしたら夏実と結ばれていた可能性も。
幸せになってほしいものだ。
●川西 恵 高校3年生。
柔道二段。
夏実柔道部・団体戦の副将。
得意技:横四方固(よこしほうがため)。
※作者短評:ちょっと斜に構えた子だが、人情には厚い。
柔道は続けるだろうが、
得意技が寝技というのがどうもな。弱いな。
精進次第だが、金メダルは無理かもしれん。
●南香奈枝 年齢不詳(20代後半~30過ぎ)。
職業:不明。
変態。
得意技:オナニー。
※作者短評:本来抹殺されるはずが、持ち前の図太さで、
『風楡』に生き残った変態ゾンビ女。
ま、結構可愛げもあるが、
"何にも考えていない"というお気楽タイプ。
実はこやつ、モデルがあるのだよ。
ちなみに柔道の団体戦では、五人制の場合、登場順に先鋒、次鋒(または四将)、中堅、副将、大将、と称します。三人制の場合は先鋒、中堅、大将です。
必ずしも、実力順で登場するわけではありません。相手側との駆け引きもありますからね。でも大概は、一番強い人が大将を務めます。
夏実はもちろん、不動の大将でした。
最後に夏実がデン、と控えている。この安心感で皆のびのびと戦えたわけですよ。
そういや、インターハイのシーンを書いてもよかったなあ。
(もう柔道は、ええ!)
【さあ、ここでクイズです】
〔クイズその1〕
上記お三方のうち、ハーレクイン・エロマンス次回作『センセイのリュック』の ①登場人物は、どの女優さんでしょう?
ヒント:なし
〔クイズその2〕
次回作のタイトル『センセイのリュック』は、純文学としては異例のベストセラー、売上15万部を記録した著名な作品のタイトルのパクリです。
さあ、その作品の ②タイトルは何? ③作者は誰?!
ヒント:この作品は谷崎潤一郎賞を受賞しました。
①~③の全問を正解された方の中から抽選で一名様に、次回作の第1回のゲラ刷り(校正済み)のコピーを進呈します。
んなもんいらん、鼻もかめんわ!
床のロープを拾い上げた由美は、先ほどと同様に夏実の両腕を背後で固定し、胸を縛り上げる。すぐに夏実の吐息が荒くなる。両目が霞んだように潤んでいく。
由美は、夏実の両肩を強く突いて夏実をベッドに押し倒す。二度、三度、夏実の上体がバウンドする。両脚はベッドの縁に垂れ下がったままだ。
夏実は、由美の唇を待ち受けるが、由美は見向きもしない。ベッドの脇、夏実の両脚の間に立ったまま、上体を夏実にかぶせ、いきなりロープに挟まれた両の乳房を、両手で鷲掴みにする。締め上げる。
「いいいっ」
「どう、痛い? 夏実」
「い、いえ、だいじょうぶ、いたくありません」
「なあんだ、痛くないのか、じゃやめよう」
「あ、い、いたいです」
「この、馬鹿夏!」
由美は、更に強い力で、夏実の両の乳房をぎりぎりと締め上げる。
「ひいいいっ、いたいです、いたいですう、ゆみさん」
「もう遅い! 素直じゃない馬鹿夏には罰を与える、乳首がちぎれても知らないよ!」
言い放った由美は、右手で夏実の左の乳房を鷲掴みにしたまま、唇を右の乳首に当てる、噛む、上下の前歯で夏実の乳首を噛む、噛み切るような力で噛み締める。
「いやあっ、いたい、いたいです、ゆみさん、ゆるしてっ」
いったん乳首から口を離した由美は、夏実を決めつける。
「お許し下さい、と言いなさい」
「お、おゆるしください、ゆみさんっ」
「もう、遅い、許さない!」
由美は再び乳首を噛む、噛む、容赦なく噛む。
「ああっ、ああっ、あ、い、いたいい、いたいですう、おゆるし……ひいっ」
夏実はあまりの痛みに、思わず失禁した。それほどの量ではないが、由美の太腿を濡らすには十分だった。
