Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
由美と美弥子 4138
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「部屋で麻雀が始まりそうなんでね。
 逃げてきた」
「町に出るんすか?
 あ、ひょっとしてストリップ?」
「はは。
 ほかに行き場がなければ、そうなるかな」
「良かったら、うちらの部屋で飲みませんか」

 赤鬼の方が、手に持ったレジ袋を持ちあげました。
 コンビニの袋のようです。

「宴会抜け出して、いろいろ仕入れて来ましたから」

 持ち手を広げて見せてくれましたが、ウィスキーの瓶からロックアイスまでありました。
 本格的に飲むつもりのようです。

「部屋、ほかにも誰かいるんだろ。
 迷惑じゃないかな」
「それが、いないんすよ」
「2人部屋?」
「もともと3人だったんですよ。
 これ」

 赤鬼が小指を立てました。
 営業事務を取りまとめる女性がいましてね。
 どうやらその女性のことのようです。
 その女性にも、気の毒なあだ名がありました。
 赤鬼青鬼の親分ってことで……。
 閻魔大王です。
 ははは。
 歳は、この2人よりだいぶ若かったと思います。
 顔はむしろ、赤鬼青鬼よりはずっと人間らしかったです。

「子供が急に熱出したとかで、来れなくなったんすよ。
 超ラッキー。
 なんで、部屋で飲むことにしたんす」

 この赤鬼には、酒の上での噂がありました。
 何年か前の社員旅行で酔っ払って……。
 男性社員の前でストリップを披露したとか。
 それを見たという営業部員が話してくれたんですが……。

「洗濯板でしたよ。
 赤鬼じゃなくて、奪衣婆ですね」

 確かに、スマートを通り越して、ギスギスと骨張ってましたから。
 新入社員のひとりが、その裸を見て吐いたそうです。
 はは。
 それもまたヒドい話ですが。
 そういう酒癖なんでしょうね。
 飲むとタガが外れる。
 だから、部屋で飲むことにしたんだと思います。
由美と美弥子 4137目次由美と美弥子 4139

コメント一覧
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    • ––––––
      1. Mikiko
    • 2024/08/23 05:59
    • 今日は何の日
       8月23日は、『一遍忌』。
       鎌倉時代の僧侶で、時宗(じしゅう)の開祖である……。
       一遍(いっぺん)の、1289(正応2)年の忌日(旧暦/新暦では9月9日)。
       この日は、「一遍忌(いっぺんき)」のほかに……。
       「遊行忌(ゆぎょうき)」とも呼ばれます。

       上記の記述は、こちら(https://zatsuneta.com/archives/108236.html)のページから転載させていただきました。

       さらに同じページから、「一遍について」を引用させていただきます。

       1239(延応元年)年2月15日(旧暦/新暦では3月21日)……。
       伊予国久米郡(現:愛媛県)の豪族、河野通広(こうの みちひろ/出家して如仏)の第2子として生まれました。
       僧名は、智真(ちしん)。
       一遍上人(いっぺんしょうにん)、遊行上人(ゆぎょうしょうにん)、捨聖(すてひじり)とも尊称されます。
       10歳の時に母と死別し、父の勧めにより出家し、随縁と名乗ります。
       1251(建長3)年、13歳のおり、筑前国(現:福岡県)の大宰府(だざいふ)に移りました。
       浄土宗の開祖・法然(ほうねん)の孫弟子に当たる聖達(しょうたつ)の下で……。
       10年以上にわたり、浄土宗西山義(せいざんぎ)を学びます。
       1263(弘長3)年、25歳のとき、父の死をきっかけに……。
       還俗(げんぞく:一度出家した者が俗人に戻ること)して、伊予に帰りました。
       しかし、一族の所領争いなどが原因で、1271(文永8)年、32歳で再び出家。
       信濃国(現:長野県)の善光寺や、伊予国の窪寺、岩屋寺で修行しました。

       続きは次のコメントで。

    • ––––––
      2. Mikiko
    • 2024/08/23 05:59
    • 今日は何の日(つづき)
       引用を続けます。

