「飲み過ぎないでくださいね」
「わかってる」
と言いながら、わかってませんでした……。
生ビールが美味しかったせいもあるけど……。
やっぱり、朝早くから飯盛山まで歩いたせいか……。
疲れが出たのでしょう。
2時間も飲んだら、ほぼ酩酊状態。
由美に抱えられるようにして、ホテルに戻ったことは覚えてるんですが……。
そのままベッドにぶっ倒れたらしいです。
せっかくこの日は、「仲良しカップルプラン」という、せまーいセミダブルベッドのコースを選んだのに……。
夜中に目が覚めると……。
ベッドの向こう側で、由美ちゃんがスヤスヤ眠ってます。
ほんとに、お人形が眠ってるみたいですね。
むらむらしてきました。
そーっと布団をめくります。
浴衣の裾がはだけ、棒のようにまっすぐな脚が伸びてます。
辛抱、たまりません。
そーっと、パンツ下ろしちゃいましょう。
おぉ!
パイパンご開帳。
ロリコン男なら、見ただけで射精しちゃいそうですね。
ふふふ。
ここで、閃きました。
バッグから、あるものを取り出します。
あるものを、ある場所にセット。
ふっふっふ。
「由美!
由美ちゃん、起きて!
「うーん……」
「タイヘンだよ」
寝ぼけたまま寝返りを打とうとする由美を、抱き起こします。
「ほら、タイヘン。
由美ちゃんに、おちんちんが生えちゃった」
「……」
由美のほっぺたを挟んで、股間を見せます。
寝ぼけ眼で、呆然とお股を見ていた由美ちゃんですが……。
「い、いゃぁぁぁ」
魂消るような悲鳴を上げて、跳ね起きました。
「わっはっは。
似合う、似合う」
由美ちゃんのつるつる恥丘には……。
とぼけた顔のチンアナゴくんが、しっかりと吸盤でくっついてました。
◆11月2日(月曜日)【3日目】
頭が痛い……。
二日酔いもありますが……。
ゆうべ由美に、枕でコテンコテンに叩かれたせいでしょう。
「まだ怒ってんの?」
「あたりまえでしょ!」
「罪のないイタズラなのに……」
「センスがヒドすぎです!」
ゆうべは結局、お風呂入りそびれちゃいました。
朝風呂で髪まで洗います。
今日も8時半前に出たいので、速攻で朝食。
朝食はホテル自慢のバイキング。
チェックアウトを済ませ、表に出ると……。
昨日までと打って変わって、今日はちょっと肌寒い。
いわき駅まで歩きます。
8:43発の磐越東線に乗車。
郡山着、10:16。
磐越西線に乗り換えます。
郡山発、10:46。
こんなとこで30分も待つのは業腹ですが……。
仕方ありません。
猪苗代着、11:19です。
猪苗代駅からはバス。
磐梯東都バスが待ってます。
11:25発です。
目的地は裏磐梯。
行ってみたい施設があるんです。
五色沼入口で下車。
11:49です。
その施設は、もう少し先なんですが……。
もうお昼ですからね。
先に腹ごしらえしましょう。
バス停近くに……。
「リストランテ・イルレガーロ」さんがあります。
店内も、明るくて素敵ですね。
パスタランチをいただきます。
食べてる途中から、どんどん店内が混んできました。
12時前に入って正解でした。
紅葉時期の裏磐梯ですからね。
さっさと食べましょう。
わたしは、女同士で昼食を摂るのがあまり好きじゃありません。
今はお昼食べないから、滅多にそんな機会は無いんですが……。
なにが嫌いかって……。
尻が重い!
わたしは、とっとと食べて、とっとと出たいんです。
食べるのも早くて……。
必ず真っ先に食べ終わります。
わたしがコーヒー飲み終えそうなのに、まだ食ってるやつがいる。
もう、イライラしてね。
口の中に、飯突っ込みたくなる。
食べ終わったあとも、いつまでもペチャペチャしゃべってて……。
一向に尻を上げようとしません。
入口に席の空くのを待ってる人がいようが……。
おかまい無しです。
わたしはどーも、オンナのこういう神経には我慢できません。
混んでる店では、黙々と食べて、さっさと出る。
これが人の道だと思うんですが……。
こう考える女性は、残念ながら少ないようです。
わたしたちより遅く座ったサラリーマン連れが、わたしたちより早く腰を上げるのを見て……。
マジでうらやましかったです。
昼飯だけはオトコと食べたいと、心から思います。
とにかく、女と昼飯摂るとイラつくことが多いので……。
いつしか、女同士のランチは敬遠するようになっちゃいました。
さて、さすがわたしの造形した由美ちゃんは……。
席が混み合って来たのを見ると、無駄なおしゃべりもせずに食べ終えてくれました。
表に出ると、12:45分。
「Mikikoさん……。
また、バス停前通り過ぎた……。
イヤな予感がするんですけど」
「大丈夫。
今日は、徒歩15分だよ」
時間があれば……。
この近くには、五色沼自然探勝路ってのがあるんです。
距離も、1時間ちょっとと手頃だし。
探勝路を抜けたところが、物産館のあるバス停というアクセスの良さ。
みなさんには、ぜひお勧めします。
でも、今日はパス。
時間も無いし、11月になると、やっぱりちょっと寒いよね。
てことで、2人はバス道路をテクテクと歩きます。
高原ドライブを楽しむクルマが、けっこう通りますね。
昼食に降りた「五色沼入口」から、2停留所目。
目指す施設が見えてきました。
わたしが見たかったのは……。
「磐梯山噴火記念館」。
そして、その向かいにある……。
「磐梯山3Dワールド」。
以前のコメントで、浅間山の噴火で埋まった鎌原村のお話を書きました。
その後、ヤマタノオロチは溶岩流の象徴ではなかったかというコメントも書きました。
そうです。
わたしは、火山フリークなんですね。
それでは簡単に、磐梯山のプロフィールをご紹介します。
標高は、1,819メートル。
日本百名山の1つです。
安山岩で出来た成層火山。
磐梯山の昔の読み方は、“いわはしやま”。
「梯(はし)」は、ハシゴのことです。
すなわち、磐梯山とは、天に掛かる岩のハシゴという意味なんですね。
おそらく昔は、富士山のような優美な姿をしていたことでしょう。
現在、南側から見た磐梯山が、その姿をとどめてます。
磐梯山の噴火活動が始まったのは、90万年前のこと。
これまでに、5,6回、規模の大きな噴火を起こしてます。
日本で4番目の面積を持つ猪苗代湖が出来たのは、8万年前。
磐梯山から流れ下った火砕流により、川がせき止められたんです。
歴史時代以降では、2度噴火してます。
最初の噴火は、西暦806年。
最澄や空海が、唐に渡ったころですね。
このときの噴火では、50あまりの集落が埋没したとか。
2度目の噴火は、1888年のこと。
今から121年前、明治21年です。
2つの噴火の間には、1,000年の空隙があります。
わたしたちが生きてるうちに、3度目の噴火を見ることはまず無いでしょう。
さて、1888年の7月15日。
この日、朝7時ごろから鳴動が始まりました。
7時半からは、強い地震が断続的に起こります。
そして、7時45分。
ひときわ強い揺れと共に、大音響を伴う噴火が始まりました。
水蒸気爆発です。
山体の帯水層にマグマが貫入すると……。
水は一瞬にして気化し、水蒸気が大量に発生します。
密閉空間の中で内圧が急激に増し、密閉壁が破砕されるわけです。
この水蒸気爆発を伴う噴火が、20回ほど続いたそうです。
爆発音は100キロ先まで聞こえたとか。
そして、最後の1発。
これは、「北に向かって抜けた」と云われてます。
山体の北半分が、吹き飛んだんです。
標高が、165メートル低くなったそうです。
南側から見た磐梯山は「表磐梯」と云われ……。
会津富士と呼ばれる優美な姿を見せています。
それに対し、北側から見た磐梯山は「裏磐梯」と云われ……。
山体崩壊により大きく山肌が欠損した、生々しい姿を見せています。
この欠損部分が、すべて岩屑なだれとなって麓の集落を襲ったのです。
11の集落が埋まり、477人が亡くなりました。
この岩屑なだれが、長瀬川上流の支川を堰き止め……。
檜原湖、小野川湖、秋元湖、五色沼などの湖沼が形成されたわけです(左が噴火前、右が噴火後)。
それでは、「磐梯山噴火記念館」に入ってみましょう。
1988年、磐梯山の噴火100年を記念して開館した施設です。
入口のタイムトンネルを潜ると……。
そこは、1888年の7月15日。
そう、あの大爆発の日です。
大画面と模型、それに床下のボディソニックで、噴火の様子が疑似体験できます。
そのほか、興味深かったのは……。
湖に沈んだ村のお話のコーナー。
今でも湖の水位が下がると、高台にあった神社の鳥居が現れます(写真は檜原湖)。
噴火以外の展示物もあります。
「五色沼の一日」というコーナーでは……。
磐梯山周辺に棲息する動植物を、うさぎのミーちゃんが紹介してくださいます。
この辺りは、日本三大野鳥生息地域と云われてるんです。
さて、最後に……。
ちょっと寒いけど、展望塔に出てみましょう。
天気がいいと、真南に磐梯山、北東に吾妻山、東に安達太良山がみえます。
今日はガスがかかってて、ダメみたいですね。
続いて、道路の反対側にある「磐梯山3Dワールド」に移動。
ソニーが開発した、世界初360度立体映像の常設館です。
上映開始は、毎時0分と30分からなので、タイミングを計って入りましょう。
円筒型のスクリーンは、高さ4.5メートル、周長42メートル。
超大画面に繰り広げられる立体映像の世界。
ここに、1888年の噴火の様子が再現されます。
3Dメガネをかけると、上映が始まりました。
噴火を予知して逃げまどう動物たち。
宙に舞う巨石。
麓の村を襲う火砕流。
360度の映像とサウンドが、噴火をまるで目の前の出来事のように見せてくれます。
飛んでくる巨石を避けようとして、体がビクビク反応しちゃいます。
上映時間は20分。
あっという間でした。
もう1度見たいくらいだけど……。
残念ながら、時間がありません。
でも、由美ちゃんありがとう。
夢中で見て回るわたしに、黙って付き合ってくれました。
こういう施設って、興味のない人はぜんぜん無いだろうから……。
団体行動のときは、存分には見れないと思う。
今日は由美ちゃんのおかげで、丸2時間堪能することができました。
さて、15時をまわったので外に出ましょう。
やっぱり今日は肌寒い。
トレッキングは無理な日だったな。
磐梯山にはガスがかかり、山体崩壊による巨大なカルデラは隠れてます。
雲の中に……。
かつて、“いわはしやま”と呼ばれた優美な姿を想像してみましょう。
あと、わたしが磐梯山を好きなのは……。
この歌の囃子ことばの……。
朝寝、朝酒、朝湯が大好きで♪ってやつね。
この小原庄助さんは、我が理想です。
身上つぶしたって、いいじゃんね。
でも、この程度の道楽でつぶれる身上ってのは……。
大したもんじゃないよなぁ。
なお、この小原庄助という人物……。
いったいどこの誰なのか、よくわからないみたいです。
ますます魅力的ですね。
さて、バスが来ました。
磐梯山噴火記念館前、15:18発。
再び猪苗代駅に戻ります。
旅行もそろそろ終わりですね。
夕暮れの近づく裏磐梯、寂しさが募ります。
車中の2人は、これまでの旅程を噛み締めるように窓の外を見つめます。
猪苗代駅着、15:47。
猪苗代から磐越西線に乗りこみます。
16:22発、「快速あいづライナー3号」。
この列車、よく見てください。
何かに似てませんか?
そう、会津の民芸玩具「赤べこ」ちゃんですね。
会津若松着、16:50。
「急げ!
乗り換えだ。
3分しかない」
「またですか!
って、ちょっと、Mikikoさん!
磐越西線で帰るんじゃないんですか?」
「会津線に乗る」
「またぁ?」
「旅はまだ終わってないぞ」
会津若松発、16:53。
「下りるぞ!」
「もう?