「あ、こら、漏らしたな、夏実」
「す、すみません、ごめんなさい」
「夏! 夏実!! さっき『痛いのは柔道で慣れっこ』って生意気なことを言ったな!」
由美は、左右の人差し指と中指を夏実の口に差し込んで鉤状に曲げ、口の端を左右に引っ張る。夏実の口が左右に大きく半開きになる。
「ひっ、ひらい、ひらいれふ」
「そんな生意気なことを言ったのはこれか、この口か、この不細工な口が言ったのか、どうっ、返事しなさい、夏実!」
「はい、ほうれふ、ふいやへん……ひらいい」
「何言ってんのか分からない、ちゃんと答えなさい、馬鹿夏!」
「ふひはん、お、おゆるひ、ひひっ」
由美は、夏実の口に差し込んだ指で、夏実の顔を左右に何度も揺さぶる。多量の涎が夏実の口の端から零れ出す。目尻からは涙が噴き零れる。
「がっ、ふがっ、がっ、があああっ」
由美は夏実の口から指を抜き、夏実の股間に仁王立ちになり、夏実を睨みつける。夏実は激しく咳き込み、荒い息を吐き出し、大きく喘ぐ。
「いい夏実、あのディルドゥの痛さはこんなものじゃないんだよ、それをきちんと覚悟しなさい、いい? わかった? わかったら返事なさい!」
「は……はい、ゆみさん、なまいきをもうしあげました、わたしがまちがっておりました」
「よおし、分かったようね、それじゃ、ご褒美に少し気持ちよくさせてあげる、足の裏をベッドの縁にかけて、両脚を大きく開きなさい」
夏実は両足を思い切り開き、股間を剥き出しにする。由美は床にひざまずき、夏実の股間に顔を寄せる。
「なんだ、臭いまんこ、しょんべん臭い小娘って、夏実のことね」
「も、もうしわけ……うっ、ううっ」
「なあに、また泣いてるの、あなたほんとに柔道二段? 根性ないなあ、夏実は、もっと虐められることを楽しまないと、そんなことじゃマゾとしてやっていけないよ、ま、臭いのは勘弁してあげる」
言うなり由美は、夏実の股間にむしゃぶりつく。大陰唇を濡らしている尿を舐め取る。舌で小陰唇を掻き分け、膣口から膣前庭を舐め上げ舐め下ろし、溜まっている尿を吸い取る。舌先で尿道口を探り当てる……。
「あはあああ、いいっ、いい、ですっ、ゆみさん」
「そう、気持ちいいの、じゃ次はこうね、気絶しちゃだめよ」
由美は、両手の人差し指で陰核包皮を剥きおろし、上下の唇を陰核亀頭の上にぴったり重ね、思い切り吸い上げる。
「ぐふっ、ふうううううううう、っ……」
由美の吸引は止まない、吸う、吸う、夏実の陰核を引き抜こうとでもいうように、吸う、吸う、吸う、吸う……。
「……っ…………っ……」
夏実はすでに言葉が出ない。両唇の隙間から涎の泡が噴き出す。歯を食いしばり、縛めるロープを引き千切ろうとでもいうように上体に力を込めるが、もちろんロープが緩むはずもない。両脚は、由美の両腕が太腿をしっかり抱え込んで固定している。
夏実にできるのは、首を左右に振り、背中に回された両手の指先でシーツを掻き毟るだけ。ときおり、膝から足先が上方に跳ね上がる。
「か……はあっ」
夏実の全身が凝固した後、一気に弛緩する。大量の膣液が由美の口内に吹き出し、口元からこぼれ、シーツを濡らす。
「ぐふ」
由美は夏実の顔を見やる。夏実は失神していた。
………………………………………………………………
「気がついた、夏実」
「あ、由美……さん」
「どう、ご褒美は、気持ちよかった?」
「とても、きもちよかったです、死ぬかと思った」
「でも夏実、『気絶しちゃだめよ』という言いつけに背いたわよ」
「え、あ、すみません、でも……」
