2024.6.27(木)
この『単独旅行記Ⅶ・総集編(10)』は、『単独旅行記Ⅶ(091)』から『単独旅行記Ⅶ(100)』までの連載を、1本にまとめたものです。

み「あの大木は、サクラだな」
ハ「♬春~高楼の~花の宴~。
ちゅうこっちゃな」
み「実際に落城した跡だから……。
身に沁みるわ」

み「この屋根の雑草……。
ここまで生やすと、むしろ風情だね」
ハ「桧皮葺(ひわだぶき)やろかな」
み「お金かけて拭き直しても……。
どうせ何年後かには、またこうなるんでしょ」

ハ「下地が出とる」
み「いっそ、壁土でも塗ったらどうだろ」

み「下地さえ見えなきゃ、いい風情だよ」
ハ「しかし、あんな薄っぺらな木の皮の上で生きるんやから……。
大したもんやな」
み「雑草には勝てませんわ」

み「ん?
胞子が見える。
シダ植物?
ちょっと調べて」
ハ「はは。
雑草やなかったで。
ノキシノブや」
み「ノキシノブって、シダなの?」
ハ「ウラボシ科ノキシノブ属に属するシダの一種やて」
み「そんなら、植えたのか」
ハ「元々、樹皮なんかに着生する植物やな」
み「檜皮葺は、絶好の住まいってことか。
お見逸れしました。
雑草生やしてるなんて言って申し訳なかった」

み「ここはクマザサの天下だね。
地下茎で伸びるから……。
ヘタに庭なんかに植えたら大ごとになる。
隣の家の庭に伸びていったりするから。
どうしても植えたいなら……。
根止めしないと」
ハ「なんやそれ?」
み「根が伸びていってほしくない方に……。
波板とかを縦に埋めるわけ」
ハ「えらい大変やろ」
み「だから植えるなってこと。
そこまでして使いたいほどの植物じゃないって」

み「あ、カエル」

み「かと思ったら、違ってた」

み「この下草は何だろ?
蔦っぽいけど。
ヘデラカナリエンシスとは色が違うし」
ハ「なんやその、ヘデラなんちゃらちゅうのんは?」
み「日本名、オカメヅタ。
でも常緑で、もっと葉の色が濃いからね。
これはいかにも、春に出た葉っぽい」
ハ「また調べるんか?
だいぶ時間、食うとるで」
み「あ、そうだった」

み「『月見櫓(つきみやぐら)』か。
実際、何百年も……。
そうした風流な目で愛でる風景だったわけだ。
それが突然、戊辰戦争で本来の役割で使われたわけだよね」
ハ「まさに『荒城の月』やな」

み「あの石段の上にあったわけだな」
今 荒城の 夜半の月
かわらぬ光 誰がためぞ
垣に残るは ただ葛
松に歌うは ただ嵐
(『荒城の月』)

み「これが、櫓の基礎?
案外小さいな。
しかし眺めはいいね」
ハ「当時は、あないな木もなかったやろしな」

み「げ。
堀が見える。
怖わっ」
ハ「高所恐怖症か?」
み「そうでもないけど……。
水がダメなのよ」
ハ「狂犬病やないんか?」
み「ばぅ!」

み「木漏れ日じゃ。
まさしく、今が一番の季節よのぅ」

ハ「下、見とらんかったら、転げ落ちるで」
み「ひょえー。
水はダメじゃ」
ハ「やっぱ、狂犬病や」
み「ばぅっ!」

み「この木、樹形からして、ソメイヨシノだろ。
コンクリートの天守が復元されたのって、いつだっけ?」
ハ「昭和40年やな。
1965年や」
み「そのとき植えられたとしたら……。
今年は、2022年だから、57年か。
そろそろ、寿命に近いね。
でも、頬杖(ほおづえ)付けてもらって……。
大事にされてるよ」
ハ「頬杖って、あの枝を支えとる支柱か?」
み「そう。
ソメイヨシノは……。
横に張り出した枝が、異様に太くなるんだよ。
そのままにしておくと、台風なんかで枝が折れる。
あれだけの太さだから……。
幹まで裂けてしまうこともある。
これが、寿命の短い原因のひとつだと思う。
それより、人にあたったりしたら大変だしね。
あの太さなんだから、タダじゃ済まない。
だから、ソメイヨシノの並木は、けっこう危険なんだよ。
ただ綺麗ってだけで街路樹にするのは、考えもの」
ハ「語るやないけ」
み「街路樹評論家と呼んでくれたまえ」

み「枝が腐りかけとる。
ソメイヨシノの下のベンチは、危険だと思うぞ」

ハ「ええ眺めやな」
み「本来、この芝生の上には、本丸とかが建ってたんだよね。
でも景観的には、むしろない方がいいよな。
何にも建てないで芝生にしたのは、慧眼だよ。
予算の問題だったかも知れないけど」

ハ「さっぱりしとって、ええとこやな」
み「東京でこんなとこがあったら……。
人でいっぱいだと思う。
人がいないってのがスゴいよ」
ハ「褒めとんのか?」
み「あたぼうよ」

み「ん?
この階段、どこに出るんだ?
ちょっとあがってみたいから……。
負ぶってくれんか」
ハ「でけるか!」
み「結局、わたしばっかり歩いてるではないか」
ハ「言うても仕方ないやろ」
み「ちぇ。
ほな、行きますか。
よっこらしょっと」
ハ「ババ臭いがな」
み「やかまし」

み「ひょえー。
またここに出た」
ハ「すかたんやがな」

み「怖わー」
ハ「やったら覗くな!」

み「げ、行き止まりだ。
わざわざ登って……。
怖い目を見ただけか」
ハ「お帰りは、さっきの石段やな」

み「ひこばえが生えてる。
根元に陽があたるからね。
森の中じゃ、地際が暗いから……。
こんなとこから葉っぱは出ない」
ハ「また評論家か」
み「植物については、常に一家言あります」
ハ「おかげで、えらい押しとるで」
み「そうだった」

み「走長屋?
何それ?」
ハ「押しとるで」
み「ちょっとだけ調べて」
ハ「天守と櫓を繋いどるみたいやな」
み「なるほど。
櫓から見えたことを、天守に伝えるための通路か。
有事に備えた造りだね。
そりゃ、走るわな。
ん?」
ハ「何や?」
み「天守からの方が、よく見えるんじゃないの?」
ハ「わしゃ知らんで」

み「おー、かっちょえー。
日本のお城って、やっぱりいいよね。
青空によく映えるわ。
逆に外国の城って……。
嵐の中に建ってるイメージだよね」
ハ「思い切り偏見やがな」

み「市(いち)の再現か?
でも、ほんとにこんなのが建ってたわけ?
普通、露天でしょ」
ハ「どうやら、当時の様子を再現しとるわけやないみたいやで。
実際にここで、物を売るイベントがあったらしいわ。
大賑わいやったそうやで」
毎年、春と秋、2回イベントが開催されるようです。
春は、3月末からゴールデンウィークまで。
残念ながら、わたしが訪ねたのは5月末でした。

み「吸いこまれそうじゃ」
ハ「やったら覗くなや」

み「あれ、魚じゃない?」
ハ「鯉かも知れんな」

み「さて、帰りますか。
良かった良かった。
電動自転車、盗まれてなかった」
ハ「こんなん盗んだら、目立ちすぎわや」

み「おー、修学旅行じゃな。
でも、中学生だよね。
わたしは、小学生のときだったけど……。
近かったからだろうね。
どこから来てるんだろ」
ハ「聞いてみればいいがな」
み「シャイだから無理」
ハ「中学生相手に……。
大人が恥ずかしがってどないするんや」

み「分別、しっかりしてるな。
行楽地で、『ゴミはお持ち帰り下さい』ってとこがあるけど……。
あれはどうかと思うね。
客を呼んでおいて、ゴミは持って帰れはないでしょう。
その点、これは好感もてるわ。
でも、燃えるゴミだけ、なんで網張ってあるんだ?」
ハ「カラス対策やろ。
弁当の食いさしとかも入れられるんやないか」
み「なるほど。
カラスに荒らされても……。
『ゴミは持って帰れ』にならないのがいいよ。
記念だから、何か捨てたくなった」
ハ「手ぶらやないか」
み「あんた、捨てるか」
ハ「やめんか!」

み「喫煙所まであるわ。
しかし、ほんとタバコ止めて良かったよ。
不自由になったもんね」

み「さーて、お帰りだ。
木漏れ日が気持ちいいのぅ。
しかし、人がいなくてほんとに走りやすいわ。
東京だったら、とてもこうはいかないよ」
ハ「新潟はどないやねん?」
み「はは。
限りなく会津若松に近い。
東京旅行の帰り、自宅の最寄り駅に降りると……。
人が居なすぎてびっくりするよ。
薄気味悪いくらい」

み「のれんが出てる。
食べ物屋かね?」
ハ「寄ってけばいいがな」
み「また今度。
もう帰りのバスまで、あんまり時間がないから。
それ逃したら、今日中に帰れなくなっちゃう」
この写真を撮ったのは、13時ころでした。
お城に入ったのが、11時半ころ。
1時間半もいたんですね。
でも、何かを食べた記憶はありません。
食べ物は売ってなかったと思います。
腰痛予防に、定期的にロキソニンを飲んでたので……。
服薬用のゼリー飲料は飲んでたかも知れませんが。

