Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
由美と美弥子 4117
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「そんなこと頼まれて、いいわよって言う主婦いるの?」
「それが成り行きなんじゃん。
 でも、昼間から飲んでるようなおばさんなんだから……。
 可能性は十分ありだよ」
「オレ、もう勃ってきたよ」
「我慢しろよ。
 不妊症だから、中に出し放題だぜ」

 マンションに着き、エレベーターで侑人の住む階まで上がる。
 平日の昼下がり、通路には誰の姿もなかった。
 侑人の住居のひとつ手前の扉前に立つ。

「ほんとに隣なんだな。
 やっぱりパラダイスだよ」

 インターホンを押す。

『はい』
「宅配便です」
『ほほ。
 キミがそんな冗談言うの、初めて聞くわ。
 今、行くから』

 程なく、玄関まで足音が近づいてきた。
 扉のシリンダー錠が外れる音がした。
 扉が外に向けて開き、主婦が顔を覗かせた。
 酒臭かった。

「入って」
「友達、連れて来たんだけど」
「え?」

 翔太の腕を取り、扉の隙間に引っ張り出す。

「おんなじクラスの翔太」
「こんにちは」
「どうして?」
「頼みがあるんです」
「どんな頼みよ?」
「とにかく、入れてもらえません?
 誰か通るかも知れないから」

 主婦は、侑人よりさらに小柄な翔太を値踏みするように、視線を上下させていた。
 体格だけなら、小学生にしか見えないだろう。
 危険性はないと判断したようだ。

「どうぞ」
「お邪魔します」

 2人連なって玄関に入る。
 たたきに靴は、ひとつも出ていなかった。
 夫婦2人暮らしで、ご主人は出勤中。
 たたきにあったのは、今、主婦が履いているサンダルだけだったのだろう。
 生活感のない玄関だった。
由美と美弥子 4116目次由美と美弥子 4118

コメント一覧
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    • ––––––
      1. Mikiko
    • 2024/07/24 05:57
    • 今日は何の日
       7月24日は、『劇画の日』。
       1964(昭和39)年7月24日(今から60年前)。
       『青林堂(http://www.garo.co.jp/)』の創業者、長井勝一(ながい かついち/1921~1996)が……。
       劇画雑誌『月刊漫画ガロ』を創刊しました。
      https://zatsuneta.com/img/107241_02.jpg

       白土三平(しらと さんぺい)の『カムイ伝』をはじめ、水木しげる(みずき しげる)の『鬼太郎夜話』……。
       つげ義春(つげ よしはる)の『沼』『ねじ式』などが登場し、大人向け劇画ブームの拠点となりました。
      https://zatsuneta.com/img/107241_01.jpg

       『ガロ』は、大学生など比較的高い年齢層の読者に支持され……。
       独創的な誌面と伝説的経営難の中で、独自の路線を貫き、漫画界の異才をあまた輩出しました。
       独自の作家性を持つ個性的な漫画家たちの作風は、「ガロ系」と呼ばれました。

       上記の記述は、こちら(https://zatsuneta.com/archives/107241.html)のページから転載させていただきました。

       続きは次のコメントで。

    • ––––––
      2. Mikiko
    • 2024/07/24 05:57
    • 今日は何の日(つづき)
       さらに同じページから、引用を続けさせていただきます。

       その後『ガロ』は、青林堂の創業者である長井勝一の死去に伴い衰退し……。
       1997(平成9)年、休刊となりました。
       翌1998(平成10)年、いったん復刊しましたが……。
       2002(平成14)年以降は、実質発行がない状態となってます。
       その一方で、1998(平成10)年からは、青林堂の系譜を引き継いだ青林工藝舎が……。
       事実上の後継誌『アックス(AX)』を隔月で刊行してます。

       劇画(げきが)は、漫画の表現技法、もしくは漫画のジャンルの一つです。
       「劇画」という名称は、漫画家の辰巳ヨシヒロ(たつみ ヨシヒロ/1935~2015)の考案によるものでした。
       1959(昭和34)年に結成された劇画工房の誕生以降の劇画ブームによって……。
       世間一般に、「劇画」という名称が定着していきました。
       劇画とは、それまでの子供向け漫画から一線を画した漫画表現の手法です。
       辰巳らは、自分たちの作品が、子供向けという評価を受けることを極端に嫌ってました。
       作風としては、ハリウッド映画やハードボイルド小説の影響が大きいものでした。
       劇画工房の結成に携わった8人のうちの1人が……。
       劇画界の代表的人物、さいとう・たかを(1936~2021)です。
       貸本漫画時代に、劇画の分野を確立した人物の1人でした。
       一般漫画の世界に転向後も……。
       『ゴルゴ13』『鬼平犯科帳』など、数々のヒット作品を生み出しました。