「でもは、いい! いちいち口答えしない! 何度言っても駄目なんだから……だから馬鹿夏って言われるのよ」
「す、すみません、もうしわけありません」
「とにかくこんな素直じゃないマゾって……どうしようもないなあ、ま、まだ初心者だからしょうがないか、
夏実!」
「は、はい、ゆみさん」
「さっきの、言いつけに背いた罰は、後で考えるからね、次、始めるよ」
今、夏実の体は、頭をベッドのヘッドボードに向け、全身がベッド上にあった。もちろん由美が動かしたのだろう。
夏実は、まだ縛められたままの上半身を、仰向けに寝かされている。
両足首にはそれぞれロープが巻かれ、ヘッドボードの方向に伸びている。ロープに引かれた両脚は、ほぼ水平に大きく割り開かれ、股間が剥き出しになっている。尻の下には、何か柔らかく厚みのあるもの、おそらくクッションが差し込まれているようだ。
このため、夏実は、尻を大きく上げて全身をほとんど二つ折りにされ、脛の裏も太腿の裏も上に向け、陰部から会陰、肛門にかけての尻の中心を剥き出しに天に向けている。
両腕も両脚も動かない。動くのは首から上だけだ。かなり無理な姿勢であるが、柔軟な夏実の身体にとってはさほどでもない。
由美は先ほどと同じように、大きく開いた夏実の股間に座りこんで、夏実の顔を見つめている。
さすがに夏実は動揺する。
「ゆ、ゆみさん」
「何? 夏実」
「は、はずかしいです」
「恥ずかしい? 当たり前よ、恥ずかしいことをしてあげてるのよ。いやなの? 文句あるの? 『虐めて欲しい』の夏実ちゃん、いやならやめたっていいのよ」
「あ、いえ、がまんします」
「我慢? 我慢なんかしてくれなくていいよ、いやならいつでも解くから、さっさと家に帰りなさい」
「あ、ごめんなさい、すみません、どうぞ……」
「いい加減にしなさい! 馬鹿夏!」
言うなり由美は夏実にのしかかり、平手打ちを頬に浴びせる、二度、三度……。
「ひぃっ」
由美は姿勢を戻すと、夏実の尻を平手で叩き始める。ラテン音楽の打楽器、ボンゴを叩くように、左右の手で夏実の両の尻たぶを叩く。ラテンのリズムを取るように、左右の尻たぶを自在に叩く。
由美の打擲の音に合わせるように、夏実の悲鳴が重なっていく。パーカッションとボーカルのセッションのように……。
ピシ。
「ひ」
ピシッ。
「ひっ」
ピシィッ
「ひいっ」
ピシ、ピシ、ピシ、ピシ。
「ひっ、ひっ、ひい、いっひ」
ピシ、ピシャ、ピシ、パシ、ピシャ、ピシ、パシ、ピシ……。
「ひいいっ、いひいぃ、いいっひ、うはああ……」
ビシッ。
ひときわ高い音を立て、パーカッションの演奏が止まる。しかし、ボーカルの絶え入るような音色は止まらない。リズムを乱しながら、次第に小さく、か細くなっていく歌声が、嫋嫋と余韻を残して消えていく。
「ああ、ああ、あああ、はあ……はっ、あ……」
歌姫の歌唱が消える。その尻は、セッションの名残を留めて薄く、赤く染まっている。
パーカッションがボーカルに呼びかける。
「夏実、まだまだこれからよ、今度は多分、夏が知らない快感を教えてあげる、どう、嬉しい?」
「はい、うれしいです、ゆみさん」
「よおし、それじゃ今度はここを舐めてあげる」
由美は、天に向けて収縮と弛緩を不規則に繰り返している夏実の肛門に吸い付いた。肛門全体を思い切り吸い上げる。
夏実の口から、思わず悲鳴が吹き零れる。
「ひっ、いっ、いやあああ、そ、こ、は、いやですっ」
由美は耳を貸さない。舌全体を肛門に押し付け、舐め上げる。舌裏で舐め下ろす。舐め上げる、舐め下ろす。夏実の悲鳴は、本気で拒絶する色を帯びていく。
「ゆ、由美さん、お願い、ほんとにそこは……、
