2025.5.16(金)
次の瞬間、主婦は驚きの行動に出た。
スマホポーチを肩から外すと、身を沈めながらチュニックを頭上に抜きあげたのだ。
レギンスは穿いているが、股間が刳り抜かれているから、ほぼ全裸と云っていい。
主婦は、そのまましゃがみこんで膝を抱えた。
「それ、外しといて」
チュニックを指さした。
低木の上に被さっている布地を拾いあげる。
裾にトゲが刺さっていた。
この木は、通っていた小学校にもあった。
確か、カラタチという手書きの樹名板が下がっていた覚えがある。
小学校や公園に植えられてるということは……。
区の木か何かなのだろうか。
「取れそう?」
「大丈夫」
主婦の手が、低木上のスマホポーチを浚った。
まさかバイブを出すつもりかと思ったが……。
さすがに違った。
出したのは、ポケットティッシュだった。
あんなのだけで始末できるのだろうか。
野外なのでそれほど強くは感じないが、明らかに便臭が漂っていた。
「取れたよ」
なんとか、布地を傷つけずにトゲから解放できた。
主婦はもう、後始末を終わったようだ。
「ちょうだい、それ」
主婦が、しゃがんだまま手を伸ばしてきた。
チュニックを渡そうとしたところで、いたずら心が芽生えた。
侑人は布地を持ったまま後ずさり、ベンチ脇まで下りた。
低木の植えこみは、ベンチのあるレンガ敷きから1段あがっているのだ。
「ちょっと!」
「取りに来て」
「馬鹿言わないで」
侑人は街路を振り返った。
人通りはまるでない。
街路を挟んだ向かいの住宅は、高い塀で囲われている。
侑人は布地を持ったまま、通りが見通せるところまで出た。
左右を確認したが、立っているのは電柱だけだった。
主婦は、生け垣から顔半分を出していた。
目が怒っている。
侑人は、大きく手招きをした。
主婦は出てこようとはしなかった。
スマホポーチを肩から外すと、身を沈めながらチュニックを頭上に抜きあげたのだ。
レギンスは穿いているが、股間が刳り抜かれているから、ほぼ全裸と云っていい。
主婦は、そのまましゃがみこんで膝を抱えた。
「それ、外しといて」
チュニックを指さした。
低木の上に被さっている布地を拾いあげる。
裾にトゲが刺さっていた。
この木は、通っていた小学校にもあった。
確か、カラタチという手書きの樹名板が下がっていた覚えがある。
小学校や公園に植えられてるということは……。
区の木か何かなのだろうか。
「取れそう?」
「大丈夫」
主婦の手が、低木上のスマホポーチを浚った。
まさかバイブを出すつもりかと思ったが……。
さすがに違った。
出したのは、ポケットティッシュだった。
あんなのだけで始末できるのだろうか。
野外なのでそれほど強くは感じないが、明らかに便臭が漂っていた。
「取れたよ」
なんとか、布地を傷つけずにトゲから解放できた。
主婦はもう、後始末を終わったようだ。
「ちょうだい、それ」
主婦が、しゃがんだまま手を伸ばしてきた。
チュニックを渡そうとしたところで、いたずら心が芽生えた。
侑人は布地を持ったまま後ずさり、ベンチ脇まで下りた。
低木の植えこみは、ベンチのあるレンガ敷きから1段あがっているのだ。
「ちょっと!」
「取りに来て」
「馬鹿言わないで」
侑人は街路を振り返った。
人通りはまるでない。
街路を挟んだ向かいの住宅は、高い塀で囲われている。
侑人は布地を持ったまま、通りが見通せるところまで出た。
左右を確認したが、立っているのは電柱だけだった。
主婦は、生け垣から顔半分を出していた。
目が怒っている。
侑人は、大きく手招きをした。
主婦は出てこようとはしなかった。
コメント一覧
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1. Mikiko- 2025/05/16 05:40
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今日は何の日
5月16日は、『旅の日(https://zatsuneta.com/archives/105161.html)』。
旅を愛する作家や芸術家などによって結成された……。
『日本旅のペンクラブ(旅ペン)https://tabipen.jp/』が、1988(昭和63)年に制定。
1689(元禄2)年5月16日(旧暦:3月27日)。
俳人・松尾芭蕉(まつお ばしょう/1644~1694)が……。
江戸から、『おくのほそ道(奥の細道)』へと旅立ちました。
上記の記述は、こちら(https://zatsuneta.com/archives/105161.html)のページから転載させていただきました。