み「なんだここ?
学校みたいだけど……。
バリケードしてある。
全共闘か?」
ハ「んなわけあるかい。
バリケードやのうて、車止めやがな。
歩行者専用の門らしいな」
み「そしたら、もうちょっと見た目、なんとかできないの?」

み「これ、完全に工事現場のでしょ」

み「またバリケードだ。
これは、車止めじゃないよね。
しかし立派な建物だな。
何だったんだろ?」
ハ「はいはい。
調べるわけやな。
なるほどなるほど。
立派なわけやで。
旧・会津若松市役所や。
1937(昭和12)年に建てられとるな」
み「でも、バリケードってことは……。
取り壊されるわけ?」
ハ「保存されるみたいやで。
今はその準備期間ちゅうことやないか」
み「そんなら良かった」

み「歩道が広くて走りやすいわ。
でもこれ、明らかに冬の除雪対策だよね。
車道の雪を、歩道に積みあげるんだよ。
だから、ガードレールもないでしょ」
ハ「冬の間の歩道は……。
点字ブロックのあたりだけが、確保されるちゅうこっちゃな」
み「左様。
しかし、脇の駐車場から車を出すのは大変だと思うよ。
除雪車は、そこだけ避けてなんてくれないからね。
毎朝、雪山を掘り分けなきゃなんないね」
ハ「朝から、腰いわすがな」
み「積雪地帯の人口が減ってくのも……。
やむを得ないよ」

み「あ、ソースカツ丼の店だ。
そう云えば、前回会津に来たとき……。
これ、食べた気がする」
ハ「どないな味や?」
み「忘れた。
でも、だいたい想像できるでしょ。
要は、カツにソースが絡んでるんじゃないの?
新潟のタレカツ丼とどう違うのかな」
ハ「そりゃ、タレとソースの違いやろ」
み「言い方の違いじゃないのかな。
ソースっていっても……。
ウスターソースみたいなのを上からかけてあるんじゃなかったと思う。
ソースに潜らせてある感じかな。
見た目は、タレカツ丼と一緒だったと思う」
ハ「なんや、覚えとるやないけ。
なんで味だけ忘れるんや?」
み「知らん」
ハ「ここで食うてみればいいがな」
み「時間がないの。
『満室』って書いてあるし」
ハ「アホか。
あれは、隣のマンスリーマンションのことやがな」
み「紛らわしい!」

み「どこまでも真っ直ぐじゃ」
ハ「どこ行くんや?」
み「帰る前に、もう1箇所寄りたいんだけど……。
何となく不安になってきた。
こんな開けた感じの場所じゃなかった気がする」
ハ「グーグルマップ、見たらいいがな」
み「わたしはあれが苦手なの。
見てると、頭がぐるぐる回る気がして。
紙の地図の方が、よっぽどマシだよ」
ハ「紙の地図も見とらんやないけ」
み「なんとなく惰性で走ってしまう。
電動自転車のせいかね」
ハ「わけわからんわ」

み「あ、地図があった。
うーむ。
どうやら、逆方向に走ってる気がする」
ハ「よういわんわ」

み「市街地に戻ってきたな。
なんとなく光明が見えて来たぞ」
ハ「あのまま逆に走っとったら……。
えらいこっちゃやで」

み「あ、たぶんあそこだ。
左のガラスブロックの店。
『昭和なつかし館』」
ハ「奇跡的にたどり着けたようやな。
良かったやないか」
み「でも寄らない」
ハ「なんでや!」
み「気が急く。
何だか、バスに乗り遅れる気がする」
ハ「今、何時や?」
み「13時15分」
ハ「バスの時間は?」
み「14時45分」
ハ「は?
1時間半もあるやないけ。
30分見学しても余裕やろ」
み「バス停まで、真っ直ぐたどり着けると思う?
その前に、駅でこの自転車も返さなくちゃならないし」
ハ「そないなこと言うとったら、旅行にならんがな」
み「今はもう、ゆっくり見学してられる精神状態じゃないの。
さっきの逆走がトラウマになってる。
帰るぞ!」
ハ「好きにしなはれ」

み「やっぱり雪国だね。
いわゆる“雁木(がんぎ)通り”の進化形だ。
歩道が広いわ」
ハ「冬は助かるやろな」

み「こっちは旧道だね。
歩道は狭いし、雁木もないし……。
冬は大変だろうな」
ハ「ますます寂れてまうがな」
み「横断歩道まで消えかけてる。
でも、道の真ん中に消雪パイプがあるね」
ハ「除雪の必要はないちゅうことやな」
み「大雪のときは、解かし切れないでしょ。
あと、解けた雪がタイヤで跳ねられるから……。
歩行者はたまったもんじゃないと思う」
ハ「ますます人通りが遠のくがな」

み「あ、サトちゃんだ。
確か、佐藤製薬だよね。
愛称の“サトちゃん”はわかるけど……。
なんで象なんだろ?
ちょっと調べて」
ハ「気が急くんやなかったんか?」
み「急くから早く!」
ハ「はいはい。
えーっとな。
例によって、Wikiさまからの引用や(出典)。
+++
ゾウは長生きであり、健康で明るくて子供から大人まで幅広く愛されている動物であることから「象は健康と長生きのシンボル」であるととらえ、キャラクターがゾウに決定された。
1955年6月、佐藤製薬の印刷物にはじめてゾウのイラストが登場。
このイラストは、現行のサトちゃんのような極端にデフォルメされたものではなく、より本物に近い鼻の長いゾウであった。
1959年4月10日、当時の皇太子・明仁親王の御成婚を記念して、店頭ディスプレイ用の子象(チビゾウ)が誕生。
キャラクターデザインは『ブーフーウー』の生みの親である劇作家の飯沢匡と童話画家の土方重巳の2人が手掛けた。
同年10月、応募総数4万6600通のなかから「サトちゃん」と命名され、新聞各紙やポスター・フジテレビなどで命名決定の発表が一斉に行われた。
+++
ちゅうこっちゃ」
み「このチビゾウくんは、還暦をとっくに過ぎてるってことだね。
しかし、応募総数4万6千通ってのはスゴいね。
賞品はなんだったんだろ?」
ハ「佐藤製薬のページにちらっと書いたあるな。
『賞金・商品と共にかわいい「サトちゃん」が贈られた』そうや」
み「賞金はいくら?」
ハ「書いてないがな」
み「一番重要なことだろ」
ハ「金の亡者か。
そないにたいそうな額やないやろ。
なにしろ、“サトちゃん”での応募は……。
3,000人いたそうやからな」
み「ま、それが一番多かったのかもね。
でも、今となったらむしろ……。
副賞の“かわいい「サトちゃん」”の方の価値がスゴいんじゃないの?
鑑定団とか出れるよ」
ハ「大事に取ってあればやけどな。
遊びたおして、壊れて捨てられてしもたのがほとんどやろ」
み「現存してれば、ますます貴重じゃない。
残念ながら……。
うちでは見たことないわ」

み「げ!
ここじゃん。
『昭和なつかし館』。
薬屋じゃなかった」
ハ「なんのこっちゃねん。
さっきなのガラスブロックの店は何やったんや」
み「知らん」
ハ「ほれ、入ったらなあかんがな。
何かの縁やで」
み「いや。
これは罠だ。
わたしをバスに乗り遅らせよという」
ハ「誰の罠やねん」
み「ショッカーかも知れん」
ハ「アホか」
み「先を急ぐぞ」
ハ「わけわからんわ」

み「おー。
新潟のみずほ銀行より大きいかも。
昔、宝くじをオンラインで買ってたから……。
今でも、みずほには口座があるんだ。
第一勧業銀行時代からだから……。
付き合いは長いぜ」
ハ「それがどないやちゅうねん」

み「わたしは、この三角コーンってのが嫌いなのよ」
ハ「何でや」
み「景観が悪くなるでしょ。
安易に置きすぎだと思う。
何か工夫できないものかね」
↓ちょっとお洒落なコーンがありました。
でもやっぱり、値段は張りますね。
普通の三角コーンは、1,000円くらいですから。

み「あ、新潟の銀行があった。
新潟で唯一の地銀」
ハ「北越ちゅうのは、新潟のことやな。
『北越雪譜』の。
せやけど、なんや新潟で4番目の銀行みたいやないけ」
み「新潟市の第四銀行と、長岡市の北越銀行が合併したの。
地銀同士の合併」
ハ「“だいしぎんこう”?
“だいよんぎんこう”やないんか?
国立銀行の」
み「もちろん、旧国立銀行です。
第一国立銀行が、今の『みずほ銀行』。
第二国立銀行が、今の『横浜銀行』。
第三国立銀行の『安田銀行』は、合併して今の『みずほ銀行』。
で、第四(だいし)国立銀行が、今の『第四北越銀行』。
第五国立銀行が、今の『三井住友銀行』だから……。
その前ってのは、大したもんでしょ」
ハ「待ったれや。
元々は、第四(だいよん)国立銀行やろ」
み「ところが、そうじゃないんです。
最初から、第四(だいし)国立銀行だったの」
ハ「なんでやねん?」
み「国立銀行の数字は、全て音読みと決められてたの。
“いち・に・さん・し”でしょ」
ハ「ごくろうさんやな。
しかし、『第四銀行』だけやった方がビッグ感があるで」
み「わたしも、早く『北越』が取れてくれると助かるんだけどね。
書くのがめんどいのよ、特に『越』が」
ハ「いつ取れんねん」
み「知らん。
『旧・北越銀行』出身の行員が、みんな退職した後じゃないの」
ハ「いつやねん」
み「合併は確か、2021年だから……。
まだ30年くらい先なんじゃない」
ハ「あんた、死んどるがな」
み「まだ死なんわ!」

