Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
単独旅行記Ⅶ・総集編(8)
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 この『単独旅行記Ⅶ・総集編(8)』は、『単独旅行記Ⅶ(071)』から『単独旅行記Ⅶ(080)』までの連載を、1本にまとめたものです。


蓮の葉があったで
ハ「ほれ。
 蓮の葉があったで」
み「ん?
 これは、蓮じゃないじゃん。
 ツワブキの葉だよ」
ハ「与謝野晶子が見まごうたか?」
み「そんなわけないだろ。
 歌人や俳人は、植物に詳しいからね」
ハ「せやけど、似た水草やないけ」
み「ツワブキは水草じゃないって。
 これは、地べたから生えてるの。
 うちにもあるよ。
 隣との境のブロック塀ぎわにね。
 あんなところに植えたとは思えないから……。
 鳥の落とし物かな。
 砂地だけど、毎年、晩秋に黄色い花を咲かせてくれてる」
わが家のツワブキ
↑わが家のツワブキ(2023年11月26日撮影)。

み「宿根草なんだけど、常緑でね。
 冬は、雪の下でぺちゃんこになってる。
 でも、雪が解けると、葉がむっくり起きあがってくるんだ」
ハ「健気やな」
み「植物はみんなそう。
 自分で動けないんだからね」
ハ「“置かれた場所で咲きなさい”ちゅうやつやな」
み「運命は……。
 鳥がどこでうんこするかにかかってる。
 まさに、運を天に任せるだね」
ハ「いらん落ち、付けんでええわ」

綺麗な水が流れてる
み「おー、ここも綺麗な水が流れてる。
 これも、猪苗代湖から来てんのかな?
 ちょっと、ネット見て」
ハ「どうやら、湧き水があるみたいやで」
み「こんな水量の?
 凄いな。
 でも、湧き水でもなきゃ……。
 こういう施設、やってられないよね。
 水道水で水やりしてたら……。
 水道代、どんだけかかるのって話」

ここもビューポイントやな
ハ「ここもビューポイントやな」

人口庭園には、建物があった方がいいよね
み「さっきも言ったけど……。
 こういう人口庭園には、建物があった方がいいよね」

魚はおらんみたいやな
ハ「魚はおらんみたいやな」
み「観光地の池だと、鯉とかが寄ってくるよね。
 餌、もらえるかと思って」
ハ「この池やったら、観光客からもらう餌だけやと食うていけんやろな」
み「観光客、そんなに来なさそうだからね」

水面に落ちる木漏れ日
み「水面に落ちる木漏れ日。
 庭園は、水があると違うよね。
 枯山水は、手入れは楽なんだろうけど……。
 やっぱり物足りない」
ハ「浅いとこは陽があたるよって……。
 苔が生えとるわな。
 池掃除、定期的にせなあかんで」
み「予算が付くかねー」

ツワブキの群落だ
み「おー、ツワブキの群落だ。
 斜面ってのがいいよね。
 一斉に花が咲いたら見事だろうな」

食べられそうな芽が出てるな
み「なんか、食べられそうな芽が出てるな。
 何だろ?」
ハ「食うてみい」
み「生で食えるか。
 食べるとしたら、天ぷらだな」

この木は、1回、幹が折れてるね
み「この木は、1回、幹が折れてるね。
 その下から吹いた芽が、再び主幹になったわけだ。
 落雷かな」

立派な大木になってる
み「立派な大木になってる」
ハ「なんちゅう木や?」
み「樹名板がないとわからん」

エゾエノキ
み「あ、こっちにあった。
 エゾエノキ。
 普通のエノキじゃないんだ。
 エノキの葉って、有名な蝶の幼虫が食べるんだよ。
 知ってた?」
ハ「知らんがな」
み「日本の国蝶ですよ。
 オオムラサキ。
 たぶん、見たことない。
 一度、見てみたいよね
 飛んでるとこ」

ヒイラギ!
み「ヒイラギ?
 ヒイラギって、こんなにデカくなんの!」
ハ「ヒイラギっちゅうたら……。
 節分に、イワシの頭、刺すやつちゃうか?」
み「そんな風習もあるみたいだね。
 新潟は、まったくないけど。
 でも、何でヒイラギとイワシなの?
 ちょっと、調べて」
ハ「えーっとな。
 鬼が、焼いたイワシの臭いを嫌うからやて。
 それに、葉っぱの尖ったヒイラギを付けて……。
 鬼が入ってけえへんようにちゅうマジナイやな」

確かに、この葉は痛そうだ
み「確かに、この葉は痛そうだ。
 でも、焼いたイワシの臭いって……。
 なんか、吸血鬼のニンニクと似てるね。
 何で、鬼はイワシが嫌いなの?」
ハ「煙が嫌いみたいやな。
 イワシは脂が載ってるよって……。
 煙が盛大に出るっちゅうわけや」
み「それは、焼いてるときだろ。
 戸口にぶら下げた後は、煙なんか出ないじゃん」
ハ「残り香があるんちゃうか」
み「鬼が、そんなに敏感か?
 ま、いいや。
 しかし、このヒイラギなら……。
 イワシの頭、10,000匹くらい刺せそうだね」