2分しか乗ってないんですけど……。
バスみたい」
となり駅の七日町着、16:55。
「飯盛山で、会津みやげ買いそびれただろ。
最後にお買い物しよう」
駅前の七日町通りは、藩政時代から栄えた通り。
「七」の付く日に市が立ったことから、七日町と呼ばれました。
読みは、「なぬかまち」。
昭和30年ごろまでは、会津随一の賑わいを見せてたとか。
現在も大正浪漫風のお店が軒を連ね、観光名所になってます。
まずは、駅から徒歩2分。
会津絵ろうそくの「ほしばん絵ろうそく店」さんへ。
会津絵ろうそくの歴史は古いです。
今から500年ほど前の宝徳年間に遡ります。
時の領主・芦名盛信が、漆の栽培を奨励したことに始まったといわれてます。
漆の樹液からは、会津漆器が生まれました。
同時に、漆の実から採れた最上質の蝋を使って、ろうそくが作られるようになったのです。
その後、天正年間(1590年ころ)、豊臣秀吉に怖れられた蒲生氏郷が、都を遠く離れた会津に追いやられて来ます。
氏郷が近江から呼び寄せたろうそく職人により、会津ろうそくの品質は更に向上しました。
ちなみに氏郷は、故郷の“近江の若松”にちなんで、ここの地名を“会津の若松”と改めたんですね。
七日町には、「レオ氏郷南蛮館」という資料館もあります。
“レオ”は、氏郷の洗礼名だそうです。
さて、さらに江戸時代に入ると、藩主松平氏が藩の財源として会津ろうそくを活用しました。
結果、会津ろうそくは日本中に行き渡り、その品質の高さが広く知られるようになりました。
このころ、ろうそくに絵を付けることが考案されたそうです。
会津絵ろうそくは、大名や神社仏閣などの御用達となりました。
また庶民の間でも、婚礼などのハレの場で使われるようになります。
婚礼の席で灯される一対の絵ろうそく。
これが、「華燭の典」の語源になったと云われてます。
キャンドルサービスの起源は会津絵ろうそくにあった!、と言ってもいいんじゃないでしょうか?
今売られてる絵ろうそくも、江戸時代と変わらぬ製法で手作りされてます。
柔らかく温かな暖色の炎は、見る者をうっとりとさせます。
菊や牡丹などをあしらった絵柄は、もちろん今でも手描き。
伝統の技が受け継がれてるんですね。
「ほしばん絵ろうそく店」さんは、今のご主人が9代目だとか。
予約すれば、絵付けの体験も出来ます。
ですが今日は、残念ながら時間がありません。
絵ろうそくを一対買って、お店を出ましょう。
ここから2軒、駅の方に戻ると……。
会津木綿の小物を扱う「もめん絲」さんがあります。
会津木綿は、色は地味で素朴ですが、美しい地縞が特徴です。
厚地で大夫なうえ、肌触りが良く、保温性、吸湿性に優れてます。
なので、日常着や野良着として使われてきました。
近年は、着物地としてばかりでなく……。
洋服、エプロン、テーブルクロス、座布団、コースターなどのほか、ハンドバッグや財布、袋物などの民芸品としても利用されています。
会津木綿の歴史も古いです。
寛永4年(1627年)、会津に国替えとなった加藤嘉明が、前領地の伊予松山から織師を招いたのが起源と伝えられてます。
その後、寛永20年(1643年)に会津藩主となった保科正之が、綿花の栽培を奨励し、定着させました。
当時、機織りは、藩士の妻女の内職としても行われてたようです。
会津木綿の生産は、明治末期から大正期に最盛期を迎えます。
しかし、昭和30年代半ば以降、農家の仕事着としての需要が急速に減少。
かつて30軒以上あった機織り場は、現在2軒を残すのみとなりました。
でも、会津木綿の素朴さ、丈夫さを愛する人は今も絶えず、民芸織物として親しまれています。
「もめん絲」さんには、反物や衣類などの定番品もありますが……。
ポプリを詰めたネコやフクロウの置物もあります(下の写真は「'10・るるぶ福島」より)。
余裕があれば、「会津ブランド館」なんかも寄りたいです。
会津漆器や会津味噌など、会津の特産品が置いてあります。
もちろん、地酒もあります。
地酒は、ショットバー「彩」で試飲(有料)してから購入できます。
聞いただけでヨダレが出そうですが……。
この日は残念ながら、時間的にムリ。
さっさと、七日町駅まで戻りましょう。
さて、この「七日町」駅自体が、土産物店なんですね。
「駅Cafe.」というアンテナショップが入ってるんです。
その名のとおり、カフェもあります。
地酒の仕込み水で入れた水出しコーヒーや、地場産フルーツジュースが楽しめます。
シフォンケーキは、評判。
さてもう、17:22分発の会津若松行きが来ました。
着いたのが16:55ですから……。
27分しかありませんでした。
実際には、「ほしばん絵ろうそく店」さんと「もめん絲」さんを覗くだけでやっとでしょう。
会津若松着、17:25。
新潟への帰りは、高速バスです。
会津若松駅前のバスターミナルから、17:45発の便に乗りましょう。
「ばんえつ物語」号で、3時間48分かかった行程ですが……。
高速バスだと、1時間51分。
会津バスと新潟交通のバスが、交互に出てます。
わたしたちが乗った便は、われらが新潟交通。
もう、真っ暗で外が見えないですから……。
互いにもたれて、夢を見ながら帰ります。
新潟駅前着、19:36。
とうとう、終わっちゃいましたね。
しんしんと寂しさが募ります。
「このまま、東京帰る?」
由美ちゃんが、恨めしそうな上目で見つめてきます。
やっぱり、由美ちゃんも寂しいんですよね。
「よし、もう1泊しよう!
わたしにとっては地元だけど……。
由美ちゃんにとっては、まだ旅の途中だよね。
お休みは、明日もう1日ある!
ね?」
「うん!」
「よし!
それじゃ、飲みに行くぞー!」
「なに食べさせてくれるんです?」
「これからの季節、新潟は魚だ。
南蛮エビにノドグロ、お腹いっぱい食べさせてあげる」
「やったぁ!」
「ただし、割り勘ね」
「え~~」
~おしまい~
さてさて、ようやく大団円となった「福島に行こう!」ですが……。
連載が始まったのは、10月25日でした。
きのうの最終回が、11月29日。
途中、「アリウムを植えました」が挟まったとは言え、丸々1ヶ月も続いたことになります。
この旅、たったの2泊3日だったんですよ。
もちろん書き始めたころは、こんな大長編になるとは思ってもいませんでした。
設定した旅行の最終日、11月2日前後には終われるかなと……。
それが、とんでもない大誤算。
こんなことになったのは……。
やっぱり、旅の相棒に由美ちゃんを選んだからでしょうね。
「とりめし」を買うあたりから、会話が弾んじゃって止められなくなったんです。
「紙上旅行倶楽部」、1ヶ月に1回くらいのペースを考えてたんですが……。
そんなことしたら、コメント全部「紙上旅行倶楽部」になっちゃいます。
なので、次回の旅行は、年が明けてからになりそうです。
さて!
それではお楽しみ、旅費精算を行います。
計算は、10月31日に新潟駅を出発してから、11月2日に新潟駅前に降り立つまで。
2人分の金額を算出してみます。
◆10月31日(土曜日)【1日目】コメント308~321
磐越西線「SLばんえつ物語」号に乗車。
この列車は会津若松止まりですが……。
会津若松でわたしたちは、会津鉄道の会津線に乗り継ぎます。
この会津線の起点ですが、実は会津若松から2駅目の西若松なんです。
西若松までは、JRの只見線なんですね(西若松の先で、只見線と会津線に分岐します)。
したがって、新潟からの乗車券は、西若松まで買います。
2,210円です。
これ、会津若松までと同じ料金なんです。
指定席料金が、510円。
「SLばんえつ物語」号は快速扱いなので、特急券も急行券もいりません。
合計で、2,720円。
SLに4時間近く乗ってこの料金です。
ぜったい安いよね。
2人で、5,440円。
途中、日出谷駅で大立ち回りを演じ、「とりめし」をゲット。
700円。
2人で、1,400円。
続いて会津鉄道のトロッコ列車。
乗車券は、西若松から湯野上温泉まで。
820円です。
会津若松から買うと、西若松までのJR料金が加算されて、1,000円になります。
つまり、新潟からのJR乗車券を西若松まで買っておけば、180円安く上げられるわけ。
たった180円の違いですけど、こういう節約は、いかにも「ツウ」って感じで気分がいいです。
でも……。
どこで会津線の切符買うんだろ?
西若松には降りないんだけど……。
湯野上温泉で、乗り越し精算するのかな?
まぁ、いいや。
これプラス、トロッコ整理券が300円。
合計、1,120円。
2人で2,240円。
湯野上温泉駅から大内宿まではタクシー。
ご都合主義でそんなに混まない設定にしたので、2,000円くらい。
渋滞にはまったら、いくらかかるかわかりません。
往復で、4,000円。
大内宿では、「大内宿町並み展示館」に立ち寄りました。
入館料、250円。
2人で500円。
本家叶屋さんで買ったお土産は、例によって旅費に含めません。
湯野上温泉から会津若松まで、電車で戻ります。
今度は2駅分のJR料金が加算されますから、1,000円ですね。
2人で2,000円。
会津若松駅前から東山温泉駅まで、会津バスに乗車。
260円。
2人で520円。
東山温泉でのお宿は、「東山パークホテル新風月」。
「アルコール飲み放題付バイキングプラン、1泊2食付・大人お一人様7,800円コース」を選択。
2人で、15,600円。
この日の合計、27,700円。
2人分で、新潟からの交通費込みですよ。
安い!
松江で泊まった「皆美館」なんか、宿泊料だけで1人34,800円でしたからね。
◆11月1日(日曜日)【2日目】コメント322~327
朝食のバイキングは、宿泊料に込みです。
会津武家屋敷までは、徒歩だからタダ。
武家屋敷の入館料が、850円(けっこう取るね)。
2人で、1,700円。
飯盛山までは、またしても徒歩。
さざえ堂の拝観料が、400円(妥当か)。
2人で、800円。
由美がおイタをしたので、お土産は買いませんでした。
飯盛山から会津若松駅まで、会津バスに乗車。
260円。
2人で、520円。
会津若松駅構内の「一會庵」で昼食。
ざるそば730円、天ざる1,100円。
サッポロビール中瓶1本、500円。
合計で、2,330円。
会津若松からJRに乗車。
郡山、いわきを経て、泉まで。
乗車券、2,940円。
すべて普通列車なので、料金はこれだけです。
2人で、5,880円。
泉駅前から、アクアマリンふくしままでタクシー。
15分くらいでしょう。
2,000円。
アクアマリンふくしまの入館料が、1,600円。
2人で、3,200円。
吸盤チンアナゴは、旅費から除外ね(いくらくらいするんだろ?)。
帰りは、常磐交通バスを利用。
福島銀行小名浜支店前から泉駅まで。
270円。
2人で、540円。
泉からいわきまで、JRの普通列車に乗車。
230円。
2人で、460円。
この日は、「いわきワシントンホテル椿山荘」に宿泊。
「仲良しカップルプラン」を利用。
朝食付きで、“2人”で8,000円(安い!)。
夕食はホテルを出て、「隠れ庵 忍家 いわき駅前店」にて。
ぐるなびによると、平均予算は1人3,500円になってます。
わたしが前後不覚になるほど飲んじゃったから、1人4,000円かな。
2人で8,000円。
ホテル代と同じじゃないか!
この日の合計、33,430円。
夜の居酒屋が、ちょっと痛かったですね。
◆11月2日(月曜日)【3日目】コメント328~332
朝食は、ホテル代に含まれてます。
いわき駅からJRに乗車。
郡山を経由して猪苗代まで。
2,210円。
2人で、4,420円。
郡山から猪苗代の区間は、「快速あいづライナー1号」になります。
この列車、指定席もあります。
指定席に乗れば、もちろん指定料金が必要ですが……。
当然わたしたちは自由席に乗ったので、乗車券だけです。
猪苗代駅前から五色沼入口まで、磐梯東都バスに乗車。
750円。
2人で、1,500円。
「リストランテ・イルレガーロ」で昼食。
パスタランチは、1,580円。
もちろんドリンクはセットで、グラスワインも選べます。
2人で、3,160円。
「磐梯山噴火記念館」と「磐梯山3Dワールド」は、両館共通の割引セットで、1,100円。
バラバラに買うと、記念館600円、3Dワールド800円で、1,400円になっちゃいます。
2人で、2,200円。
磐梯山噴火記念館前から猪苗代駅まで、再び磐梯東都バス。
780円。
2人で、1,560円。
猪苗代駅からJR。
会津若松を経て、只見線の七日町まで。
480円。
猪苗代から乗ったのは、「快速あいづライナー3号」ですが……。
乗車券だけで乗れるってことは、↑に書いたとおりです。
七日町でのお土産は、旅費から除外。
七日町から会津若松まで、只見線を戻ります。
140円。
「えきから時刻表」だと、この区間が会津鉄道の会津線と表示されますが……。
間違いじゃないの?