み「この草、駅前にもあったやつだ。
こんなデカいの、勝手に生えたんなら刈られてるよね。
植えたとしか思えない。
やっぱ、タチアオイっぽいな。
あ、ひょっとして!」
ハ「なんやねん」
み「市の花なんじゃない?
ちょっと調べて。
急くから早く!」
ハ「はいはい。
おー、珍しくご名答やで。
会津若松市のホームページに書いたある(こちら)。
まさしく市の花やがな。
市が、この花を広げる運動をしとるようやな。
読むで。
+++
会津若松市では、平成12年度から「花と緑の課」を新設し(令和2年度より「まちづくり整備課」)、市の重点施策として「美しい環境のまちづくり」を掲げています。
その実現のために美しい花々によるまちの演出と、植栽による緑豊かなまち並みの創出などについて取り組んできたところです。
その活動の一環として、市の花であるアオイ(タチアオイ)を広げる活動を行っています。
具体的には、花と緑の課では、希望する市民の方に無料でタチアオイの種を配付して、タチアオイの普及を図っています。
また、市有地である会津若松駅前公園、会津総合運動公園、鶴ヶ城公園西口花壇(写真)などにもタチアオイが植えられています。
+++
やて」
み「謎がすっきり解けて気持ちいいわい。
わたしも、タチアオイは好きなのよ。
夏って感じがして。
でも、いかんせんデカくなるからね。
普通に、2メートルくらいになっちゃう。
ちょっと庭には植えられないわな。
だけど、なんでこれが、会津若松市の花なのかね?」
ハ「書いたあるで。
+++
戊辰百年祭の記念行事の一環として一般市民から公募し、昭和42年8月3日にあおい(タチアオイ)が市の花として制定されました。
+++
やて」
み「公募で決まったのはわかったけど、なんでこの花なの?」
ハ「そりゃあれやろ、葵のご紋やがな。
徳川家の」
み「あの紋って、このタチアオイなの?
ぜんぜん葉っぱの形が違うじゃない」
ハ「どうやら、徳川家の紋は……。
『双葉葵(ふたばあおい)』ちゅう植物みたいやな。
ウマノスズクサ科カンアオイ属やて」
み「タチアオイは?」
ハ「アオイ科タチアオイ属やな」
み「ぜんぜん違うじゃない。
ダメでしょ、タチアオイにしたら」
ハ「知らんがな。
せやけど、静岡市も市の花にしとるみたいやで」
み「げ。
それじゃ、どう考えても徳川じゃん。
両方で間違ってるってこと?」
ハ「双葉葵は、10㎝くらいの山野草みたいやから……。
地味すぎたんやないか」
み「わかった!」
ハ「何がや」
み「双葉葵は、小さすぎる。
10㎝でしょ。
徳川さんのご紋の草なのに……。
間違って踏んじゃいかねない。
その点、タチアオイなら、2メートルになるから……。
踏んじゃう心配がない。
不敬にならないわけよ。
どう?」
ハ「ええ歳して、どや顔すなや」
み「ええ歳は余計だ!」

み「進学塾だな。
やっぱ、会津高校は名門なんだ」
ハ「あんたも、こういうとこ通たんか?」
み「高3の夏休みだけね。
東京で。
でも、ほとんど出席しなかった」
ハ「何しとったんや」
み「ほんと、何してたんだろうね。
記憶に残ってるのは、田無で畑を見たことと……。
多摩の方の高層団地を見に行ったことくらいかな」
ハ「何しに行ったんや?」
み「それが不明なのじゃ」
ハ「アホとしか思えんで」
み「同意せざるを得ん」

み「ここは、朝、走った道かな?
広くて気持ちがいいや」
ハ「人がおらんのが気持ち悪いがな」
み「地方都市なんて、みんなこんなもんでしょ。
新潟も、混んでるのは通勤時間の新潟駅だけだよ。
日曜日なんか、自転車で走ってても、ほとんど人を見ないからね」

み「まっすぐ行くと新潟か。
この自転車なら、行けそうだよね」
ハ「乗り逃げやがな」

み「おー、懐かしや。
朝見たタチアオイじゃ」
ハ「朝は何の草かわからんかったやろ」
み「街を見聞して、それがわかったんだから……。
有意義だったじゃないの。
会津見聞録だよ。
咲いてるとこも見たかったな。
でもこれって……。
酔っ払いには、使い道があるよね」
ハ「どんな使い道や?」
み「茎かき分けてさ……。
頭突っこんで、ゲロ吐くの」
ハ「バチが当たるで。
徳川さまの」
み「徳川の紋は、『双葉葵』でしょ。
これはタチアオイなんだから、関係ないって。
それに、ゲロは肥料になると思う」
ハ「よういわんわ」

み「さてさて、電動自転車の返却のお時間だ。
でも、スゴいよね。
乗り回してたわけじゃないけど……。
まだ、95%も電気が残ってる」
ハ「買い物くらいの用やったら……。
毎日乗っても、1ヶ月くらい保つんちゃうか」
み「だよね。
やっぱ、退職したら、1台おごるかな。
車を売っ払えば……。
年間の維持費くらいで、これ1台買えるでしょ」
ハ「せやけど……。
新潟は、1年中乗れるわけやないやろ」
み「それなのよ。
雪が積もったら、どうしようもない。
タイヤが空転して、進まなくなるんだから。
ま、冬はネットスーパーだね」

み「おー、いっぱいロッカーがある」
ハ「ここやなかったやろ」
み「見ただけ。
犯罪に使われそうなロッカーだよね」

ハ「カメラ、付いたるがな」
み「カメラがあったってさ……。
ニット帽かぶって、サングラスにマスクしてたら、誰だかわからないでしょ」
ハ「コロナのせいで……。
そないな格好しとっても、あんまし目立たんなったわな」

み「ここここ。
やっぱ、目立つとこが一番安全だよね」
ハ「鍵、無くしとらんやろな」
み「ギク。
そういうこと言うなよ。
どこだったかな」
ハ「ストリップ、始めなや」
み「あ、あったあった。
良かったぁ」

み「お、ちょうどいい待合室があった」
ハ「帰るんは、バスやなかったんか。
立ち蕎麦でも食うんかい」
み「あの立ち食い蕎麦、ぜったい美味しいよね。
でも食べない」
ハ「なんでやねん」
み「ここで、お土産の撮影をしたいの」
ハ「バスの中ででけるやろ」
み「バスの中では、窓の外を見てたいじゃない」
ハ「子供やがな」

み「じゃーん。
まずこれは、母へのお土産。
ハンカチと……。
酉年なので、ニワトリの人形」

み「しかしこのニワトリ……。
あんたに似てるんじゃない?」
ハ「似とらんわい!」
お土産を買ってる写真を、まったく撮っていませんでした。
おそらく、ほかのお客さんがいたので、撮影を控えたのでしょう。
買ったのは、鶴ヶ城売店だとおもいます。
『(財)会津若松観光ビューロー』さんのホームページに……。
『鶴ヶ城売店のご案内』というページがありました。
ここに載ってる写真を見ると、確かにここに寄ったような記憶があります。
赤べこの包装紙が可愛いですね。
でも、わたしの手元には残ってません。
お土産を入れた状態で、母に渡したんでしょう。
母が亡くなった今となっては……。
これらのお土産がどこにあるのかわからないです。

み「『桐の二人形』って云うらしいね」
ハ「アホきゃ。
『桐のこ人形』やろ」
み「あ、そうか。
どういう人形なんだろ。
ちょっと調べて」
ハ「知らんで買ったんかいな。
なになに。
喜多方にある手作り工房『木之本』さんで造られとる人形らしいな。
会津名産の桐の木くずと……。
喜多方ラーメンに使われる小麦粉を混ぜた粘土で造られとるそうや」
み「昔から、ラーメンの小麦粉なんて使ってたわけ?」
ハ「2003年から造られた人形みたいやな。
しかしあんたも、ちゃんと調べて買わんかいな」
み「時間がないから、じっくり選べなかったの。
見た目重視」
『手造り工芸店 木之本』さんのページに……。
わたしが購入したニワトリが載ってました(こちら)。
干支がそろってますね。
ハ「あんたの分はないんか?」
み「人形、買ってったって……。
どうせ、部屋の隅で埃まみれになるだけだからね」
ハ「情けな」
み「やかまし」

み「自分用に買ったのは、これ」
ハ「なんやそれ?」
み「桑の木で出来た、ぐい飲みですよ」
ハ「あんたらしいわ」
み「お土産は、実用的なのが一番」
このぐい飲み、今も使ってます。
桑の木を薄く削ってありますから……。
頼りないほど軽いです。