さらに同じページから、引用を続けさせていただきます。
隅田川から日光街道を北へ進み、下野、陸奥、出羽、越後、加賀、越前など……。
芭蕉にとって未知の国々を巡る、全行程約600里(約2400km)に及ぶ徒歩の旅でした。
芭蕉は体が弱かったため、困難も多かったのですが……。
2年後の1691(元禄4)年、江戸に帰りました。
『奥の細道』とも表記されますが、1702(元禄15)年に刊行された原題名の『おくのほそ道』が正式とされ……。
中学校国語の検定済み教科書では、すべて『おくのほそ道』と表記されてます。
記念日制定は、せわしない現代生活の中で忘れがちな「旅の心」を大切にし……。
「旅人」とは何かという思索を、あらためて問いかけることが目的。
続きは次のコメントで。
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2. Mikiko- 2025/05/16 05:40
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今日は何の日(つづき)
引用を続けます。
「日本旅のペンクラブ」では、「旅の日」川柳の募集と大賞選定などの活動を行ってます。
関連する記念日として、芭蕉の忌日に由来して……。
10月12日は、『芭蕉忌(ばしょうき)https://zatsuneta.com/archives/110125.html』となってます。
以上、引用終わり。
いつも思うんですが……。
芭蕉って、こんなに昔の人だったの?、ということです。
芭蕉が「おくのほそ道」に旅立ったのが、1689(元禄2)年。
江戸時代のごく初期ですよね。
5代将軍、徳川綱吉の治世。
江戸はもう、整備されてたかも知れませんが……。
地方なんかにはまだ、戦国時代の生々しい痕跡が残ってたんじゃないでしょうか。
そこを、歩いて行くわけですからね。
芭蕉は、1644年の生まれですから……。
旅立ちの歳は、45か。
ま、この程度の歳なら、まだ行けたのか。
今のわたしより、若いわけですから。
わたしはもう、長時間歩くことは難しいと思います。
若いころは、歩いてることなんか意識しないで歩いてました。
何の苦痛もありませんでしたから。
東京に遊びに行ったときは、渋谷から阿佐ヶ谷まで歩いたりしてました。
今はもう、腰が保ちません。
前回、会津に行ったときは、ホテルが確か、14時にチェックインできました。
なので、会津で着いたら、すぐにホテル入り。
で、部屋でコルセットが巻けました。
朝から巻いて出ると、電車やバスの中で座ってるのが辛いんですよ。
締めつけられて。
締めつけられない程度の巻き方じゃ、巻いてる意味ありませんし。
続きはさらに次のコメントで。
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3. Mikiko- 2025/05/16 05:41
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今日は何の日(つづきのつづき)
コルセットだけじゃなく、ロキソニンテープも部屋で貼れました。
もちろん、駅などのトイレで着けることもできるでしょう。
でも、到着直後のトイレには、行列が出来てることもあります。
わたしは気が小さいので……。
人を待たせて、コルセットを巻いてるかと思うと、気が気じゃありません。
今度行くときも、チェックインの早いホテル、探したいです。
パソコンとか、重い荷物も置いていけますし。
さて、その旅行。
前回が、2022年でした。
その後、2023年、2024年と行かなかったのは……。
『単独旅行記』の連載が終わらなかったからです。
まだ前の旅行記を書いてるうちに、次の旅行に出るわけにいかないです。
旅行が楽しくなくなっちゃいます。
「重き荷を負ひて遠き道を行くが如し」の気分ですよ。
しかしねー。
この3年のうちに、ホテル代が爆騰してしまいましたよね。
特に東京。
今、1万円以内じゃ泊まれないんでしょう?
かといって、カプセルホテルとかには泊まる気になれません。
食べ飲み出来ないじゃないですか。
東京は、まだ行きたい植物園があるんですよね。
『国立科学博物館附属自然教育園(https://ins.kahaku.go.jp/)』とか……。
都立の『林試の森公園(https://www.tokyo-park.or.jp/park/rinshinomori/)』。
東大附属の『小石川植物園(https://koishikawa-bg.jp/)』。
1年に1度と思って、割り切って泊まるしかないですね。