2人で、280円。
会津若松駅前ターミナルから、高速バスを利用。
会津バスと新潟交通バスが、交互に出てます。
わたしたちが乗った便は、新潟交通。
料金はもちろん同じで、2,000円。
2人で、4,000円。
この日の合計、17,600円。
★集計します。
10月31日(土曜日)【1日目】 27,700円。
11月 1日(日曜日)【2日目】 33,430円。
11月 2日(月曜日)【3日目】 17,600円。
合計は……。
78,730円!
前2回のときは、1日でこれくらい使っちゃいましたよね。
うーん、倹約の甲斐があった。
1人頭、4万円切りました。
ひょっとしてこれなら……。
ほんとに行けるんじゃないか?
では、次回の「紙上旅行倶楽部」、お楽しみに♪
今度は、どこ行こうかな……。
「わかってる」
と言いながら、わかってませんでした……。
生ビールが美味しかったせいもあるけど……。
やっぱり、朝早くから飯盛山まで歩いたせいか……。
疲れが出たのでしょう。
2時間も飲んだら、ほぼ酩酊状態。
由美に抱えられるようにして、ホテルに戻ったことは覚えてるんですが……。
そのままベッドにぶっ倒れたらしいです。
せっかくこの日は、「仲良しカップルプラン」という、せまーいセミダブルベッドのコースを選んだのに……。
夜中に目が覚めると……。
ベッドの向こう側で、由美ちゃんがスヤスヤ眠ってます。
ほんとに、お人形が眠ってるみたいですね。
むらむらしてきました。
そーっと布団をめくります。
浴衣の裾がはだけ、棒のようにまっすぐな脚が伸びてます。
辛抱、たまりません。
そーっと、パンツ下ろしちゃいましょう。
おぉ!
パイパンご開帳。
ロリコン男なら、見ただけで射精しちゃいそうですね。
ふふふ。
ここで、閃きました。
バッグから、あるものを取り出します。
あるものを、ある場所にセット。
ふっふっふ。
「由美!
由美ちゃん、起きて!
「うーん……」
「タイヘンだよ」
寝ぼけたまま寝返りを打とうとする由美を、抱き起こします。
「ほら、タイヘン。
由美ちゃんに、おちんちんが生えちゃった」
「……」
由美のほっぺたを挟んで、股間を見せます。
寝ぼけ眼で、呆然とお股を見ていた由美ちゃんですが……。
「い、いゃぁぁぁ」
魂消るような悲鳴を上げて、跳ね起きました。
「わっはっは。
似合う、似合う」
由美ちゃんのつるつる恥丘には……。
とぼけた顔のチンアナゴくんが、しっかりと吸盤でくっついてました。
◆11月2日(月曜日)【3日目】
頭が痛い……。
二日酔いもありますが……。
ゆうべ由美に、枕でコテンコテンに叩かれたせいでしょう。
「まだ怒ってんの?」
「あたりまえでしょ!」
「罪のないイタズラなのに……」
「センスがヒドすぎです!」
ゆうべは結局、お風呂入りそびれちゃいました。
朝風呂で髪まで洗います。
今日も8時半前に出たいので、速攻で朝食。
朝食はホテル自慢のバイキング。
チェックアウトを済ませ、表に出ると……。
昨日までと打って変わって、今日はちょっと肌寒い。
いわき駅まで歩きます。
8:43発の磐越東線に乗車。
郡山着、10:16。
磐越西線に乗り換えます。
郡山発、10:46。
こんなとこで30分も待つのは業腹ですが……。
仕方ありません。
猪苗代着、11:19です。
猪苗代駅からはバス。
磐梯東都バスが待ってます。
11:25発です。
目的地は裏磐梯。
行ってみたい施設があるんです。
五色沼入口で下車。
11:49です。
その施設は、もう少し先なんですが……。
もうお昼ですからね。
先に腹ごしらえしましょう。
バス停近くに……。
「リストランテ・イルレガーロ」さんがあります。
店内も、明るくて素敵ですね。
パスタランチをいただきます。
食べてる途中から、どんどん店内が混んできました。
12時前に入って正解でした。
紅葉時期の裏磐梯ですからね。
さっさと食べましょう。
わたしは、女同士で昼食を摂るのがあまり好きじゃありません。
今はお昼食べないから、滅多にそんな機会は無いんですが……。
なにが嫌いかって……。
尻が重い!
わたしは、とっとと食べて、とっとと出たいんです。
食べるのも早くて……。
必ず真っ先に食べ終わります。
わたしがコーヒー飲み終えそうなのに、まだ食ってるやつがいる。
もう、イライラしてね。
口の中に、飯突っ込みたくなる。
食べ終わったあとも、いつまでもペチャペチャしゃべってて……。
一向に尻を上げようとしません。
入口に席の空くのを待ってる人がいようが……。
おかまい無しです。
わたしはどーも、オンナのこういう神経には我慢できません。
混んでる店では、黙々と食べて、さっさと出る。
これが人の道だと思うんですが……。
こう考える女性は、残念ながら少ないようです。
わたしたちより遅く座ったサラリーマン連れが、わたしたちより早く腰を上げるのを見て……。
マジでうらやましかったです。
昼飯だけはオトコと食べたいと、心から思います。
とにかく、女と昼飯摂るとイラつくことが多いので……。
いつしか、女同士のランチは敬遠するようになっちゃいました。
さて、さすがわたしの造形した由美ちゃんは……。
席が混み合って来たのを見ると、無駄なおしゃべりもせずに食べ終えてくれました。
表に出ると、12:45分。
「Mikikoさん……。
また、バス停前通り過ぎた……。
イヤな予感がするんですけど」
「大丈夫。
今日は、徒歩15分だよ」
時間があれば……。
この近くには、五色沼自然探勝路ってのがあるんです。
距離も、1時間ちょっとと手頃だし。
探勝路を抜けたところが、物産館のあるバス停というアクセスの良さ。
みなさんには、ぜひお勧めします。
でも、今日はパス。
時間も無いし、11月になると、やっぱりちょっと寒いよね。
てことで、2人はバス道路をテクテクと歩きます。
高原ドライブを楽しむクルマが、けっこう通りますね。
昼食に降りた「五色沼入口」から、2停留所目。
目指す施設が見えてきました。
わたしが見たかったのは……。
「磐梯山噴火記念館」。
そして、その向かいにある……。
「磐梯山3Dワールド」。
以前のコメントで、浅間山の噴火で埋まった鎌原村のお話を書きました。
その後、ヤマタノオロチは溶岩流の象徴ではなかったかというコメントも書きました。
そうです。
わたしは、火山フリークなんですね。
それでは簡単に、磐梯山のプロフィールをご紹介します。
標高は、1,819メートル。
日本百名山の1つです。
安山岩で出来た成層火山。
磐梯山の昔の読み方は、“いわはしやま”。
「梯(はし)」は、ハシゴのことです。
すなわち、磐梯山とは、天に掛かる岩のハシゴという意味なんですね。
おそらく昔は、富士山のような優美な姿をしていたことでしょう。
現在、南側から見た磐梯山が、その姿をとどめてます。
磐梯山の噴火活動が始まったのは、90万年前のこと。
これまでに、5,6回、規模の大きな噴火を起こしてます。
日本で4番目の面積を持つ猪苗代湖が出来たのは、8万年前。
磐梯山から流れ下った火砕流により、川がせき止められたんです。
歴史時代以降では、2度噴火してます。
最初の噴火は、西暦806年。
最澄や空海が、唐に渡ったころですね。
このときの噴火では、50あまりの集落が埋没したとか。
2度目の噴火は、1888年のこと。
今から121年前、明治21年です。
2つの噴火の間には、1,000年の空隙があります。
わたしたちが生きてるうちに、3度目の噴火を見ることはまず無いでしょう。
さて、1888年の7月15日。
この日、朝7時ごろから鳴動が始まりました。
7時半からは、強い地震が断続的に起こります。
そして、7時45分。
ひときわ強い揺れと共に、大音響を伴う噴火が始まりました。
水蒸気爆発です。
山体の帯水層にマグマが貫入すると……。
水は一瞬にして気化し、水蒸気が大量に発生します。
密閉空間の中で内圧が急激に増し、密閉壁が破砕されるわけです。
この水蒸気爆発を伴う噴火が、20回ほど続いたそうです。
爆発音は100キロ先まで聞こえたとか。
そして、最後の1発。
これは、「北に向かって抜けた」と云われてます。
山体の北半分が、吹き飛んだんです。
標高が、165メートル低くなったそうです。
南側から見た磐梯山は「表磐梯」と云われ……。
会津富士と呼ばれる優美な姿を見せています。
それに対し、北側から見た磐梯山は「裏磐梯」と云われ……。
山体崩壊により大きく山肌が欠損した、生々しい姿を見せています。
この欠損部分が、すべて岩屑なだれとなって麓の集落を襲ったのです。
11の集落が埋まり、477人が亡くなりました。
この岩屑なだれが、長瀬川上流の支川を堰き止め……。
檜原湖、小野川湖、秋元湖、五色沼などの湖沼が形成されたわけです(左が噴火前、右が噴火後)。
それでは、「磐梯山噴火記念館」に入ってみましょう。
1988年、磐梯山の噴火100年を記念して開館した施設です。
入口のタイムトンネルを潜ると……。
そこは、1888年の7月15日。
そう、あの大爆発の日です。
大画面と模型、それに床下のボディソニックで、噴火の様子が疑似体験できます。
そのほか、興味深かったのは……。
湖に沈んだ村のお話のコーナー。
今でも湖の水位が下がると、高台にあった神社の鳥居が現れます(写真は檜原湖)。
噴火以外の展示物もあります。
「五色沼の一日」というコーナーでは……。
磐梯山周辺に棲息する動植物を、うさぎのミーちゃんが紹介してくださいます。
この辺りは、日本三大野鳥生息地域と云われてるんです。
さて、最後に……。
ちょっと寒いけど、展望塔に出てみましょう。
天気がいいと、真南に磐梯山、北東に吾妻山、東に安達太良山がみえます。
今日はガスがかかってて、ダメみたいですね。
続いて、道路の反対側にある「磐梯山3Dワールド」に移動。
ソニーが開発した、世界初360度立体映像の常設館です。
上映開始は、毎時0分と30分からなので、タイミングを計って入りましょう。
円筒型のスクリーンは、高さ4.5メートル、周長42メートル。
超大画面に繰り広げられる立体映像の世界。
ここに、1888年の噴火の様子が再現されます。
3Dメガネをかけると、上映が始まりました。
噴火を予知して逃げまどう動物たち。
宙に舞う巨石。
麓の村を襲う火砕流。
360度の映像とサウンドが、噴火をまるで目の前の出来事のように見せてくれます。
飛んでくる巨石を避けようとして、体がビクビク反応しちゃいます。
上映時間は20分。
あっという間でした。
もう1度見たいくらいだけど……。
残念ながら、時間がありません。
でも、由美ちゃんありがとう。
夢中で見て回るわたしに、黙って付き合ってくれました。
こういう施設って、興味のない人はぜんぜん無いだろうから……。
団体行動のときは、存分には見れないと思う。
今日は由美ちゃんのおかげで、丸2時間堪能することができました。
さて、15時をまわったので外に出ましょう。
やっぱり今日は肌寒い。
トレッキングは無理な日だったな。
磐梯山にはガスがかかり、山体崩壊による巨大なカルデラは隠れてます。
雲の中に……。
かつて、“いわはしやま”と呼ばれた優美な姿を想像してみましょう。
あと、わたしが磐梯山を好きなのは……。
この歌の囃子ことばの……。
朝寝、朝酒、朝湯が大好きで♪ってやつね。
この小原庄助さんは、我が理想です。
身上つぶしたって、いいじゃんね。
でも、この程度の道楽でつぶれる身上ってのは……。
大したもんじゃないよなぁ。
なお、この小原庄助という人物……。
いったいどこの誰なのか、よくわからないみたいです。
ますます魅力的ですね。
さて、バスが来ました。
磐梯山噴火記念館前、15:18発。
再び猪苗代駅に戻ります。
旅行もそろそろ終わりですね。
夕暮れの近づく裏磐梯、寂しさが募ります。
車中の2人は、これまでの旅程を噛み締めるように窓の外を見つめます。
猪苗代駅着、15:47。
猪苗代から磐越西線に乗りこみます。
16:22発、「快速あいづライナー3号」。
この列車、よく見てください。
何かに似てませんか?
そう、会津の民芸玩具「赤べこ」ちゃんですね。
会津若松着、16:50。
「急げ!
乗り換えだ。
3分しかない」
「またですか!
って、ちょっと、Mikikoさん!
磐越西線で帰るんじゃないんですか?」
「会津線に乗る」
「またぁ?」
「旅はまだ終わってないぞ」
会津若松発、16:53。
「下りるぞ!」
「もう?