やめて、やめてえ、嫌っ」
由美は、夏実の肛門からいったん口を離す。
「何を騒いでるの、うるさいよ、夏」
「だって……だって由美さん、
そんなところ舐めるなんて、おかしいです、やめて下さい」
「ふーん、夏、さっき『わたしの言いつけには何でも従う』と誓ったよね、夏実は武道家のくせに二枚舌を使うんだ」
「そ、それはそう……ですが、で、でも、でも……そこは、汚いです、不潔です、由美さんが、汚れちゃいます」
「さっきシャワーで、あれだけ綺麗にしたのを、忘れたの」
夏実はそれ以上抗弁できない。それを確認し、由美は再び夏実の肛門に吸い付く。舌先を尖らせ、肛門の周りを円を描きながら舐める。右回りに、左回りに舐めまわす。
由美の舌先の回転の周期に合わせるように、夏実の肛門が収縮と弛緩を繰り返す。イソギンチャクの触手が開閉するように。
「あ、あああぅ、ゆ、ゆみぃ、さんっ……、
いいっ、きもち、いいですっ、ど、どうして、こんな」
由美は肛門から口を外し、しばらく夏実の全身を眺める。夏実の膣液と由美の涎に濡れそぼる股間を、乳首が頂点に屹立する緩やかな乳房の盛り上がりを、のけ反らせた顎の先端を、そして、赤いロープに左右に引かれ、V字型に極限まで開く両脚を。
夏実は焦れたように首を擡げ、由美を見つめる。
「ゆみさん、どうして、わたしもっと……」
「もっと、なあに、夏実」
「あの、もっと……なめて……」
「やっとわかってきたね夏、ここの気持ちよさが」
「はい……はい、ゆみさん、おねがいします、もっと、なめて」
「舐めろって、何処をかな」
「こ、こうもん、アヌス、おしりのあなです、
わたしがうんちする、くさいあなです」
「ふふ、さすがお利口夏実、よく知ってるね、じゃ、ご褒美」
由美は夏実の肛門に吸い付き、舐める、舐めまわす。舌先を思い切り尖らせ、肛門の中央から内部に突き立てる。突く、突く。突きながら唾液を絞り出す。唾液のぬめりに乗って、更に深く舌先が入り込む。
夏実は狂った。由美の舌に与えられる異様な快感に、我を忘れて狂った。
「うわあああ、あ、いっ、いいいっ、いっ、
ひいいいいっ、ゆみぃ、っ……さ、いきぃ……すっ」
「夏、夏実、まだ気を失っちゃ駄目よ、最後のご褒美があるからね」
夏実は、全身の筋肉を緊張させることで、消えようとする意識をかろうじて繋ぎとめる。
「はい、ゆみ、さん」
「よく見ているんだよ」
由美は、右手を拳に握ってから、人差し指だけをまっすぐ立てる。口に含み唾液を塗す。
口を夏実の肛門の真上に持っていき、大量の唾液を零し落とす。すでに唾液と膣液で濡れそぼっている夏実の肛門は、新たに与えられた唾液も交え、まるでどろどろの湿地帯のようになる。溢れた液は夏実の腹へ、陰門へと流れ落ち、そこここで新たな湿地帯をつくっていく。
由美は人差し指を高くかざした。
「夏実」
「はい、ゆみさん」
「よく見るのよ、この指をご褒美として夏実にあげる」
「はい? ゆみさん」
「この指を、今から夏の肛門に突っ込む、もう、反抗、口答えは一切許さない!」
夏実は、一瞬顔を、体全体をこわばらせたが、固く唇を引き結んだ後、由美に答える」
「はい、おねがいします、ゆみさん」
「よし、いい覚悟ね、いくよ」
由美は人差し指を垂直に立てて夏実の肛門に近づける。肛門には唾液が小さな、泉の様な溜まりをつくっている。
由美は、指の先端を、潜水するダイバーのように泉に突き入れ、左右交互に捩じりながら、徐々に夏実の体内に埋め込んでゆく。