樹齢推定、500年ってことは……
み「樹齢推定、500年ってことは……。
 1520年くらいってこと?
 何時代?」
ハ「室町時代やな。
 1520年やと、織田信長も生まれてへんわ」
み「以来、500年。
 よく、伐られなかったもんだね。
 てことはつまり……。
 そのころから、ここが庭園だったってこと?」
ハ「待ったれや。
 今、調べたる。
 えーっとな。
 お、Wikiにあったで(出典)。

+++
 御薬園の起こりは、室町時代に霊泉の湧きだしたこの地に、永享4年(1432年)、蘆名盛久が別荘を建てたのがはじまりといわれている。
+++

 やて」
み「なるほど。
 霊泉ってのは、さっき見た湧き水だね。
 今も、まったく枯れてないわけだ」
ハ「盆地やからな。
 山からの雪解け水が集まって来んのやろ」
み「それが、ここらから湧いてたってことか。
 確かに、原っぱの真ん中から水が湧いてたら……。
 霊泉に見えたろうね」

ずいぶんと斜めった木だな
み「これはまた、ずいぶんと斜めった木だな」

コウヤマキか
み「コウヤマキか。
 しかし、何で傾いたかね。
 雪が押したわけじゃないよな」

隣のモミは、反対側に傾いでるし
み「隣のモミは、反対側に傾いでるし。
 やっぱ、台風とかかな。
 根が半分切れかかったけど、なんとか堪えたって感じかも」
ハ「台風のニュースで、倒れた街路樹、よー見るな。
 みんな伐採されとるみたいやけど……。
 そのまま起こせば生きるんちゃうか?」
み「横倒しになったのは無理だよ」
ハ「なんでや?」
み「横倒しになったってことは……。
 倒れた方向と反対側の根は、みんな切れてるってことでしょ。
 起こしたって助からないって」
ハ「なるほどな」

こんなとこに植えられた木は幸せだよね
み「こんなとこに植えられた木は幸せだよね」
ハ「天寿を全うできるやろな」
み「それも、何百年なんだからね」

やっぱり、鯉がいるんだ
み「げ。
 やっぱり、鯉がいるんだ。
 カモなんかもいるの!
 もうすぐ、6月だよ。
 何で、北に帰らないわけ?」
ハ「餌、貰えるからやろ」
み「志が低い!」

志の低い輩どもめ
ハ「ほれ、おったで」
み「志の低い輩どもめ。
 でも、池の鯉を見ると……。
 小学校の中庭の鯉を思い出すな。
 男子が放りこんだコオロギを、バックバク食ってた」
ハ「殺伐たる思い出やな」

お休みどころか?
み「お。
 お休みどころか?
 お茶でも出してくれんのかな?」
ハ「にしては……。
 いやに閑散としとるで」

『御茶屋御殿』やて
ハ「ほれ。
 『御茶屋御殿』やて。
 史跡やがな」
み「ほー。
 明治以後、松平容保が、ここに住んだんだね」
ハ「しかし、いつ建てられたんか書いてないのは、何でや?」
み「わたしに聞くなよ。
 調べて」
ハ「聞いたわしがアホやった。
 えーっとな。
 『御薬園』のページにあったで(こちら)。

+++
 建築年代は1696年代(元禄九年)で、ただし木割の細い数寄屋建築に加えて、会津が多雪地帯であることから破損の進行が早くも改造を加えています。
+++

 やて」
み「“1696年代”って何よ?
 年代ってことなら、普通、1690年代とかなんじゃないの?」
ハ「わしに言うなや」
み「あと、“破損の進行が早くも改造を加えています”って文章もおかしいじゃない。
 “破損の進行が早く、改造を加えています”ってことじゃないの?」
ハ「役所に言うたってくれや」
み「わたしを校正係に雇ってもらいたい。
 テレワークでできるから……。
 冬の会津若松に行かなくてもいいよね」
ハ「何の話やねん」
み「あっ」
ハ「何や?」
み「これって、さっき、池の向こうに見えた建物じゃん」
池の向こうに見えた建物
↑これです。

ハ「そうやがな」
み「遙けくも来つるものかな」
ハ「池を巡っただけやないか」

庭園の説明書きがあった
み「お、庭園の説明書きがあった。
 やっぱり、1696年なんじゃん。
 さっきの“1696年代”って、どゆこと?」
ハ「学者先生が書いたんを、そのまま載せたんちゃうか?」
み「そういう姿勢でいいのか!」
ハ「わしに言うたりなっちゅうに」

これは、五葉松だよな
み「これは、五葉松だよな。
 こんな風に群植させる使い方も珍しいね。
 待てよ……。
 これって、ひょっとして、1本の木か?」
ハ「調べたるわ」
み「気が利くじゃない」
ハ「どうせ、そう言われんのやろ。
 えーっとな。
 どうも、ブログの訪問記みたいなのしかないがな……。
 1本の木であることは、間違いなさそうやな。
 樹齢500年やと」
み「さっきのヒイラギも、500歳だったよね」
ハ「同じころに植えられたっちゅうことやな」
み「自然の木なら、樹齢500年ってのはよくあるけど……。
 庭に植えられた木が、500年生き続けてるってのはすごいことだよ。
 干ばつの夏もあったろうに。
 ひょっとしたら、湧き水の通る層があるのかも。
 そこに根が届いてれば、枯れる心配はないわけだ」
ハ「地下に灌水装置があるようなもんやな」
み「それそれ」

