2025.1.20(月)
■
驚いて振り返ると、扉が開いていた。
しまった。
すっかり忘れていた。
小学校の総合学習で取材したとき、説明を受けていたのに。
このトイレの扉は、20分だったか、一定の時間が経過すると……。
自動的に開くようになっているのだ。
もちろん、中で利用者が倒れていたりする可能性があるからだ。
閉めなくては。
もう一度、扉のボタンを押せば閉まるはずだ。
侑人は慌てて立ちあがり、扉に駆け寄った。
まさにボタンに手が届こうとしたとき……。
侑人の脇をすり抜けて、車椅子が滑りこんできた。
侑人の手は、慣性でボタンに届いた。
駆動音を立てながら、扉がゆっくりと閉まる。
隙間から見えた廊下には、誰の姿もなかった。
扉は自動的に開いたのではなく、車椅子の人物によって開かれたようだ。
自動で開く前段階として、外から解錠できる状態になるのだろう。
侑人が振り向くと、主婦が半身を起こしていた。
呆然とした顔をしている。
そして、主婦と侑人に挟まれて、車椅子が止まっていた。
もちろん、人が乗っている。
小さな頭。
さらさらした髪が、照明を返して光っていた。
少年だ。
侑人と同年齢だろうか。
頭の角度からすると、少年は主婦を凝視しているようだ。
当然だろう。
全裸の女が、トイレの床に寝ていたのだから。
どうする?
車椅子の少年が、はっと気がついたように車輪脇のハンドリムを掴んだ。
もちろん、ここから出ようとしたのだろう。
しかし、このまま出てもらっては困る。
人を呼ばれたりしたら大事だ。
侑人は少年の背後に跳び寄ると、手押しハンドルに手を掛け、ブレーキレバーを握った。
それでも少年は、懸命にハンドリムを回そうとしている。
「押さえて」
侑人は、主婦に声を掛けた。
主婦の瞳に生気が戻った。
ようやく我に返ったようだ。
主婦は、尻を床から持ちあげた。
しかし、起ちあがろうとはしなかった。
蹲踞の姿勢のまま、車椅子ににじり寄る。
驚いて振り返ると、扉が開いていた。
しまった。
すっかり忘れていた。
小学校の総合学習で取材したとき、説明を受けていたのに。
このトイレの扉は、20分だったか、一定の時間が経過すると……。
自動的に開くようになっているのだ。
もちろん、中で利用者が倒れていたりする可能性があるからだ。
閉めなくては。
もう一度、扉のボタンを押せば閉まるはずだ。
侑人は慌てて立ちあがり、扉に駆け寄った。
まさにボタンに手が届こうとしたとき……。
侑人の脇をすり抜けて、車椅子が滑りこんできた。
侑人の手は、慣性でボタンに届いた。
駆動音を立てながら、扉がゆっくりと閉まる。
隙間から見えた廊下には、誰の姿もなかった。
扉は自動的に開いたのではなく、車椅子の人物によって開かれたようだ。
自動で開く前段階として、外から解錠できる状態になるのだろう。
侑人が振り向くと、主婦が半身を起こしていた。
呆然とした顔をしている。
そして、主婦と侑人に挟まれて、車椅子が止まっていた。
もちろん、人が乗っている。
小さな頭。
さらさらした髪が、照明を返して光っていた。
少年だ。
侑人と同年齢だろうか。
頭の角度からすると、少年は主婦を凝視しているようだ。
当然だろう。
全裸の女が、トイレの床に寝ていたのだから。
どうする?
