2016.8.27(土)
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花火大会の夜だった。
と言っても、観光客が集まるような花火ではない。
町内会が主催する、ささやかな催しだ。
近隣の住人が、夏の終わりを楽しむ花火だと云う。
その日は、宿に客が無かった。
涼太に案内させるから、3人で花火を見てきたらと、千穂に勧められた。
千穂は、民宿の女将たちの集まりに出かけるという。
夏を惜しむかのような、暑い夜だった。
花火がよく見えるという高台に向かう道には、同じ目的らしい人たちが見かけられた。
都会の花火大会みたいな雑踏も、急き立てられる雰囲気もない。
高台に着いたときは、もう花火が始まっていた。
高台の向こうは、海に面した崖である。
崖下の砂浜から、打ち上げられると云う。
崖沿いには、擬木の柵が設置されていた。
柵の前に張り付いた人たちは、もう花火に夢中の様子だった。
地元の子供たちも大勢来ていた。
高校生らしい子もいる。
浴衣を着たデートらしいカップルもいる。
千穂にも、浴衣を勧められた。
例の夜逃げしたバイトの子に作ったのが残ってると云う。
もちろん、美弥子は遠慮した。
とても自分に合うサイズだとは思えなかった。
由美も、面倒くさいからと言って辞退した。
たぶん、美弥子が着れる浴衣が無いことを気遣ったのだろう。
その心遣いが愛おしかった。
でも、こうして浴衣を着た若い娘たちを見ると……。
由美の浴衣姿も、見てみたい気がした。
おそらくは、どの娘にも負けない可愛さだろう。
柵の前は人で埋められていたが、花火は頭上にあがるので、視界が遮られることはない。
3人は、人群れの最後尾に立ち、頭上を見上げていた。
火薬の臭いがしそうなほど、近い花火だった。
花火が開くたびに、高校生たちの嬌声も上がった。
夏の夜に浴衣を着て出てる興奮が、伝わるようだった。
いい思い出になるだろうと思った。
「あ」
涼太の声だった。
花火大会の夜だった。
と言っても、観光客が集まるような花火ではない。
町内会が主催する、ささやかな催しだ。
近隣の住人が、夏の終わりを楽しむ花火だと云う。
その日は、宿に客が無かった。
涼太に案内させるから、3人で花火を見てきたらと、千穂に勧められた。
千穂は、民宿の女将たちの集まりに出かけるという。
夏を惜しむかのような、暑い夜だった。
花火がよく見えるという高台に向かう道には、同じ目的らしい人たちが見かけられた。
都会の花火大会みたいな雑踏も、急き立てられる雰囲気もない。
高台に着いたときは、もう花火が始まっていた。
高台の向こうは、海に面した崖である。
崖下の砂浜から、打ち上げられると云う。
崖沿いには、擬木の柵が設置されていた。
柵の前に張り付いた人たちは、もう花火に夢中の様子だった。
地元の子供たちも大勢来ていた。
高校生らしい子もいる。
浴衣を着たデートらしいカップルもいる。
千穂にも、浴衣を勧められた。
例の夜逃げしたバイトの子に作ったのが残ってると云う。
もちろん、美弥子は遠慮した。
とても自分に合うサイズだとは思えなかった。
由美も、面倒くさいからと言って辞退した。
たぶん、美弥子が着れる浴衣が無いことを気遣ったのだろう。
その心遣いが愛おしかった。
でも、こうして浴衣を着た若い娘たちを見ると……。
由美の浴衣姿も、見てみたい気がした。
おそらくは、どの娘にも負けない可愛さだろう。
柵の前は人で埋められていたが、花火は頭上にあがるので、視界が遮られることはない。
3人は、人群れの最後尾に立ち、頭上を見上げていた。
火薬の臭いがしそうなほど、近い花火だった。
花火が開くたびに、高校生たちの嬌声も上がった。
夏の夜に浴衣を着て出てる興奮が、伝わるようだった。
いい思い出になるだろうと思った。
「あ」
涼太の声だった。
コメント一覧
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1. Mikiko- 2016/08/27 08:41
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またまた!