まさしく『御薬園』
み「お。
 ここから、まさしく『御薬園』になるわけだ」
ハ「朝鮮人参なんか、普通に栽培できたんか?」
み「時代劇だと、ものすごく高価なイメージだよね」
ハ「娘が、病気の親に飲ませるために身を売ったりな」
み「なんでそんなに高いの?」
ハ「はいはい。
 調べたるわ。
 んー。
 どうやら、種を撒いてから収穫まで……。
 5,6年かかるみたいやな」
み「セミか!」
ハ「栽培途中でダメになってまうリスクもあるやろな」
み「大水で流されたりね」
ハ「種なんか高いんやろ。
 ぜんぶ流されたら、どうなんねや」
み「保険なんかかけてないだろうしね」
ハ「当たり前や」
み「確かに、リスク大きすぎ。
 栽培すんのやめた」
ハ「する気やったんかいな!」
み「大儲けできるかと思って」
ハ「あんたが収穫できるくらい簡単やったら……。
 1本、10円くらいになっとるやろ」
み「失敬な!」

アセビだ
み「アセビだ。
 でも、ずいぶんとおどろおどろしい樹形だな」
ハ「けっこう古いんちゃうか。
 まさか、江戸時代のやないんやろうけど」
み「アセビって、漢字でどう書くか知ってる?」
ハ「そら、決まっとるがな。
 “汗鼻あせび”やろ。
 箭じて飲むと、苦ごうて鼻に汗かくわけや」
み「ぜんぜん違うわ。
 それに湯桶読みじゃん。
 馬が酔う木と書いて、“馬酔木あせび”だよ」
ハ「字が、ひとつも合うとらんやないけ!」
み「わたしに言うな」
ハ「クイズになってへんがな。
 トンチで答えられる問題やないやろ」
み「はは。
 トンチって。
 おまえは、一休さんか。
 馬がこの木の葉を食べると……。
 酔っ払ったみたいにフラフラになるから、馬酔木」
ハ「毒草っちゅうことやな」
み「毒と薬は、表裏一体ってこと」
ハ「トリカブトみたいなもんか」
み「だね。
 でも、この木、普通に園芸用に売られてるんだよ。
 わたしの自転車散歩の経路にある家にも植わってる。
 春一番に花が咲くんだ。
 地味な花なんだけど……。
 わたしにとっては、ほんとに嬉しい花。
 この花を見ると、ようやく春が来たんだと実感するわけよ」
ハ「売られとんのは……。
 トリカブトほど、毒性が強くないからやろな」
み「でも、ま、お子さんのいる家なんかじゃ……。
 植えない方がいいかもね。
 口に入れちゃうかも知れないから」

ギボウシも、薬草だったのか
み「ギボウシも、薬草だったのか」
ハ「漢字は、偽の帽子で“偽帽子ぎぼうし”か?」
み「ぜんぜん違います。
 橋の欄干とかにある“擬宝珠ぎぼし”のことだよ。
 神社とかの手すりにも付いてる」
ハ「あのタマネギみたいのんか」
み「そうそう。
 サンプラザ中野が……。
 武道館のてっぺんの擬宝珠を、そう歌ったわけだ」
ハ「せやけど、この草のどこが擬宝珠やねん?
 ぜんぜん似てへんやないか」
み「6月から7月ころ……。
 この葉の真ん中から花茎が伸びて、薄紫の可憐な花を咲かせるのよ。
 その花の出たばかりの蕾が、擬宝珠に似てんの」

ギボウシの花
↑ギボウシの花。これは、だいぶ前にわたしが撮った写真です。けっこういい腕前じゃないすか?

み「冬は地上部が枯れるから……。
 雪国の庭にはうってつけ。
 わが家にもあるよ」

 『Mikiko's Garden』の『『もしも「Mikiko's Room」が……』で……。
 「ギボウシ」を紹介してます。
 ぜひ御覧ください。

アザミだ
み「アザミだ。
 ノアザミ。
 でも、これも薬草なの?
 ちょっと調べて」
ハ「根っこを天日干ししたのが、生薬とされるみたいやな」
み「しかし……。
 誰が、この花の根っこを薬にしようと思いついたのかね?」
ハ「もともと、茎が山菜として食われとったようやな。
 やから、根も食えると思たんちゃうか」
み「そうか。
 飢饉のときとかだ。
 普段なら茎だけ取る山菜の……。
 根っこまで掘って食べたんだね、きっと」
ハ「かも知れんな」

いかにも日本の水辺だな
み「おー、いかにも日本の水辺だな。
 紫のは、アヤメかな。
 黄色いのは、たぶんキショウブ」
ハ「いずれがアヤメかカキツバタやな」
み「ここでクイズです」
ハ「またかいな」
み「アヤメ、ハナショウブ、カキツバタ。
 水が一番好きなのはどれでしょう?」
ハ「トンチか?」
み「違います。
 知識を問うております」
ハ「知らんかったら答えられんやないけ」
み「調べるなよ」
ハ「降参やから、答え言うたり」
み「投げ出すな!」
ハ「どないせいっちゅうねん」
み「水が一番好きなのは、カキツバタ。
 ほぼ水中に生えてます。
 水の中じゃ生きられないのが、アヤメ。
 むしろ乾燥したところの方が好き。
 だから、畑とかに植えられてる。
 ハナショウブはその中間。
 水辺だね。
 アヤメより、もっと乾いたところが好きなのが……。
 ジャーマンアイリス。
 デカくなるし、派手な花でね。
 使うんなら洋風の庭向き」

 このへんのことについても……。
 『Mikiko's Garden』の『いずれが菖蒲か杜若』で書いてます。
 読んでみてね!

