2022.11.16(水)
『動いて!』
キャスターが、カチャリと音を立てた。
冷や汗がこめかみを伝った。
大丈夫。
床の2人に、起きそうな気配はない。
ようやく、香織のソファーと並ぶところまで近づけた。
しかし、やはりこのままでは……。
後ろ手のロープに、歯は届きそうもない。
香織を起こさなければ。
そうだ。
足首は、肘掛けの外側で固定されている感覚があるが……。
その先は動かせる。
おそらく、香織と同じ縛られ方をしているはずだ。
香織の両足首を括ったロープは、ソファーの脚に結ばれていた。
しかし、足首から先に拘束はない。
この爪先を使えば、香織に刺激を与えられるのではないか。
美咲はもう一度、身を捻った。
2人のソファーが、ほとんど並んだ。
爪先で宙を探る。
感触があった。
間違いなく人体の感触だ。
香織の足の甲に違いない。
美咲は爪先を煽るように振り、香織の足の甲に打ちつけた。
香織の目蓋が揺れた。
2度、3度と打ちつける。
目蓋が開いた。
しばらく半眼のままだったが……。
床の2人に視線が定まると、両目が見開かれた。
瞬時に正気に戻ったようだ。
床の2人は、親亀の背中に子亀が乗った体勢のまま眠りこけている。
香織は身を捩ったが、もちろん拘束から逃れることは出来なかった。
ようやく諦めたのだろう、全身から力が抜けた。
顔が真っ赤だ。
香織の息が収まるのを待って声をかける。
もちろん、囁くような音量でだ。
「両腕を上げてみて」
美咲は、自分の背後の腕を上げて見せた。
香織は頷くと、美咲に習って腕を上方に引きあげた。
しかし……。
ダメだ。
そこまでしか上がらないのでは、とうてい歯は届かない。
ほかに方法はないだろうか……。
そうだ。
キャスターが、カチャリと音を立てた。
冷や汗がこめかみを伝った。
大丈夫。
床の2人に、起きそうな気配はない。
ようやく、香織のソファーと並ぶところまで近づけた。
しかし、やはりこのままでは……。
後ろ手のロープに、歯は届きそうもない。
香織を起こさなければ。
そうだ。
足首は、肘掛けの外側で固定されている感覚があるが……。
その先は動かせる。
おそらく、香織と同じ縛られ方をしているはずだ。
香織の両足首を括ったロープは、ソファーの脚に結ばれていた。
しかし、足首から先に拘束はない。
この爪先を使えば、香織に刺激を与えられるのではないか。
美咲はもう一度、身を捻った。
2人のソファーが、ほとんど並んだ。
爪先で宙を探る。
感触があった。
間違いなく人体の感触だ。
香織の足の甲に違いない。
美咲は爪先を煽るように振り、香織の足の甲に打ちつけた。
香織の目蓋が揺れた。
2度、3度と打ちつける。
目蓋が開いた。
しばらく半眼のままだったが……。
床の2人に視線が定まると、両目が見開かれた。
瞬時に正気に戻ったようだ。
床の2人は、親亀の背中に子亀が乗った体勢のまま眠りこけている。
香織は身を捩ったが、もちろん拘束から逃れることは出来なかった。
ようやく諦めたのだろう、全身から力が抜けた。
顔が真っ赤だ。
香織の息が収まるのを待って声をかける。
もちろん、囁くような音量でだ。
「両腕を上げてみて」
美咲は、自分の背後の腕を上げて見せた。
香織は頷くと、美咲に習って腕を上方に引きあげた。
しかし……。
ダメだ。
そこまでしか上がらないのでは、とうてい歯は届かない。
ほかに方法はないだろうか……。
そうだ。
コメント一覧
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1. Mikiko- 2022/11/16 05:46
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今日は何の日
11月16日は、『ぞうさんの日』。
まちづくりの一つとして、絵本コンテストなどを実施してる……。
山口県周南市の市民プロジェクト「絵本と物語のある街」が制定。
日付は、「絵本と物語のある街」の創立日である、2010(平成22)年11月16日にちなんだもの。
また、周南市は童謡『ぞうさん』などで知られる作詞家、まどみちおさんの故郷でもあります。
氏の誕生日、1909(明治42)年11月16日と合わせることで、まどさんへの尊敬の意味もこめられてます。
周南市には、1960(昭和35)年に開園した徳山動物園があります。
この動物園のシンボル的存在のゾウの記念日を制定して……。
この日をきっかけに、親子、家族、地域の絆を深めることが目的。
記念日は、『(社)日本記念日協会(https://www.kinenbi.gr.jp/)』により認定、登録されてます。
上記の記述は、こちら(https://zatsuneta.com/archives/111167.html)のページから転載させていただきました。
さらに同じページから、「まど・みちおさんについて」を引用させていただきます。
詩人の「まどみちお」さん(1909~2014)は、25歳の時に北原白秋にその才能を認められ……。
33歳の時には、太平洋戦争に召集されました。
続きは次のコメントで。
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2. Mikiko- 2022/11/16 05:47
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今日は何の日(つづき)
さらに引用を続けます。
詩作りは20代から始め、以来生涯にわたって詩を作り続けました。
創作意欲の源は、政治、行政、教育、経済、戦争などに対する不満でした。
代表作には、「ぞうさん」「やぎさんゆうびん」「ふしぎなポケット」「一年生になったら」などがあります。