突然の場面転換となりました。
悪い癖で、別のシチュエーションを思いつくと、そっちを書きたくなっちゃうんですね。
でも、これを我慢して、執筆中のシーンが終わってから書こうとすると……。
思いついたときのパッションが消えてしまうんです。
これは、何度か経験してきたことです。
で、最近は、書きたい欲求が盛りあがった方を書くべきだと考えるようになりました。
イタリアの地震でも、改めて感じたことですが……。
人の命は、まさしく、いつ消えるかわかりません。
自分の書きたいように書かせてやりたいと思います。
さて、新しいシーンですが……。
図らずも、季節が投稿時期と一致しました。
これは、まったく意図したものではありませんが……。
なんだか、ついさっき書いたような気さえしてきました。
夏の終わりを、登場人物たちと楽しみたいと思います。
みなさんもご一緒していただければ、とても嬉しいです。
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2. エロ花火ハーレクイン- 2016/08/27 10:38
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戻ってきました……
千穂民宿。
で、花火大会。
あまり好きじゃないんだよね。理由は人混み。
確かに、花火は上に上がるんだけど、だから見えるんだけど、あの「芋を洗うような(こんな言い方、もうしないか)」「押すな押すな(これも、どうかなあ)の混雑ぶりには耐えられません。
花火見物は、ビルの屋上がベストポジションでしょう。
で、エロもの書きMikikoのスタンス
>執筆中のシーンが終わってから書こうとすると……
>思いついたときのパッションが消えてしまう
ふむ。
わかるような気もしますが、この辺りは人それぞれでしょうね。
>夏の終わり
台風の影響でしょうか、こちら、今日は久方ぶりの涼しさです。
このまま秋に……ならないだろうなあ。
♪一人でつぶやく秋の詩
季節の変わり目を……
(高田みづえ『秋冬』)
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3. Mikiko- 2016/08/27 12:48
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花火
昔読んだ小説で、外国人が日本の花火を屋上で見るシーンがあった気がするんですが……。
作者が思い出せません。
こちらも今日は、最高気温、25度の予報です。
台風が心配です。
月末は、休めないんですよ。
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4. 迷走禁止ハーレクイン- 2016/08/27 16:47
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花火
屋上。外国人。
知らんなあ。
三題噺のお題じゃないだろうね。
台風
迷走しています。
とんでもないコース取りです。
今朝の天気予報で、予報士が↓言ってました。
「私も、長くこの仕事をやっていますが、こんな台風初めてです」
それはそうでしょう。Uターンする台風なんて、観測史上初じゃないですかね。
月末あたりに本州(新潟?)直撃のようです。ごちうい。
♪回転禁止の青春さ(美樹克彦;タイトル同じ)
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5. Mikiko- 2016/08/27 18:33
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誰だったですかね
三橋一夫だった気もするのですが……。
該当の作品を見つけられませんでした。
台風。
31日は銀行を回らなくてはなりません。
なんとかしちくり。
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6. 瞬間最大風速HQ- 2016/08/27 23:06
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↑かつての用語。今は最大瞬間風速、と云いますが
わたしは違和感があって好みません
(お前の感覚なんぞどーでもええ)
台風10号
今日21時の気象庁の天気図では、30日21時の予報円の中心は山形県付近です。これだと31日には日本海に抜けているかな、と。
ただ、最もゆっくり進むとすると30日21時は千葉県付近。この場合、31日は危ないですね、新潟。
まあ、どちらにしても中心気圧が945hPaという大型台風。暴風警戒域も半端な広さじゃないんで、ほんとにどうなりますやら……。
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7. Mikiko- 2016/08/28 07:56
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台風10号
当初予想より、北側に逸れそうです。
そうなれば、新潟県は進路の左側になりますから、被害は少ないかも知れません。
刈り入れ前の米農家、採り入れ前の梨農家は、祈るような気持ちでしょう。
風が強いようだと、わたしにとっては、JRの運行が心配です。
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8. 農水省&国交省HQ- 2016/08/28 12:08
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農作物被害
北海道から沖縄まで、各地深刻なようです。
しかし、これで北海道は3連続の台風直撃。どうなってるんですかね。地震は絶えないし……やはり地球がおかしくなってるんでしょうか、温暖化、とか。