竹だ
み「竹だ」
ハ「竹やな」
み「やっぱ、竹があると……。
 和庭って感じがするよね。
 こういうのを見ると、植えたくなるんだけど……。
 無思慮に竹を植えると、地下茎で伸びるから大変なことになる。
 隣の庭に入りこんだりね。
 ちゃんと根止めして植えないと」
ハ「なんやそれ?」
み「文字どおり、地下茎の伸びを止める工夫ですよ。
 これ以上、伸びてってほしくないところに、波板とかを埋めるわけ」
ハ「えらい大変なんやないか?」
み「大変ですよ。
 労を惜しんで浅めに設置して……。
 その下を潜って伸びられたら何にもならない。
 造園屋さんなら、小型のユンボで掘れるからいいんだけどね。
 あと、竹の苗を植えるときの工夫について一言。
 当然、苗は自立しないでしょ」
ハ「そら、そやな」
み「でも支柱したら、風情がなくなるよね」
ハ「せやけど、せんわけにいかんやないけ」
み「支柱を地下にするという方法がある」
ハ「どないするんや?」
み「建築資材に、ワイヤーメッシュってのがあんの。
 比較的小さなエリアに、コンクリートを打つときに使う。
 鉄筋をあらかじめ組んである網状なのが、売ってんの。
 サイズも、いろんなのがある。
 ホームセンターでも売ってるよ」


み「これを、根鉢の深さに掘ったところに敷くわけ。
 で、竹の根っこをこれに縛り付ける。
 土を埋め戻せば、立派に自立した竹林の出来上がり」
ハ「妙なこと知っとるやないけ。
 やったことあるんか?」
み「あるわけないでしょ。
 そんな大変なこと。
 叔父の受け売りです」
ハ「なんや。
 人のフンドシかいな」
み「例えがお下品!」

ナワシロイチゴ?
み「ナワシロイチゴ?
 ぜんぜん知らん。
 そう云えば、新潟の公園なんかには……。
 ナワシログミってのが植えられてることがある。
 ナワシロって、稲の苗代のことかな?」
ハ「苗代で作るんちゃうか?」
み「そんなわけないだろ。
 すぐに検索!」
ハ「はいはい。
 お、分かったで。
 グミもイチゴも、苗代を作るころに実が成るからやて」
み「そんなに早く?
 早春じゃん」
ハ「6月ころやと書いたるで」
み「なんで、苗代が6月なの。
 新潟じゃ、ゴールデンウィークが田植えだぞ」
ハ「今の時代はそうかもしれんけど……。
 昔は、もっと田植えが遅かったんやないんか」
み「あ、そうか。
 北原白秋の『夏は来ぬ』に出てくるもんね」

♪さみだれの そそぐ山田に
 早乙女が 裳裾ぬらして
 玉苗植うる 夏は来ぬ

ハ「歌わいでいい」
み「なんでじゃ!」
ハ「三半規管がたわみそうや」
み「失敬なやつ。
 歌詞の“さみだれ”だけど……。
 五月雨って書くから、今の人は5月に降る雨だと思うよね」
ハ「ちゃうわけやな」
み「左様。
 陰暦の5月だから、今の6月だよ。
 つまり、梅雨の雨のこと」
ハ「昔は、梅雨のころに田植えしとったっちゅうわけやな」
み「苗のころに雨が降らないと……。
 植えた苗が、ダメになっちゃうからじゃない?
 だから、わざと梅雨の時期に植えてたのかも」

ムクゲだ
み「ムクゲだ。
 これは、ポピュラーな木だね。
 韓国の国花でもあるし。
 でも、わたしはちょっと見たくない花」
ハ「なんでや?
 韓国の花やからか?」
み「違いますよ。
 花の時期。
 夏の終わりに咲くんだよ。
 だから、この花が咲くと……。
 あー、もう夏が終わっちゃうって思うわけ」
ハ「やっと暑さも終わりやと、ホッとする人もおるんやないけ?」
み「太平洋側の人は、そうかも知れない。
 冬は毎日晴れなんだから、ちっともイヤじゃない。
 東京に住んでたころは、わたしもむしろ冬が一番好きだった。
 空気が澄んで、空が青くてさ。
 だから、夏が終わるのも、ちっともイヤじゃなかった。
 それに対して新潟の冬は……。
 文字どおり、耐えるだけの季節だからね。
 山の方の人は、スキーとかスノーボードができるだろうけど……。
 新潟市は真っ平らで、そり遊びもできない。
 できるのは、田んぼでクロスカントリースキーくらいだよ。
 そんなことして楽しいと思う?」
ハ「ワハハ」
み「だから、夏の終わりは……。
 冬の始まりに思えるわけ。
 ムクゲの後には、コスモス。
 切なくなるね」
ハ「引っ越したらええがな」
み「簡単に言うな!
 持ち家の転居は、容易なことじゃないの。
 家財道具の処分とか」
ハ「まずは断捨離からやな」