↑ちなみにこれが、今の状態。
買ってから丸2年。
ほとんど毎日使ってます。
赤べこの絵が、少し剥げましたが……。
桑の木肌は、ほぼ買ったときのままです。

↑レシートが出てきました。
これを見ると、鶴ヶ城の売店で買ったのは……。
桑のぐい飲みだけでしたね。
ハンカチと桐のこ人形は、会津若松駅の売店で買ってました。
どうりで包装紙が違うわけだ。
ようやく、記憶がはっきりしてきました。
確か朝、レンタサイクルを借りる前に……。
駅の売店をチェックしてたんです。
この日1日の観光の途中で、お土産を買えなかった場合に備え……。
下見をしてたわけです。
ハンカチと人形は、このとき目星を付けてたんでしょうね。
結局途中で買う機会がなく……。
レンタサイクルを返した後、売店で買ったんだと思います。

↑レンタサイクルの領収書もありました。
4時間までなら、1,100円ですが……。
それ以上の時間だと、9:00から17:00までの1日料金で、1,600円です。
わたしは、事前にネットで予約しておいたんですが……。
心配だったのが、当日のお天気。
確か、そのときのやりとりで、雨だったらキャンセル出来るか聞いたと思います。
出来るとのことでしたが、これから借りる人は、もう一度確認して下さい。
ま、借りにに行かなければいいだけのことですが。
でもマナーとして、やはりちゃんと電話連絡すべきでしょうね。

み「さて。
いよいよ、会津若松ともお別れだ」
ハ「お天気に恵まれて、良かったやないか」
み「ほんとにそうだよ。
ぜんぜん違うよね、後からの印象が。
さてそれじゃ、バス乗り場に参りましょうか」
ハ「今、何時やねん?」
み「14時23分」
ハ「バスの時間は?」
み「14時45分」
ハ「ちょっきりやないけ」
み「ほら、やっぱり……。
『昭和なつかし館』に寄ってたら危なかっただろ」
ハ「自分のこと、ようわかっとるわ」

み「お、ここだな。
もしここじゃなかったら、詐欺だぞ」
ハ「ここ以外あるかい」

ハ「時刻表やな。
なんや、貼り紙だらけやないか」

み「コロナ以降……。
どの便も減便になってるんだよ。
会津から新潟に行く便は……。
わたしの乗る14:45分の1本だけ」
ハ「乗り遅れたら、わやちゅうわけやな。
減便前は、何本あったんや?」
み「2本」
ハ「なら、これに乗り遅れても帰れたわけか」
み「帰れません。
減便になったのは、朝の7:45分発だから」
ハ「なんやそれ。
結局、1本と一緒やないけ。
せやけど、ちゃんと切符、持っとるんやろな?
確認しとかなあかんで」
み「それが……。
ないのよ」
ハ「なんやて!
帰れんやないけ!」
み「違うの。
最初から、このバスに切符はないの。
事前予約は出来ない仕組み」
ハ「そんなバス会社があるんか」
み「ほかの路線はちゃんと予約も出来るよ。
切符がないのは、『新潟-会津』間だけ。
つまり、この路線だけ……。
普通の路線バスと同じってことでしょ。
その都度、お金を払って乗るわけよ。
トイレも付いてないみたいだし」
ハ「いくらなんや?」
み「2,100円」
ハ「えらい安いやないけ。
行きの『ばんえつ物語』は、いくらやったんや?」
み「乗車券だけだったら……。
新津から会津若松まで、1,980円。
でも、グリーン車だったから、プラス1,700円。
合計、3,680円だね」
ハ「なんや、乗車券だけなら、JRの方が安いんか」
み「でも、時間が大違いなのよ。
行きの『ばんえつ物語』は、3時間半もかかったでしょ。
ま、あれはむしろ、それを楽しむための列車だけどね」
ハ「SLやないディーゼル車やったら、ちっとは速いんやろ?」
み「速いっていっても、3時間以上かかるけどね」
ハ「このバスは何時間かかるんや?」
み「1時間54分」
ハ「えらい速いやないけ。
どんだけ飛ばすねん」
み「高速道路だからだよ。
高速は、ほぼまーっすぐに敷かれてるでしょ。
それに対して磐越西線の線路は……。
阿賀野川に沿って、くねくねくねくね曲がってたじゃない」
ハ「確かにな。
あんなんやったら、急行も走らせられんわな。
そしたら、SL使わん人は、バス一択やろ。
3時間かけてJR乗る意味ないがな。
運賃だけやったら、いくらも違わんのやろ?」
み「わたしは新津から乗ったから、1,980円だったけど……。
新潟から乗れば、バスより高いでしょ」
ハ「JR使うヤツ、おらんがな」
み「磐越西線は、端から端まで乗る路線じゃないわけよ。
通勤や通学で、数駅乗る人がほとんどなんじゃないの」

み「しかし、ほんとにお天気に恵まれたね」
ハ「せやな。
雨やったら自転車も乗れんし、ぜんぜん違ごとったで。
御薬園なんか、ドロドロやったんやないか」
み「常日ごろからの行いのたまものじゃ」
ハ「それは大いに疑問や」

み「バスは、あそこを通ってくるのかな?」
ハ「せやないか」
み「しかし……。
『一般車両通り抜け禁止!』ってどうなのよ。
通り抜けられることを表明してるようなもんじゃん。
むしろ、通り抜け料金を掲示した方が効果あるんじゃないの?」
ハ「いくらや?」
み「5万円とか」
ハ「ぼったくりバーやがな」

み「青は仙台行きで、新潟行きは黄色だから……。
新潟行きは、右方向に並んでくださいってことだな」
ハ「誰も並んどらんやないけ。
今、何時や?」
み「14時32分」
ハ「発車13分前やないけ。
何で、誰もおらんのや?」
み「わたしも……。
狐にでも化かされてるんじゃないかという気がしつつある」

み「あ、来た」
ハ「ケツから来たで」

み「うむ。
これが一般車両じゃないことは……。
火を見るより明らかじゃ」
ハ「当たり前や。
いや。
待ったれや。
バスはバスやが……。
こいつ、高速やないで。
路線バスや」

ハ「『坂下(ばんげ)営業所』行きや」
み「あんな行き先表示板、よく見えるな。
サンコンか」
ハ「作者のご都合主義や」

み「今度こそキター」
ハ「頭から来たな。
この体裁は、明らかに路線バスやないな」
み「発車、6分前。
ジャストじゃ。
いざ、乗車」

み「よーし、乗ったぞ。
これでもう、乗り遅れる心配はない」
ハ「当たり前やがな。
しかし、金、払わいでええんか?」
み「郊外バスと一緒。
下りるときに払うの」
ハ「財布、落としてないやろな。
着いたはええが、降りれんくなるで」
み「ちゃんとあるわい。
あんたも落としてないのに、財布を落とすわけないだろ」
ハ「なんやそれ!」

み「しかし……。
空いとる」
ハ「これやったら、切符はいらんわな」
この写真だと、誰も乗ってないように見えますが……。
わたしのほかに、確か3人くらいはいたと思います。
み「さて、発車じゃ」

み「さらば、会津若松駅。
きのう着いたばっかりなのに……。
なんか、遠い昔のように思える」
ハ「このシーンを、2年後に書いてるからやろ」
み「言うでない!」

み「あ、ゆうべ泊まったワシントンホテルだ。
あの無愛想なフロント嬢、今日も働いとるかな。
何もかも、みな懐かしい……」
ハ「沖田艦長か」

み「やっぱり、あのホテル前のマンション、ぜったい住んでみたいわ。
ホテルの部屋が覗けるよな」
ハ「そんな無防備な客がおるかいな」
み「無防備じゃなくて、確信犯。
露出狂の。
ぜったい犯罪にならないよね。
覗いた方が犯罪でしょ」
ハ「よういわんわ」

み「しかしこのガラス、色が着いてて、写真写りがイマイチだな」
ハ「紫外線対策やないんか」
み「カーテンがあるじゃない」
ハ「窓の外も見えつつ……。
紫外線も防いでくれるちゅうガラスやろ。
観光バス用やないんか」
み「そうか。
そういえばこのバス……。
高速バスって云うより、観光バスっぽいよね」

み「いつの間にか高速に乗ってるな。
やっぱねー。
高速道路は、景色がイマイチだよね。
こればっかりは、磐越西線の圧勝だ」
ハ「行きに楽しんだんやからええやないか」

み「しかも!
窓が汚い!
最近は、手洗い洗車しないんだろうね。
洗車機を通るだけで」
ハ「しゃーないやないけ。
運転手不足のご時世や」

み「お、ちょうどいい手すりがあるな。
ここで、写真撮ってやるよ。
行きの『ばんえつ物語』でも撮ったからね」

み「ほら、ここに立って。
あっ。
か、片目がない!
いつの間に……?
……。
ま、いいか……」
ハ「よくないわ!
探してくれ!」
み「あんな小さい目、見つかるわけないでしょ」
ハ「簡単に諦めるな!」
み「口を取って、目に付けるか」
ハ「やめてくれ!」
み「どうせ、その目で見てるわけじゃないじゃん。
なくなったことにも気づかないんだから」
ハ「体裁の問題や!」
み「ぷっ。
最初からあんたにそんなものないでしょ」
ハ「失礼な!」
み「ま、今はもうどうしようもないよ。
帰ったら、100均でフェルト買って付けてやるから」
ハ「何で100均やねん。
ちゃんとした手芸店で買わんかい」
み「そんな店、行ったことないもの」
ハ「情けな。
そもそも、あんたに付けられるんかいな」
み「縫い付けるわけじゃないでしょ。
こんなの、アロンアルファじゃない」
ハ「我が身が不安や」
み「ま、しばし忘れなさい」
ハ「とほほ」