       以上、引用終わり。

       続きはさらに次のコメントで。

    • ––––––
      3. Mikiko
    • 2024/07/24 05:58
    • 今日は何の日(つづきのつづき)
       『ガロ』という雑誌の名称は、聞いたことがあります。
       でも、買ったことはないですし、店頭で見かけた記憶もありません。
       ↑に出て来る漫画で、読んだことがあるのは『ゴルゴ13』だけです。
       読んだ場所は、住んでたアパート近くのラーメン屋さん。
       今で言う、町中華ですね。
       カウンターしかないお店でした。
       椅子が5つくらいでしたかね。
       でも、満席で座れなかった記憶はありません。
       お客はわたしひとりということがほとんどでした。
       お酒を飲んで長っ尻をするお客もいません。
       ラーメンやチャーハンを食べて、さっと帰る人ばっかりだったと思います。
       わたしも、このお店でお酒を注文した記憶はないです。
       行くのは、日曜の夜が多かったのかな。
       お休みが終わってしまうことを噛みしめながら食べました。
       白湯チャンポンというのが美味しかったんですよ。
       わたしは、本場のチャンポンを食べたことがありません。
       なので、どのくらいアレンジされてるのかも判断できません。
       スープが白く、かまぼこの細切りみたいな具が入ってたと思います。
       麺は、普通の中華麺でした。
       少し堅めの細麺。
       わたしの好みでした。

       続きはさらにさらに次のコメントで。

    • ––––––
      4. Mikiko
    • 2024/07/24 05:58
    • 今日は何の日(つづきのつづきのつづき)
       で、奥の本棚に漫画がたくさん並んでたんです。
       読むのは、ほぼ『ゴルゴ13』だけでした。
       でも、そんなに大きな本棚じゃないので……。
       すべて読んでしまって、再読、再々読というのがほとんどでした。
       で、たまに新しいのが読みたくなりました。
       でも、お店のご主人にお願いするのは申し訳ない。
       ということで、古本屋で仕入れて来ました。
       ご主人は、カウンター越しに調理してます。
       その目を盗んで、本棚から1冊抜き出して席に戻ります。
       で、実際には、古本屋で買ってきた方を読むわけです。
       もちろん、帰り際には、2冊を本棚に戻します。
       これを何回か繰り返すと……。
       ご主人も、ヘンに思ったらしいです。
       本棚の本が、だんだん増えていくわけですから。
       どうやらご主人も……。
       わたしの仕業であることがわかってきたみたいでした。
       ときおり、カウンター越しにわたしの手元を覗きこんだりしてました。
       にこにこ笑ってて、「わかってますよ」というようなお顔でした。

       何年か前の『単独旅行記』で、このとき住んでたアパートを訪ねました。
       アパートはなくなって、駐車場になってました。
       そのおり、あのお店も訪ねたんです。
       開いてれば食べてみようかなとも思ってました。
       でも、見つかりませんでした。
       場所をはっきりと記憶してなかったんですが……。
       いくら歩き回ってもありません。
       知らないマンションが建ってたので……。
       ひょっとしたら、その場所にあったのかも知れません。
       今はもう、記憶の中だけのラーメン屋さんです。
       日曜の夜の切なさと、『ゴルゴ13』と、白湯チャンポン。
       何もかも、みな懐かしい……。

    • ––––––
      5. 手羽崎 鶏造
    • 2024/07/24 10:44
    • 町中華には定番の、油と手垢でうす汚れた漫画本が
      なぜか増えていく話。
      いい話ですね。
      (強欲な管理人さまの仕業とはとても思えない)

    • ––––––
      6. Mikiko
    • 2024/07/24 11:16
    • 失敬な!
       ま、あの町中華の本棚は……。
       自分の図書館だと思ってたってことですけどね。
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