表現の前に存在があるという意味で、「存在の詩人」とも称されました。
さらに同じページから、「ぞうさんについて」を引用させていただきます。
「ぞうさん」の一番の歌詞は……。
「ぞうさん ぞうさん おはなが ながいのね そうよ かあさんも ながいのよ」です。
この「ぞうさん」は、子ゾウが悪口を言われた時の歌とされます。
ほかの動物から見たら、鼻が長い君はおかしい。
しかし、子どものゾウは、しょげたり怒り返したりしません。
「大好きなお母さんも長いのよ」と朗らかに切り返し……。
それを誇りにしている歌なのだそうです。
徳山動物園には、「ぞうさん」の歌碑が建てられてます。
https://zatsuneta.com/img/111167_01.jpg
以上、引用終わり。
お名前は存じてましたが……。
こんなに昔の人とは思いませんでした。
北原白秋に見い出されたんですよ。
しかし、享年104。
太平洋戦争にも従軍された方が、平成26年までご存命だったんです。
「ぞうさん」の作詞は、昭和26年。
戦争から生きて帰られたからこそ、この歌は生まれたわけです。
マニラなど南方の各地を転戦し、終戦はシンガポールだったそうです。
ほんとによくぞご無事でと言うしかないです。
続きはさらに次のコメントで。
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3. Mikiko- 2022/11/16 05:47
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今日は何の日(つづきのつづき)
さて、その「ぞうさん」。
↓歌詞です。
+++
ぞうさん ぞうさん
おはなが ながいのね
そうよ かあさんも
ながいのよ
ぞうさん ぞうさん
だれが すきなの
あのね かあさんが
すきなのよ
+++
非常に簡単な歌詞です。
しかし、作詞当時、まどさんは40歳を超えてます。
逆に、40過ぎのおじさんが……。
この歌詞を発想できたというのは、スゴいと思います。
引用文に出て来た代表作は……。
もちろん、すべて知ってます。
わたしの子供のころからあった歌ですから。
一番印象深いのは、『一年生になったら』でしょう。
作曲は、山本直純さんだそうです。
なぜ印象深かったかと云うと……。
わたしが、この歌詞の超ポジティブな子供とは真逆だったからです。
↓1番の歌詞です。
+++
いちねんせいになったら
いちねんせいになったら
ともだちひゃくにんできるかな
ひゃくにんでたべたいな
ふじさんのうえでおにぎりを
ぱっくん ぱっくん ぱっくんと
+++
当時、まどさんはもう、50代後半。
初老です。
この歌詞の発想が出来たというのは、感嘆するほかありません。
やはり、生まれつきの詩人って、いるんですね。
戦争を生き抜いて帰られて、ほんとに良かったです。
童謡の神さまが見てたのかな。
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4. 手羽崎 鶏造- 2022/11/16 10:47
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まど みちお について
おかげさまで、初めて知りました。
山口県出身の詩人といえば
金子みすゞも仙崎の生まれ。
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5. 手羽崎 鶏造- 2022/11/16 10:57
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ポジティブな子どもとは真逆。
分かります。そのキモチ。
ワタシは「幸せなら手をたたこう」♪という
歌が、子ども心に大嫌いでした。
そういえば、「やぎさん」も、まどみちお作だったんだ。
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6. Mikiko- 2022/11/16 13:05
-
山口県
長州ですね。
戊辰戦争で勝った側だから……。
世の中の見方が、ポジティブなんでしょうか。
こっちは、奥羽越列藩同盟ですからね。
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7. 手羽崎 鶏造- 2022/11/20 03:47
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若妻・美咲が独身でルックス今イチの
香織を「起こす」やり方というのは、
てっきり、我慢しきれない
黄金水を流すことだと思って
いました。
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8. Mikiko- 2022/11/20 05:48
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黄金水
チョコラBBのようなビタミン剤を飲むと……
おしっこが黄色くなります。
黄金色と云うより、蛍光イエローのような綺麗な黄色です。
生きてるんだなぁと実感する色です。
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9. 手羽崎 鶏造- 2022/11/20 08:55
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どちらかと言われれば、
目の前で恥ずかしく出されるのは
黄色い方がエロいですかね