2016.4.30(土)
み「桜の咲くころ網を沈めて……。
それから、どうするのじゃ?」
客「8月上旬ごろ、採苗器にくっついた稚貝を集めてネットに入れます」
↑すげー。こんなに着くんですね。
み「魔帝」
み「否、待てい」
客「何です?」
み「網を沈めた後って、何かするの?」
客「いえ。
くっついた稚貝が育つのを待つだけですよ」
↑梅酒を待つネコ。
み「8月上旬まで待つわけね」
客「そうです」
み「てことは何かい?
5月上旬に網を入れ……。
網を上げるのが、8月上旬ということ?」
↑夏休み。忘我の境地。
客「そうなります」
み「3ヶ月も遊んでられるではないか」
↑法住寺(京都市東山区)にある石碑。碑文はもちろん、『梁塵秘抄』の一節。
み「わたしは明日から、ホタテ漁師になることにする」
↑翻訳は不要と思います(誰かさんの京都弁も)。
み「紹介しちくり」
↑キンタマの化け物ではありません。『くもじい』という、雲をかたどったキャラです(テレビ東京『空から日本を見てみよう』)。“しちくり”は、このキャラの口調(声優は伊武雅刀)。
客「あのですね。
その3ヶ月の間は、別の漁をしてるに決まってます」
み「何でじゃ!
仕入れもいらず、3ヶ月待つだけでいいのじゃろ?
わたしは、ホタテ専業で働くことにする」
↑たまになら、ホタテを焼いて売ってもいいぞ(毎日は断る)。
客「そんなこと、自分だけで決めて出来ませんよ」
み「いや、やらしちくれ。
8月になったら、巨大ホタテを取り放題で……」
↑北海道産です。市場で700円で売られてたとか。高いのか安いのか、よーわからん。
み「それを、売っぱらって、後は来年の4月まで寝て暮らす」
↑彼らはまさしく、寝て暮らしてます。これで寿命が100年あれば、ぜったいネコがいいですね。
客「そんなわけにいきますか。
そもそも、8月にネットに移すころのホタテの大きさは……」
み「30㎝くらい?」
客「そんなわけないでしょ。
ティースプーン1杯に、貝が100個くらい乗る大きさです」
↑砂粒よりは大きいですが。
み「なんと!
青森のティースプーンは、そんなに巨大なのか!」
客「違いますって」
み「目が、いい加減分かれよって言っておるな」
み「マジになってどうする」
客「失礼。
あまりにもバカ……」
客「いえ、なかなか説明が進まないので、少々焦れました」
み「人生、何事も辛抱じゃ」
↑南伸坊さん。寒くてフルフェイスのマスクを被ってたとき、道で会った知り合いが、「おい、南」と普通に声をかけてきたそうです。輪郭でわかるんですね。強盗は出来ません。
客「あなたに言われたくありませんが……。
心得ました。
でも、その後の稚貝の成長は目覚ましいです」
客「10月には……」
み「30㎝?」
客「なりません!」
み「焦れるでない」
客「それでも、500円玉くらいにはなります」
律「スゴいじゃない。
それじゃ、ティースプーンに1個しか乗らないわよ。
2ヶ月で、大きさが100倍になるってことじゃない」
↑備長炭は硬いから、むしろ吸着力は強くないのでは?
み「やっぱり、オイシイわい。
明日からホタテ漁師になる」
客「なれませんって」
み「資格があるのか?
1級ホタテ漁師とか?」
↑船に乗るには、こちらの免許は必要です。
客「ありませんよ」
み「そんなら、名乗るだけでなれるではないか。
江戸時代の医者と一緒じゃ」
↑わたしでもやれそうじゃ。
客「漁協に入らないとダメでしょ」
↑以前、テレビのニュースで、漁協での会議の様子が放送されてました。深刻な議題で、沈鬱な表情ばかりだったのですが……。全員がタオル鉢巻をしてて、思わず笑ってしまいました。
み「入れてくれ」
客「入会金、1億円です」
↑見事、漁協入会を果たした河村さん。
み「誰も入れんではないか!」
客「やっぱり漁業権は、親子の世襲とかなんじゃないですか(※注・憶測です)」
み「養子に入ればいいのか?」
↑やはり日本は、実子にこだわりがあるようですね。
客「あ、養子より確実な方法があります」
み「なんじゃ?」
客「嫁入りすればいいんですよ。
ホタテ漁師に」
み「こっ恥ずかしいことを、しらっとしゃべるでないわ」
客「なんで恥ずかしいんです?」
み「わたしに嫁になれと云うのか?」
客「独身なんでしょ?」
み「いかにも。
離婚歴も無い」
↑離婚したい男性。しない方がどうかしてます。
客「そこまで聞いてません」
み「わたしに漁師の嫁が務まると思うか?」
客「だってさっき、ホタテ漁師になるって言ったじゃないですか。
漁師になれて、漁師の妻になれないはずはないでしょ」
↑やっぱり、帰って来るまで心配でしょうね。
み「早起きしなくてもいいのか?」
↑“三文の徳”と書かれる場合が多いようです。
客「いちおう、するんじゃないですか?
ご主人が出港のとき、寝てるのはマズいと思います」
み「何時に出るんじゃ?」
客「知りませんよ。
でも、4時くらいですかね?」
み「その時間は、執筆をしておる」
↑書家の熊谷恒子さん。ネコは、必ず邪魔しに来ますよね。
客「知りませんって。
でも、漁師になったら、執筆どころじゃないでしょ」
み「なんでじゃ?
稚貝を入れたら、あとは待つだけなんじゃろ?