み「あの大木は、サクラだな」
ハ「♬春~高楼の~花の宴~。
ちゅうこっちゃな」
み「実際に落城した跡だから……。
身に沁みるわ」

み「この屋根の雑草……。
ここまで生やすと、むしろ風情だね」
ハ「桧皮葺(ひわだぶき)やろかな」
み「お金かけて拭き直しても……。
どうせ何年後かには、またこうなるんでしょ」

ハ「下地が出とる」
み「いっそ、壁土でも塗ったらどうだろ」

み「下地さえ見えなきゃ、いい風情だよ」
ハ「しかし、あんな薄っぺらな木の皮の上で生きるんやから……。
大したもんやな」
み「雑草には勝てませんわ」

み「ん?
胞子が見える。
シダ植物?
ちょっと調べて」
ハ「はは。
雑草やなかったで。
ノキシノブや」
み「ノキシノブって、シダなの?」
ハ「ウラボシ科ノキシノブ属に属するシダの一種やて」
み「そんなら、植えたのか」
ハ「元々、樹皮なんかに着生する植物やな」
み「檜皮葺は、絶好の住まいってことか。
お見逸れしました。
雑草生やしてるなんて言って申し訳なかった」

み「ここはクマザサの天下だね。
地下茎で伸びるから……。
ヘタに庭なんかに植えたら大ごとになる。
隣の家の庭に伸びていったりするから。
どうしても植えたいなら……。
根止めしないと」
ハ「なんやそれ?」
み「根が伸びていってほしくない方に……。
波板とかを縦に埋めるわけ」
ハ「えらい大変やろ」
み「だから植えるなってこと。
そこまでして使いたいほどの植物じゃないって」

み「あ、カエル」

み「かと思ったら、違ってた」

み「この下草は何だろ?
蔦っぽいけど。
ヘデラカナリエンシスとは色が違うし」
ハ「なんやその、ヘデラなんちゃらちゅうのんは?」
み「日本名、オカメヅタ。
でも常緑で、もっと葉の色が濃いからね。
これはいかにも、春に出た葉っぽい」
ハ「また調べるんか?
だいぶ時間、食うとるで」
み「あ、そうだった」

み「『月見櫓(つきみやぐら)』か。
実際、何百年も……。
そうした風流な目で愛でる風景だったわけだ。
それが突然、戊辰戦争で本来の役割で使われたわけだよね」
ハ「まさに『荒城の月』やな」

み「あの石段の上にあったわけだな」
今 荒城の 夜半の月
かわらぬ光 誰がためぞ
垣に残るは ただ葛
松に歌うは ただ嵐
(『荒城の月』)

み「これが、櫓の基礎?
案外小さいな。
しかし眺めはいいね」
ハ「当時は、あないな木もなかったやろしな」

み「げ。
堀が見える。
怖わっ」
ハ「高所恐怖症か?」
み「そうでもないけど……。
水がダメなのよ」
ハ「狂犬病やないんか?」
み「ばぅ!」

み「木漏れ日じゃ。
まさしく、今が一番の季節よのぅ」

ハ「下、見とらんかったら、転げ落ちるで」
み「ひょえー。
水はダメじゃ」
ハ「やっぱ、狂犬病や」
み「ばぅっ!」

み「この木、樹形からして、ソメイヨシノだろ。
コンクリートの天守が復元されたのって、いつだっけ?」
ハ「昭和40年やな。
1965年や」
み「そのとき植えられたとしたら……。
今年は、2022年だから、57年か。
そろそろ、寿命に近いね。
でも、頬杖(ほおづえ)付けてもらって……。
大事にされてるよ」
ハ「頬杖って、あの枝を支えとる支柱か?」
み「そう。
ソメイヨシノは……。
横に張り出した枝が、異様に太くなるんだよ。
そのままにしておくと、台風なんかで枝が折れる。
あれだけの太さだから……。
幹まで裂けてしまうこともある。
これが、寿命の短い原因のひとつだと思う。
それより、人にあたったりしたら大変だしね。
あの太さなんだから、タダじゃ済まない。
だから、ソメイヨシノの並木は、けっこう危険なんだよ。
ただ綺麗ってだけで街路樹にするのは、考えもの」
ハ「語るやないけ」
み「街路樹評論家と呼んでくれたまえ」

み「枝が腐りかけとる。
ソメイヨシノの下のベンチは、危険だと思うぞ」

ハ「ええ眺めやな」
み「本来、この芝生の上には、本丸とかが建ってたんだよね。
でも景観的には、むしろない方がいいよな。
何にも建てないで芝生にしたのは、慧眼だよ。
予算の問題だったかも知れないけど」

ハ「さっぱりしとって、ええとこやな」
み「東京でこんなとこがあったら……。
人でいっぱいだと思う。
人がいないってのがスゴいよ」
ハ「褒めとんのか?」
み「あたぼうよ」

み「ん?
この階段、どこに出るんだ?
ちょっとあがってみたいから……。
負ぶってくれんか」
ハ「でけるか!」
み「結局、わたしばっかり歩いてるではないか」
ハ「言うても仕方ないやろ」
み「ちぇ。
ほな、行きますか。
よっこらしょっと」
ハ「ババ臭いがな」
み「やかまし」

み「ひょえー。
またここに出た」
ハ「すかたんやがな」

み「怖わー」
ハ「やったら覗くな!」

み「げ、行き止まりだ。
わざわざ登って……。
怖い目を見ただけか」
ハ「お帰りは、さっきの石段やな」

み「ひこばえが生えてる。
根元に陽があたるからね。
森の中じゃ、地際が暗いから……。
こんなとこから葉っぱは出ない」
ハ「また評論家か」
み「植物については、常に一家言あります」
ハ「おかげで、えらい押しとるで」
み「そうだった」

み「走長屋?
何それ?」
ハ「押しとるで」
み「ちょっとだけ調べて」
ハ「天守と櫓を繋いどるみたいやな」
み「なるほど。
櫓から見えたことを、天守に伝えるための通路か。
有事に備えた造りだね。
そりゃ、走るわな。
ん?」
ハ「何や?」
み「天守からの方が、よく見えるんじゃないの?」
ハ「わしゃ知らんで」

み「おー、かっちょえー。
日本のお城って、やっぱりいいよね。
青空によく映えるわ。
逆に外国の城って……。
嵐の中に建ってるイメージだよね」
ハ「思い切り偏見やがな」

み「市(いち)の再現か?
でも、ほんとにこんなのが建ってたわけ?
普通、露天でしょ」
ハ「どうやら、当時の様子を再現しとるわけやないみたいやで。
実際にここで、物を売るイベントがあったらしいわ。
大賑わいやったそうやで」
毎年、春と秋、2回イベントが開催されるようです。
春は、3月末からゴールデンウィークまで。
残念ながら、わたしが訪ねたのは5月末でした。

み「吸いこまれそうじゃ」
ハ「やったら覗くなや」

み「あれ、魚じゃない?」
ハ「鯉かも知れんな」

み「さて、帰りますか。
良かった良かった。
電動自転車、盗まれてなかった」
ハ「こんなん盗んだら、目立ちすぎわや」

み「おー、修学旅行じゃな。
でも、中学生だよね。
わたしは、小学生のときだったけど……。
近かったからだろうね。
どこから来てるんだろ」
ハ「聞いてみればいいがな」
み「シャイだから無理」
ハ「中学生相手に……。
大人が恥ずかしがってどないするんや」

み「分別、しっかりしてるな。
行楽地で、『ゴミはお持ち帰り下さい』ってとこがあるけど……。
あれはどうかと思うね。
客を呼んでおいて、ゴミは持って帰れはないでしょう。
その点、これは好感もてるわ。
でも、燃えるゴミだけ、なんで網張ってあるんだ?」
ハ「カラス対策やろ。
弁当の食いさしとかも入れられるんやないか」
み「なるほど。
カラスに荒らされても……。
『ゴミは持って帰れ』にならないのがいいよ。
記念だから、何か捨てたくなった」
ハ「手ぶらやないか」
み「あんた、捨てるか」
ハ「やめんか!」

み「喫煙所まであるわ。
しかし、ほんとタバコ止めて良かったよ。
不自由になったもんね」

み「さーて、お帰りだ。
木漏れ日が気持ちいいのぅ。
しかし、人がいなくてほんとに走りやすいわ。
東京だったら、とてもこうはいかないよ」
ハ「新潟はどないやねん?」
み「はは。
限りなく会津若松に近い。
東京旅行の帰り、自宅の最寄り駅に降りると……。
人が居なすぎてびっくりするよ。
薄気味悪いくらい」

み「のれんが出てる。
食べ物屋かね?」
ハ「寄ってけばいいがな」
み「また今度。
もう帰りのバスまで、あんまり時間がないから。
それ逃したら、今日中に帰れなくなっちゃう」
この写真を撮ったのは、13時ころでした。
お城に入ったのが、11時半ころ。
1時間半もいたんですね。
でも、何かを食べた記憶はありません。
食べ物は売ってなかったと思います。
腰痛予防に、定期的にロキソニンを飲んでたので……。
服薬用のゼリー飲料は飲んでたかも知れませんが。