『チョウジソウ』?
み「笹かと思ったら……。
 違った。
 『チョウジソウ』?
 聞いたことないな」
ハ「花、咲いたるな。
 蝶が来とるで」
蝶が来とるで

み「どんな植物か、調べて」
ハ「そう来ると思ったわ。
 Wikiさまに聞いたるか(出典)。
 “チョウジソウは、リンドウ目キョウチクトウ科に分類される多年生草本植物”とあるな」
み「花のこと、書いてあるでしょ」
ハ「読むで。

+++
 宿根草で、5月頃になると茎を高さ40~80cmまで伸ばし、5~6月になると茎頂に集散花序を出し薄青色の花を多数咲かせる。
 萼は深く5裂し、花冠は15mmほどで平らに開く。
+++

 やて」
み「名前の由来は?」
ハ「丁の字の草と書いて、丁字草やな。
 花が横から見たら、“丁”の字に見えるからやて」
み「見えるか?
 そもそも、何でわざわざ横から見るの?
 茎が40~80cmなら、普通、上から見るでしょ」
ハ「知らんがな。
 小人が見たんちゃうか?」
み「あんたみたいな?
 あ、あんたが見たら、下からか」
ハ「余計なお世話や。
 お、Wikiの続きがおもろいで。

+++
 他のキョウチクトウ科植物と同様、本種も全草にアルカロイドを含み有毒である。
+++

 やて」
み「だから薬草なんだ。
 でも、キョウチクトウなんて、普通に公園に植わってるからね。
 子供、連れてったときは……。
 口に入れたりしないか、注意して見てなきゃなんない」
ハ「せやかて、そもそも親が……。
 キョウチクトウに毒があるっちゅうこと知らんやろ」
み「それそれ。
 昔、大事故があったんだよ。
 フランスでだけど。
 河原に、バーベキューをしにきたグループがあったの。
 でもなんと、バーベキューの串を忘れて来ちゃった」
ハ「迂闊すぎやろ」
み「みんな、誰かが持ってくるだろうって思ってたんじゃない。
 で、仕方ないから、河原に生えてた木の枝を切って、串を作った。
 もう分かるでしょ?」
ハ「キョウチクトウやったわけやな」
み「そう。
 枝から出た毒が、いい味付けになっちゃったわけよ。
 で、なんとあなた、7人も亡くなったんだって」
ハ「まさに大事故やな」
み「たぶん救急隊員も、最初は食中毒だと思ったんじゃない?
 だから処置が遅れたんだよ」
ハ「まさか、串から毒が出とったとは思わへんわな。
 あちゃらの人は、食う量も半端ないやろしな」
み「海外で食べ放題のお店なんかやったら、即、潰れるね」

菜っ葉か?
み「なんだこれ?
 菜っ葉か?
 樹名板がないな」
ハ「それやと、調べようがないわ。
 やれやれ、ちと休めるわい」

これ、水芭蕉だよ
み「なんじゃこれ?
 種?
 あっ!」
ハ「なんやいな。
 たまげるがな」
み「これ、水芭蕉だよ。
 花がないから気づかなかったけど」
ハ「せやけど、水芭蕉いうたら……。
 “♪夏が来れば思い出す”の歌に出てくる花やろ」
み「“♪水芭蕉の花が咲いていた”だね」
ハ「歌わいでええっちゅうに。
 今、5月やで。
 夏に咲く花の種が、なんでもう出来とんねん」
み「水芭蕉は、平地では4月ころ咲くの。
 尾瀬は高原だから5月ころなんじゃないの。
 つまり、初夏ってこと。
 『夏の思い出』は、真夏の歌じゃないわけ」
ハ「しっかし、花がないと……。
 菜っ葉にしか見えんな」
み「北海道で見た水芭蕉はすごかったな。
 デカくて。
 白菜が立ってるのかと思った」
ハ「ははは。
 そりゃ、ちっとばかり風情がないわな」

アサツキって、あの薬味に使うやつでしょ?
み「アサツキって、あの薬味に使うやつでしょ?
 こんなに細かった?」
ハ「店先に並んどんのは……。
 プロの農家が、丹精して育てたもんやろ。
 植えっぱなしにしとったら……。
 こないにしかならんちゅうこっちゃな。
 あんたも、植えん方がええで。
 こうなるのが落ちや」
み「無念だが……。
 同意する」

しかし、この字……
み「しかし、この字……。
 どうにかならなかったのか?
 文字数を考えないで、いきなり“ギ”をデカく書くから……。
 どんどん先細りじゃん」
ハ「ちゃんと収めたんやからええやないか」
み「普通、書き直すだろ」
ハ「経費節減」
み「まぁ、いい。
 これって、山菜としても食べられるんじゃない?
 昔、北海道での移住記を読んでたら……。
 やたら、これ採ってたよ」
ハ「てことは、毒草やないてことやな。
 Wikiさまに聞いたる(出典)。

+++
 ニンニクに似た強烈な匂いがあるが、若芽は山菜として食べられている。
+++

 やて」
み「やっぱりね」
ハ「ただし、素人は注意が必要みたいやで」
み「毒はないんでしょ?」
ハ「毒草と似とるんやて。
 おんなじページに書かれとる。

+++
 ギョウジャニンニクはネギの仲間であるが、葉が筒型ではなくて扁平で、葉を見るとバイケイソウ類、イヌサフラン(コルチカム)、スズランなどの毒草と間違えやすい。
 特にスズランとの区別に注意する必要があり、葉の根元の茎の部分が赤色の繊維状のもので包まれていること、スズランにはネギ臭さがないので、特有の臭いの有無で判別可能である。
 またイヌサフラン(コルチカム)を間違えて誤食したことによる中毒事例も多く、中には自宅の庭にギョウジャニンニクとコルチカムの両方を植えてあったことが原因の誤食事故もある。
 イヌサフラン(コルチカム)も切り口はニンニク臭を発しないのでそれで区別が出来る。
 本種を食用目的で採取する際は、茎などの切り口にニンニク臭があるかを必ず確認し、ニンニク臭を発しないものは破棄するべきである。
+++