執筆し放題ではないか」
↑傍らに、蚊取り線香の燃えカス。よく火事にならなかったものです。
客「そんなウマい話、ないでしょ」
み「待てよ」
客「なんです?
“魔帝”じゃないんですか?」
み「新たなるウマ味を発見した」
客「どうして、そういうところばっかり発見するんです。
いったい、何ですか?」
み「貝は、網に入って、海中にぶら下がってるわけだな?」
↑電線に靴がぶら下がってる光景は、海外では珍しく無いそうです。悪戯の一種のようです。あまり気の利いた悪戯には思えませんが。
客「そうです」
み「それなら、わざわざ、朝4時に起きる必要はないではないか。
気が向いたとき、プラっと行けばいい」
み「これなら、朝、執筆できるぞ。
で、朝食を食べて……。
朝の連ドラを見てから、港に向かう」
↑今世紀最高視聴率だったそうです。1度も見たことありませんが。
み「もちろん、港には軽トラじゃな。
漁師の定番です」
客「港に着いたら、9時になっちゃうじゃないですか」
み「10月じゃろ。
まだ日は長いわい」
↑琵琶湖に浮かぶ沖島にて。彼らにとっては、1.52km2の島が全宇宙なんでしょうね。
み「それからゆっくりと船を出し、養殖場に向かう」
客「9時半になりますよ」
み「500円玉くらいになったホタテをどうするんじゃ?」
客「採苗器に着いたホタテを、ネットに分散して、再び海中に戻すのです」
↑30個くらいずつ入れるそうです。
み「簡単な作業ではないか」
↑たぶん、誰でも出来ます。
客「量は半端じゃないと思いますよ」
↑ま、ぜんぶ“ゼニ”だと思えば。
み「それは構わん。
単純作業を長時間続けるのは得意なのじゃ」
↑この仕事、紹介しちくり。
み「10月の空は、あっけらかんと晴れ渡り……。
聞こえるのは、空を行くカモメの声」
み「油のように凪いだ陸奥湾の海が、かすかに船を揺らす」
↑ホタテ養殖で使うガラスの浮き球だそうです。
み「わたしは、船に揺られながら、黙々と作業を続ける。
ときどき、船を漕ぎながら」
律「今どき、手漕ぎの船のわけないでしょ」
↑ご存知、佐渡のたらい舟。もともとは、アワビなどの漁で使われたもの。小回りが効くんだそうです。
み「“船を漕ぐ”というのは、居眠りすることを云うのじゃ」
↑なんで立ったまま寝るんですかね?
客「寝てどうするんです」
み「急ぐ仕事ではなかろ」
↑藤子不二雄A先生。狐狸庵先生も、同じことを言っておられました。
客「そうかなぁ」
み「ホタテをカゴに移す作業を、眉を吊り上げて、シャカリキでやるわけがない。
ノンビリと、船を漕ぎながらの作業です」
↑船を漕ぎながらは、出来ないと思われます。
客「1日中やったら、手も痛くなると思いますよ」
み「だから、シャカリキでやってはいかんのだよ。
11時半、午前の作業は終了」
客「待ってくださいよ。
始めたの、9時半でしょ。
たった2時間しか働いてないじゃないですか」
み「だから、まだ午前の部だって」
客「なんで、12時まで働かないんです?」
み「昼飯を釣らなければならんじゃろ?」
↑これは、錦鯉ですかね?
客「は?」
み「目の前が海なのに、弁当に玉子焼きを持って行ってどうする」
↑よっぽどの卵好きなんでしょう。何個分なんだ? 野菜ももっと摂りましょう。
み「釣りたての魚を賞味するに決まっておる」
↑船釣り船上バーベキュー。船酔いする方は参加できません。
客「そんなに上手く釣れますか?」
み「パカモン。
ホタテが養殖できる海ということは……。
プランクトンが豊富な海に決まっておろう」
客「ま、そうでしょうけどね」
み「そんな海に、魚がいないわけなかろ」
↑陸奥湾ではありません。タオ島(タイ)です。ダイビングのメッカだとか。
客「まぁ、そうかも知れません。
でも、釣りとなると、そう簡単にいかないんじゃないかな?
何を釣るつもりです」
み「じゃから、魚だと申しておる」
客「あのですね。
魚と云っても、無数に種類があるわけです」
み「わたしをバカにしてないか。
陸奥湾で、淡水魚を釣ろうとするパカがどこにおるか」
↑わたしは、日本の淡水魚が大好きです。淡水魚だけの水族館って、無いもんですかね?
客「そんなこと、わかってますって」
み「だから、わたしが釣るのは、海水魚です」
客「今、全身がぐったり重くなるほど、会話に疲れてるんですが」
↑なぜ、がっくりしてるかは不明。後ろのパトカーと関係あり?
み「病気かも知れんぞ。
医者に行け」
↑ネタではありません。実在します→http://www.mitokomon.net/
客「帰ったらそうします。
で、海水魚のうち、どんな魚を釣るんです?」
み「あのな。
わたしとて、バカではないぞ。
釣りに行くのに、とりあえず、目当ての魚を想定するくらいはわかる」
客「わかるんなら、言って下さいよ」
み「ただしこれは、レジャーとしての釣りではない。
昼飯を釣るわけじゃ」
↑こういうコンセプトです。
客「だから、何を?」
み「チミは、目当ての魚が釣れなかったら、それを食べないのか?」
↑楳図かずお『絶食』。
客「食べるんじゃないですか?
時間も限られてますし」
み「であろ。
わたしとてそうじゃ。
連れた魚を食べる。
ただし、フグは止めておこう」
↑かぶりもののフグより、中の人形の方が気になります。どうしてこんな口をしてるんでしょう?