車椅子の少年が、はっと気がついたように車輪脇のハンドリムを掴んだ。
もちろん、ここから出ようとしたのだろう。
しかし、このまま出てもらっては困る。
人を呼ばれたりしたら大事だ。
侑人は少年の背後に跳び寄ると、手押しハンドルに手を掛け、ブレーキレバーを握った。
それでも少年は、懸命にハンドリムを回そうとしている。
「押さえて」
侑人は、主婦に声を掛けた。
主婦の瞳に生気が戻った。
ようやく我に返ったようだ。
主婦は、尻を床から持ちあげた。
しかし、起ちあがろうとはしなかった。
蹲踞の姿勢のまま、車椅子ににじり寄る。
コメント一覧
-
––––––
1. Mikiko- 2025/01/20 05:50
-
今日は何の日
2025年1月20日は、『大寒』。
「大寒(だいかん)」は、「二十四節気」の一つで……。
第24番目にあたります。
現在広まってる定気法では……。
太陽黄経が300度のときで、1月20日ころ。
「大寒」の日付は、近年では1月20日または1月21日で、年によって異なります。
2025(令和7)年は、1月20日(月)となります。
「大寒」の一つ前の節気は、「小寒(1月5日ころ)」。
一つ後の節気は、「立春(2月3日ころ)」。
「大寒」には、期間としての意味もあります。
その場合、この日から、次の節気「立春」の前日(節分)までとなります。
西洋占星術では、「大寒」が「宝瓶宮(ほうへいきゅう:みずがめ座)」の始まりとなります。
「小寒」から「立春」前日の「節分」までの約30日間を……。
「寒(かん)」や「寒中」「寒の内」と呼びます。
「大寒」は、その真ん中にあたり、一年で最も寒い時期となります。
このころに、各地で一年の最低気温が記録されることが多くなります。
2024(令和6)年12月末時点で……。
「日本最低気温の日」は、1月25日となってます(北海道旭川市/1902(明治35)年:-41.0℃)。
https://zatsuneta.com/img/101200_01.jpg
江戸時代の暦の解説書『こよみ便覧(べんらん)』では……。
「冷ゆることの至りて甚だしきときなれば也」と説明してます。
ただし、「小寒の氷大寒に解く」という言葉もあり……。
「小寒」に比べて、「大寒」のほうが暖かい場合もあります。
この言葉は、物事が必ずしも順序通りにいかないことの例えとして用いられます。
続きは次のコメントで。
-
––––––
2. Mikiko- 2025/01/20 05:51
-
今日は何の日(つづき)
引用を続けます。
武道ではこのころ、精神を鍛錬するための「寒稽古」が行われます。
また、寒気を利用した食物である……。
凍り豆腐、寒天、酒、味噌などを仕こむ時期でもあります。
「大寒」の朝の水は、一年間腐らないとされていて……。
容器などに入れて納戸に保管する家庭もあります。
このほかに、この日に産まれた卵は栄養価が高いなどとも云われます。
「大寒」に由来する記念日として、『甘酒の日(https://zatsuneta.com/archives/101214.html)』『血栓予防の日(https://zatsuneta.com/archives/101205.html)』……。
『ぬか床の日(https://zatsuneta.com/archives/101217.html)』『シマエナガの日(https://zatsuneta.com/archives/10120a4.html)』があります。
以上、引用終わり。
『「大寒」の日付は、近年では1月20日または1月21日』とありますが……。
2017年から2052年までは、ずっと20日です。
最後に1月21日だったのが、2016年。
なお、2053年は、1月19日になります。
次に1月21日が大寒になるのは、2103年。
今から78年後ですから……。
これを読んでる方で体験できる人は、ほぼいないでしょう。
続きはさらに次のコメントで。
-
––––––
3. Mikiko- 2025/01/20 05:51
-
今日は何の日(つづきのつづき)
『「大寒」は、その真ん中にあたり、一年で最も寒い時期』とありますが……。
実際に一番寒いのは、大寒の後です。
ちなみに、新潟市の日別最低気温を見ると……。
1月28日~2月1日が、1.8℃で年間の最低になります。
大寒の1週間後くらいからですね。
節分直前が一番寒いわけです。
でも案外、そんなに寒くは感じないんですよね。
それはひとえに、身体が寒さに慣れてきてるからでしょう。
あと、日足が確実に伸びてきてますからね。
ちなみに、2月1日の日の出は、6時48分01秒(新潟市:以下同じ)。
一番日の出が遅かった1月5日は、6時59分56秒。
11分55秒も早くなってます。
2月1日の日の入は、17時06分55秒。
一番日の入が早かった12月7日は、16時24分31秒。
42分24秒も遅くなってます。
実際もう、日の入が遅くなってるのは実感できてますね。
そして大寒は、24番目の節気。
二十四節気の最後。
言ってみれば、ラスボスです。
でも、これで終わりなんですよ。
その次は……。
もう、なんと素晴らしい響きなんでしょう。
立春です。
春が立つんです。
今年は、2月3日になります。
2021年以来。
実は、2021年の立春は、ものすごく久しぶりな2月3日だったんです。
なんと、1885年以来。
2月3日というと、節分というイメージがありますから……。
その日が立春だと、1日得をした気分ですね。
今年の節分の2月2日は、日曜日。
もちろん、恵方巻きをいただきます。
今年の恵方は「西南西」だそうです。
いいですね。
南向きで。
昨年は確か、タレカツの恵方巻きを食べました。
今年は、何にしましょうかね。
今から楽しみです。