2023.7.18(火)

み「『槍の間』?」
ハ「『玄関番が常時二~三名詰めており、緊急事態に備えていた部屋』とあるな」
み「鎧、着てか?」
ハ「あれは、飾ったあるだけやろ。
あんなん着とったら、敵が来る前にへたばってまうがな」
み「『通り畳』って何?」
ハ「書いたあるやないか。
老眼か?」
み「遠くて見えないの!
近眼だろ」
ハ「『中央の畳の敷き方を通り畳といいます。
玄関番が敵の侵入など緊急の際に、畳の縁に足がつまづいたりしないようにとの配慮です』」
み「てことは、この部屋を横に突っ切るわけか」
ハ「左っ側が、式台玄関やけど……。
どうやって突っ切るんや。
右側は壁やないか」
み「壁と見せかけて、実は張りぼてなんじゃないの。
そこを突き破って現れるのよ」
ハ「コントやがな」

み「ここが、壁の向こう側か。
こりゃ気持ちのいい部屋だね。
しかし、みごとな逆光で、説明書きがぜんぜん読めん」
ハ「『役人所(やくにんどころ)』て書いたる」
み「よく読めるな。
サンコンか」
ハ「古いたとえや。
今の人やと、わからんで」
み「いいから読んで」
ハ「『屋敷に関わる事務を執っていた部屋』やて。
執務室やな」
み「なんか優遇されてるよね。
壁の向こうに飛びだして行かなくていいわけだし……。
窓から飛び出して逃げられるじゃない」
ハ「会津の武士が、そないなことせんわい」

み「殺風景な中庭じゃ。
バーベキューでもしたのかな」
ハ「するかいな。
こういう中庭は、明かり取りの役目があったんやろ」
み「確かに、こんな広い家じゃ……。
真ん中あたりは真っ暗だわな。
電気もないんだし」

み「おー、美しい。
ま、こんなにお天気が良ければ……。
どんな庭でも綺麗に見えるけどね」
ハ「ここは移築やからな。
元の場所の庭がこうやったとは限らんやろ」
み「イングリッシュガーデンだったりして」
ハ「案外、畑やったかも知れんで」
み「なるほど。
それは考えられるか」

み「『お成りの間』か。
ここは説明書きが近くてよく見える。
奥の人形は、松平容保かもね。
ここは、屋敷のどのあたりなんだ?」
ハ「あんたやと、屋敷内で迷子になりそやな。
↓さっきの間取図でいうと、向かって左側にあった黄色いエリアやな」


み「あ、黒い鯉だ。
錦鯉を泳がせないのは……。
質素な家風ということかね」
ハ「そもそも錦鯉が生まれたのは……。
幕末近くのようやで。
あんたの住んどる新潟県の、小千谷のあたりやないか」
み「なるほど。
生まれてたとしても、全国的に広がるのは維新後だろうしね。
それに、こういう屋敷で鯉を飼うのは……。
いざというときの食料にもなるからじゃない。
綺麗な錦鯉じゃ、食べにくいよね。
もったいないし」
ハ「そういうたら、つげ義春の漫画に……。
錦鯉を盗んで食う話があったな」
み「あったあった。
確か、『ほんやら洞のべんさん』だ。
あれも雪深い越後の話だったね」

み「緑が目に染むるわい。
雪国の人間にとって……。
この季節は、ほんとに格別なんだよ」
ハ「せやろな」
み「ここで、バーベキューがしてみたい」
ハ「そればっかしや」

み「さっきの部屋の横だ。
あっ、やっぱりあの人形、松平容保だったんじゃない。
大当たりだ」
ハ「幕末の藩主なんやから、誰でも当たるがな」
み「でも、何しに来たんだ?
業務報告とかなら……。
お城に呼びつけて聞けばいいだけだろ」
ハ「華美に暮らしてないかとか……。
チェックの意味もあったんやないか?」
み「でも、抜き打ちで来るわけないでしょ。
いくらでも繕えるよ。
やっぱ、殿様もたまには出歩きたかったんじゃないの。
で、お昼に池の鯉を食う」
ハ「なんでやねん」

み「ほら、鯉こくが出た」
ハ「お茶やて」
コメント一覧
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1. Mikiko- 2023/07/18 06:00
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南向き
日本のたいがいの住宅では、敷地の南側に庭があり……。
そこに面して、リビングがあるという間取りじゃないでしょうか。
でもこれ、実は貧乏人の家の間取りなんです。
南向きのリビングから、前の庭を見た場合……。
向う側から陽があたります。
つまり、見てる側に影が出来るんです。
早い話、逆光です。
すなわち、庭の裏側を見てるようなものです。
樹木も、日の差す向う側に枝を伸ばしますしね。
それじゃ、金持ちの庭はどうだったか。
北向きです。
それくらいなら、貧乏人だってできそうですよね。
でも、ダメです。
貧乏人の家は敷地が狭いので……。
どうしても、2階建てになります。
北向きの庭では、2階の陰になって日があたりません。
樹木は育たないというわけです。
でも、お金持ちのお屋敷には……。
無粋な2階などありません。
平屋です。
庭には、1階の屋根の上から、さんさんとお日さまが降り注ぎます。
樹木や庭石に、影はできません。
樹木も、見る方に向かって伸びて来ます。
北向きの座敷には、日も差しこまないので……。
縁側に座って、お酒を楽しみながら庭を眺められます。
続きは次のコメントで。
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2. Mikiko- 2023/07/18 06:01
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南向き(つづき)
話は変わって、マンションの間取り。
マンションの場合、庭はありません。
でもリビングは、よほどの立地じゃない限り……。
ほとんど、南向きに造られます。
東京などの太平洋側なら、わかるんですよ。
冬場、低い太陽が、部屋の奥まで陽を通してくれますから。
暖房費の節約になりますね。
気分的にもポカポカしますし。
でも夏は、それがデメリットになり……。
冷房を入れないわけにはいきません。
しかし、何で新潟のマンションも、リビングが南向きなんでしょうか?
冬場、新潟で陽が差すのは、10日に1日くらいですよ。
そのためにリビングを南向きにするのは、あまりにもバカバカしいです。
夏場のデメリットは、そのままなのにです。
新潟では、北向きリビングの方が……。
光熱費的には、ずっとお得だと思います。
ちなみに、欧米の古いお屋敷では、リビングは北向きがあたりまえだそうです。
向こうでは、先祖代々伝わる古い家具やカーペットを使ってる場合が多いです。
部屋にお日さまが差しこむと、それらが日焼けしてしまうんですね。
だから、大事な調度がある部屋は、北向きに作るわけです。
その点、日本では、家具もカーペットも、自分の代で使い捨てですからね。
子孫に伝えていこうという意識は持ってないですから……。
南向きリビングが選ばれるのでしょう。











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