2分しか乗ってないんですけど……。
バスみたい」
となり駅の七日町着、16:55。
「飯盛山で、会津みやげ買いそびれただろ。
最後にお買い物しよう」
駅前の七日町通りは、藩政時代から栄えた通り。
「七」の付く日に市が立ったことから、七日町と呼ばれました。
読みは、「なぬかまち」。
昭和30年ごろまでは、会津随一の賑わいを見せてたとか。
現在も大正浪漫風のお店が軒を連ね、観光名所になってます。
まずは、駅から徒歩2分。
会津絵ろうそくの「ほしばん絵ろうそく店」さんへ。
会津絵ろうそくの歴史は古いです。
今から500年ほど前の宝徳年間に遡ります。
時の領主・芦名盛信が、漆の栽培を奨励したことに始まったといわれてます。
漆の樹液からは、会津漆器が生まれました。
同時に、漆の実から採れた最上質の蝋を使って、ろうそくが作られるようになったのです。
その後、天正年間(1590年ころ)、豊臣秀吉に怖れられた蒲生氏郷が、都を遠く離れた会津に追いやられて来ます。
氏郷が近江から呼び寄せたろうそく職人により、会津ろうそくの品質は更に向上しました。
ちなみに氏郷は、故郷の“近江の若松”にちなんで、ここの地名を“会津の若松”と改めたんですね。
七日町には、「レオ氏郷南蛮館」という資料館もあります。
“レオ”は、氏郷の洗礼名だそうです。
さて、さらに江戸時代に入ると、藩主松平氏が藩の財源として会津ろうそくを活用しました。
結果、会津ろうそくは日本中に行き渡り、その品質の高さが広く知られるようになりました。
このころ、ろうそくに絵を付けることが考案されたそうです。
会津絵ろうそくは、大名や神社仏閣などの御用達となりました。
また庶民の間でも、婚礼などのハレの場で使われるようになります。
婚礼の席で灯される一対の絵ろうそく。
これが、「華燭の典」の語源になったと云われてます。
キャンドルサービスの起源は会津絵ろうそくにあった!、と言ってもいいんじゃないでしょうか?
今売られてる絵ろうそくも、江戸時代と変わらぬ製法で手作りされてます。
柔らかく温かな暖色の炎は、見る者をうっとりとさせます。
菊や牡丹などをあしらった絵柄は、もちろん今でも手描き。
伝統の技が受け継がれてるんですね。
「ほしばん絵ろうそく店」さんは、今のご主人が9代目だとか。
予約すれば、絵付けの体験も出来ます。
ですが今日は、残念ながら時間がありません。
絵ろうそくを一対買って、お店を出ましょう。
ここから2軒、駅の方に戻ると……。
会津木綿の小物を扱う「もめん絲」さんがあります。
会津木綿は、色は地味で素朴ですが、美しい地縞が特徴です。
厚地で大夫なうえ、肌触りが良く、保温性、吸湿性に優れてます。
なので、日常着や野良着として使われてきました。
近年は、着物地としてばかりでなく……。
洋服、エプロン、テーブルクロス、座布団、コースターなどのほか、ハンドバッグや財布、袋物などの民芸品としても利用されています。
会津木綿の歴史も古いです。
寛永4年(1627年)、会津に国替えとなった加藤嘉明が、前領地の伊予松山から織師を招いたのが起源と伝えられてます。
その後、寛永20年(1643年)に会津藩主となった保科正之が、綿花の栽培を奨励し、定着させました。
当時、機織りは、藩士の妻女の内職としても行われてたようです。
会津木綿の生産は、明治末期から大正期に最盛期を迎えます。
しかし、昭和30年代半ば以降、農家の仕事着としての需要が急速に減少。
かつて30軒以上あった機織り場は、現在2軒を残すのみとなりました。
でも、会津木綿の素朴さ、丈夫さを愛する人は今も絶えず、民芸織物として親しまれています。
「もめん絲」さんには、反物や衣類などの定番品もありますが……。
ポプリを詰めたネコやフクロウの置物もあります(下の写真は「'10・るるぶ福島」より)。
余裕があれば、「会津ブランド館」なんかも寄りたいです。
会津漆器や会津味噌など、会津の特産品が置いてあります。
もちろん、地酒もあります。
地酒は、ショットバー「彩」で試飲(有料)してから購入できます。
聞いただけでヨダレが出そうですが……。
この日は残念ながら、時間的にムリ。
さっさと、七日町駅まで戻りましょう。
さて、この「七日町」駅自体が、土産物店なんですね。
「駅Cafe.」というアンテナショップが入ってるんです。
その名のとおり、カフェもあります。
地酒の仕込み水で入れた水出しコーヒーや、地場産フルーツジュースが楽しめます。
シフォンケーキは、評判。
さてもう、17:22分発の会津若松行きが来ました。
着いたのが16:55ですから……。
27分しかありませんでした。
実際には、「ほしばん絵ろうそく店」さんと「もめん絲」さんを覗くだけでやっとでしょう。
会津若松着、17:25。
新潟への帰りは、高速バスです。
会津若松駅前のバスターミナルから、17:45発の便に乗りましょう。
「ばんえつ物語」号で、3時間48分かかった行程ですが……。
高速バスだと、1時間51分。
会津バスと新潟交通のバスが、交互に出てます。
わたしたちが乗った便は、われらが新潟交通。
もう、真っ暗で外が見えないですから……。
互いにもたれて、夢を見ながら帰ります。
新潟駅前着、19:36。
とうとう、終わっちゃいましたね。
しんしんと寂しさが募ります。
「このまま、東京帰る?」
由美ちゃんが、恨めしそうな上目で見つめてきます。
やっぱり、由美ちゃんも寂しいんですよね。
「よし、もう1泊しよう!
わたしにとっては地元だけど……。
由美ちゃんにとっては、まだ旅の途中だよね。
お休みは、明日もう1日ある!
ね?」
「うん!」
「よし!
それじゃ、飲みに行くぞー!」
「なに食べさせてくれるんです?」
「これからの季節、新潟は魚だ。
南蛮エビにノドグロ、お腹いっぱい食べさせてあげる」
「やったぁ!」
「ただし、割り勘ね」
「え~~」
~おしまい~
さてさて、ようやく大団円となった「福島に行こう!」ですが……。
連載が始まったのは、10月25日でした。
きのうの最終回が、11月29日。
途中、「アリウムを植えました」が挟まったとは言え、丸々1ヶ月も続いたことになります。
この旅、たったの2泊3日だったんですよ。
もちろん書き始めたころは、こんな大長編になるとは思ってもいませんでした。
設定した旅行の最終日、11月2日前後には終われるかなと……。
それが、とんでもない大誤算。
こんなことになったのは……。
やっぱり、旅の相棒に由美ちゃんを選んだからでしょうね。
「とりめし」を買うあたりから、会話が弾んじゃって止められなくなったんです。
「紙上旅行倶楽部」、1ヶ月に1回くらいのペースを考えてたんですが……。
そんなことしたら、コメント全部「紙上旅行倶楽部」になっちゃいます。
なので、次回の旅行は、年が明けてからになりそうです。
さて!
それではお楽しみ、旅費精算を行います。
計算は、10月31日に新潟駅を出発してから、11月2日に新潟駅前に降り立つまで。
2人分の金額を算出してみます。
◆10月31日(土曜日)【1日目】コメント308~321
磐越西線「SLばんえつ物語」号に乗車。
この列車は会津若松止まりですが……。
会津若松でわたしたちは、会津鉄道の会津線に乗り継ぎます。
この会津線の起点ですが、実は会津若松から2駅目の西若松なんです。
西若松までは、JRの只見線なんですね(西若松の先で、只見線と会津線に分岐します)。
したがって、新潟からの乗車券は、西若松まで買います。
2,210円です。
これ、会津若松までと同じ料金なんです。
指定席料金が、510円。
「SLばんえつ物語」号は快速扱いなので、特急券も急行券もいりません。
合計で、2,720円。
SLに4時間近く乗ってこの料金です。
ぜったい安いよね。
2人で、5,440円。
途中、日出谷駅で大立ち回りを演じ、「とりめし」をゲット。
700円。
2人で、1,400円。
続いて会津鉄道のトロッコ列車。
乗車券は、西若松から湯野上温泉まで。
820円です。
会津若松から買うと、西若松までのJR料金が加算されて、1,000円になります。
つまり、新潟からのJR乗車券を西若松まで買っておけば、180円安く上げられるわけ。
たった180円の違いですけど、こういう節約は、いかにも「ツウ」って感じで気分がいいです。
でも……。
どこで会津線の切符買うんだろ?
西若松には降りないんだけど……。
湯野上温泉で、乗り越し精算するのかな?
まぁ、いいや。
これプラス、トロッコ整理券が300円。
合計、1,120円。
2人で2,240円。
湯野上温泉駅から大内宿まではタクシー。
ご都合主義でそんなに混まない設定にしたので、2,000円くらい。
渋滞にはまったら、いくらかかるかわかりません。
往復で、4,000円。
大内宿では、「大内宿町並み展示館」に立ち寄りました。
入館料、250円。
2人で500円。
本家叶屋さんで買ったお土産は、例によって旅費に含めません。
湯野上温泉から会津若松まで、電車で戻ります。
今度は2駅分のJR料金が加算されますから、1,000円ですね。
2人で2,000円。
会津若松駅前から東山温泉駅まで、会津バスに乗車。
260円。
2人で520円。
東山温泉でのお宿は、「東山パークホテル新風月」。
「アルコール飲み放題付バイキングプラン、1泊2食付・大人お一人様7,800円コース」を選択。
2人で、15,600円。
この日の合計、27,700円。
2人分で、新潟からの交通費込みですよ。
安い!
松江で泊まった「皆美館」なんか、宿泊料だけで1人34,800円でしたからね。
◆11月1日(日曜日)【2日目】コメント322~327
朝食のバイキングは、宿泊料に込みです。
会津武家屋敷までは、徒歩だからタダ。
武家屋敷の入館料が、850円(けっこう取るね)。
2人で、1,700円。
飯盛山までは、またしても徒歩。
さざえ堂の拝観料が、400円(妥当か)。
2人で、800円。
由美がおイタをしたので、お土産は買いませんでした。
飯盛山から会津若松駅まで、会津バスに乗車。
260円。
2人で、520円。
会津若松駅構内の「一會庵」で昼食。
ざるそば730円、天ざる1,100円。
サッポロビール中瓶1本、500円。
合計で、2,330円。
会津若松からJRに乗車。
郡山、いわきを経て、泉まで。
乗車券、2,940円。
すべて普通列車なので、料金はこれだけです。
2人で、5,880円。
泉駅前から、アクアマリンふくしままでタクシー。
15分くらいでしょう。
2,000円。
アクアマリンふくしまの入館料が、1,600円。
2人で、3,200円。
吸盤チンアナゴは、旅費から除外ね(いくらくらいするんだろ?)。
帰りは、常磐交通バスを利用。
福島銀行小名浜支店前から泉駅まで。
270円。
2人で、540円。
泉からいわきまで、JRの普通列車に乗車。
230円。
2人で、460円。
この日は、「いわきワシントンホテル椿山荘」に宿泊。
「仲良しカップルプラン」を利用。
朝食付きで、“2人”で8,000円(安い!)。
夕食はホテルを出て、「隠れ庵 忍家 いわき駅前店」にて。
ぐるなびによると、平均予算は1人3,500円になってます。
わたしが前後不覚になるほど飲んじゃったから、1人4,000円かな。
2人で8,000円。
ホテル代と同じじゃないか!
この日の合計、33,430円。
夜の居酒屋が、ちょっと痛かったですね。
◆11月2日(月曜日)【3日目】コメント328~332
朝食は、ホテル代に含まれてます。
いわき駅からJRに乗車。
郡山を経由して猪苗代まで。
2,210円。
2人で、4,420円。
郡山から猪苗代の区間は、「快速あいづライナー1号」になります。
この列車、指定席もあります。
指定席に乗れば、もちろん指定料金が必要ですが……。
当然わたしたちは自由席に乗ったので、乗車券だけです。
猪苗代駅前から五色沼入口まで、磐梯東都バスに乗車。
750円。
2人で、1,500円。
「リストランテ・イルレガーロ」で昼食。
パスタランチは、1,580円。
もちろんドリンクはセットで、グラスワインも選べます。
2人で、3,160円。
「磐梯山噴火記念館」と「磐梯山3Dワールド」は、両館共通の割引セットで、1,100円。
バラバラに買うと、記念館600円、3Dワールド800円で、1,400円になっちゃいます。
2人で、2,200円。
磐梯山噴火記念館前から猪苗代駅まで、再び磐梯東都バス。
780円。
2人で、1,560円。
猪苗代駅からJR。
会津若松を経て、只見線の七日町まで。
480円。
猪苗代から乗ったのは、「快速あいづライナー3号」ですが……。
乗車券だけで乗れるってことは、↑に書いたとおりです。
七日町でのお土産は、旅費から除外。
七日町から会津若松まで、只見線を戻ります。
140円。
「えきから時刻表」だと、この区間が会津鉄道の会津線と表示されますが……。
間違いじゃないの?