       1274(文永11)年からは……。
       勧進帳と念仏札を携えて、諸国遊行(ゆぎょう)の旅に出ます。
       これが、遊行上人と称される由来です。
       摂津国(現:大阪府)の四天王寺、紀伊国(現:和歌山県)の高野山など……。
       各地を転々としながら修行に励みました。
       熊野本宮に参籠(さんろう:神社や寺院などに一定の期間こもって祈願すること)したおり……。
       阿弥陀如来の仮の姿とされる熊野権現(ごんげん)の神託を受けます。
       この時から、一遍と称しました。
       各地で民衆に念仏札を配り、念仏や踊り念仏を勧めます。
       1289(正応2)年8月23日(旧暦/新暦では9月9日)……。
       摂津国兵庫津(現:兵庫県神戸市兵庫区)の観音堂(後の真光寺)で死去。
       享年51。
       15年半に及ぶ遊行を終えました。

       以上、引用終わり。

       一遍上人という名前は、聞いたことがある気がします。
       でも、どういう人なのかは、まったく知りませんでした。
       亡くなったのは、満50歳。
       当時としては、そんなに短命ではないのかも知れません。
       織田信長が、人生50年と言ってたそうですから。
       でも、昔の人の平均寿命が短かったのは……。
       赤ん坊や子供のころの死亡率が高かったからでしょう。
       50歳になったら、みんな衰えて死ぬわけではありません。
       逆に、そこまで永らえた人は……。
       70くらいまでは生きたんじゃないですか。
       しかしねー。
       当時、何の後ろ盾もなく、各地を歩き回って布教するというのは……。
       並大抵なことじゃなかったでしょう。
       最後、観音堂で亡くなったのも……。
       衰弱死か何かじゃないですかね。
       食べ物は、托鉢みたいな形でしか得られなかったでしょうし。

       続きはさらに次のコメントで。

    • ––––––
      3. Mikiko
    • 2024/08/23 06:00
    • 今日は何の日(つづきのつづき)
       集落から集落の間は、腹を空かしたままひたすら歩くわけです。
       逆に、熊やオオカミに、自分が食われるかも知れなかったはずです。
       とても、「遊行」などとは云えない苦行だったでしょう。
       さて、その「遊行」ですが……。
       若いころは、わたしにとって親しい言葉でした。
       もちろん、わたしが遊行してたわけじゃありません。
       大手拓次という詩人が好きだったんです。
       ↓その人に、『美の遊行者』という詩がありました。

      +++
      ●美の遊行者
       そのむかし、わたしの心にさわいだ野獣の嵐が、
       初夏の日にひややかによみがへつてきた。
       すべての空想のあたらしい核(たね)をもとめようとして
       南洋のながい髪をたれた女鳥(をんなどり)のやうに、
       いたましいほどに狂ひみだれたそのときの一途の心が
       いまもまた、このおだやかな遊惰の日に法服をきた昔の知り人のやうにやつてきた。
       なんといふあてもない寂しさだらう。
       白磁の皿にもられたこのみのやうに人を魅する冷たい哀愁がながれでる。
       わたしはまことに美の遊行者であつた。
       苗床のなかにめぐむ憂ひの芽望みの芽、
       わたしのゆくみちには常にかなしい雨がふる。
      +++

       うーむ。
       懐かしい。
       ↓『藍色の蟇(ひき)』というのも良かったです。

      +++
      ●藍色の蟇
       森の宝庫の寝間(ねま)に
       藍色の蟇は黄色い息をはいて
       陰湿の暗い暖炉のなかにひとつの絵模様をかく。
       太陽の隠し子のやうにひよわの少年は
       美しい葡萄のやうな眼をもつて、
       行くよ、行くよ、いさましげに、
       空想の猟人(かりうど)はやはらかいカンガルウの編靴に。
      +++

       なんか、うちの庭を連想してしまいました。
       今は荒れ放題です。
       何代にもわたり、カナヘビが住んでます。
       彼らにとっては……。
       森の宝庫の寝間なんじゃないでしょうか。
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