2024.4.13(土)
紅茶のカップをトレーに載せて戻り、2人の前に置く。
女性は軽く頭を下げた。
かなりな美貌だが、瑕疵もあった。
黒いニットの胸に、まったく膨らみがないのだ。
ニットは、ぴったりとしたシルエットではないが……。
そうとうな貧乳であることは間違いない。
微かな優越感を感じた。
「自分のも入れたら」
「え?」
運んできたカップは、2人分だった。
紅茶を出したら、退くつもりだったのだ。
気の利かないおばさんと思われたくなかった。
しかし侑人はどうやら、奈美も交えた場にしたいようだ。
それならむしろ、望むところだった。
この女性には、大いに興味があった。
自分のカップを運び、テーブルに置いたところで気がついた。
お茶請けがないのは寂しい。
「あの。
アレルギーとか、ありません?
小麦とか、卵とか」
「いえ。
大丈夫です」
良かった。
もらいもののクッキーがあるのだ。
キッチンに取って返し、クッキーをプレートに盛って戻る。
「神戸のクッキーなの。
いただきものだけど。
どうぞ」
「頂戴します」
女性の手が、素直にプレートに伸びた。
餅細工のような真っ白い指だった。
侑人も手を伸ばした。
「美味しい」
「でしょ。
やっぱり洗練されてるわよね。
神戸って。
あの、薫さん……。
ご出身は?」
「千葉です。
すごい田舎の」
「そうなの?
でも、とっても垢抜けてらっしゃるわ」
「そんなこと……。
海っぱたの漁師町でしたから。
しゃべるとお里がバレちゃうんで……。
東京に出て無口になりました」
最初の取り澄ました印象とは違い、笑うと人懐っこかった。
しばらく、お互いの故郷の話などで場が弾んだ。
しかし、侑人とどうやって知り合ったかは、切り出せなかった。
3枚目のクッキーに手を伸ばしかけたところで……。
突然、部屋が傾いた。
いや、傾いたのは部屋ではない。
自分だ。
どうして……。
ソファーの背もたれにゆっくりと倒れこみながら、すがるように2人を見た。
2人は笑顔を貼りつけたまま、奈美を見下ろしていた。
女性は軽く頭を下げた。
かなりな美貌だが、瑕疵もあった。
黒いニットの胸に、まったく膨らみがないのだ。
ニットは、ぴったりとしたシルエットではないが……。
そうとうな貧乳であることは間違いない。
微かな優越感を感じた。
「自分のも入れたら」
「え?」
運んできたカップは、2人分だった。
紅茶を出したら、退くつもりだったのだ。
気の利かないおばさんと思われたくなかった。
しかし侑人はどうやら、奈美も交えた場にしたいようだ。
それならむしろ、望むところだった。
この女性には、大いに興味があった。
自分のカップを運び、テーブルに置いたところで気がついた。
お茶請けがないのは寂しい。
「あの。
アレルギーとか、ありません?
小麦とか、卵とか」
「いえ。
大丈夫です」
良かった。
もらいもののクッキーがあるのだ。
キッチンに取って返し、クッキーをプレートに盛って戻る。
「神戸のクッキーなの。
いただきものだけど。
どうぞ」
「頂戴します」
女性の手が、素直にプレートに伸びた。
餅細工のような真っ白い指だった。
侑人も手を伸ばした。
「美味しい」
「でしょ。
やっぱり洗練されてるわよね。
神戸って。
あの、薫さん……。
ご出身は?」
「千葉です。
すごい田舎の」
「そうなの?
でも、とっても垢抜けてらっしゃるわ」
「そんなこと……。
海っぱたの漁師町でしたから。
しゃべるとお里がバレちゃうんで……。
東京に出て無口になりました」
最初の取り澄ました印象とは違い、笑うと人懐っこかった。
しばらく、お互いの故郷の話などで場が弾んだ。
しかし、侑人とどうやって知り合ったかは、切り出せなかった。
3枚目のクッキーに手を伸ばしかけたところで……。
突然、部屋が傾いた。
いや、傾いたのは部屋ではない。
自分だ。
どうして……。
ソファーの背もたれにゆっくりと倒れこみながら、すがるように2人を見た。
2人は笑顔を貼りつけたまま、奈美を見下ろしていた。
コメント一覧
-
––––––
1. Mikiko- 2024/04/13 05:32
-
今日は何の日
4月13日は、『花キューピットの日』。
「花のある生活」の普及拡大を目指す……。
『(社)JFTD(https://www.hanacupid.or.jp/)/東京都品川区北品川』が制定。
同団体が展開する「花キューピット」は、全国どこからでも……。
届け先近くの加盟店を通じて、新鮮な花を贈ることができるサービスです。
「手軽に花を贈る」ことを、世の中に広め……。
全国の加盟店による、「手作り・手渡し」の花贈り文化を創造してきました。
https://zatsuneta.com/img/104139_01.jpg
2023(令和5)年で、1953(昭和28)年のサービス開始から70年となりました。
これまで以上に、「花を贈る」ことで、癒しや感動があふれる社会を目指します。
日付は、同団体の前身「日本生花商通信配達協会(JFTD)」の設立日である……。
1953(昭和28)年4月13日から。
記念日は、2023(令和5)年、『(社)日本記念日協会(https://www.kinenbi.gr.jp/)』により認定、登録されました。
上記の記述は、こちら(https://zatsuneta.com/archives/104139.html)のページから転載させていただきました。