み「調理免許が無い」
客「フグ以外なら、食べるんですか?」
み「とりあえず、食えるであろう」
客「いいですね。
釣りたての魚の刺し身」
客「身がコリコリしてるだろうな」
み「わたしは、生魚は食わん」
客「は?」
み「生の魚には、トラウマがあるのじゃ」
客「どんなトラウマです?」
み「聞きたいか?」
客「はい」
み「後悔しても知らんぞ」
客「じゃ、止めます」
み「人が語る姿勢になってから、止めるでない」
客「後悔したくないです」
み「人生においては、たとえ後で後悔することになることがわかっていても……。
チャレンジしなければならない瞬間があるのじゃ」
↑こういうキツめの顔、大好きです。
客「それは、わかりますが……。
明らかに今は、その瞬間じゃありません」
み「そんなこと、聞いてみるまでわからんではないか」
客「あなたが生魚を食べられなくなった話が……。
わたしの人生にとっての、チャレンジポイントだとは思えません」
み「じゃからそれは、聞いてみなければわからんと言っておる」
客「あの。
酒飲んでませんか?
酔っぱらいと話してる気がしてきました」
↑絵に描いたような酔っぱらい。芸の域です。
み「そう言えば、車内販売が来ないの」
↑『特急とき』の車内販売(鉄道博物館)。
客「来るわけないでしょ。
普通列車じゃないですか」
み「ビールを買っておけばよかった」
客「こういう景色でビールを呑んだら、確かに美味しいでしょうな」
↑PRETZは、ホタテ味。残念ながら、大湊線じゃありませんが。
み「買ってないのか?」
客「歳のせいか……。
列車に揺られると、トイレが近くなりましてね」
み「この列車、トイレが無いのか?」
客「ありますよ。
隣の車両かな?
2両編成ですから、そんなに歩かなくても行けます」
み「なら、問題なかろ?」
客「尾籠な話ですみませんが……。
最近、お酒を飲むと、大を催すようになりましてな」
み「汚いやつ」
客「そこまで言わなくてもいいでしょ」
み「でも、トイレがあるなら、問題ないではないか」
客「あることはありますが、この列車は和式ですよ」
客「わたしは、痔なんです」
み「チミが、長男か次男かということと、トイレが関係あるのか?」
客「いえ、その次男ではありません。
尾籠な話と言ったでしょ」
み「痔主きゃ?」
客「左様です」
み「汚いやつ」
客「病気だから仕方ないでしょ。
だから、ウォシュレットの無いトイレは使いたくないんですよ」
↑『府中市郷土の森博物館』。子供なら絶対にやります。
み「携帯用のウォシュレットがあるではないか。
押すとピュッと飛び出すみたいな」
客「確かにありますね。
でも、そんなの持って列車のトイレに行くのは、楽しくないですよ」
第一、危険です」
↑危険ドラッグ。こんなに堂々と売って、捕まらないのか?
み「なじぇに?
誰かに襲われるわけなかろ?」
↑キッズゾンビが教師を襲う『ゾンビスクール!』。2016年2月20日、全国公開だったそうです。知らなんだ。
客「当たり前です。
個室じゃないですか」
↑男女が並んでるというのは、男女兼用という意味ですかね? 一緒に入ってもいいということじゃないですよね。
み「床下に張り付いた痴漢が、便壺から手を出すとか」
↑インドの満員列車。それでもさすがに、床下に掴まる人はいないでしょう。
客「あのですね。
今どき、垂れ流しの列車なんてありませんよ」
↑“分散、飛散”というのが、悲惨です。
律「昔はあったんですか?」
客「みんなそうでした。
保線員なんか、飛沫を浴びて大変だったようです」
↑1966年12月。東京都港区の風景です。
み「保線員は、仕事終わったら、必ず風呂に入ったと聞く」
↑保線作業員詰所のジオラマ。煙突は、お風呂のものだと思います。
客「妙な知識がありますね。
確かにそうだったようです」
み「今の若い保線員は、風呂に入る習慣が無くなっちゃったんだよね」
↑女性もいます。
客「汗をかく程度ですからね。
それなら、ほかの仕事だって同じですから。
必ずしも、風呂に入ってから帰る必要はないですよ」
↑『住友赤平炭鉱(北海道赤平市)』。この仕事にも、お風呂は欠かせませんでした。無事に帰ってこれて、ホッとしたでしょうね。
み「昔は、列車が止まってるとき、トイレを使っちゃダメだったんでしょ?」
律「何でよ?」
み「下に、てんこ盛りになるからじゃない?」
律「ウソ」
客「いや。
実際、昔、便器の底から、線路の砕石が見える車両に乗ったことがありますよ」
↑穴から地面が見えます。さすがに日本ではありません。マレー鉄道です。東南アジアの鉄道は、だいたいこんな感じみたいです。
み「落ちかねん」
客「人は通らないですよ」
み「手なら通るでしょ」
↑この穴だと、子供ならスポンと落ちますね。
客「それで痴漢ですか?」
み「それそれ」
客「列車の下にぶら下がるんですか?」
↑山根さんです。
み「左様」
客「リスクが大きすぎでしょ。
腕しか入れられないのに……。
失敗したら即死です」
み「男には、命がけのチャレンジをする時があるのじゃ」
↑川上哲治さんの言葉かと思いましたが……。違ってました。浜本哲治さんという元早大ラガーマンの方でした。
客「それは否定しませんが……。
決して、トイレの痴漢のときじゃないと思います」
み「じゃ、なんでトイレが危険なわけ?」
客「だから、和式なんですって」
み「和式がどうして危険なんじゃ?」
↑今の子には、和式トイレの使い方を教えなきゃならないそうです。
客「列車は揺れるんですよ。
特にこんなローカル単線は、保線も行き届いてませんからね。
和式でしゃがんだ体勢ってのは、とても不安定なんです」
↑ヤンキー座りする初音ミク。
客「揺れたら、手ぶらじゃ、身体を支えられませんよ」
み「じゃ、どうするんだ?