み「なんだここ?
学校みたいだけど……。
バリケードしてある。
全共闘か?」
ハ「んなわけあるかい。
バリケードやのうて、車止めやがな。
歩行者専用の門らしいな」
み「そしたら、もうちょっと見た目、なんとかできないの?」

み「これ、完全に工事現場のでしょ」

み「またバリケードだ。
これは、車止めじゃないよね。
しかし立派な建物だな。
何だったんだろ?」
ハ「はいはい。
調べるわけやな。
なるほどなるほど。
立派なわけやで。
旧・会津若松市役所や。
1937(昭和12)年に建てられとるな」
み「でも、バリケードってことは……。
取り壊されるわけ?」
ハ「保存されるみたいやで。
今はその準備期間ちゅうことやないか」
み「そんなら良かった」

み「歩道が広くて走りやすいわ。
でもこれ、明らかに冬の除雪対策だよね。
車道の雪を、歩道に積みあげるんだよ。
だから、ガードレールもないでしょ」
ハ「冬の間の歩道は……。
点字ブロックのあたりだけが、確保されるちゅうこっちゃな」
み「左様。
しかし、脇の駐車場から車を出すのは大変だと思うよ。
除雪車は、そこだけ避けてなんてくれないからね。
毎朝、雪山を掘り分けなきゃなんないね」
ハ「朝から、腰いわすがな」
み「積雪地帯の人口が減ってくのも……。
やむを得ないよ」

み「あ、ソースカツ丼の店だ。
そう云えば、前回会津に来たとき……。
これ、食べた気がする」
ハ「どないな味や?」
み「忘れた。
でも、だいたい想像できるでしょ。
要は、カツにソースが絡んでるんじゃないの?
新潟のタレカツ丼とどう違うのかな」
ハ「そりゃ、タレとソースの違いやろ」
み「言い方の違いじゃないのかな。
ソースっていっても……。
ウスターソースみたいなのを上からかけてあるんじゃなかったと思う。
ソースに潜らせてある感じかな。
見た目は、タレカツ丼と一緒だったと思う」
ハ「なんや、覚えとるやないけ。
なんで味だけ忘れるんや?」
み「知らん」
ハ「ここで食うてみればいいがな」
み「時間がないの。
『満室』って書いてあるし」
ハ「アホか。
あれは、隣のマンスリーマンションのことやがな」
み「紛らわしい!」

み「どこまでも真っ直ぐじゃ」
ハ「どこ行くんや?」
み「帰る前に、もう1箇所寄りたいんだけど……。
何となく不安になってきた。
こんな開けた感じの場所じゃなかった気がする」
ハ「グーグルマップ、見たらいいがな」
み「わたしはあれが苦手なの。
見てると、頭がぐるぐる回る気がして。
紙の地図の方が、よっぽどマシだよ」
ハ「紙の地図も見とらんやないけ」
み「なんとなく惰性で走ってしまう。
電動自転車のせいかね」
ハ「わけわからんわ」

み「あ、地図があった。
うーむ。
どうやら、逆方向に走ってる気がする」
ハ「よういわんわ」

み「市街地に戻ってきたな。
なんとなく光明が見えて来たぞ」
ハ「あのまま逆に走っとったら……。
えらいこっちゃやで」

み「あ、たぶんあそこだ。
左のガラスブロックの店。
『昭和なつかし館』」
ハ「奇跡的にたどり着けたようやな。
良かったやないか」
み「でも寄らない」
ハ「なんでや!」
み「気が急く。
何だか、バスに乗り遅れる気がする」
ハ「今、何時や?」
み「13時15分」
ハ「バスの時間は?」
み「14時45分」
ハ「は?
1時間半もあるやないけ。
30分見学しても余裕やろ」
み「バス停まで、真っ直ぐたどり着けると思う?
その前に、駅でこの自転車も返さなくちゃならないし」
ハ「そないなこと言うとったら、旅行にならんがな」
み「今はもう、ゆっくり見学してられる精神状態じゃないの。
さっきの逆走がトラウマになってる。
帰るぞ!」
ハ「好きにしなはれ」

み「やっぱり雪国だね。
いわゆる“雁木(がんぎ)通り”の進化形だ。
歩道が広いわ」
ハ「冬は助かるやろな」

み「こっちは旧道だね。
歩道は狭いし、雁木もないし……。
冬は大変だろうな」
ハ「ますます寂れてまうがな」
み「横断歩道まで消えかけてる。
でも、道の真ん中に消雪パイプがあるね」
ハ「除雪の必要はないちゅうことやな」
み「大雪のときは、解かし切れないでしょ。
あと、解けた雪がタイヤで跳ねられるから……。
歩行者はたまったもんじゃないと思う」
ハ「ますます人通りが遠のくがな」

み「あ、サトちゃんだ。
確か、佐藤製薬だよね。
愛称の“サトちゃん”はわかるけど……。
なんで象なんだろ?
ちょっと調べて」
ハ「気が急くんやなかったんか?」
み「急くから早く!」
ハ「はいはい。
えーっとな。
例によって、Wikiさまからの引用や(出典)。
+++
ゾウは長生きであり、健康で明るくて子供から大人まで幅広く愛されている動物であることから「象は健康と長生きのシンボル」であるととらえ、キャラクターがゾウに決定された。
1955年6月、佐藤製薬の印刷物にはじめてゾウのイラストが登場。
このイラストは、現行のサトちゃんのような極端にデフォルメされたものではなく、より本物に近い鼻の長いゾウであった。
1959年4月10日、当時の皇太子・明仁親王の御成婚を記念して、店頭ディスプレイ用の子象(チビゾウ)が誕生。
キャラクターデザインは『ブーフーウー』の生みの親である劇作家の飯沢匡と童話画家の土方重巳の2人が手掛けた。
同年10月、応募総数4万6600通のなかから「サトちゃん」と命名され、新聞各紙やポスター・フジテレビなどで命名決定の発表が一斉に行われた。
+++
ちゅうこっちゃ」
み「このチビゾウくんは、還暦をとっくに過ぎてるってことだね。
しかし、応募総数4万6千通ってのはスゴいね。
賞品はなんだったんだろ?」
ハ「佐藤製薬のページにちらっと書いたあるな。
『賞金・商品と共にかわいい「サトちゃん」が贈られた』そうや」
み「賞金はいくら?」
ハ「書いてないがな」
み「一番重要なことだろ」
ハ「金の亡者か。
そないにたいそうな額やないやろ。
なにしろ、“サトちゃん”での応募は……。
3,000人いたそうやからな」
み「ま、それが一番多かったのかもね。
でも、今となったらむしろ……。
副賞の“かわいい「サトちゃん」”の方の価値がスゴいんじゃないの?
鑑定団とか出れるよ」
ハ「大事に取ってあればやけどな。
遊びたおして、壊れて捨てられてしもたのがほとんどやろ」
み「現存してれば、ますます貴重じゃない。
残念ながら……。
うちでは見たことないわ」

み「げ!
ここじゃん。
『昭和なつかし館』。
薬屋じゃなかった」
ハ「なんのこっちゃねん。
さっきなのガラスブロックの店は何やったんや」
み「知らん」
ハ「ほれ、入ったらなあかんがな。
何かの縁やで」
み「いや。
これは罠だ。
わたしをバスに乗り遅らせよという」
ハ「誰の罠やねん」
み「ショッカーかも知れん」
ハ「アホか」
み「先を急ぐぞ」
ハ「わけわからんわ」

み「おー。
新潟のみずほ銀行より大きいかも。
昔、宝くじをオンラインで買ってたから……。
今でも、みずほには口座があるんだ。
第一勧業銀行時代からだから……。
付き合いは長いぜ」
ハ「それがどないやちゅうねん」

み「わたしは、この三角コーンってのが嫌いなのよ」
ハ「何でや」
み「景観が悪くなるでしょ。
安易に置きすぎだと思う。
何か工夫できないものかね」
↓ちょっとお洒落なコーンがありました。
でもやっぱり、値段は張りますね。
普通の三角コーンは、1,000円くらいですから。

み「あ、新潟の銀行があった。
新潟で唯一の地銀」
ハ「北越ちゅうのは、新潟のことやな。
『北越雪譜』の。
せやけど、なんや新潟で4番目の銀行みたいやないけ」
み「新潟市の第四銀行と、長岡市の北越銀行が合併したの。
地銀同士の合併」
ハ「“だいしぎんこう”?
“だいよんぎんこう”やないんか?
国立銀行の」
み「もちろん、旧国立銀行です。
第一国立銀行が、今の『みずほ銀行』。
第二国立銀行が、今の『横浜銀行』。
第三国立銀行の『安田銀行』は、合併して今の『みずほ銀行』。
で、第四(だいし)国立銀行が、今の『第四北越銀行』。
第五国立銀行が、今の『三井住友銀行』だから……。
その前ってのは、大したもんでしょ」
ハ「待ったれや。
元々は、第四(だいよん)国立銀行やろ」
み「ところが、そうじゃないんです。
最初から、第四(だいし)国立銀行だったの」
ハ「なんでやねん?」
み「国立銀行の数字は、全て音読みと決められてたの。
“いち・に・さん・し”でしょ」
ハ「ごくろうさんやな。
しかし、『第四銀行』だけやった方がビッグ感があるで」
み「わたしも、早く『北越』が取れてくれると助かるんだけどね。
書くのがめんどいのよ、特に『越』が」
ハ「いつ取れんねん」
み「知らん。
『旧・北越銀行』出身の行員が、みんな退職した後じゃないの」
ハ「いつやねん」
み「合併は確か、2021年だから……。
まだ30年くらい先なんじゃない」
ハ「あんた、死んどるがな」
み「まだ死なんわ!」

