2025.2.16(日)
ようやく電話が終わり、老人が携帯を差し出した。
通話は、まだ切れていなかった。
母親から、くれぐれも迷惑を掛けないようにと念を押された。
それから、明日停まる駅には、母親が迎えに来るって。
ボクだけ引き取って、老人夫妻には旅行を続けてもらうつもりだって。
それなら、ボクも心苦しくない。
ようやく電話を切ることができた。
「そうだ。
ツーショットの写真を撮って、お母さんに送ってあげよう」
老人が、車椅子の傍らにしゃがみこんだ。
腕を伸ばし、2人並んだ写真を撮る。
「あと、これも送った方がいいな」
老人は胸ポケットから財布を出した。
中から抜き出したのは、運転免許証と名刺だった。
老人は、その2枚を胸の前にかざした。
「顔も入れて撮ってくれないか」
免許証と名刺の入ったバストショットを撮影する。
「会社はもう、非常勤の顧問なんだけどね。
でも、抽選に当たったのが嬉しくて役員会で話したから……。
今日、わたしがこれに乗ることは、みんな知ってる。
なにしろ、壮行会まで開いてくれたんだから。
最も彼らは、それにかこつけて飲みたいだけだったんだろうけどね。
だから、お母さんが名刺の番号に電話をすれば……。
今日、この列車に乗る非常勤顧問がいることは確認できるはずだ。
土曜日だけど、誰か出てるはずだよ」
母親なら、たぶん電話するだろうと思った。
でも実際には、しなかったみたいなんだ。
ネットで会社のホームページを確認したら、役員の顔写真が載ってたんだって。
「送った?
それじゃこれからも、1時間おきくらいに写真を撮って送ってあげたらいい。
あと、一緒に乗るわたしの妻のことなんだけどね。
今、飲み物を買いに行ってる。
まだ、60を過ぎたばかりなんだが……。
どうやら、若年性のアルツハイマーらしいんだ。
最近ときどき、言うことがトンチンカンになってたから、医者に診せたらそう言われた。
でもまだ、初対面の人に気づかれるほどの症状じゃないんだ。
それでも、しばらく一緒にいると……。
あれ?、って思うことがあると思う。
それだけ、ちょっと頭に入れておいてくれないか。
あ、来た来た」
通話は、まだ切れていなかった。
母親から、くれぐれも迷惑を掛けないようにと念を押された。
それから、明日停まる駅には、母親が迎えに来るって。
ボクだけ引き取って、老人夫妻には旅行を続けてもらうつもりだって。
それなら、ボクも心苦しくない。
ようやく電話を切ることができた。
「そうだ。
ツーショットの写真を撮って、お母さんに送ってあげよう」
老人が、車椅子の傍らにしゃがみこんだ。
腕を伸ばし、2人並んだ写真を撮る。
「あと、これも送った方がいいな」
老人は胸ポケットから財布を出した。
中から抜き出したのは、運転免許証と名刺だった。
老人は、その2枚を胸の前にかざした。
「顔も入れて撮ってくれないか」
免許証と名刺の入ったバストショットを撮影する。
「会社はもう、非常勤の顧問なんだけどね。
でも、抽選に当たったのが嬉しくて役員会で話したから……。
今日、わたしがこれに乗ることは、みんな知ってる。
なにしろ、壮行会まで開いてくれたんだから。
最も彼らは、それにかこつけて飲みたいだけだったんだろうけどね。
だから、お母さんが名刺の番号に電話をすれば……。
今日、この列車に乗る非常勤顧問がいることは確認できるはずだ。
土曜日だけど、誰か出てるはずだよ」
母親なら、たぶん電話するだろうと思った。
でも実際には、しなかったみたいなんだ。
ネットで会社のホームページを確認したら、役員の顔写真が載ってたんだって。
「送った?