床に手を付くか?」
客「汚いでしょ」
↑トイレでこれをやる人はいません。
客「前の壁に、バーが付いてるんです」
↑これは新幹線のトイレですので、かなり綺麗めです。
客「それに掴まってするんです」
み「にゃんとー。
まるで、競馬の騎手ではないか」
客「そういうことです」
み「第4コーナを回る状態で、ウンコを垂れるわけだな」
律「汚いこと言わないでくれる」
み「でも、バーに掴まってれば、いくらなんでも大丈夫だろ。
ふっとばされるほど揺れるとは思えん」
客「両手で掴まってれば、もちろん大丈夫です」
み「あ、鞭を入れるのに、片手を離すのか?」
客「なんで列車のトイレで、鞭を入れるんです?」
み「自らのケツに、早くヒリ出すよう促すわけだ」
↑諫早市のリフォーム会社。イベントで、お尻を叩くと来場者が増えるという言い伝えがあるそうです。
客「どこのバカが、そんなことをするんですか」
み「だって、今、片手を離すと言ったではないか」
客「初っ端の設定を忘れてますね。
携帯用ウォシュレットを持っていけばいいって言ってたじゃないですか」
み「あ」
客「あ、じゃありませんよ。
使うためには、片手をバーから離さなきゃならないじゃないですか」
↑和式では難しそうです。
み「なるほど。
その瞬間、大きく揺れたら……。
掴んでるのが1点だから、そこを支点に、身体が大きく振られることになるな」
客「なりますよ。
下手すりゃ、冷たい床に投げ出されます」
み「裏返しになるな。
惨めじゃ」
客「この上なく。
生涯のトラウマとなります」
み「にゃるほど。
それで痔主は、列車の和式トイレで用を足したくないと……」
↑どこで手に入れたんでしょう?
み「こういう結論に達したわけだな」
客「論理的に敷衍しなくても、一瞬で結論に達します。
酒は、ホテルの部屋で飲むのが一番です」
み「居酒屋とかには行かないの?」
客「トイレが危険です」
↑東京渋谷の居酒屋です。不評でしょうなぁ。
み「何でじゃ?
地震でも無い限り、居酒屋のトイレが揺れるわけなかろ」
客「青森の居酒屋は、ヘタすれば汲み取りですよ」
↑こんなのでは汲みに来ないと思いますが。
み「あちゃー。
そりは、あかんな。
トイレに入ったら、食欲が一瞬で失われるわ。
臭いで」
↑“くっさー”。久々画像です。
み「冬なら大丈夫かも知れんが」
客「なんで、冬は大丈夫なんですか?」
み「凍るじゃろ」
↑クチバシが凍ったハクチョウ。さすがに、青森ではありません。中国ウィグル自治区。もっと南方で越冬すべきです。
客「かなり、青森をバカにしてますね」
み「信州大学に行った友達に聞いたことがある。
冬は、着地した途端、ウンコが凍るって。
で、ウンコが、蟻塚みたいに円錐形に尖って積もっていく」
↑タンザニアの『セレンゲティ国立公園』。
み「そのうち、便器から突き出てくる。
しゃがめなくなるから、ウンコの先端をトンカチで壊すそうじゃ」
↑実際の蟻塚は堅牢で、ハンマーで叩いても崩せないそうです。
客「何で汲み取りしないんです?」
み「凍っていると言ったじゃろ。
バキュームカーで吸おうにも、ガチガチじゃから、吸えないんじゃ」
↑中国では、いろんなことが起こります。
み「春になるまで、そのままです。
信州の人は、トイレのウンコが解けることで、春を実感すると云う」
↑最近は、こういう方も多いようです。
客「どう考えても、ホラとしか思えません」
み「聞いた話じゃでな」
↑『しながわ宿場まつり』江戸町人行列の瓦版売り。
客「でも、どうしてそんな口調になるんです?」
律「ウソ言ってるときの癖なんですよ」
客「やっぱり」
み「黙らっしゃい!」
み「でも、ホテルの部屋で飲むのが一番というのは……。
わが意を得たりです」
客「あなたと意見が会うと、なんだか不安になります」
み「なんでじゃ!」
客「どうして、ホテルの部屋で飲むんです?」
み「わたしがホテルに泊まるのは……。
ひとりで東京に遊びに行ったときだけです。
すなわち、ひとりなわけ」
↑昨年、『スーパーホテル東京・亀戸』に泊まった部屋です。
客「はぁ。
今風の店なら、トイレの心配はいらないでしょ。
どうして、飲みに出ないんですか?」
み「知らない店に、一人では入りづらいではないか」
↑わたしには出来ない芸です。わたしがやったら、ものすごく挙動不審になると思います。飲み逃げと間違いかねられん。
客「ま、そうかも知れませんが。
今なら、店の情報はネットで調べられるでしょ。
口コミとかも載ってますし」
み「一人で店で飲んでて、楽しい?」
↑行かない方が普通です。
客「楽しいんじゃないですか?