み「この草、駅前にもあったやつだ。
こんなデカいの、勝手に生えたんなら刈られてるよね。
植えたとしか思えない。
やっぱ、タチアオイっぽいな。
あ、ひょっとして!」
ハ「なんやねん」
み「市の花なんじゃない?
ちょっと調べて。
急くから早く!」
ハ「はいはい。
おー、珍しくご名答やで。
会津若松市のホームページに書いたある(こちら)。
まさしく市の花やがな。
市が、この花を広げる運動をしとるようやな。
読むで。
+++
会津若松市では、平成12年度から「花と緑の課」を新設し(令和2年度より「まちづくり整備課」)、市の重点施策として「美しい環境のまちづくり」を掲げています。
その実現のために美しい花々によるまちの演出と、植栽による緑豊かなまち並みの創出などについて取り組んできたところです。
その活動の一環として、市の花であるアオイ(タチアオイ)を広げる活動を行っています。
具体的には、花と緑の課では、希望する市民の方に無料でタチアオイの種を配付して、タチアオイの普及を図っています。
また、市有地である会津若松駅前公園、会津総合運動公園、鶴ヶ城公園西口花壇(写真)などにもタチアオイが植えられています。
+++
やて」
み「謎がすっきり解けて気持ちいいわい。
わたしも、タチアオイは好きなのよ。
夏って感じがして。
でも、いかんせんデカくなるからね。
普通に、2メートルくらいになっちゃう。
ちょっと庭には植えられないわな。
だけど、なんでこれが、会津若松市の花なのかね?」
ハ「書いたあるで。
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戊辰百年祭の記念行事の一環として一般市民から公募し、昭和42年8月3日にあおい(タチアオイ)が市の花として制定されました。
+++
やて」
み「公募で決まったのはわかったけど、なんでこの花なの?」
ハ「そりゃあれやろ、葵のご紋やがな。
徳川家の」
み「あの紋って、このタチアオイなの?
ぜんぜん葉っぱの形が違うじゃない」
ハ「どうやら、徳川家の紋は……。
『双葉葵(ふたばあおい)』ちゅう植物みたいやな。
ウマノスズクサ科カンアオイ属やて」
み「タチアオイは?」
ハ「アオイ科タチアオイ属やな」
み「ぜんぜん違うじゃない。
ダメでしょ、タチアオイにしたら」
ハ「知らんがな。
せやけど、静岡市も市の花にしとるみたいやで」
み「げ。
それじゃ、どう考えても徳川じゃん。
両方で間違ってるってこと?」
ハ「双葉葵は、10㎝くらいの山野草みたいやから……。
地味すぎたんやないか」
み「わかった!」
ハ「何がや」
み「双葉葵は、小さすぎる。
10㎝でしょ。
徳川さんのご紋の草なのに……。
間違って踏んじゃいかねない。
その点、タチアオイなら、2メートルになるから……。
踏んじゃう心配がない。
不敬にならないわけよ。
どう?」
ハ「ええ歳して、どや顔すなや」
み「ええ歳は余計だ!」

み「進学塾だな。
やっぱ、会津高校は名門なんだ」
ハ「あんたも、こういうとこ通たんか?」
み「高3の夏休みだけね。
東京で。
でも、ほとんど出席しなかった」
ハ「何しとったんや」
み「ほんと、何してたんだろうね。
記憶に残ってるのは、田無で畑を見たことと……。
多摩の方の高層団地を見に行ったことくらいかな」
ハ「何しに行ったんや?」
み「それが不明なのじゃ」
ハ「アホとしか思えんで」
み「同意せざるを得ん」

み「ここは、朝、走った道かな?
広くて気持ちがいいや」
ハ「人がおらんのが気持ち悪いがな」
み「地方都市なんて、みんなこんなもんでしょ。
新潟も、混んでるのは通勤時間の新潟駅だけだよ。
日曜日なんか、自転車で走ってても、ほとんど人を見ないからね」

み「まっすぐ行くと新潟か。
この自転車なら、行けそうだよね」
ハ「乗り逃げやがな」

み「おー、懐かしや。
朝見たタチアオイじゃ」
ハ「朝は何の草かわからんかったやろ」
み「街を見聞して、それがわかったんだから……。
有意義だったじゃないの。
会津見聞録だよ。
咲いてるとこも見たかったな。
でもこれって……。
酔っ払いには、使い道があるよね」
ハ「どんな使い道や?」
み「茎かき分けてさ……。
頭突っこんで、ゲロ吐くの」
ハ「バチが当たるで。
徳川さまの」
み「徳川の紋は、『双葉葵』でしょ。
これはタチアオイなんだから、関係ないって。
それに、ゲロは肥料になると思う」
ハ「よういわんわ」

み「さてさて、電動自転車の返却のお時間だ。
でも、スゴいよね。
乗り回してたわけじゃないけど……。
まだ、95%も電気が残ってる」
ハ「買い物くらいの用やったら……。
毎日乗っても、1ヶ月くらい保つんちゃうか」
み「だよね。
やっぱ、退職したら、1台おごるかな。
車を売っ払えば……。
年間の維持費くらいで、これ1台買えるでしょ」
ハ「せやけど……。
新潟は、1年中乗れるわけやないやろ」
み「それなのよ。
雪が積もったら、どうしようもない。
タイヤが空転して、進まなくなるんだから。
ま、冬はネットスーパーだね」

み「おー、いっぱいロッカーがある」
ハ「ここやなかったやろ」
み「見ただけ。
犯罪に使われそうなロッカーだよね」

ハ「カメラ、付いたるがな」
み「カメラがあったってさ……。
ニット帽かぶって、サングラスにマスクしてたら、誰だかわからないでしょ」
ハ「コロナのせいで……。
そないな格好しとっても、あんまし目立たんなったわな」

み「ここここ。
やっぱ、目立つとこが一番安全だよね」
ハ「鍵、無くしとらんやろな」
み「ギク。
そういうこと言うなよ。
どこだったかな」
ハ「ストリップ、始めなや」
み「あ、あったあった。
良かったぁ」

み「お、ちょうどいい待合室があった」
ハ「帰るんは、バスやなかったんか。
立ち蕎麦でも食うんかい」
み「あの立ち食い蕎麦、ぜったい美味しいよね。
でも食べない」
ハ「なんでやねん」
み「ここで、お土産の撮影をしたいの」
ハ「バスの中ででけるやろ」
み「バスの中では、窓の外を見てたいじゃない」
ハ「子供やがな」

み「じゃーん。
まずこれは、母へのお土産。
ハンカチと……。
酉年なので、ニワトリの人形」

み「しかしこのニワトリ……。
あんたに似てるんじゃない?」
ハ「似とらんわい!」
お土産を買ってる写真を、まったく撮っていませんでした。
おそらく、ほかのお客さんがいたので、撮影を控えたのでしょう。
買ったのは、鶴ヶ城売店だとおもいます。
『(財)会津若松観光ビューロー』さんのホームページに……。
『鶴ヶ城売店のご案内』というページがありました。
ここに載ってる写真を見ると、確かにここに寄ったような記憶があります。
赤べこの包装紙が可愛いですね。
でも、わたしの手元には残ってません。
お土産を入れた状態で、母に渡したんでしょう。
母が亡くなった今となっては……。
これらのお土産がどこにあるのかわからないです。

み「『桐の二人形』って云うらしいね」
ハ「アホきゃ。
『桐のこ人形』やろ」
み「あ、そうか。
どういう人形なんだろ。
ちょっと調べて」
ハ「知らんで買ったんかいな。
なになに。
喜多方にある手作り工房『木之本』さんで造られとる人形らしいな。
会津名産の桐の木くずと……。
喜多方ラーメンに使われる小麦粉を混ぜた粘土で造られとるそうや」
み「昔から、ラーメンの小麦粉なんて使ってたわけ?」
ハ「2003年から造られた人形みたいやな。
しかしあんたも、ちゃんと調べて買わんかいな」
み「時間がないから、じっくり選べなかったの。
見た目重視」
『手造り工芸店 木之本』さんのページに……。
わたしが購入したニワトリが載ってました(こちら)。
干支がそろってますね。
ハ「あんたの分はないんか?」
み「人形、買ってったって……。
どうせ、部屋の隅で埃まみれになるだけだからね」
ハ「情けな」
み「やかまし」

み「自分用に買ったのは、これ」
ハ「なんやそれ?」
み「桑の木で出来た、ぐい飲みですよ」
ハ「あんたらしいわ」
み「お土産は、実用的なのが一番」
このぐい飲み、今も使ってます。
桑の木を薄く削ってありますから……。
頼りないほど軽いです。