それじゃこれからも、1時間おきくらいに写真を撮って送ってあげたらいい。
あと、一緒に乗るわたしの妻のことなんだけどね。
今、飲み物を買いに行ってる。
まだ、60を過ぎたばかりなんだが……。
どうやら、若年性のアルツハイマーらしいんだ。
最近ときどき、言うことがトンチンカンになってたから、医者に診せたらそう言われた。
でもまだ、初対面の人に気づかれるほどの症状じゃないんだ。
それでも、しばらく一緒にいると……。
あれ?、って思うことがあると思う。
それだけ、ちょっと頭に入れておいてくれないか。
あ、来た来た」
コメント一覧
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1. Mikiko- 2025/02/16 05:49
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今日は何の日
2月16日は、『寒天の日』。
日本一の角寒天の産地である長野県の『茅野商工会議所(https://chinocci.or.jp/)』と『長野県寒天水産加工業協同組合(https://www.kanten.or.jp/)/長野県茅野市』が……。
2006(平成18)年に制定。
2005(平成17)年2月16日(今から20年前)……。
テレビの全国放送、NHK『ためしてガッテン』で、寒天が健康食品として紹介され……。
その後、大ブームとなったことを記念した日。
またこの時期は、天然製造の寒天が大詰めとなるころでもあります。
記念日は、『(社)日本記念日協会(https://www.kinenbi.gr.jp/)』により認定、登録されてます。
上記の記述は、こちら(https://zatsuneta.com/archives/102162.html)のページから転載させていただきました。
さらに同じページから、「寒天について」を引用させていただきます。
寒天は、テングサ(天草)、オゴノリなど……。
紅藻類の粘液質を、凍結、乾燥したものです。
https://zatsuneta.com/img/102162_02.jpg
↑オゴノリ。
英語では、マレー語からの借用により「agar-agar」、または短縮して「agar」と呼びます。
https://zatsuneta.com/img/102162_01.jpg
続きは次のコメントで。
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2. Mikiko- 2025/02/16 05:50
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今日は何の日(つづき)
引用を続けます。
乾燥寒天を冷水に浸し、沸騰させて炭水化物鎖を溶かし……。
ほかの物質を加えて漉し、38℃以下に冷ますことによって固めます。
寒天は、ゼラチンよりも低い、1%以下の濃度でもゲル化が起こります。
一度固まった寒天ゲルは、85℃以上にならないと溶けないため……。
温度変化に強く、口の中でとろけることがありません。
食用のゲル(ゼリー)の材料という点では……。
牛や豚から作られるゼラチン(gelatin)に似てますが、化学的には異なる物質です。
ゼラチンは、動物の皮膚、骨、腱などの結合組織の主成分であるコラーゲンに……。
熱を加えて抽出したもので、タンパク質を主成分としてます。
寒天は、成分のほとんどが食物繊維(アガロースやアガロペクチンなどの多糖類)からできてます。
ヒトの消化酵素のみでは分解されませんが、いくらかは胃酸により分解し、アガロオリゴ糖となって吸収され……。
生理的な作用を持つことが近年研究されてます。
また寒天には、整腸作用、便秘解消などの効果があるとされてます。
以上、引用終わり。
わたしは、平日の夕食に、コンニャクを食べてます。
おかずは冷凍弁当ですが、ご飯は付いてません。
平日の夕食では、炭水化物を摂らないことにしてるんです。
でも、お弁当のおかずだけでは物足りないので……。
コンニャクを追加してます。
規格外の形のが、ぎっしり袋詰めになったものを買ってます。
500gも入って、100円くらいです。
これを、2日に分けて食べてます。
続きはさらに次のコメントで。
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3. Mikiko- 2025/02/16 05:50
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今日は何の日(つづきのつづき)
でも、これが売ってるのは、いつも車で行くスーパーだけなんです。
先々週の土曜日は、大雪のため、車が出せませんでした。
なので、リュックを背負って、歩いて行けるスーパーに行きました。
やっぱり、いつも買ってるコンニャクは置いてありませんでした。
で、この日は、糸コンニャクを買って来ました。
いわゆる、シラタキ。
昔、これを夕食に食べてたことを思い出したからです。
糸コンニャクとシラタキは、地域によって呼び方が変わりますが……。
同じもののようです。
食べ方は簡単。
これを、麺に見立てるだけです。
ザルにあけて洗います。
そのザルのまま食卓に。
お椀に麺つゆを入れ、ワサビを添えます。
それだけ。
で、ザルのシラタキを箸で掬って……。
つけ麺のようにして食べるわけです。
美味しいですよ。
でも難点は、1本が長すぎること。
掬うとき、手を一杯に持ちあげてもまだ繋がってます。
その状態でお椀に入れようとすると……。
お椀の縁をツルツル滑って、元のザルに戻ってしまいます。
一手間ですが、いったんザルから出して、切った方がいいと思います。
わたしは面倒なので、切りませんでしたが。
たまに食べると美味しいものです。
でも昨日は、またいつものコンニャクを買ってきました。
もちろん、こっちの方が安いからです。
ここまで書いてきて……。
ぜんぜん「寒天」の話じゃなかったことに気づきました。
ま、いいですよね。