カウンターで、店主から話を聞いたり」
↑気詰まりなだけで、ぜったい楽しくありません。
み「わたしは、初対面の人とは、よう喋れんのじゃ」
客「わたしも確か、初対面ですが」
み「アホは例外じゃ」
客「誰がアホなんですか!」
み「とにかく、カウンターで、店主と喋りながら飲むなんて……。
考えただけでも気鬱じゃわい」
それから、どうするのじゃ?」
客「8月上旬ごろ、採苗器にくっついた稚貝を集めてネットに入れます」
↑すげー。こんなに着くんですね。
み「魔帝」
み「否、待てい」
客「何です?」
み「網を沈めた後って、何かするの?」
客「いえ。
くっついた稚貝が育つのを待つだけですよ」
↑梅酒を待つネコ。
み「8月上旬まで待つわけね」
客「そうです」
み「てことは何かい?
5月上旬に網を入れ……。
網を上げるのが、8月上旬ということ?」
↑夏休み。忘我の境地。
客「そうなります」
み「3ヶ月も遊んでられるではないか」
↑法住寺(京都市東山区)にある石碑。碑文はもちろん、『梁塵秘抄』の一節。
み「わたしは明日から、ホタテ漁師になることにする」
↑翻訳は不要と思います(誰かさんの京都弁も)。
み「紹介しちくり」
↑キンタマの化け物ではありません。『くもじい』という、雲をかたどったキャラです(テレビ東京『空から日本を見てみよう』)。“しちくり”は、このキャラの口調(声優は伊武雅刀)。
客「あのですね。
その3ヶ月の間は、別の漁をしてるに決まってます」
み「何でじゃ!
仕入れもいらず、3ヶ月待つだけでいいのじゃろ?
わたしは、ホタテ専業で働くことにする」
↑たまになら、ホタテを焼いて売ってもいいぞ(毎日は断る)。
客「そんなこと、自分だけで決めて出来ませんよ」
み「いや、やらしちくれ。
8月になったら、巨大ホタテを取り放題で……」
↑北海道産です。市場で700円で売られてたとか。高いのか安いのか、よーわからん。
み「それを、売っぱらって、後は来年の4月まで寝て暮らす」
↑彼らはまさしく、寝て暮らしてます。これで寿命が100年あれば、ぜったいネコがいいですね。
客「そんなわけにいきますか。
そもそも、8月にネットに移すころのホタテの大きさは……」
み「30㎝くらい?」
客「そんなわけないでしょ。
ティースプーン1杯に、貝が100個くらい乗る大きさです」
↑砂粒よりは大きいですが。
み「なんと!
青森のティースプーンは、そんなに巨大なのか!」
客「違いますって」
み「目が、いい加減分かれよって言っておるな」
み「マジになってどうする」
客「失礼。
あまりにもバカ……」
客「いえ、なかなか説明が進まないので、少々焦れました」
み「人生、何事も辛抱じゃ」
↑南伸坊さん。寒くてフルフェイスのマスクを被ってたとき、道で会った知り合いが、「おい、南」と普通に声をかけてきたそうです。輪郭でわかるんですね。強盗は出来ません。
客「あなたに言われたくありませんが……。
心得ました。
でも、その後の稚貝の成長は目覚ましいです」
客「10月には……」
み「30㎝?」
客「なりません!」
み「焦れるでない」
客「それでも、500円玉くらいにはなります」
律「スゴいじゃない。
それじゃ、ティースプーンに1個しか乗らないわよ。
2ヶ月で、大きさが100倍になるってことじゃない」
↑備長炭は硬いから、むしろ吸着力は強くないのでは?
み「やっぱり、オイシイわい。
明日からホタテ漁師になる」
客「なれませんって」
み「資格があるのか?
1級ホタテ漁師とか?」
↑船に乗るには、こちらの免許は必要です。
客「ありませんよ」
み「そんなら、名乗るだけでなれるではないか。
江戸時代の医者と一緒じゃ」
↑わたしでもやれそうじゃ。
客「漁協に入らないとダメでしょ」
↑以前、テレビのニュースで、漁協での会議の様子が放送されてました。深刻な議題で、沈鬱な表情ばかりだったのですが……。全員がタオル鉢巻をしてて、思わず笑ってしまいました。
み「入れてくれ」
客「入会金、1億円です」
↑見事、漁協入会を果たした河村さん。
み「誰も入れんではないか!」
客「やっぱり漁業権は、親子の世襲とかなんじゃないですか(※注・憶測です)」
み「養子に入ればいいのか?」
↑やはり日本は、実子にこだわりがあるようですね。
客「あ、養子より確実な方法があります」
み「なんじゃ?」
客「嫁入りすればいいんですよ。
ホタテ漁師に」
み「こっ恥ずかしいことを、しらっとしゃべるでないわ」
客「なんで恥ずかしいんです?」
み「わたしに嫁になれと云うのか?」
客「独身なんでしょ?」
み「いかにも。
離婚歴も無い」
↑離婚したい男性。しない方がどうかしてます。
客「そこまで聞いてません」
み「わたしに漁師の嫁が務まると思うか?」
客「だってさっき、ホタテ漁師になるって言ったじゃないですか。
漁師になれて、漁師の妻になれないはずはないでしょ」
↑やっぱり、帰って来るまで心配でしょうね。
み「早起きしなくてもいいのか?」
↑“三文の徳”と書かれる場合が多いようです。
客「いちおう、するんじゃないですか?
ご主人が出港のとき、寝てるのはマズいと思います」
み「何時に出るんじゃ?」
客「知りませんよ。
でも、4時くらいですかね?」
み「その時間は、執筆をしておる」
↑書家の熊谷恒子さん。ネコは、必ず邪魔しに来ますよね。
客「知りませんって。
でも、漁師になったら、執筆どころじゃないでしょ」
み「なんでじゃ?
稚貝を入れたら、あとは待つだけなんじゃろ?
執筆し放題ではないか」
↑傍らに、蚊取り線香の燃えカス。よく火事にならなかったものです。
客「そんなウマい話、ないでしょ」
み「待てよ」
客「なんです?
