「ふーん。
お嬢様学校ね。
あなたの雰囲気にぴったりだわ。
そのミヤコって人も、お嬢様なんでしょうね?」
由美は、曖昧に微笑んだまま俯いた。
「それじゃ、行きましょう。
美里!
出かけるわよ」
姉は、そう言いながら起ちあがった。
「藤村さん、案内してちょうだい」
「え?」
「そのミヤコって人のところによ。
美里がこうなったわけ、直接聞いてみたいの」
「でも……」
「事前に連絡したら、逃げられるかも知れないものね。
こういうことは、いきなり行くに限るわ。
いくらお嬢様でも、アポが無きゃ面会できないってこともないでしょ。
あなたが案内してくれないんなら、学生課に直接掛け合うけど」
この姉なら、何のためらいもなく、そうするだろう。
この姉が、大学の学生課に乗りこみ……。
自分と美弥子の名前を出しながら声高に談判する様子が、ありありと目に浮かんだ。
身が竦むようだった。
「どうなの?」
「わかりました」
ミサのことを、叔母に相談するつもりが……。
思いもかけない展開になり、時間を空費してしまった。
自業自得だ。
こうして肉親に知られてしまったからには、観念するほかは無い。
しかし、ミサがこうなった経緯は、包み隠さず話せるものではなかった。
あのディルドゥを使ったプレイを、どう説明すればいいのだ。
だが、この姉に問い詰められていると、すべてを話してしまいそうだった。
美弥子の助けが欲しかった。
美弥子と2人なら、なんとかこの姉に応接できるかも知れない。
由美は、ミサと姉を伴い、再び美弥子のマンションに取って返した。
お嬢様学校ね。
あなたの雰囲気にぴったりだわ。
そのミヤコって人も、お嬢様なんでしょうね?」
由美は、曖昧に微笑んだまま俯いた。
「それじゃ、行きましょう。
美里!
出かけるわよ」
姉は、そう言いながら起ちあがった。
「藤村さん、案内してちょうだい」
「え?」
「そのミヤコって人のところによ。
美里がこうなったわけ、直接聞いてみたいの」
「でも……」
「事前に連絡したら、逃げられるかも知れないものね。
こういうことは、いきなり行くに限るわ。
いくらお嬢様でも、アポが無きゃ面会できないってこともないでしょ。
あなたが案内してくれないんなら、学生課に直接掛け合うけど」
この姉なら、何のためらいもなく、そうするだろう。
この姉が、大学の学生課に乗りこみ……。
自分と美弥子の名前を出しながら声高に談判する様子が、ありありと目に浮かんだ。
身が竦むようだった。
「どうなの?」
「わかりました」
ミサのことを、叔母に相談するつもりが……。
思いもかけない展開になり、時間を空費してしまった。
自業自得だ。
こうして肉親に知られてしまったからには、観念するほかは無い。
しかし、ミサがこうなった経緯は、包み隠さず話せるものではなかった。
あのディルドゥを使ったプレイを、どう説明すればいいのだ。
だが、この姉に問い詰められていると、すべてを話してしまいそうだった。
美弥子の助けが欲しかった。
美弥子と2人なら、なんとかこの姉に応接できるかも知れない。
由美は、ミサと姉を伴い、再び美弥子のマンションに取って返した。
「やっぱり、こっちに来てから、いろいろあったみたいね。
ネンネの里が、ミサに変わったわけ、あなた知らない?」
由美は、姉の視線を頬に受けたまま、頸を横に振った。
口に出すと、声が震えそうだった。
「この子、ときどきひとりごと口にするって言ったでしょ。
人の名前なのよ。
藤村さん、下のお名前は?」
「由美です」
「じゃ、違うわね。
さっき、フロントで入館生の名簿見せてもらおうとしたら……。
規則で出来ませんって。
ほんと、マニュアルどおりの対応しか出来ないんだから。
藤村さん、入館生にいない?
ミヤコって名前の人?」
その名が姉の口から零れた刹那、ミサの瞳に生気が点った。
同時に、自分の顔には、動揺の影が射したはずだ。
「やっぱり、知ってるようね。
入館生ね?」
由美は、頸を横に振った。
入館生かという問いかけに、頸を振ってしまってから気がついた。
これでは、「ミヤコ」に心当たりがあることを、認めてしまったことになる。
「じゃあ、誰なの?」
姉は、真っ直ぐな視線を投げ下ろしてきた。
この視線に射すくめられると、すべてを明かしてしまいそうだった。
由美は、ぎこちなく視線を外した。
「藤村さん。
どうやらあなた、関係者ね。
美里がこうなったわけ、知ってるでしょ?」
由美は、力なく頸を横に振った。
「わたしは、この子の姉として、知る義務があるの。
さあ、おっしゃってちょうだい。
ミヤコって、誰なの?」
「学校の……。
同級生です」
「そう。
この子の学校?」
「いいえ」
「あなたの方?
そうなの。
あなた、どちらの大学?」
由美は、学校名を告げた。
ネンネの里が、ミサに変わったわけ、あなた知らない?」
由美は、姉の視線を頬に受けたまま、頸を横に振った。
口に出すと、声が震えそうだった。
「この子、ときどきひとりごと口にするって言ったでしょ。
人の名前なのよ。
藤村さん、下のお名前は?」
「由美です」
「じゃ、違うわね。
さっき、フロントで入館生の名簿見せてもらおうとしたら……。
規則で出来ませんって。
ほんと、マニュアルどおりの対応しか出来ないんだから。
藤村さん、入館生にいない?
ミヤコって名前の人?」
その名が姉の口から零れた刹那、ミサの瞳に生気が点った。
同時に、自分の顔には、動揺の影が射したはずだ。
「やっぱり、知ってるようね。
入館生ね?」
由美は、頸を横に振った。
入館生かという問いかけに、頸を振ってしまってから気がついた。
これでは、「ミヤコ」に心当たりがあることを、認めてしまったことになる。
「じゃあ、誰なの?」
姉は、真っ直ぐな視線を投げ下ろしてきた。
この視線に射すくめられると、すべてを明かしてしまいそうだった。
由美は、ぎこちなく視線を外した。
「藤村さん。
どうやらあなた、関係者ね。
美里がこうなったわけ、知ってるでしょ?」
由美は、力なく頸を横に振った。
「わたしは、この子の姉として、知る義務があるの。
さあ、おっしゃってちょうだい。
ミヤコって、誰なの?」
「学校の……。
同級生です」
「そう。
この子の学校?」
「いいえ」
「あなたの方?
そうなの。
あなた、どちらの大学?」
由美は、学校名を告げた。