↑ちなみにこれが、今の状態。
買ってから丸2年。
ほとんど毎日使ってます。
赤べこの絵が、少し剥げましたが……。
桑の木肌は、ほぼ買ったときのままです。

↑レシートが出てきました。
これを見ると、鶴ヶ城の売店で買ったのは……。
桑のぐい飲みだけでしたね。
ハンカチと桐のこ人形は、会津若松駅の売店で買ってました。
どうりで包装紙が違うわけだ。
ようやく、記憶がはっきりしてきました。
確か朝、レンタサイクルを借りる前に……。
駅の売店をチェックしてたんです。
この日1日の観光の途中で、お土産を買えなかった場合に備え……。
下見をしてたわけです。
ハンカチと人形は、このとき目星を付けてたんでしょうね。
結局途中で買う機会がなく……。
レンタサイクルを返した後、売店で買ったんだと思います。

↑レンタサイクルの領収書もありました。
4時間までなら、1,100円ですが……。
それ以上の時間だと、9:00から17:00までの1日料金で、1,600円です。
わたしは、事前にネットで予約しておいたんですが……。
心配だったのが、当日のお天気。
確か、そのときのやりとりで、雨だったらキャンセル出来るか聞いたと思います。
出来るとのことでしたが、これから借りる人は、もう一度確認して下さい。
ま、借りにに行かなければいいだけのことですが。
でもマナーとして、やはりちゃんと電話連絡すべきでしょうね。

み「さて。
いよいよ、会津若松ともお別れだ」
ハ「お天気に恵まれて、良かったやないか」
み「ほんとにそうだよ。
ぜんぜん違うよね、後からの印象が。
さてそれじゃ、バス乗り場に参りましょうか」
ハ「今、何時やねん?」
み「14時23分」
ハ「バスの時間は?」
み「14時45分」
ハ「ちょっきりやないけ」
み「ほら、やっぱり……。
『昭和なつかし館』に寄ってたら危なかっただろ」
ハ「自分のこと、ようわかっとるわ」

み「お、ここだな。
もしここじゃなかったら、詐欺だぞ」
ハ「ここ以外あるかい」

ハ「時刻表やな。
なんや、貼り紙だらけやないか」

み「コロナ以降……。
どの便も減便になってるんだよ。
会津から新潟に行く便は……。
わたしの乗る14:45分の1本だけ」
ハ「乗り遅れたら、わやちゅうわけやな。
減便前は、何本あったんや?」
み「2本」
ハ「なら、これに乗り遅れても帰れたわけか」
み「帰れません。
減便になったのは、朝の7:45分発だから」
ハ「なんやそれ。
結局、1本と一緒やないけ。
せやけど、ちゃんと切符、持っとるんやろな?
確認しとかなあかんで」
み「それが……。
ないのよ」
ハ「なんやて!
帰れんやないけ!」
み「違うの。
最初から、このバスに切符はないの。
事前予約は出来ない仕組み」
ハ「そんなバス会社があるんか」
み「ほかの路線はちゃんと予約も出来るよ。
切符がないのは、『新潟-会津』間だけ。
つまり、この路線だけ……。
普通の路線バスと同じってことでしょ。
その都度、お金を払って乗るわけよ。
トイレも付いてないみたいだし」
ハ「いくらなんや?」
み「2,100円」
ハ「えらい安いやないけ。
行きの『ばんえつ物語』は、いくらやったんや?」
み「乗車券だけだったら……。
新津から会津若松まで、1,980円。
でも、グリーン車だったから、プラス1,700円。
合計、3,680円だね」
ハ「なんや、乗車券だけなら、JRの方が安いんか」
み「でも、時間が大違いなのよ。
行きの『ばんえつ物語』は、3時間半もかかったでしょ。
ま、あれはむしろ、それを楽しむための列車だけどね」
ハ「SLやないディーゼル車やったら、ちっとは速いんやろ?」
み「速いっていっても、3時間以上かかるけどね」
ハ「このバスは何時間かかるんや?」
み「1時間54分」
ハ「えらい速いやないけ。
どんだけ飛ばすねん」
み「高速道路だからだよ。
高速は、ほぼまーっすぐに敷かれてるでしょ。
それに対して磐越西線の線路は……。
阿賀野川に沿って、くねくねくねくね曲がってたじゃない」
ハ「確かにな。
あんなんやったら、急行も走らせられんわな。
そしたら、SL使わん人は、バス一択やろ。
3時間かけてJR乗る意味ないがな。
運賃だけやったら、いくらも違わんのやろ?」
み「わたしは新津から乗ったから、1,980円だったけど……。
新潟から乗れば、バスより高いでしょ」
ハ「JR使うヤツ、おらんがな」
み「磐越西線は、端から端まで乗る路線じゃないわけよ。
通勤や通学で、数駅乗る人がほとんどなんじゃないの」

み「しかし、ほんとにお天気に恵まれたね」
ハ「せやな。
雨やったら自転車も乗れんし、ぜんぜん違ごとったで。
御薬園なんか、ドロドロやったんやないか」
み「常日ごろからの行いのたまものじゃ」
ハ「それは大いに疑問や」

み「バスは、あそこを通ってくるのかな?」
ハ「せやないか」
み「しかし……。
『一般車両通り抜け禁止!』ってどうなのよ。
通り抜けられることを表明してるようなもんじゃん。
むしろ、通り抜け料金を掲示した方が効果あるんじゃないの?」
ハ「いくらや?」
み「5万円とか」
ハ「ぼったくりバーやがな」

み「青は仙台行きで、新潟行きは黄色だから……。
新潟行きは、右方向に並んでくださいってことだな」
ハ「誰も並んどらんやないけ。
今、何時や?」
み「14時32分」
ハ「発車13分前やないけ。
何で、誰もおらんのや?」
み「わたしも……。
狐にでも化かされてるんじゃないかという気がしつつある」

み「あ、来た」
ハ「ケツから来たで」

み「うむ。
これが一般車両じゃないことは……。
火を見るより明らかじゃ」
ハ「当たり前や。
いや。
待ったれや。
バスはバスやが……。
こいつ、高速やないで。
路線バスや」

ハ「『坂下(ばんげ)営業所』行きや」
み「あんな行き先表示板、よく見えるな。
サンコンか」
ハ「作者のご都合主義や」

み「今度こそキター」
ハ「頭から来たな。
この体裁は、明らかに路線バスやないな」
み「発車、6分前。
ジャストじゃ。
いざ、乗車」

み「よーし、乗ったぞ。
これでもう、乗り遅れる心配はない」
ハ「当たり前やがな。
しかし、金、払わいでええんか?」
み「郊外バスと一緒。
下りるときに払うの」
ハ「財布、落としてないやろな。
着いたはええが、降りれんくなるで」
み「ちゃんとあるわい。
あんたも落としてないのに、財布を落とすわけないだろ」
ハ「なんやそれ!」

み「しかし……。
空いとる」
ハ「これやったら、切符はいらんわな」
この写真だと、誰も乗ってないように見えますが……。
わたしのほかに、確か3人くらいはいたと思います。
み「さて、発車じゃ」

み「さらば、会津若松駅。
きのう着いたばっかりなのに……。
なんか、遠い昔のように思える」
ハ「このシーンを、2年後に書いてるからやろ」
み「言うでない!」

み「あ、ゆうべ泊まったワシントンホテルだ。
あの無愛想なフロント嬢、今日も働いとるかな。
何もかも、みな懐かしい……」
ハ「沖田艦長か」

み「やっぱり、あのホテル前のマンション、ぜったい住んでみたいわ。
ホテルの部屋が覗けるよな」
ハ「そんな無防備な客がおるかいな」
み「無防備じゃなくて、確信犯。
露出狂の。
ぜったい犯罪にならないよね。
覗いた方が犯罪でしょ」
ハ「よういわんわ」

み「しかしこのガラス、色が着いてて、写真写りがイマイチだな」
ハ「紫外線対策やないんか」
み「カーテンがあるじゃない」
ハ「窓の外も見えつつ……。
紫外線も防いでくれるちゅうガラスやろ。
観光バス用やないんか」
み「そうか。
そういえばこのバス……。
高速バスって云うより、観光バスっぽいよね」

み「いつの間にか高速に乗ってるな。
やっぱねー。
高速道路は、景色がイマイチだよね。
こればっかりは、磐越西線の圧勝だ」
ハ「行きに楽しんだんやからええやないか」

み「しかも!
窓が汚い!
最近は、手洗い洗車しないんだろうね。
洗車機を通るだけで」
ハ「しゃーないやないけ。
運転手不足のご時世や」

み「お、ちょうどいい手すりがあるな。
ここで、写真撮ってやるよ。
行きの『ばんえつ物語』でも撮ったからね」

み「ほら、ここに立って。
あっ。
か、片目がない!
いつの間に……?
……。
ま、いいか……」
ハ「よくないわ!
探してくれ!」
み「あんな小さい目、見つかるわけないでしょ」
ハ「簡単に諦めるな!」
み「口を取って、目に付けるか」
ハ「やめてくれ!」
み「どうせ、その目で見てるわけじゃないじゃん。
なくなったことにも気づかないんだから」
ハ「体裁の問題や!」
み「ぷっ。
最初からあんたにそんなものないでしょ」
ハ「失礼な!」
み「ま、今はもうどうしようもないよ。
帰ったら、100均でフェルト買って付けてやるから」
ハ「何で100均やねん。
ちゃんとした手芸店で買わんかい」
み「そんな店、行ったことないもの」
ハ「情けな。
そもそも、あんたに付けられるんかいな」
み「縫い付けるわけじゃないでしょ。
こんなの、アロンアルファじゃない」
ハ「我が身が不安や」
み「ま、しばし忘れなさい」
ハ「とほほ」