 てことや」
み「ちょっと怖いね。
 鼻詰まりのときは、採るのはやめといた方がいいな」

ユキノシタ?
み「ユキノシタ?
 アスパラにしか見えんけど」
ハ「アスパラと間違うて採ると、えらい目に遭うんちゃうか?」

やっぱりアスパラじゃん
み「げ。
 やっぱりアスパラじゃん。
 そしたら、ユキノシタってどれよ?」

これやろな
ハ「これやろな」
み「紛らわしい!」

樹名板が読めんではないか
み「なんじゃこれ?
 樹名板が読めんではないか」
ハ「シラン」
み「知らなかったら、調べんしゃい」
ハ「よう見てみ。
 薄っすらと書いたるがな」

“シラン”や
ハ「“シラン”や」
み「あ、そういえば見たことある。
 けっこう普通に公園とかに植わってるよ。
 冬、地上部が枯れるから、雪国には便利な草だね。
 雪捨て場にも植えておける」
ハ「“シラン”ちゅうのは、紫の蘭やな」

ウイキョウか
み「ウイキョウか。
 この名前は聞いたことがある。
 漢方薬だよね。
 こんなとこで普通に育つんだ。
 あ、思い出した。
 太田胃散じゃない?
 じいちゃんが飲んでた。
 CMもやってたよな」
ハ「例によって、Wikiさまやな(出典)。
+++
 漢方方剤の安中散(あんちゅうさん)に配合される生薬の1つとして知られ、また太田胃散(漢方+西洋薬の処方)、口中清涼剤の仁丹などにも使われており、年間100トンが製薬原料として消費される。
+++

 やて」
み「やっぱり」

こういう浅い池は、生き物の宝庫なはずなんだけど……
み「池だ。
 こういう浅い池は、生き物の宝庫なはずなんだけど……。
 なんもいない」
ハ「草が食われんように、魚は入れとらんのやないか?」
み「メダカくらい入れたらいいのに」

下の草が、“重陽閣”ってわけじゃないよね
み「これは……。
 下の草が、“重陽閣”ってわけじゃないよね」
ハ「あたり前やがな」

松平容保の孫娘が来るってだけで……
み「松平容保の孫娘が来るってだけで……。
 3階建ての別館を建てたわけ?」
ハ「昔の殿様の孫が来てくれるんやったら……。
 旅館にとったら、大名誉っちゅうことやないか」
み「しかし……。
 なんで、2,3階部分だけの移築なの?
 1階はどうしたってわけ?」
ハ「知らんがな。
 元の場所にあるんとちゃうか?」
み「2,3階がなくなっちゃったら、雨漏りし放題じゃないか」
ハ「屋根くらい掛けたやろ!」

 どうして、3階建ての建物の、2,3階部分だけが移築されたのか。
 どうにも不思議でなりませんでした。
 で、しつこく検索してみたところ、ようやく判明しました。
 答えが見つかったのは、『美珍麗・探訪』というサイトさんの……。
 『御薬園②重陽閣〔会津若松〕』というページです。
 ↓引用させていただきます。
+++
 当時は3階建てでしたが、川沿いの斜面に建てられており、1階部分の移築は難しかったようです。
+++

 ずばりな答えですね。
 1階部分が、傾斜面に張り付く造りだったため……。
 平面の土地には移築できなかったわけです。
 上記のページには……。
 「旧新滝別館」として、3階建てで建ってたころの写真も載ってました。
 いやー、わかってスッキリしました。
 なお「新滝旅館」は、『くつろぎ宿 新滝』として、現在も東山温泉で営業されてます。
 残念ながら、1階部分が残ってるという情報はありませんでした。
 この重陽閣は、見学できたんですかね?
 なんで前を素通りしてしまったのか、今となってはわかりません。

