2023.1.24(火)

ハ「生き残った飯沼貞雄の墓やな」
み「幾つまで生きたの?」

ハ「こっちに書いたあるがな。
亡くなったのは、昭和6(1931)年2月12日。
78歳とあるのは、数え年やな。
満で計算すれば、76や」
み「当時としては、長生きだよね」
ハ「せやな。
飯盛山で助けられてから……。
62年後になる」
み「当時としては、まさに生まれ変わって、もう1回人生を生きた感じだよね」
ハ「明治大正のころの平均寿命は、44歳くらいやったようや」
み「そんなに短いの?
織田信長は、人生50年って言ってたんでしょ」
ハ「『人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり』やな」
み「よく考えたら……。
戦国時代の平均寿命が、50年もあるわけないよね」
ハ「よく考えんでもそうやな。
そもそも平均寿命なんて、計算しようがなかったやないか」
み「たぶん、畳の上で最後を迎える人の平均が、50歳ぐらいだったんじゃないの」
ハ「信長は、畳の上で死ぬつもりやったということか」
み「天下を統一すれば、当然そうなるでしょ」
ハ「まさしく、『夢幻の如く』やな」

み「生死を決める決断に……。
全員一致ってのはちょっと考えられないけど」
ハ「異様な精神状態になってたんやろうな」
み「集団催眠みたいな?」
ハ「近いものはあったんやないか」
み「わたしなら、ぜったいひとりで逃げるけど」
ハ「後ろから斬り殺されるわ。
あ、わかった。
生き残った飯沼のほかに、ひとり逃げた者がおるんやないか?」
み「飯沼は、なんでそのことを言わなかったわけ?」
ハ「もちろん、白虎隊の恥になるからや。
で、逃げたひとりの生まれ変わりがあんたや」
み「なんでじゃ!」
ハ「小学校の修学旅行で……。
男子に囲まれて、模擬刀で斬られたんやろ。
自刃した白虎隊士の怨念が、裏切り者を斬ったんやな」
み「うーむ、確かに。
わたしは旅行で、同じところを訪ねたことがないのに……。
ここだけは、3回目だからね。
何かに引かれて来るのかも」
ハ「今度は、帰れなくなるやも知れんぞ」
み「言うな!
そんときは、お主を身代わりに置いていく」
ハ「やめんか!」

み「ここから鶴ヶ城を見たのか?
どこだ?
ぜんぜん見えんぞ」
ハ「今日は、ちょっと霞んどるようやな」
み「どこじゃ!」

ハ「あそこや」
み「見えんて!」
ハ「視力、6.0くらい必要やな」
み「サンコンか!
しかし、当時の白虎隊士が……。
そんなに視力が良かったとは思えないんだけど。
藩校の日新館に通ってたんだろ。
薄暗い部屋で素読とかしてたはずだよ」
ハ「だから、見誤ったんやないか。
城が燃えとると」
み「確かに、集団催眠みたいになってると……。
ひとりが言い出せば、みんながそう見えるかもね」

ハ「鶴ヶ城を臨んでる像やな」
み「子供じゃないの。
こんな子供たちが、自刃したんだ……。
スゴすぎる」
ハ「せやから、お主ひとり逃げたんやろ」
み「脈々とその血を感じるわ」
ハ「また斬られなならんな」
み「明日から、ヘルメット被って生きる」

み「なんじゃ、このおっさんは。
白虎隊士には見えんけど」

ハ「ほー。
仙台育英の創設者のプレートやな。
会津の出身やったのか」
このときは、特に何も感じませんでした。
でも、この年(2022年)の夏の甲子園では、ドラマがあったんです。
決勝に進んだのは、仙台育英高校と下関国際高校でした。
下関市は山口県にあります。
すなわち、新政府側の長州です。
この決勝戦は一部で、「令和の戊辰戦争」と呼ばれたそうです。
結果は、仙台育英高校が勝ち、東北勢初の全国制覇を成し遂げました。
何か、運命的なものを感じましたね。
会津若松……。
やはり、深い縁を感じる町です。
コメント一覧
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1. Mikiko- 2023/01/24 05:47
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育英高校
まずは仙台育英高校。
大いに遅ればせながら、甲子園優勝、おめでとうございます。
東北は、北海道に先を越されてましたからね(駒大苫小牧)。
東北人にとって、甲子園優勝は悲願だったことでしょう。
ところで。
「育英」と名の付く高校は、全国各地にあります。
なぜなら「育英」には、教育機関にぴったりな意味があるからです。
↓『デジタル大辞泉』より(https://www.weblio.jp/content/%E8%82%B2%E8%8B%B1)。
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いく‐えい【育英】
《「孟子」尽心上から》すぐれた才能を持った青少年を教育すること。転じて、教育。「―事業」
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まさに、そのまんまですね。
日本育英会なんてのもありますし。
現在、学校で一番有名なのは、仙台育英でしょう。
なにしろ甲子園は、春13回、夏29回の出場ですから。
最近は、前橋育英も台頭してきました。
春2回、夏6回。
平成25年の夏は、全国優勝してます。
しかし、育英の元祖と云えば……。
兵庫県の育英高校。
地名が付かない、そのまんまの育英高校です。
300勝投手、鈴木啓示さんの母校です。
甲子園は、春13回、夏6回の出場。
平成5年の夏は、全国優勝してます。
わたしは、この学校のユニフォームが好きなんですよね。
シュッとしてて、都会的で。
でも最近は、甲子園で見られてません。
最後の出場が、平成17年の春ですから……。
18年前ですね。
残念ながら、この春も出場は叶いませんでした。
今年の夏こそ、出場してほしいと願ってますが……。
兵庫は大激戦区ですからね。
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2. 手羽崎 鶏造- 2023/01/24 17:41
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ご指名いただいたような気分で。
育英のご紹介、ありがとうございます。
先日、NHK「新日本風土記」という番組で
神戸・長田が紹介されました。
かの震災で、甚大な被害を受けたのが
長田区でして、中小企業が密集する、大陸からの
方も多い、都会の雰囲気にほど遠い?泥臭い街が、
育英高校も在る長田区です。
神戸でも灘の方とは違って、お高くとまっていませんから、
馴染みやすく住みやすい地域だと思います。
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3. Mikiko- 2023/01/25 06:30
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先日、集合住宅の火災があったのは……
兵庫区でした。
地図を見ると、長田区の東隣です。
同じような土地柄なのでしょうか。
長田区の西隣は須磨区。
ここはなんだか、高級そうです。
そしてさらに隣、一番西が垂水区。
ここには、筒井康隆さんのお家があったんじゃないかな。
長田区という区名は、阪神淡路大震災の報道でよく耳にしました。
先日、NHK『ドキュメント72時間』で……。
「大阪 昭和から続くアパートで」というのを見ました。
大阪港近くの、昭和40年に建てられたアパートに住む住民を取りあげたもの。
長田区も、同じような感じなんでしょうか?
でも、古いアパートは、震災でなくなってしまったんですかね?