“魔帝”じゃないんですか?」
み「新たなるウマ味を発見した」
客「どうして、そういうところばっかり発見するんです。
いったい、何ですか?」
み「貝は、網に入って、海中にぶら下がってるわけだな?」
↑電線に靴がぶら下がってる光景は、海外では珍しく無いそうです。悪戯の一種のようです。あまり気の利いた悪戯には思えませんが。
客「そうです」
み「それなら、わざわざ、朝4時に起きる必要はないではないか。
気が向いたとき、プラっと行けばいい」
み「これなら、朝、執筆できるぞ。
で、朝食を食べて……。
朝の連ドラを見てから、港に向かう」
↑今世紀最高視聴率だったそうです。1度も見たことありませんが。
み「もちろん、港には軽トラじゃな。
漁師の定番です」
客「港に着いたら、9時になっちゃうじゃないですか」
み「10月じゃろ。
まだ日は長いわい」
↑琵琶湖に浮かぶ沖島にて。彼らにとっては、1.52km2の島が全宇宙なんでしょうね。
み「それからゆっくりと船を出し、養殖場に向かう」
客「9時半になりますよ」
み「500円玉くらいになったホタテをどうするんじゃ?」
客「採苗器に着いたホタテを、ネットに分散して、再び海中に戻すのです」
↑30個くらいずつ入れるそうです。
み「簡単な作業ではないか」
↑たぶん、誰でも出来ます。
客「量は半端じゃないと思いますよ」
↑ま、ぜんぶ“ゼニ”だと思えば。
み「それは構わん。
単純作業を長時間続けるのは得意なのじゃ」
↑この仕事、紹介しちくり。
み「10月の空は、あっけらかんと晴れ渡り……。
聞こえるのは、空を行くカモメの声」
み「油のように凪いだ陸奥湾の海が、かすかに船を揺らす」
↑ホタテ養殖で使うガラスの浮き球だそうです。
み「わたしは、船に揺られながら、黙々と作業を続ける。
ときどき、船を漕ぎながら」
律「今どき、手漕ぎの船のわけないでしょ」
↑ご存知、佐渡のたらい舟。もともとは、アワビなどの漁で使われたもの。小回りが効くんだそうです。
み「“船を漕ぐ”というのは、居眠りすることを云うのじゃ」
↑なんで立ったまま寝るんですかね?
客「寝てどうするんです」
み「急ぐ仕事ではなかろ」
↑藤子不二雄A先生。狐狸庵先生も、同じことを言っておられました。
客「そうかなぁ」
み「ホタテをカゴに移す作業を、眉を吊り上げて、シャカリキでやるわけがない。
ノンビリと、船を漕ぎながらの作業です」
↑船を漕ぎながらは、出来ないと思われます。
客「1日中やったら、手も痛くなると思いますよ」
み「だから、シャカリキでやってはいかんのだよ。
11時半、午前の作業は終了」
客「待ってくださいよ。
始めたの、9時半でしょ。
たった2時間しか働いてないじゃないですか」
み「だから、まだ午前の部だって」
客「なんで、12時まで働かないんです?」
み「昼飯を釣らなければならんじゃろ?」
↑これは、錦鯉ですかね?
客「は?」
み「目の前が海なのに、弁当に玉子焼きを持って行ってどうする」
↑よっぽどの卵好きなんでしょう。何個分なんだ? 野菜ももっと摂りましょう。
み「釣りたての魚を賞味するに決まっておる」
↑船釣り船上バーベキュー。船酔いする方は参加できません。
客「そんなに上手く釣れますか?」
み「パカモン。
ホタテが養殖できる海ということは……。
プランクトンが豊富な海に決まっておろう」
客「ま、そうでしょうけどね」
み「そんな海に、魚がいないわけなかろ」
↑陸奥湾ではありません。タオ島(タイ)です。ダイビングのメッカだとか。
客「まぁ、そうかも知れません。
でも、釣りとなると、そう簡単にいかないんじゃないかな?
何を釣るつもりです」
み「じゃから、魚だと申しておる」
客「あのですね。
魚と云っても、無数に種類があるわけです」
み「わたしをバカにしてないか。
陸奥湾で、淡水魚を釣ろうとするパカがどこにおるか」
↑わたしは、日本の淡水魚が大好きです。淡水魚だけの水族館って、無いもんですかね?
客「そんなこと、わかってますって」
み「だから、わたしが釣るのは、海水魚です」
客「今、全身がぐったり重くなるほど、会話に疲れてるんですが」
↑なぜ、がっくりしてるかは不明。後ろのパトカーと関係あり?
み「病気かも知れんぞ。
医者に行け」
↑ネタではありません。実在します→http://www.mitokomon.net/
客「帰ったらそうします。
で、海水魚のうち、どんな魚を釣るんです?」
み「あのな。
わたしとて、バカではないぞ。
釣りに行くのに、とりあえず、目当ての魚を想定するくらいはわかる」
客「わかるんなら、言って下さいよ」
み「ただしこれは、レジャーとしての釣りではない。
昼飯を釣るわけじゃ」
↑こういうコンセプトです。
客「だから、何を?」
み「チミは、目当ての魚が釣れなかったら、それを食べないのか?」
↑楳図かずお『絶食』。
客「食べるんじゃないですか?
時間も限られてますし」
み「であろ。
わたしとてそうじゃ。
連れた魚を食べる。
ただし、フグは止めておこう」
↑かぶりもののフグより、中の人形の方が気になります。どうしてこんな口をしてるんでしょう?