2人で、280円。
会津若松駅前ターミナルから、高速バスを利用。
会津バスと新潟交通バスが、交互に出てます。
わたしたちが乗った便は、新潟交通。
料金はもちろん同じで、2,000円。
2人で、4,000円。
この日の合計、17,600円。
★集計します。
10月31日(土曜日)【1日目】 27,700円。
11月 1日(日曜日)【2日目】 33,430円。
11月 2日(月曜日)【3日目】 17,600円。
合計は……。
78,730円!
前2回のときは、1日でこれくらい使っちゃいましたよね。
うーん、倹約の甲斐があった。
1人頭、4万円切りました。
ひょっとしてこれなら……。
ほんとに行けるんじゃないか?
では、次回の「紙上旅行倶楽部」、お楽しみに♪
今度は、どこ行こうかな……。
駐車場に駆けこむと、ちょうどお客さんを降ろしたタクシーがありました。
前にも書いたように、大内宿には宿屋もあります(写真は、蔵造りの民宿「本家扇屋」さん)。
16時半近くなって着くお客さんは、きっとお泊まりですよね。
わたしたちは、運良くその帰り車に転げこむことができました。
って……、都合良すぎるよな……。
みなさんは、もっと余裕ある旅程を組みましょう!
「びっくりすたなや。
いきなり転げこんで来てからに。
何事だべ?(すいません。福島弁がわかりません。これは、タクシーの運転手さんのセリフのつもりです)」
「はぁはぁ。
湯野上温泉駅まで……。
16:46の会津若松行きに乗ります。
間に合いますよね?」
「まだ、25分もあるでねえか。
大余裕だべ。
10分で着くだからな。
普段は……」
「ぎく。
今日は、普段の日……ですよね?」
「うんにゃ。
今日は、年に何日もねえ普段でねえ日だ。
紅葉時期の4連休の初日でねえか。
春のゴールデンウィークと並んで、東西の横綱だべ」
「普段でねえ場合……。
どのくらいかかるんですか?」
「今日中に着かんかも知れん」
「そんな!」
「というのは、冗談だがの。
それでも、下手すりゃ3時間かかることもあるでな。
歩いた方が、はるかに早いわな」
「歩くと……。
どれくらいかかります?」
「まぁ、1時間ちょっとじゃろな」
「それじゃ間に合わないじゃないですか」
「あんたら、走って行ったらどうかね?
さっきはえらい勢いで走って来たでねえか」
「走ったら……、20分で着きますか?」
「自転車より速く走れれば、着くじゃろ」
「そんなぁ……」
「ははは。
安心しなされ。
ほれ、もう駅が見えてきた」
どうやら、この運ちゃんにからかわれてたようで……。
湯野上温泉駅で、なんとか会津若松行きに乗ることができました。
さっき、トロッコ列車で来たばかりの会津線を戻ります。
もちろん帰りの車両は、トロッコ列車ではなく普通の電車です。
同じ線を使って出発地に戻っちゃうってのは、芸の無い旅程ですが……。
どうも、会津若松に帰らないと、その後のアクセスが良くないんです。
会津若松着、17:25です。
「もう外、真っ暗ですね。
今日のお泊まりは、会津若松ですか?」
「うんにゃ」
「Mikikoさん……。
さっきの運転手さんが、乗り移ってますよ……」
「わたしは影響を受けやすいの!
ほら、急ぐぞ!
もうバスが出る」
「また、急ぐのぉ」
泣き言を言う由美を引きずって、駅前のバスターミナルへ。
会津バスが並んでます。
目指すは、17:30発。
5分あれば、乗り継ぎ可能でしょう。
たぶん……。
ま、これを外しても、18:00発がありますから。
「はぁはぁ。
なんとか乗れた……」
「もうわたし、急ぐのいやですから」
「大丈夫。
あとは宿に着くだけだから」
「ところで、どこに行くんです?」
「バス停の標識見て、気づかなかった?」
「そんな余裕、あるわけないじゃないですか」
「それなら教えて進ぜよう。
これから行く先は……。
「行き先は?」
「会津の奥座敷!
★゚・*:.。.:*・゜東山温泉 ゚・*:.。.:*・゚★」
「なんじゃ、その無表情は?」
「知らないんだもの」
「東山温泉も知らんのか!」
「知りません」
「威張って言うな。
東山温泉は、今から1,300年前、名僧行基によって発見された名湯じゃ。
山形県の湯野浜温泉、上山温泉と並び、奥羽三楽郷に数えられておる。
竹久夢二や与謝野晶子などの文人にも、こよなく愛された湯の街なのじゃ」
「カンペ見ながらしゃべらないでください」
さて、あれほど苦労して乗ったバスですが……。
わずか15分の乗車で到着しました。
東山温泉駅で降車します。
駅と云っても、鉄道が通っているわけではなく……。
ただのバス停です。
今日のお宿は、バス停から徒歩10分。
「また歩くの……」
「文句言わない!」
ようやく本日の終点、「東山パークホテル新風月」に到着。
前2回の「紙上旅行倶楽部」では……。
露天風呂付き客室にこだわったせいで……。
目の玉の飛び出るような宿代を払ってきました。
今回は、露天風呂付きはきっぱりと諦め……。
リーズナブル路線。
と言っても、もちろん露天風呂付き大浴場があります。
さっそくお風呂に直行……。
しようと思ったら……。
「わたし行かない……」
「どうして!」
「恥ずかしいもの」
紅葉時期なので、お客さんがたくさんいます。
お風呂も混んでるでしょう。
パイパンの由美ちゃんは、入りづらいでしょうね。
やっぱり……。
奮発して、露天風呂付きの客室にすれば良かったか……。
「わたしが、ずっと前に立って隠してあげる」
「そんなことしたら、よけい目立つでしょ。
Mikikoさん、ひとりで行ってきてください。
わたしは、お部屋でシャワー浴びます。
大丈夫。
慣れてますから、こういうの」
ゴメンよぉ。
わたしが、パイパンなんて設定にしたせいだね。
沈んだわたしの肩を、由美ちゃんが押してくれました。
申し訳ないので……。
家にいるときのようなカラスの行水で、部屋に戻ります。
お風呂でシャワーを使う音が聞こえてます。
思いっきり扉を開けると……(↓新風月のバスルームではありません)。
「きゃぁぁぁ!!」
由美ちゃんが胸を抱えてうずくまりました。
尖ったお尻に萌えます!
たまらずチン入しようとしたわたしですが……。
「うひゃぁ!」
シャワーをぶっかけられました。
ふふふ。
後でたっぷり可愛がってくれる……。
「さ、ご飯食べに行くぞ」
まだふくれてる由美を連れて、レストラン「花鳥風月」へ。
「え?
これって……」
「そう。
大内宿で、飲食を禁じたわけが、わかっただろ?
今日の夕食は……。
★゚・*:.。.:*・゜アルコール飲み放題付バイキングプラン ゚・*:.。.:*・゚★」
「うわー、美味しそう♪
これなら、好きなのだけ選んで食べれるから、すっごいお得かも」
「うんうん。
アルコール飲み放題だし」
「セーブしてくださいよ」
「夜のお楽しみのためにか?」
「あんたは、オヤジか!」
う~。
食い過ぎた……。
妊婦のようになっちゃいました。
由美ちゃんに、背中を押されて部屋に戻ります。
書き忘れてたけど……。
お部屋は和室です。
ホームページでは、「眺望難あり」なんて注意書きがあったけど……。
暗くなってから着いて、朝早く出るんだから……。
ぜんぜん問題なしです。
お部屋には、もう布団が敷いてありました。
「ふっふっふ。
由美。
やっと2人っきりになれたな……。
さ、こっちへ来い」
「いや~。
美弥ちゃん、助けてぇ~」
「と言いながら……。
なぜ、ひとりでくるくる回ってるんだ?」
「帯、解かれてるとこ」
「案外ノリがいいじゃないか。
そんなら遠慮無く、賞味してくれよう」
以下、描写自粛。
1時間経過。
「はぁはぁ。
もうダメ……」
「Mikikoさん、何回イッたんですか?」
「わかんない……」
味わい尽くすつもりが……。
骨の髄までしゃぶられてしまった。
美弥子と連日やってるだけあって……。
異常に上手い……。
後で、ストリップ劇場にでも行ってやろうかと思ってたんだけど……。
余力、ゼロです。
欲も得もなく、眠りにつきます。
◆11月1日(日曜日)【2日目】
「Mikikoさん、目覚めました?」
「もう起きてたの?」
「さっき起きて、思い切ってお風呂に行ってきました。
やっぱり、大きいお風呂は気持ちいいですね」
「人、いなかった?」
「少しいましたけど、混んでなかったから平気。
Mikikoさんも、朝ご飯の前に入って来たら?」
「おー、もう7時過ぎてる。
それじゃ、ひとっ風呂浴びてきますか」
朝食は、7時半から。
もちろん、バイキングです。
また妊婦になりそうなほど詰め込みたい気分を、ぐっと我慢。
今日は日程の都合で、お昼が早いんです。
ご飯2膳で、箸を置きましょう。
8時15分、チェックアウト。
「あれ?
バス停通り過ぎちゃうんですか?」
「バスの便が悪いんだよ。
歩くぞ」
「えー。
またぁ」
「文句言うな。
15分くらいだよ」
ほどなく、本日最初の目的地に到着。
会津武家屋敷です。
そう言えば、松江でも武家屋敷に行きましたね(277のコメント参照)。
あっちは、本物の武家屋敷を公開したものでした。
それに対し、会津の武家屋敷は、一種のミュージアムパークです。
敷地は、7,000坪。
中心となる家老屋敷は、幕末の家老・西郷頼母の邸宅を、忠実に復元したものです。
全部で38部屋あるそうです。
掃除のこと考えると、気が遠くなりますが……。
もちろん、女中さんがいっぱいいたんでしょうね。
実はわたし、この武家屋敷、実際に行ったことあるんです。
新潟から会津は……。
磐越西線で行くと、4時間近くかかっちゃいますけど……。
磐越自動車道を使えば、2時間かかりません。
ちょっとしたドライブの距離なので……。
何年前か前の春に、ひとりでクルマ運転して行ってきたんです。
そのときは、高速ではなく国道49号線を使いました。
会津の町は、花盛りの季節。
沿道には、桐とタニウツギ。
山の斜面には藤。
そして武家屋敷には、大手鞠が咲いてたのを覚えてます。
さて。
1度行ったことがあるところへ……。
なぜ、もう1度立ち寄るかと言うと……。
気に入っちゃったんですね。
なにがって?
それは……。
人形です。
武家屋敷の各部屋は、当時の暮らしぶりを再現するため……。
生活調度が配され……。
加えて、人形が置かれてるんです。
人形っていうか、マネキンですよね。
これがいいのよ。
妙に無表情なとこが、異様に萌えます。
開館時刻の8:30と同時に入館したので……。
まだ、ほとんど人がいません。
「由美ちゃん……。
人が来ないか、そこで見てて……」
「なんでです?」
「お人形見てたら、我慢できなくなった。
ここで、オナニーする」
「ちょ、ちょっと!
ダメです!
ぜったいダメ!」
「いいじゃない。
素っ裸になんかならないからさ」
「なられてたまりますか!」
「痛い、痛い!
耳なんか引っ張らないでよ!」
「退場!」
とうとう、館の外まで引きずり出されてしまいました。
「意地悪!」
「当たり前でしょ。
信じらんない。
さ、次はどこに行くんです?
人形のあるとこはダメですよ」
「くそー。
次は、飯盛山に行く」
「人形、ありませんよね?」
「ないわい!」
せっかく盛り上がった気分に水を差され、すこぶる機嫌が悪い。
時計を見ると、9時15分。
それでも、武家屋敷には45分くらい居たんだな。
「ちょっと、Mikikoさん。
バス停前、通り過ぎちゃいましたよ」
「だから、午前中は、バスの連絡が悪いの」
「じゃぁ、どうやって行くんです?」
「歩くに決まっとろうが」
「なんだ。
飯盛山って、この近くなんですね」
「あんまり、近くではない」
「え?
なんか嫌な予感……。
どのくらい歩くんです?」
「ま……。
軽く30分くらいかな?」
「うそ!」
「30分くらいなんだ!