なかなかおもしろかったな
み「うむ。
 なかなかおもしろかったな」
ハ「お天気が良くて、なによりやったわ」
み「まさしく」

 のんびりと見て回ってたようですが……。
 写真の撮影時刻を見ると、『御薬園』での滞在時間は30分でした。
 実際には、せかせかと歩き回ってたんでしょうね。

しゅっぱーつ!
み「新たな目的地に向かって……。
 しゅっぱーつ!」

どこ行くんや?
ハ「どこ行くんや?
 まさか、『会津保健福祉事務所』やないやろな」
み「行くかい!
 ま、着いてからのお楽しみ」

何があったところだろ
み「空き地だ。
 何があったところだろ?」

県有地やて
ハ「県有地やて」
み「こんなに平らで広いんだから……。
 野球場とかにすればいいのにね。
 ほぼ空き地の状態を保っておけば……。
 災害時には、仮設住宅の建設用地にできるよ」
ハ「県は売って金にしたいんやないんか?」
み「しかしねー。
 買い手がつくかな。
 分譲地にしたって、これだけの面積、売りさばける?
 ほんとに、なんの跡地なんだろ。
 調べて」
ハ「買う気かいな」
み「価格によってはな」
ハ「なんぼや?」
み「坪10円」
ハ「アホか!」
み「いいから調べて」
ハ「しゃあないやっちゃな。
 えーっとな。
 なるほど。
 どうやら『福島県立会津総合病院』の跡地のようやな。
 2013年、“『会津医療センター』への移管に伴い閉院”となっとる」
み「じゃ、10年近くも空き地のまんま?」
ハ「そういうこっちゃな」
み「利用計画はあるの?」
ハ「複合施設になるちゅう計画はあるようやな(参照)。
み「そもそも、どれくらいの広さなの?」
ハ「24,921㎡や」
み「坪にして?」
ハ「7,552坪や」
み「建売住宅、200棟は建つな。
 よし、坪10円で買う。
 7万5千円だ」
ハ「県に言いに行けや。
 『会津医療センター』、紹介されるわ。
 心身医療科があるみたいやからな」
み「残念ながら、今は時間がない。
 先を急がねば」
ハ「せやったら、最初から道草食うなや」

おもろそうやないか
ハ「お。
 おもろそうやないか。
 ここやな」
み「残念。
 ほんとは、ここに寄りたかったんだ」
ハ「寄ればいいがな」
み「今日は、月曜日でしょ。
 休館日」
ハ「あっちゃー。
 日をずらせんかったんかいな」
み「ま、いろいろとね。
 しかし、こういう公共施設って……。
 どうして揃いも揃って、月曜休館なのかね」
ハ「そりゃ、土日に開けるからやろ。
 客もようけ来るし、疲れるがな」
み「ま、公務員としたら……。
 土日に休めないのは、ちょっとアレだろうね。
 でも、公務員だったら、週休2日だろ。
 火曜は開館してるんだから、休めないじゃん」
ハ「交代やろ。
 月、火と連休で休めるシフトと……。
 月と、水から金のうちの1日休めるシフトがあるんちゃうか。
 土日は、全員出勤やな」
み「シフト表、もらって来るか」
ハ「くれるかいな!
 そもそも今日は、誰もおらんがな。
 入れへんなら、早よ行こうや。
 また道草や」

こんな街道沿いに廃墟だ
み「げ。
 こんな街道沿いに廃墟だ。
 明らかに誰も住んでないよね」
ハ「せやな。
 1階が店舗で……。
 上は住居やったみたいやな」
み「なんで、この状態で放置されてるんだろ。
 調べて」
ハ「また買う気かいな」
み「価格によってはな」
ハ「1棟、なんぼや?」
み「うーむ。
 1,500円くらいかな」
ハ「アホか!
 まぁ、調べるだけ調べたるわ。
 えーっとな。
 市営団地やったみたいやで」
み「なるほど、市営か。
 それで放置されてんだな」
ハ「さっきの県有地と一緒やな」
み「役所の持ち物は、いろいろと面倒だね」
ハ「江戸時代は、武家屋敷が並んでた場所らしいで。
 明治になってからは、歩兵部隊の兵舎やて。
 そこが、第二次大戦後、引揚者の住居にされた。
 さらに、この団地に建て替えられたのは……。
 昭和29年ころみたいやな」
み「てことは……。
 建てられたのは、70年近く前か」
ハ「そんだけ経ったら、こないなるわな」

肝試しで入りこんだりしないのかね
み「でも、中坊とかが……。
 肝試しで入りこんだりしないのかね」
ハ「それよか……。
 ホームレスにとっては、格好のねぐらやで」
み「会津若松に、ホームレスはいないと思うぞ」
ハ「なんでや?」
み「新潟もいないから」
ハ「役所の取り締まりが厳しいんかいな?」
み「役所は何もしてないよ」
ハ「そしたら、何でおらんのや?」
み「冬を越せないから。
 新潟や会津の冬に……。
 暖房のないとこで寝てたら、間違いなく凍死するって」
ハ「なるほどな。
 冬だけ、暖かいところに移動するってのは……。
 無理やな」
み「あの世界は、縄張りが厳しいだろうからね。
 冬だけ、縄張りに入れてもらうなんて無理だよ。
ハ「365日、いられるとこにしか住めんちゅうこっちゃな」

さぁ、着いたぞ
み「さぁ、着いたぞ」

会津若松城やな
ハ「なるほど。
 会津若松城やな。
 しかし、さっきのバラック……。
 一等地やないんか?」
み「だから、武家屋敷が並んでたんでしょ」
ハ「せやな。
 はは。
 団地名は、まんま『城前団地』やったで」

駐車場まで600メートル?
み「駐車場まで600メートル?
 ばかにあるな」
ハ「ここはまだ城の中やないんやろ」
み「城に向かう入り口ってことか」

喫茶店か?
み「喫茶店か?」
ハ「ちゃうと思うで」

あこ、見てみ
ハ「あこ、見てみ」
み「ラブホか。
 でも、やってんの?
 半分、さっきの団地っぽいけど」
ハ「ネットの情報見ると……。
 やっとるみたいやな」
み「しかし、こんなお城の入り口で……。
 入りにくさ抜群じゃないの。
 車も丸見えだし」
ハ「口コミ見ると……。
 テレビが、ブラウン管やて」
み「はは。
 それはそれで、入ってみる価値あるかもね」