続きは次のコメントで。
-
––––––
2. Mikiko- 2024/04/13 05:32
-
今日は何の日(つづき)
さらに同じページから、引用を続けさせていただきます。
団体名の「JFTD」は、「Japan Florists'Telecommunication Delivery Association」の頭文字をとったものです。
「花キューピット」の歴史は、1952(昭和27)年、生花店を営んでた創立者の鈴木雅晴のもとに……。
当時、日本に駐留してたアメリカ兵から、母国に花を贈りたいという依頼がきたことから始まりました。
その当時はまだ……。
遠隔地に花を贈るということは、日本ではなかなか難しい時代でした。
アメリカには、その時すでに、花の通信配達システムがあることを知った創立者は……。
日本の将来にも、花の通信配達システムが必要になると思い、全国主要都市の花店8店に呼びかけました。
そして、1953(昭和28)年4月13日、22名の同志とともに……。
「JFTD花キューピット」の母体となる組織をスタートさせました。
生花通信配達システムは、当時の日本では初めての新しいシステムでした。
また当時の日本では、花を贈る習慣や、日常生活の中で花を気軽に買って帰るなど……。
「お花屋さん(生花販売事業)」を中心とした「花文化」は、強く根付いてませんでした。
そんな出発点から、「JFTD花キューピット」は、70年を越える活動の歴史の中で……。
この「花文化」を育成、啓蒙してきました。
より身近に、花のある生活、花を贈る、潤いのある暮らしを、全国に普及拡大させてます。
https://zatsuneta.com/img/104139_03.jpg
続きはさらに次のコメントで。
-
––––––
3. Mikiko- 2024/04/13 05:33
-
今日は何の日(つづきのつづき)
引用を続けます。
「JFTD花キューピット」は……。
より身近に、「花のある暮らし」の発展に寄与することを目的としてます。
「JFTD花キューピット」は……。
「親和と誠実」を基本理念としてます。
親和とは、お客様と花キューピットの加盟店、そして花キューピットの加盟店同士が……。
互いに親しみ、心を合わせること。
誠実とは、花キューピットが提供するサービスの信頼性です。
お花を、一人でも多くの方に贈りたい。
遠く離れた場所に、安全に届けたい。
「JFTD花キューピット」では、そんな想いを実現するために……。
生花通信配達システム網を、全国に広げてきました。
この配達網の名称を、創立から約30年後の1984(昭和59)年に……。
「花キューピット」と名付けました。
注文主の大切な「こころ」を、届け続けてます。
「JFTD花キューピット」は……。
2023(令和5)年に、創立70周年を迎えました。
北は北海道から、南は沖縄まで……。
日本全国、約4100店の加盟店をもつまでに成長しました。
また、日本国内のみならず……。
花キューピットの海外ネットワークを利用して、海外にもお花を贈ることができます。
https://zatsuneta.com/img/104139_02.jpg
以上、引用終わり。
続きはさらにさらに次のコメントで。
-
––––––
4. Mikiko- 2024/04/13 05:33
-
今日は何の日(つづきのつづきのつづき)
昨年だったか、一昨年でしたか……。
街の商店街にあったお花屋さんが閉店しました。
1度も利用したことはありませんでしたが。
わたしがお花を買うのは、お盆のお墓参りのときだけです。
前日にスーパーで買うか……。
当日、露店市場で買います。
13日は、必ず市が立つので。
でも、どちらも高いですよね。
1束、500円~600円くらいします。
以前、スーパーで、百合が入った豪華な束があったので……。
つい、値札を見ないで買ってしまいました。
帰ってから値札を見て仰天。
1200円だったかな。
それを2束も買ってしまってたんですよ。
翌日、お墓に供えたら……。
それはもう、周囲を圧倒する豪華さでした。
恥ずかしいほど。
写真に撮って帰りました。
最近は、必ず値札を見て買ってます。
500円以上のは買いませんね。
もちろん、1200円のとは比べられないほど質素(貧相)です。
なので、墓地に行く前に、途中の公園に寄ります。
この時期、矮性サルスベリが、たくさん咲いてるんです。
灌木状の、大きくならないサルスベリです。
でも、花の大きさは同じくらいあるんです。
この花を、4本くらいいただきます。
それを、500円の花束と合わせると……。
倍くらいの豪華さになりますね。
今年は、母の新盆です。
墓参りに行くときは、ハサミを忘れずに持っていかねば。
-
––––––
5. 手羽崎 鶏造- 2024/04/13 09:13
-
神戸の老舗と言えば、やはり
フロインドリーブでしょう。
朝ドラ「風見鶏」のモデルになった
ドイツ人が始めた店です。
父が好みで小学生の頃、連れられて
行ったのが最初でした。
アーモンドパイは見た目は地味ですが、
人を唸らせる逸品だと今も思います。
-
––––––
6. Mikiko- 2024/04/13 13:20
-
神戸のクッキーは……
1度も食べたことがありません。
美味しいんだろうなという想像です。
大阪のおばちゃんは、神戸っぽいと言われると喜ぶそうです。