いい腹ごなしだろ!」
ぶーぶー言う由美を引きずり、ようやく飯盛山に到着。
9時45分です。
山と言っても、標高は314メートルしかないので……。
登山するわけじゃありません。
頂上までのエスカレーターまで備わってます(有料:250円)。
もちろん若い衆は、階段で上りましょう。
飯盛山と言えば……。
もちろん、白虎隊ですね。
戊辰戦争のおり……。
旧幕府軍の白虎隊20名は……。
新政府軍に押され、飯盛山に追い詰められました。
16,7歳の若者たちです。
彼らが、ようようのことで崖をよじ登り……。
振り返ると……。
市中が黒煙に包まれてました。
「若松城が燃えている!」
そう思った彼らは……。
「もはやこれまで……」
と、白刃で互いの胸を突き合ったのです(無惨……)。
20名の内、たったひとりだけ生き残りました。
この飯沼貞吉の証言で、白虎隊の悲劇が伝えられることとなったのです。
実際には、若松城は燃えてなかったんですね。
追い詰められた少年たちが見た、あまりにも悲しい錯覚でした。
ここで、ウンチクをひとつ。
会津藩には、白虎隊のほかに、玄武隊、青龍隊、朱雀隊もあったんです。
それぞれの隊の違いはと言うと……。
単に年齢ですね。
玄武隊が最年長で、50歳以上。
青龍隊が、36歳から49歳。
朱雀隊が、18歳から35歳。
白虎隊が、15歳から17歳。
さて、付け焼き刃の知識を披瀝しておりますが……。
わたしは歴女では無いので……。
正直、幕末に詳しいわけじゃありません。
なので、白虎隊の話はこれでおしまい。
そんなら、なぜ飯盛山に来たかというと……。
1カ所だけ、ぜひ見ておきたい建物があったんです。
飯盛山は、小学校の修学旅行で来てるんだけど……。
そんときに見た記憶がありません。
わたしが見たかったのは、さざえ堂と云う建物です。
「サザエさん」とは、なんの関係もありません。
この「さざえ堂」が建てられたのは、寛政8年(1796年)。
11代将軍、家斉のころですね。
正式名称は「円通三匝堂(えんつうさんそうどう)」と云うそうです。
飯盛山にあった正宗寺の住職、郁堂(いくどう)が考案しました。
外見は、そんなに不思議な感じがしませんが……。
中に入ると、不可思議千万。
堂の高さは、16.5メートルですが……。
階段はありません。
どうやって上るかというと……。
螺旋状のスロープです。
「さざえ」の名前がついた理由、わかりました?
つまり、内部がさざえの殻の中に似てるからなんです。
しかもこのスロープ、不思議なんですよ。
上りと下りのスロープが、まったく別の通路になってるんです。
スロープを一回転半して天辺までのぼると、そのまま下りのスロープにつながります。
で、一回転半して下まで下りる。
すなわち、スロープは一筆書きみたいに繋がってて……。
上る人と下る人が、すれ違わないんですね。
わたしの大好きな作家、高橋克彦さんの作品に、「星の塔」という短編があります。
この中に、「さざえ堂」がちらっと出てきます。
高橋さんの小説なので、当然SF風味の作品です。
ほんとに……。
このお堂を上がって下りると、別の世界に出てしまいそうです。
ちなみにこの「さざえ堂」ですが……。
建築デザイン誌「Casa BRUTUS」の「建築家が選ぶ日本建築人気番付」で、東の横綱に称されてます。
さて、「さざえ堂」さえ見れば……。
もう満足です。
ふもとに下りましょう。
ふもとには、お土産屋さんが並んでます。
バスの時間までは、もう少し間があるので、お土産でも見ましょうか。
うーむ。
小学校の修学旅行を思い出しますね。
男子どもはここで、「白虎刀」を買ってました。
もちろん、鞘から刃からみんな白木で出来たおもちゃです。
のちに鶴ヶ城で、バカ男子どもに取り囲まれ……。
「白虎刀」で滅多切りにされたことは、以前に書きました(263のコメント参照)。
わたしの頭に刃を当てて、ギコギコと引くやつまでいた。
お土産、急激に購入意欲がなくなりました。
「Mikikoさん!」
呼ばれて振り返ると、額に衝撃が……。
「白虎刀」で、真っ向から切られてました。
「ギコギコ」
「引くな!」
バカ女を引きずり、「飯盛山下」バス停へ。
「まだ、お土産買ってないぃぃぃ」
「買わんでいい!」
ようやく、10:34のバスが来ました。
バスの行き先は、会津若松駅。
きのう、会津若松に着いて……。
大内宿を見た後、会津若松に戻り……。
そして翌日、東山温泉から飯盛山を経て、またもや会津若松に戻ります。
つくずく芸のない旅程ですが……。
どうも、会津若松を起点にしないと、繋がらないんです。
会津若松駅前、11:05着です。
これから乗る列車は、12:02の発車。
小一時間あります。
朝ご飯も早かったし……。
飯盛山に登って、お腹もこなれたので……。
ここで、昼食を済ませてしまいましょう。
駅の構内に「一會庵(いちえあん)」という食堂があります。
前に載せた、会津若松駅の構内図を再掲します。
改札を出て、右手ですね(図では下)。
お腹がこなれたと言っても、ご飯ものはちょっと……。
やっぱり、お蕎麦でしょうね。
「ざるそば(上)」と「天ざる(下)」を頼みました。
もちろん、天ぷらは分け合って食べます。
それと、ビール1本。
なぜかラベルは、野口英世でした。
「午前中から飲むんですか!」
「駅の食堂で、昼前からビールを飲む。
まさしく、旅行の醍醐味じゃないか」
「1本だけですよ。
おしっこ近いんだから」
「はいはい」
しかし……。
ビールと天ざるって、完璧にオヤジだよね。
さて、ビールでノドを潤した2人は……。
12:02発の磐越西線・郡山行きに乗りこみます。
何の変哲もない普通電車です。
郡山着、13:15。
ここで、磐越東線・いわき行きに乗り継ぎます。
これも普通電車。
発車は、13:18。
あまりにも接続が良すぎて、逆に心配ですけど……。
たとえ郡山着が遅れたとしても、発車は待ってくれるはずです。
いわき着、14:52。
ここから、常磐線に乗り換えます。
いわき発、15:12。
普通電車です。
この電車の前、15:08発のスーパー日立46号にも乗れますけど……。
3駅しか乗らないのに、特急券がもったいないからパス。
到着も7分しか違わないし。
さて、3駅目の泉で降ります。
15:26。
駅前からは、タクシー。
行き先は……。
「アクアマリンふくしま!」
運転手さんに行き先を告げると、由美が肘で脇腹をつつきます。
「何なんです、そこ?」
「水族館だよ」
「えー。
水族館見るために、3時間半も電車乗ったんですか?」
「そのとおり」
「『アクアマリンふくしま』は……。
新潟市の『マリンピア日本海』と、友好提携水族館になっておるのだ。
福島県に来たからには、表敬訪問せにゃなるまい」
「市長でもないのに……。
提携水族館なら、新潟市民は割引なんですか?」
「それは……。
ない。
しかし、『マリンピア日本海』の年間入館パスポートを持ってれば、300円割引になる」
「Mikikoさん、持ってるんですか?」
「持ってるわけないだろ。
3,500円もするんだ。
でも、1回の入館料が1,500円だから……。
年3回行けば、元が取れるんだよ」
「友達同士で使い回せば?」
「ダーメ。
バスポートだから、顔写真入りなの。
本人しか使えません」
ちなみに、泉駅からのアクセスですが……。
もっと早い時間なら、直行のシャトルバスがあります。
ところが、最終が13:18。
もちろん、普通の路線バスもあります。
でも、接続が悪くて、16:07まで便がありません。
てことで、タクシーを使うしかないわけ。
入館前に……。
「アクアマリンふくしま」がある、いわき市の小名浜についてひとこと。
小名浜は、太平洋に臨む漁港です。
福島県の最南端にあり、すぐ南は茨城県。
関東と東北の境目ですね。
わたしは昔、理科年表の気温データを眺めるのが好きだったんですが……。
一番住みやすいとこはどこかなーなんて、調べてたわけ。
目に留まったのが、小名浜でした。
ここは、日本中で住むのに一番快適な地域じゃないでしょうか?
太平洋側だから、冬は毎日晴天。
冬の朝晩はさすがに冷えるけど、昼間は十分暖かい。
夏は、沖を寒流が流れ下るので涼しい。
夏の気温を、東京と比べてみてください。
クールビズなんて不要ですよね。
つまり、冬暖かく夏涼しい。
避寒も避暑も不要。
一年中快適に暮らせる土地ってわけです。
さて、2人を乗せたタクシーは……。
大内宿のように渋滞にも遭わず、無事アクアマリンふくしまに到着しました。
15分くらいでしたね。
カッコいー!
入館料を払って中にはいると、15:45を回ったところ。
閉館は17:30。
閉館ちょっと前には出なきゃならないから……。
正味、1時間半。
よーし、楽しむぞ!
まずは、「潮目の海」。
小名浜沖では、親潮(寒流)と黒潮(暖流)がぶつかるんです。
従って、魚の宝庫。
その2つの潮流がぶつかるところを表現した水槽が、「潮目の海」。
2つの水槽の間に、三角形のトンネルが造ってあります。
2つあわせて水量2,050トンの水量は、ド迫力。
と言っても、2,050トンがどれくらいの水量かって、わかりませんよね。
小学校にある25メートルプールで計算してみましょう。
長さ25メートル、幅15メートル、深さ1.2メートルとすると……。
25×15×1.2=450立方メートル。
水は1立方メートルが1トンですから、すなわち450トン。
つまり「潮目の海」の水槽は、小学校プールの4.5倍ってことです。
さて続いては、「珊瑚礁の海」。
なぜ、福島に「珊瑚礁の海」なんだ……。
って、ギモンもありますが……。
それは、置いといて。
ここには、わたしのお目当てちゃんがいるんです。
それは……。
コイツ!
きゃわいぃぃ!
その名も、チンアナゴ。
砂から顔を出して、流れてくる動物プランクトンなんかを食べます。
びっくりすると、砂の中に引っこんじゃいます。
この形状から連想するに……。
チンアナゴのチンは……。
間違いなく、男性の「チン」だとお思いでしょうが……。
違うんですね。
犬の狆から来てるんです。
顔が似てるからだそうです。
そうきゃなー?
この顔から犬の狆を連想するってのは、かなり特殊な人間ではないか?
やっぱり、どう考えても……。
オトコの「チン」……。
「Mikikoさん!
いつまで見てるんです!
そんなに時間無いんでしょ?
また、大内宿みたいになるとイヤですからね!」
うぅ。
未練が残る……。
やっぱ、1時間半じゃ堪能しきれないよな……。
「そうだ!
お土産買わなくちゃ!」
売店に直行。
「これ、買うぅ!」
「ダメですっ!
こんなでっかい抱き枕かかえて、どうやって旅行続けるんです!」
「由美のけち!」
「けちで結構」
「じゃ、これ」
「なんです、これ?」
「ただの飾り物だよ。
吸盤が付いてるだろ。
これで、テーブルとかに立てるの」
「立ててどうするんです?」
「とりあえず立てるの!
とにかく、チンは立てなきゃダメなの!
これ、何かに似てない?」
「何かって?」
「とぼけちゃって……。
ディルドゥだよ。
吸盤で、テーブルとかにくっつけて使うやつがあるだろ」
「信じらんない!
そんなの、想像してたんですか」
「そだよ。
このチンアナゴからディルドゥ想像するのは……。
ごく健全な連想力だと思う」
「思いません」
さて、なごり尽きませんが……。
もう閉館の17:30が近づいてきました。
閉館5分前には出ましょう。
一番近くのバス停、福島銀行小名浜支店前まで、歩いて10分もかかります。
行きは、早く着きたいからタクシー使ったけど……。
帰りはバス。
17:36、ほぼ時間どおりにバスが来ました。
泉駅着、17:50です。
ここから、常磐線に乗ります。
泉発、18:19。
この日の宿をどこにしようか迷いました。
泉の隣の駅は、湯本駅。
ここには、いわき湯本温泉があります。
道後温泉、有馬温泉と並び、日本三古湯のひとつにあげられる、由緒ある温泉です。
「フラガール」で有名になった、「スパリゾートハワイアンズ」もある。
もう1日あったら、遊んでみたいけど……。
泣く泣くカット。
それに、いわき湯本温泉には……。
安い宿が、あんまり無いみたいなんです。
前2回の個室露天風呂路線だったら……。
間違いなく、ここに泊まったでしょうね。
でも今回は、節約旅行なので……。
パス。
いわきまで戻って泊まることにしました。
いわき着、18:35。
今日のお宿は、駅から徒歩7分。
お宿と言っても、ビジネスホテルです。
「いわきワシントンホテル」さん。
" alt="いわきワシントンホテル">
ここの、「仲良しカップルプラン」というコースを選びました。
朝食付きで、8,000円です。
これ、1人分の値段じゃありません。
2人で、朝食が付いて、8,000円なんです。
ホテルには、夕食が食べられるレストランは無いので……。
食べに出ましょう。
お部屋に荷物だけ下ろしたら、そのまま外出。
もう、19:00近いです。
お昼も早かったし、お腹ペコペコですね。
こんなときは、居酒屋に限る!