さて、鶴ヶ城だ
み「さて、鶴ヶ城だ。
 ここに来たのは、たぶん3回目。
 でも、最初のときは小学校の修学旅行だし……。
 2回目も、20年以上前かな。
 まるで記憶がない」
ハ「新鮮でええやないか。
 便利な頭や」
み「何か言った?」

上杉も城主やったんや
ハ「ほー。
 上杉も城主やったんや」
み「いつごろ?」
ハ「書いてないがな」
み「即、調べる!」
ハ「はいはい。
 1598年から1601年やて」
み「たったの3年?」
ハ「1600年が、関ヶ原やろ。
 それで西軍についとった上杉景勝は……。
 米沢30万石に転封やて」
み「30万石?
 左遷先としては十分なんじゃないの」
ハ「上杉が、会津に入封したときは……。
 120万石やったそうやで」
み「どっひゃー。
 とんでもない大大名じゃん」
ハ「豊臣政権の五大老のひとりやったて」

いざ、天守へ
み「よし。
 いざ、天守へ。
 しゅつげ~き」
ハ「撃ち殺されるで、綾瀬はるかに」
み「ところでさ。
 正しくは『天守』で……。
 『天守閣』は間違いだって聞いたことあるけど。
 ほんとかね?」
ハ「また調べるんやな」
み「気が利くではないか」
ハ「ええ加減、慣れるわ。
 えーっとな。
 どうやら、お城が使われとった時代……。
 つまり、江戸時代までやな。
 そのころには、『天守閣』という用語は存在せんかったようや。
 文献や絵図には、『天守』しか使われてない」
み「やっぱり、『天守閣』は間違いか」
ハ「間違い言うんかな?
 幕末ころから、『天守閣』が使われるようになったんやけど……。
 天守が、楼閣の一種やということからみたいやな」
み「楼閣の定義は?」
ハ「重層の構築物やな」
み「あ、そうか。
 金閣、銀閣だね。
 あの建物には、ちゃんとしたお寺の名前があるよね」
ハ「鹿苑寺と慈照寺やな」
み「その体で……。
 『天守』が『天守閣』になったわけか。
 今の学術用語ではどう使われてるの」
ハ「当然、『天守』やがな」
み「そしたら、この看板はマズいんでないの?」
ハ「せやけど、この鶴ヶ城の天守は、戦後の再建やろ」
み「コンクリートだよね」
ハ「江戸時代にはなかったもんなんやから……。
 『天守閣』でもええんちゃうか」
み「落としどころかね」

石垣は、さすがに本物だわな
み「石垣は、さすがに本物だわな」
ハ「しかし、見事にぴったり組んだるもんやな」
み「重機もない時代にね。
 わたしなら、絶対に指、挟むわ」

見事なエッジやな
ハ「見事なエッジやな。
 この石垣の石は……。
 市内の東山から運んだみたいや」
み「東山温泉のあたりか。
 なら、近くていいね」
ハ「近いいうても、3キロはあるみたいやで。
 その距離を、木のソリで引いてくるわけや」
み「ほぼ拷問だね。
 夏場はやれんわ」

この切り取り線みたいな点々は何だ?
み「この切り取り線みたいな点々は何だ?」
ハ「ここで割ろうとしたんやろ」
み「何でやめたの?」
ハ「夏やったんやないんか」
み「心が折れたわけだな」
ハ「せやけど、割らんでも使える場所があって良かったやないけ」
み「しかし、ここって、一番肝心要な場所だよね。
 最初から、ここに使おうって考えそうなもんだけど」
ハ「棟梁は、最初からそう考えとったんやないけ」
み「ふむ。
 そそっかしい人夫が、勝手に割ろうとしたわけか」
ハ「途中で気がついて良かったわいな」
み「その人夫……。
 ドタマかち割られたんじゃないの」

こんな石、どうやって組んだんだ?
み「こんな石……。
 どうやって組んだんだ?」
ハ「真ん中の丸いんはスゴいわな」
み「こういうのこそ、さっきの人夫に割らせるべきなんじゃないの」
ハ「はは。
 せやな。
 この石、遊女石、言われとったらしいで」
み「なんで?
 まさか、遊女に運ばせたとか?」
ハ「そんなわけあるかい。
 何百人、必要やねん。
 この石を引かせるとき……。
 上に遊女を乗せて、引き手の人夫を励まさせたそうや」
み「つくずく、男はバカだね」
ハ「バカと鋏は使いようちゅうことやな」

太鼓門か
み「太鼓門か」

太鼓門か
み「きっと、太鼓の叩き方で、合図が違ってたんだろうね」
ハ「せやな」
み「話は変わるけどさ。
 江戸幕府の家老が登城するとき……。
 籠は、いっつも最高速ですっ飛ばして来たんだって」
ハ「なんでやねん。
 籠かきも家老も、思いっきししんどいやろ」
み「普段はのんびり登城してて……。
 緊急事態のときだけ、飛ばしてきたらどうなる?
 江戸市中に、お上に何かあったって触れ回ってるようなもんじゃん」
ハ「なるほど。
 せやから、なんもないときでも……。
 すっ飛ばして来るちゅうわけか」
み「そうそう」
ハ「痔持ちやったら拷問やがな」
単独旅行記Ⅶ・総集編(7)目次>単独旅行記Ⅶ・総集編(9)

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