夏実は、一言の抗弁も、呻きも、喘ぎすら漏らさない。奥歯を噛み締め、唇を引き結び、先ほど侵入してきた舌とは比較にならない固さをもち、体を串刺しにされるかと思うほど、どこまでもどこまでも侵入してくる由美の指を、まるで由美自身であるかのようにそのまま受け入れようとする。
「夏、いい子ね、もう半分入ったよ」
いうなり由美は新たな唾液を零し落とす。指は一気に第2関節付近まで潜り込む。
その途端、夏実の膣口から新たな膣液が激しい勢いで噴出した。同時に夏実が、堪えかねたように声を上げる。
「うあああっ、いいっ、いいっ、ゆみさんっ、もっとお」
由美はその声に応え、一気に根元まで指を突き入れる。
「かっ……はあっ……いっ、いぎいいいいいっ」
夏実の口から漏れた声は、断末魔の獣の咆哮のようだった。
夏実は完全に失神した。
………………………………………………………………
目覚めた夏実の傍らに由美が立っている。由美は両性具有の異形のヴィーナスに変貌していた。
豊かな黒髪、細い肩、可憐な胸の膨らみ、なよやかな腰の括れ、なめらかな尻の張り出し……紛うかたなき女性のフォルム。その中心に屹立するのは、天を指して聳える巨大な男性性器。
異形のヴィーナスは、そっと夏実に手を差し伸べる。
差し伸べられた手を取り、夏実は思う。
(そうだ、私も今からこの姿態になるんだ)
(このヴィーナスと一体になるんだ)
(二体で一体の、異形のヴィーナスに……)
立位のヴィーナスが声をかける。
「夏っちゃん、始めようか」
仰臥位のヴィーナスが呼応する。
「はい、由美さん」
夏実の縛めは、両脚のものだけ解かれている。上半身はそのままだが、おそらく由美はそれが夏実の望みだと考えたのだろう。由美のその心遣いが、夏実にはこの上なく嬉しい。
由美がベッドに上がり、夏実に寄り添って横たわる。
「夏実、夏っちゃん、いいかな」
「由美さん、その前に、一つお願い」
「なあに、夏っちゃん」
「キス、して」
「いいわよ」
軽く、限りなく優しくキスを交わしたのち、夏実は自然に両脚を開く。由美は夏実の股間に膝立ちになり、夏実を見下ろす。双頭ディルドゥの一方は、由美の膣内にすでに挿入されている。由美は他方を右手で握り、ゆっくりと押し下げる。
カン!
由美には耳になじんだ、夏実には先ほど初めて聞いた金属音が、獣の唸り声のように狭い室内に響く。
カン、カン、カン……。
由美は獣の切っ先を夏実の膣口に当てがい、軽く押し込む。夏実の処女膜が獣の侵入に抵抗する……。
「ううっ」
夏実は、処女膜そのものが漏らす儚い抵抗の歌のように、知らぬ間に声を漏らす。
その瞬間、夏実に見えたものは母だった。
柔道着を凛と身に着け、夏実を投げ、締め上げ、叱咤する、あの強い強い母の姿だった。
(そうか、ボクは、いえわたしは、母さんが欲しかったんだ)
(強い強い母さんが欲しかったんだ!)
(強い母さんのいない柔道には未練はない)
(この人は、由美さんは、私の母さんなんだ)
そして今、その強い母が眼前にいる。
股間から隆々たる男根を立ち上がらせ、夏実の全身を射抜く眼光を光らせる、強い強い母が。
(わたしはもう、二度と柔道着を着ることはない)
(明日から私の着るものは……)
(美玖、もしお前にもっと闘志があれば、ひょっとして……。
でも、これで本当にさよならだ)
夏実の処女膜を、母の男根が一気に切り裂く。
母の男根が膣内を蹂躙する。
その男根は、夏実と由美を繋ぐ強い絆でもある。
(母さん!!)
夏実の歓喜の絶叫が、室内の空気を震わせる。
過去との永訣を宣言する、夏実の、最後の気合いだった。
「いいいいいいいいいいいいいいいいっ」
夏実は一瞬、楡の梢を吹き渡る風を感じた。
(完)