というわけで、選んだお店は「隠れ庵 忍家 いわき駅前店」
ホテルからは、徒歩5分。
~つづく~
前にも書いたように、大内宿には宿屋もあります(写真は、蔵造りの民宿「本家扇屋」さん)。
16時半近くなって着くお客さんは、きっとお泊まりですよね。
わたしたちは、運良くその帰り車に転げこむことができました。
って……、都合良すぎるよな……。
みなさんは、もっと余裕ある旅程を組みましょう!
「びっくりすたなや。
いきなり転げこんで来てからに。
何事だべ?(すいません。福島弁がわかりません。これは、タクシーの運転手さんのセリフのつもりです)」
「はぁはぁ。
湯野上温泉駅まで……。
16:46の会津若松行きに乗ります。
間に合いますよね?」
「まだ、25分もあるでねえか。
大余裕だべ。
10分で着くだからな。
普段は……」
「ぎく。
今日は、普段の日……ですよね?」
「うんにゃ。
今日は、年に何日もねえ普段でねえ日だ。
紅葉時期の4連休の初日でねえか。
春のゴールデンウィークと並んで、東西の横綱だべ」
「普段でねえ場合……。
どのくらいかかるんですか?」
「今日中に着かんかも知れん」
「そんな!」
「というのは、冗談だがの。
それでも、下手すりゃ3時間かかることもあるでな。
歩いた方が、はるかに早いわな」
「歩くと……。
どれくらいかかります?」
「まぁ、1時間ちょっとじゃろな」
「それじゃ間に合わないじゃないですか」
「あんたら、走って行ったらどうかね?
さっきはえらい勢いで走って来たでねえか」
「走ったら……、20分で着きますか?」
「自転車より速く走れれば、着くじゃろ」
「そんなぁ……」
「ははは。
安心しなされ。
ほれ、もう駅が見えてきた」
どうやら、この運ちゃんにからかわれてたようで……。
湯野上温泉駅で、なんとか会津若松行きに乗ることができました。
さっき、トロッコ列車で来たばかりの会津線を戻ります。
もちろん帰りの車両は、トロッコ列車ではなく普通の電車です。
同じ線を使って出発地に戻っちゃうってのは、芸の無い旅程ですが……。
どうも、会津若松に帰らないと、その後のアクセスが良くないんです。
会津若松着、17:25です。
「もう外、真っ暗ですね。
今日のお泊まりは、会津若松ですか?」
「うんにゃ」
「Mikikoさん……。
さっきの運転手さんが、乗り移ってますよ……」
「わたしは影響を受けやすいの!
ほら、急ぐぞ!
もうバスが出る」
「また、急ぐのぉ」
泣き言を言う由美を引きずって、駅前のバスターミナルへ。
会津バスが並んでます。
目指すは、17:30発。
5分あれば、乗り継ぎ可能でしょう。
たぶん……。
ま、これを外しても、18:00発がありますから。
「はぁはぁ。
なんとか乗れた……」
「もうわたし、急ぐのいやですから」
「大丈夫。
あとは宿に着くだけだから」
「ところで、どこに行くんです?」
「バス停の標識見て、気づかなかった?」
「そんな余裕、あるわけないじゃないですか」
「それなら教えて進ぜよう。
これから行く先は……。
「行き先は?」
「会津の奥座敷!
★゚・*:.。.:*・゜東山温泉 ゚・*:.。.:*・゚★」
「なんじゃ、その無表情は?」
「知らないんだもの」
「東山温泉も知らんのか!」
「知りません」
「威張って言うな。
東山温泉は、今から1,300年前、名僧行基によって発見された名湯じゃ。
山形県の湯野浜温泉、上山温泉と並び、奥羽三楽郷に数えられておる。
竹久夢二や与謝野晶子などの文人にも、こよなく愛された湯の街なのじゃ」
「カンペ見ながらしゃべらないでください」
さて、あれほど苦労して乗ったバスですが……。
わずか15分の乗車で到着しました。
東山温泉駅で降車します。
駅と云っても、鉄道が通っているわけではなく……。
ただのバス停です。
今日のお宿は、バス停から徒歩10分。
「また歩くの……」
「文句言わない!」
ようやく本日の終点、「東山パークホテル新風月」に到着。
前2回の「紙上旅行倶楽部」では……。
露天風呂付き客室にこだわったせいで……。
目の玉の飛び出るような宿代を払ってきました。
今回は、露天風呂付きはきっぱりと諦め……。
リーズナブル路線。
と言っても、もちろん露天風呂付き大浴場があります。
さっそくお風呂に直行……。
しようと思ったら……。
「わたし行かない……」
「どうして!」
「恥ずかしいもの」
紅葉時期なので、お客さんがたくさんいます。
お風呂も混んでるでしょう。
パイパンの由美ちゃんは、入りづらいでしょうね。
やっぱり……。
奮発して、露天風呂付きの客室にすれば良かったか……。
「わたしが、ずっと前に立って隠してあげる」
「そんなことしたら、よけい目立つでしょ。
Mikikoさん、ひとりで行ってきてください。
わたしは、お部屋でシャワー浴びます。
大丈夫。
慣れてますから、こういうの」
ゴメンよぉ。
わたしが、パイパンなんて設定にしたせいだね。
沈んだわたしの肩を、由美ちゃんが押してくれました。
申し訳ないので……。
家にいるときのようなカラスの行水で、部屋に戻ります。
お風呂でシャワーを使う音が聞こえてます。
思いっきり扉を開けると……(↓新風月のバスルームではありません)。
「きゃぁぁぁ!!」
由美ちゃんが胸を抱えてうずくまりました。
尖ったお尻に萌えます!
たまらずチン入しようとしたわたしですが……。
「うひゃぁ!」
シャワーをぶっかけられました。
ふふふ。
後でたっぷり可愛がってくれる……。
「さ、ご飯食べに行くぞ」
まだふくれてる由美を連れて、レストラン「花鳥風月」へ。
「え?
これって……」
「そう。
大内宿で、飲食を禁じたわけが、わかっただろ?
今日の夕食は……。
★゚・*:.。.:*・゜アルコール飲み放題付バイキングプラン ゚・*:.。.:*・゚★」
「うわー、美味しそう♪
これなら、好きなのだけ選んで食べれるから、すっごいお得かも」
「うんうん。
アルコール飲み放題だし」
「セーブしてくださいよ」
「夜のお楽しみのためにか?」
「あんたは、オヤジか!」
う~。
食い過ぎた……。
妊婦のようになっちゃいました。
由美ちゃんに、背中を押されて部屋に戻ります。
書き忘れてたけど……。
お部屋は和室です。
ホームページでは、「眺望難あり」なんて注意書きがあったけど……。
暗くなってから着いて、朝早く出るんだから……。
ぜんぜん問題なしです。
お部屋には、もう布団が敷いてありました。
「ふっふっふ。
由美。
やっと2人っきりになれたな……。
さ、こっちへ来い」
「いや~。
美弥ちゃん、助けてぇ~」
「と言いながら……。
なぜ、ひとりでくるくる回ってるんだ?」
「帯、解かれてるとこ」
「案外ノリがいいじゃないか。
そんなら遠慮無く、賞味してくれよう」
以下、描写自粛。
1時間経過。
「はぁはぁ。
もうダメ……」
「Mikikoさん、何回イッたんですか?」
「わかんない……」
味わい尽くすつもりが……。
骨の髄までしゃぶられてしまった。
美弥子と連日やってるだけあって……。
異常に上手い……。
後で、ストリップ劇場にでも行ってやろうかと思ってたんだけど……。
余力、ゼロです。
欲も得もなく、眠りにつきます。
◆11月1日(日曜日)【2日目】
「Mikikoさん、目覚めました?」
「もう起きてたの?」
「さっき起きて、思い切ってお風呂に行ってきました。
やっぱり、大きいお風呂は気持ちいいですね」
「人、いなかった?」
「少しいましたけど、混んでなかったから平気。
Mikikoさんも、朝ご飯の前に入って来たら?」
「おー、もう7時過ぎてる。
それじゃ、ひとっ風呂浴びてきますか」
朝食は、7時半から。
もちろん、バイキングです。
また妊婦になりそうなほど詰め込みたい気分を、ぐっと我慢。
今日は日程の都合で、お昼が早いんです。
ご飯2膳で、箸を置きましょう。
8時15分、チェックアウト。
「あれ?
バス停通り過ぎちゃうんですか?」
「バスの便が悪いんだよ。
歩くぞ」
「えー。
またぁ」
「文句言うな。
15分くらいだよ」
ほどなく、本日最初の目的地に到着。
会津武家屋敷です。
そう言えば、松江でも武家屋敷に行きましたね(277のコメント参照)。
あっちは、本物の武家屋敷を公開したものでした。
それに対し、会津の武家屋敷は、一種のミュージアムパークです。
敷地は、7,000坪。
中心となる家老屋敷は、幕末の家老・西郷頼母の邸宅を、忠実に復元したものです。
全部で38部屋あるそうです。
掃除のこと考えると、気が遠くなりますが……。
もちろん、女中さんがいっぱいいたんでしょうね。
実はわたし、この武家屋敷、実際に行ったことあるんです。
新潟から会津は……。
磐越西線で行くと、4時間近くかかっちゃいますけど……。
磐越自動車道を使えば、2時間かかりません。
ちょっとしたドライブの距離なので……。
何年前か前の春に、ひとりでクルマ運転して行ってきたんです。
そのときは、高速ではなく国道49号線を使いました。
会津の町は、花盛りの季節。
沿道には、桐とタニウツギ。
山の斜面には藤。
そして武家屋敷には、大手鞠が咲いてたのを覚えてます。
さて。
1度行ったことがあるところへ……。
なぜ、もう1度立ち寄るかと言うと……。
気に入っちゃったんですね。
なにがって?
それは……。
人形です。
武家屋敷の各部屋は、当時の暮らしぶりを再現するため……。
生活調度が配され……。
加えて、人形が置かれてるんです。
人形っていうか、マネキンですよね。
これがいいのよ。
妙に無表情なとこが、異様に萌えます。
開館時刻の8:30と同時に入館したので……。
まだ、ほとんど人がいません。
「由美ちゃん……。
人が来ないか、そこで見てて……」
「なんでです?」
「お人形見てたら、我慢できなくなった。
ここで、オナニーする」
「ちょ、ちょっと!
ダメです!
ぜったいダメ!」
「いいじゃない。
素っ裸になんかならないからさ」
「なられてたまりますか!」
「痛い、痛い!
耳なんか引っ張らないでよ!」
「退場!」
とうとう、館の外まで引きずり出されてしまいました。
「意地悪!」
「当たり前でしょ。
信じらんない。
さ、次はどこに行くんです?
人形のあるとこはダメですよ」
「くそー。
次は、飯盛山に行く」
「人形、ありませんよね?」
「ないわい!」
せっかく盛り上がった気分に水を差され、すこぶる機嫌が悪い。
時計を見ると、9時15分。
それでも、武家屋敷には45分くらい居たんだな。
「ちょっと、Mikikoさん。
バス停前、通り過ぎちゃいましたよ」
「だから、午前中は、バスの連絡が悪いの」
「じゃぁ、どうやって行くんです?」
「歩くに決まっとろうが」
「なんだ。
飯盛山って、この近くなんですね」
「あんまり、近くではない」
「え?
なんか嫌な予感……。
どのくらい歩くんです?」
「ま……。
軽く30分くらいかな?」
「うそ!」
「30分くらいなんだ!