み「調理免許が無い」
客「フグ以外なら、食べるんですか?」
み「とりあえず、食えるであろう」
客「いいですね。
釣りたての魚の刺し身」
客「身がコリコリしてるだろうな」
み「わたしは、生魚は食わん」
客「は?」
み「生の魚には、トラウマがあるのじゃ」
客「どんなトラウマです?」
み「聞きたいか?」
客「はい」
み「後悔しても知らんぞ」
客「じゃ、止めます」
み「人が語る姿勢になってから、止めるでない」
客「後悔したくないです」
み「人生においては、たとえ後で後悔することになることがわかっていても……。
チャレンジしなければならない瞬間があるのじゃ」
↑こういうキツめの顔、大好きです。
客「それは、わかりますが……。
明らかに今は、その瞬間じゃありません」
み「そんなこと、聞いてみるまでわからんではないか」
客「あなたが生魚を食べられなくなった話が……。
わたしの人生にとっての、チャレンジポイントだとは思えません」
み「じゃからそれは、聞いてみなければわからんと言っておる」
客「あの。
酒飲んでませんか?
酔っぱらいと話してる気がしてきました」
↑絵に描いたような酔っぱらい。芸の域です。
み「そう言えば、車内販売が来ないの」
↑『特急とき』の車内販売(鉄道博物館)。
客「来るわけないでしょ。
普通列車じゃないですか」
み「ビールを買っておけばよかった」
客「こういう景色でビールを呑んだら、確かに美味しいでしょうな」
↑PRETZは、ホタテ味。残念ながら、大湊線じゃありませんが。
み「買ってないのか?」
客「歳のせいか……。
列車に揺られると、トイレが近くなりましてね」
み「この列車、トイレが無いのか?」
客「ありますよ。
隣の車両かな?
2両編成ですから、そんなに歩かなくても行けます」
み「なら、問題なかろ?」
客「尾籠な話ですみませんが……。
最近、お酒を飲むと、大を催すようになりましてな」
み「汚いやつ」
客「そこまで言わなくてもいいでしょ」
み「でも、トイレがあるなら、問題ないではないか」
客「あることはありますが、この列車は和式ですよ」
客「わたしは、痔なんです」
み「チミが、長男か次男かということと、トイレが関係あるのか?」
客「いえ、その次男ではありません。
尾籠な話と言ったでしょ」
み「痔主きゃ?」
客「左様です」
み「汚いやつ」
客「病気だから仕方ないでしょ。
だから、ウォシュレットの無いトイレは使いたくないんですよ」
↑『府中市郷土の森博物館』。子供なら絶対にやります。
み「携帯用のウォシュレットがあるではないか。
押すとピュッと飛び出すみたいな」
客「確かにありますね。
でも、そんなの持って列車のトイレに行くのは、楽しくないですよ」
第一、危険です」
↑危険ドラッグ。こんなに堂々と売って、捕まらないのか?
み「なじぇに?
誰かに襲われるわけなかろ?」
↑キッズゾンビが教師を襲う『ゾンビスクール!』。2016年2月20日、全国公開だったそうです。知らなんだ。
客「当たり前です。
個室じゃないですか」
↑男女が並んでるというのは、男女兼用という意味ですかね? 一緒に入ってもいいということじゃないですよね。
み「床下に張り付いた痴漢が、便壺から手を出すとか」
↑インドの満員列車。それでもさすがに、床下に掴まる人はいないでしょう。
客「あのですね。
今どき、垂れ流しの列車なんてありませんよ」
↑“分散、飛散”というのが、悲惨です。
律「昔はあったんですか?」
客「みんなそうでした。
保線員なんか、飛沫を浴びて大変だったようです」
↑1966年12月。東京都港区の風景です。
み「保線員は、仕事終わったら、必ず風呂に入ったと聞く」
↑保線作業員詰所のジオラマ。煙突は、お風呂のものだと思います。
客「妙な知識がありますね。
確かにそうだったようです」
み「今の若い保線員は、風呂に入る習慣が無くなっちゃったんだよね」
↑女性もいます。
客「汗をかく程度ですからね。
それなら、ほかの仕事だって同じですから。
必ずしも、風呂に入ってから帰る必要はないですよ」
↑『住友赤平炭鉱(北海道赤平市)』。この仕事にも、お風呂は欠かせませんでした。無事に帰ってこれて、ホッとしたでしょうね。
み「昔は、列車が止まってるとき、トイレを使っちゃダメだったんでしょ?」
律「何でよ?」
み「下に、てんこ盛りになるからじゃない?」
律「ウソ」
客「いや。
実際、昔、便器の底から、線路の砕石が見える車両に乗ったことがありますよ」
↑穴から地面が見えます。さすがに日本ではありません。マレー鉄道です。東南アジアの鉄道は、だいたいこんな感じみたいです。
み「落ちかねん」
客「人は通らないですよ」
み「手なら通るでしょ」
↑この穴だと、子供ならスポンと落ちますね。
客「それで痴漢ですか?」
み「それそれ」
客「列車の下にぶら下がるんですか?」
↑山根さんです。
み「左様」
客「リスクが大きすぎでしょ。
腕しか入れられないのに……。
失敗したら即死です」
み「男には、命がけのチャレンジをする時があるのじゃ」
↑川上哲治さんの言葉かと思いましたが……。違ってました。浜本哲治さんという元早大ラガーマンの方でした。
客「それは否定しませんが……。
決して、トイレの痴漢のときじゃないと思います」
み「じゃ、なんでトイレが危険なわけ?」
客「だから、和式なんですって」
み「和式がどうして危険なんじゃ?」
↑今の子には、和式トイレの使い方を教えなきゃならないそうです。
客「列車は揺れるんですよ。
特にこんなローカル単線は、保線も行き届いてませんからね。
和式でしゃがんだ体勢ってのは、とても不安定なんです」
↑ヤンキー座りする初音ミク。
客「揺れたら、手ぶらじゃ、身体を支えられませんよ」
み「じゃ、どうするんだ?