いい腹ごなしだろ!」
ぶーぶー言う由美を引きずり、ようやく飯盛山に到着。
9時45分です。
山と言っても、標高は314メートルしかないので……。
登山するわけじゃありません。
頂上までのエスカレーターまで備わってます(有料:250円)。
もちろん若い衆は、階段で上りましょう。
飯盛山と言えば……。
もちろん、白虎隊ですね。
戊辰戦争のおり……。
旧幕府軍の白虎隊20名は……。
新政府軍に押され、飯盛山に追い詰められました。
16,7歳の若者たちです。
彼らが、ようようのことで崖をよじ登り……。
振り返ると……。
市中が黒煙に包まれてました。
「若松城が燃えている!」
そう思った彼らは……。
「もはやこれまで……」
と、白刃で互いの胸を突き合ったのです(無惨……)。
20名の内、たったひとりだけ生き残りました。
この飯沼貞吉の証言で、白虎隊の悲劇が伝えられることとなったのです。
実際には、若松城は燃えてなかったんですね。
追い詰められた少年たちが見た、あまりにも悲しい錯覚でした。
ここで、ウンチクをひとつ。
会津藩には、白虎隊のほかに、玄武隊、青龍隊、朱雀隊もあったんです。
それぞれの隊の違いはと言うと……。
単に年齢ですね。
玄武隊が最年長で、50歳以上。
青龍隊が、36歳から49歳。
朱雀隊が、18歳から35歳。
白虎隊が、15歳から17歳。
さて、付け焼き刃の知識を披瀝しておりますが……。
わたしは歴女では無いので……。
正直、幕末に詳しいわけじゃありません。
なので、白虎隊の話はこれでおしまい。
そんなら、なぜ飯盛山に来たかというと……。
1カ所だけ、ぜひ見ておきたい建物があったんです。
飯盛山は、小学校の修学旅行で来てるんだけど……。
そんときに見た記憶がありません。
わたしが見たかったのは、さざえ堂と云う建物です。
「サザエさん」とは、なんの関係もありません。
この「さざえ堂」が建てられたのは、寛政8年(1796年)。
11代将軍、家斉のころですね。
正式名称は「円通三匝堂(えんつうさんそうどう)」と云うそうです。
飯盛山にあった正宗寺の住職、郁堂(いくどう)が考案しました。
外見は、そんなに不思議な感じがしませんが……。
中に入ると、不可思議千万。
堂の高さは、16.5メートルですが……。
階段はありません。
どうやって上るかというと……。
螺旋状のスロープです。
「さざえ」の名前がついた理由、わかりました?
つまり、内部がさざえの殻の中に似てるからなんです。
しかもこのスロープ、不思議なんですよ。
上りと下りのスロープが、まったく別の通路になってるんです。
スロープを一回転半して天辺までのぼると、そのまま下りのスロープにつながります。
で、一回転半して下まで下りる。
すなわち、スロープは一筆書きみたいに繋がってて……。
上る人と下る人が、すれ違わないんですね。
わたしの大好きな作家、高橋克彦さんの作品に、「星の塔」という短編があります。
この中に、「さざえ堂」がちらっと出てきます。
高橋さんの小説なので、当然SF風味の作品です。
ほんとに……。
このお堂を上がって下りると、別の世界に出てしまいそうです。
ちなみにこの「さざえ堂」ですが……。
建築デザイン誌「Casa BRUTUS」の「建築家が選ぶ日本建築人気番付」で、東の横綱に称されてます。
さて、「さざえ堂」さえ見れば……。
もう満足です。
ふもとに下りましょう。
ふもとには、お土産屋さんが並んでます。
バスの時間までは、もう少し間があるので、お土産でも見ましょうか。
うーむ。
小学校の修学旅行を思い出しますね。
男子どもはここで、「白虎刀」を買ってました。
もちろん、鞘から刃からみんな白木で出来たおもちゃです。
のちに鶴ヶ城で、バカ男子どもに取り囲まれ……。
「白虎刀」で滅多切りにされたことは、以前に書きました(263のコメント参照)。
わたしの頭に刃を当てて、ギコギコと引くやつまでいた。
お土産、急激に購入意欲がなくなりました。
「Mikikoさん!」
呼ばれて振り返ると、額に衝撃が……。
「白虎刀」で、真っ向から切られてました。
「ギコギコ」
「引くな!」
バカ女を引きずり、「飯盛山下」バス停へ。
「まだ、お土産買ってないぃぃぃ」
「買わんでいい!」
ようやく、10:34のバスが来ました。
バスの行き先は、会津若松駅。
きのう、会津若松に着いて……。
大内宿を見た後、会津若松に戻り……。
そして翌日、東山温泉から飯盛山を経て、またもや会津若松に戻ります。
つくずく芸のない旅程ですが……。
どうも、会津若松を起点にしないと、繋がらないんです。
会津若松駅前、11:05着です。
これから乗る列車は、12:02の発車。
小一時間あります。
朝ご飯も早かったし……。
飯盛山に登って、お腹もこなれたので……。
ここで、昼食を済ませてしまいましょう。
駅の構内に「一會庵(いちえあん)」という食堂があります。
前に載せた、会津若松駅の構内図を再掲します。
改札を出て、右手ですね(図では下)。
お腹がこなれたと言っても、ご飯ものはちょっと……。
やっぱり、お蕎麦でしょうね。
「ざるそば(上)」と「天ざる(下)」を頼みました。
もちろん、天ぷらは分け合って食べます。
それと、ビール1本。
なぜかラベルは、野口英世でした。
「午前中から飲むんですか!」
「駅の食堂で、昼前からビールを飲む。
まさしく、旅行の醍醐味じゃないか」
「1本だけですよ。
おしっこ近いんだから」
「はいはい」
しかし……。
ビールと天ざるって、完璧にオヤジだよね。
さて、ビールでノドを潤した2人は……。
12:02発の磐越西線・郡山行きに乗りこみます。
何の変哲もない普通電車です。
郡山着、13:15。
ここで、磐越東線・いわき行きに乗り継ぎます。
これも普通電車。
発車は、13:18。
あまりにも接続が良すぎて、逆に心配ですけど……。
たとえ郡山着が遅れたとしても、発車は待ってくれるはずです。
いわき着、14:52。
ここから、常磐線に乗り換えます。
いわき発、15:12。
普通電車です。
この電車の前、15:08発のスーパー日立46号にも乗れますけど……。
3駅しか乗らないのに、特急券がもったいないからパス。
到着も7分しか違わないし。
さて、3駅目の泉で降ります。
15:26。
駅前からは、タクシー。
行き先は……。
「アクアマリンふくしま!」
運転手さんに行き先を告げると、由美が肘で脇腹をつつきます。
「何なんです、そこ?」
「水族館だよ」
「えー。
水族館見るために、3時間半も電車乗ったんですか?」
「そのとおり」
「『アクアマリンふくしま』は……。
新潟市の『マリンピア日本海』と、友好提携水族館になっておるのだ。
福島県に来たからには、表敬訪問せにゃなるまい」
「市長でもないのに……。
提携水族館なら、新潟市民は割引なんですか?」
「それは……。
ない。
しかし、『マリンピア日本海』の年間入館パスポートを持ってれば、300円割引になる」
「Mikikoさん、持ってるんですか?」
「持ってるわけないだろ。
3,500円もするんだ。
でも、1回の入館料が1,500円だから……。
年3回行けば、元が取れるんだよ」
「友達同士で使い回せば?」
「ダーメ。
バスポートだから、顔写真入りなの。
本人しか使えません」
ちなみに、泉駅からのアクセスですが……。
もっと早い時間なら、直行のシャトルバスがあります。
ところが、最終が13:18。
もちろん、普通の路線バスもあります。
でも、接続が悪くて、16:07まで便がありません。
てことで、タクシーを使うしかないわけ。
入館前に……。
「アクアマリンふくしま」がある、いわき市の小名浜についてひとこと。
小名浜は、太平洋に臨む漁港です。
福島県の最南端にあり、すぐ南は茨城県。
関東と東北の境目ですね。
わたしは昔、理科年表の気温データを眺めるのが好きだったんですが……。
一番住みやすいとこはどこかなーなんて、調べてたわけ。
目に留まったのが、小名浜でした。
ここは、日本中で住むのに一番快適な地域じゃないでしょうか?
太平洋側だから、冬は毎日晴天。
冬の朝晩はさすがに冷えるけど、昼間は十分暖かい。
夏は、沖を寒流が流れ下るので涼しい。
夏の気温を、東京と比べてみてください。
クールビズなんて不要ですよね。
つまり、冬暖かく夏涼しい。
避寒も避暑も不要。
一年中快適に暮らせる土地ってわけです。
さて、2人を乗せたタクシーは……。
大内宿のように渋滞にも遭わず、無事アクアマリンふくしまに到着しました。
15分くらいでしたね。
カッコいー!
入館料を払って中にはいると、15:45を回ったところ。
閉館は17:30。
閉館ちょっと前には出なきゃならないから……。
正味、1時間半。
よーし、楽しむぞ!
まずは、「潮目の海」。
小名浜沖では、親潮(寒流)と黒潮(暖流)がぶつかるんです。
従って、魚の宝庫。
その2つの潮流がぶつかるところを表現した水槽が、「潮目の海」。
2つの水槽の間に、三角形のトンネルが造ってあります。
2つあわせて水量2,050トンの水量は、ド迫力。
と言っても、2,050トンがどれくらいの水量かって、わかりませんよね。
小学校にある25メートルプールで計算してみましょう。
長さ25メートル、幅15メートル、深さ1.2メートルとすると……。
25×15×1.2=450立方メートル。
水は1立方メートルが1トンですから、すなわち450トン。
つまり「潮目の海」の水槽は、小学校プールの4.5倍ってことです。
さて続いては、「珊瑚礁の海」。
なぜ、福島に「珊瑚礁の海」なんだ……。
って、ギモンもありますが……。
それは、置いといて。
ここには、わたしのお目当てちゃんがいるんです。
それは……。
コイツ!
きゃわいぃぃ!
その名も、チンアナゴ。
砂から顔を出して、流れてくる動物プランクトンなんかを食べます。
びっくりすると、砂の中に引っこんじゃいます。
この形状から連想するに……。
チンアナゴのチンは……。
間違いなく、男性の「チン」だとお思いでしょうが……。
違うんですね。
犬の狆から来てるんです。
顔が似てるからだそうです。
そうきゃなー?
この顔から犬の狆を連想するってのは、かなり特殊な人間ではないか?
やっぱり、どう考えても……。
オトコの「チン」……。
「Mikikoさん!
いつまで見てるんです!
そんなに時間無いんでしょ?
また、大内宿みたいになるとイヤですからね!」
うぅ。
未練が残る……。
やっぱ、1時間半じゃ堪能しきれないよな……。
「そうだ!
お土産買わなくちゃ!」
売店に直行。
「これ、買うぅ!」
「ダメですっ!
こんなでっかい抱き枕かかえて、どうやって旅行続けるんです!」
「由美のけち!」
「けちで結構」
「じゃ、これ」
「なんです、これ?」
「ただの飾り物だよ。
吸盤が付いてるだろ。
これで、テーブルとかに立てるの」
「立ててどうするんです?」
「とりあえず立てるの!
とにかく、チンは立てなきゃダメなの!
これ、何かに似てない?」
「何かって?」
「とぼけちゃって……。
ディルドゥだよ。
吸盤で、テーブルとかにくっつけて使うやつがあるだろ」
「信じらんない!
そんなの、想像してたんですか」
「そだよ。
このチンアナゴからディルドゥ想像するのは……。
ごく健全な連想力だと思う」
「思いません」
さて、なごり尽きませんが……。
もう閉館の17:30が近づいてきました。
閉館5分前には出ましょう。
一番近くのバス停、福島銀行小名浜支店前まで、歩いて10分もかかります。
行きは、早く着きたいからタクシー使ったけど……。
帰りはバス。
17:36、ほぼ時間どおりにバスが来ました。
泉駅着、17:50です。
ここから、常磐線に乗ります。
泉発、18:19。
この日の宿をどこにしようか迷いました。
泉の隣の駅は、湯本駅。
ここには、いわき湯本温泉があります。
道後温泉、有馬温泉と並び、日本三古湯のひとつにあげられる、由緒ある温泉です。
「フラガール」で有名になった、「スパリゾートハワイアンズ」もある。
もう1日あったら、遊んでみたいけど……。
泣く泣くカット。
それに、いわき湯本温泉には……。
安い宿が、あんまり無いみたいなんです。
前2回の個室露天風呂路線だったら……。
間違いなく、ここに泊まったでしょうね。
でも今回は、節約旅行なので……。
パス。
いわきまで戻って泊まることにしました。
いわき着、18:35。
今日のお宿は、駅から徒歩7分。
お宿と言っても、ビジネスホテルです。
「いわきワシントンホテル」さん。
" alt="いわきワシントンホテル">
ここの、「仲良しカップルプラン」というコースを選びました。
朝食付きで、8,000円です。
これ、1人分の値段じゃありません。
2人で、朝食が付いて、8,000円なんです。
ホテルには、夕食が食べられるレストランは無いので……。
食べに出ましょう。
お部屋に荷物だけ下ろしたら、そのまま外出。
もう、19:00近いです。
お昼も早かったし、お腹ペコペコですね。
こんなときは、居酒屋に限る!
というわけで、選んだお店は「隠れ庵 忍家 いわき駅前店」
ホテルからは、徒歩5分。
~つづく~