床に手を付くか?」
客「汚いでしょ」
↑トイレでこれをやる人はいません。
客「前の壁に、バーが付いてるんです」
↑これは新幹線のトイレですので、かなり綺麗めです。
客「それに掴まってするんです」
み「にゃんとー。
まるで、競馬の騎手ではないか」
客「そういうことです」
み「第4コーナを回る状態で、ウンコを垂れるわけだな」
律「汚いこと言わないでくれる」
み「でも、バーに掴まってれば、いくらなんでも大丈夫だろ。
ふっとばされるほど揺れるとは思えん」
客「両手で掴まってれば、もちろん大丈夫です」
み「あ、鞭を入れるのに、片手を離すのか?」
客「なんで列車のトイレで、鞭を入れるんです?」
み「自らのケツに、早くヒリ出すよう促すわけだ」
↑諫早市のリフォーム会社。イベントで、お尻を叩くと来場者が増えるという言い伝えがあるそうです。
客「どこのバカが、そんなことをするんですか」
み「だって、今、片手を離すと言ったではないか」
客「初っ端の設定を忘れてますね。
携帯用ウォシュレットを持っていけばいいって言ってたじゃないですか」
み「あ」
客「あ、じゃありませんよ。
使うためには、片手をバーから離さなきゃならないじゃないですか」
↑和式では難しそうです。
み「なるほど。
その瞬間、大きく揺れたら……。
掴んでるのが1点だから、そこを支点に、身体が大きく振られることになるな」
客「なりますよ。
下手すりゃ、冷たい床に投げ出されます」
み「裏返しになるな。
惨めじゃ」
客「この上なく。
生涯のトラウマとなります」
み「にゃるほど。
それで痔主は、列車の和式トイレで用を足したくないと……」
↑どこで手に入れたんでしょう?
み「こういう結論に達したわけだな」
客「論理的に敷衍しなくても、一瞬で結論に達します。
酒は、ホテルの部屋で飲むのが一番です」
み「居酒屋とかには行かないの?」
客「トイレが危険です」
↑東京渋谷の居酒屋です。不評でしょうなぁ。
み「何でじゃ?
地震でも無い限り、居酒屋のトイレが揺れるわけなかろ」
客「青森の居酒屋は、ヘタすれば汲み取りですよ」
↑こんなのでは汲みに来ないと思いますが。
み「あちゃー。
そりは、あかんな。
トイレに入ったら、食欲が一瞬で失われるわ。
臭いで」
↑“くっさー”。久々画像です。
み「冬なら大丈夫かも知れんが」
客「なんで、冬は大丈夫なんですか?」
み「凍るじゃろ」
↑クチバシが凍ったハクチョウ。さすがに、青森ではありません。中国ウィグル自治区。もっと南方で越冬すべきです。
客「かなり、青森をバカにしてますね」
み「信州大学に行った友達に聞いたことがある。
冬は、着地した途端、ウンコが凍るって。
で、ウンコが、蟻塚みたいに円錐形に尖って積もっていく」
↑タンザニアの『セレンゲティ国立公園』。
み「そのうち、便器から突き出てくる。
しゃがめなくなるから、ウンコの先端をトンカチで壊すそうじゃ」
↑実際の蟻塚は堅牢で、ハンマーで叩いても崩せないそうです。
客「何で汲み取りしないんです?」
み「凍っていると言ったじゃろ。
バキュームカーで吸おうにも、ガチガチじゃから、吸えないんじゃ」
↑中国では、いろんなことが起こります。
み「春になるまで、そのままです。
信州の人は、トイレのウンコが解けることで、春を実感すると云う」
↑最近は、こういう方も多いようです。
客「どう考えても、ホラとしか思えません」
み「聞いた話じゃでな」
↑『しながわ宿場まつり』江戸町人行列の瓦版売り。
客「でも、どうしてそんな口調になるんです?」
律「ウソ言ってるときの癖なんですよ」
客「やっぱり」
み「黙らっしゃい!」
み「でも、ホテルの部屋で飲むのが一番というのは……。
わが意を得たりです」
客「あなたと意見が会うと、なんだか不安になります」
み「なんでじゃ!」
客「どうして、ホテルの部屋で飲むんです?」
み「わたしがホテルに泊まるのは……。
ひとりで東京に遊びに行ったときだけです。
すなわち、ひとりなわけ」
↑昨年、『スーパーホテル東京・亀戸』に泊まった部屋です。
客「はぁ。
今風の店なら、トイレの心配はいらないでしょ。
どうして、飲みに出ないんですか?」
み「知らない店に、一人では入りづらいではないか」
↑わたしには出来ない芸です。わたしがやったら、ものすごく挙動不審になると思います。飲み逃げと間違いかねられん。
客「ま、そうかも知れませんが。
今なら、店の情報はネットで調べられるでしょ。
口コミとかも載ってますし」
み「一人で店で飲んでて、楽しい?」
↑行かない方が普通です。
客「楽しいんじゃないですか?
カウンターで、店主から話を聞いたり」
↑気詰まりなだけで、ぜったい楽しくありません。
み「わたしは、初対面の人とは、よう喋れんのじゃ」
客「わたしも確か、初対面ですが」
み「アホは例外じゃ」
客「誰がアホなんですか!」
み「とにかく、カウンターで、店主と喋りながら飲むなんて……。
考えただけでも気鬱じゃわい」