Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
東北に行こう!(118)
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律「なんでそんな油を使うんです?」
客「もちろん、安かったからですよ。
 値段は、菜種油の半分だったそうです」
ちなみに蝋燭は、菜種油より遥かに高く、上流階級や料亭でしか使われない贅沢品だったそうです
↑ちなみに蝋燭は、菜種油より遥かに高く、上流階級や料亭などでしか使われない贅沢品だったそうです。

み「なるほど。
 その鰯の臭いが……。
 猫にとっては、得も言われぬ良い香りなわけだな」
グリルに手を突っこむ猫。熱くないんですかね?
↑グリルに手を突っこむ猫。熱くないんですかね?

客「そういうことです」
み「でも、ヘンじゃの」
客「何がです?」
み「安い鰯油を使ってたのは、当然、下々の民じゃろ?」
楽しそうな暮らしですが……。夫婦の夜の生活は、どうしたんでしょう?
↑楽しそうな暮らしですが……。夜の夫婦生活は、どうしてたんでしょう?

客「でしょうね」
み「大名家とかでも、行灯に鰯油を使ってたのか?」
客「いくら貧乏大名でも、そこまでしないでしょう」
薩摩武士の食卓。お味噌汁が美味しそうです。
↑薩摩武士の食卓。お味噌汁が美味しそうです。

客「体面が一番大事ですから。
 屋敷が鰯臭くては、客人も招けません」
前に取り上げた『鐙屋』の場面。料理の盛り付けをしてるところでしたね。
↑前に取り上げた『鐙屋』の場面、拡大画像がありました。やはり、料理の盛り付けをしてるところでしたね。今日は、何かの祝い事でしょうか。

み「化け猫騒動が起きたのは、大名家でしょう?」
客「あぁ。
 鍋島藩ですね。
 佐賀県の」
鍋島藩

律「どういう話なんです?」
客「時代は、江戸時代の初期です。
 2代藩主の鍋島光茂の時代。
 光茂の碁の相手を務めてた臣下の龍造寺又七郎が……」
光茂の碁の相手を務めてた臣下の龍造寺又七郎が……

客「光茂の機嫌を損ねて斬殺されます」
光茂の機嫌を損ねて斬殺されます

み「ひでー殿様だね。
 碁で負けてくれなかったから?」
客「さぁ。
 そこまでは」
み「碁の相手をして殺されてたら、命がいくつあっても足りんわい」
命がいくつあっても足りんわい

み「そうだ。
 最近は、碁のソフトも進化して、ようやくプロ棋士と打てるレベルになったんでしょ」
碁のソフトも進化して、ようやくプロ棋士と打てるレベルになったんでしょ

客「らしいですな」
律「あら、碁は遅れてるのね。
 チェスなんか、世界チャンピオンにパソコンが勝っちゃうんじゃないの?」
チェスなんか、世界チャンピオンにパソコンが勝っちゃうんじゃないの?

み「碁が遅れてるんじゃありません。
 ルールの複雑さで、プログラミングの大変さが大違いなの。
 チェスは一番簡単でしょ」
律「どうしてよ?」
み「将棋みたいに、取った駒が使えませんがな。
 ゲームが進行するに従って、盤面の駒が減っていくわけ」
ゲームが進行するに従って、盤面の駒が減っていくわけ

み「つまり、次の一手の選択肢がどんどん狭まっていく。
 こういう計算は、コンピューターの得意とするところ」
こういう計算は、コンピューターの得意とするところ

み「人間がいくら唸っても叶いません」
客「将棋は、取った駒を自分の駒として使えますからね」
将棋は、取った駒を自分の駒として使えます

み「そう。
 ゲームが進んで、お互いに持ち駒が増えれば増えるほど……。
 次の一手の選択肢も、膨大に増えていくわけ」
み「なにしろ、盤面の空いてるところの、どこにでも打てるんだからさ」
、盤面の空いてるところの、どこにでも打てるんだからさ

み「でも、プロに勝てるレベルになったんですよね」
客「A級棋士にも勝つそうです」
A級棋士にも勝つそうです

み「で、最後に残ったのが碁なわけ」
客「枡の数がぜんぜん違いますしね」
み「あのゲームは、盤面を図形として認識する能力も必要なんでないの?」
あのゲームは、盤面を図形として認識する能力も必要なんでないの?

客「わたしは不調法で、碁はやったことがありませんので……。
 でも確かに、白と黒の模様みたいになりますね」
み「ぜったい、代数より幾何の才能ですよ」
ぜったい、代数より幾何の才能ですよ

客「コンピューターは、代数なら負けないんでしょうけどね」
み「今は、ようやく下っ端のプロ棋士と打てるレベルじゃないの?」
律「でも、プロと打てるんなら、大したものじゃない」
み「そう。
 それで、殿様の碁の相手は、ソフトを組み込んだロボットにさせればいいんです」
殿様の碁の相手は、ソフトを組み込んだロボットにさせればいいんです

客「本気で言ってますか?」
み「殿様が逆上して……。
 ロボットの頭を刀でカンカン叩いても、痛くも痒くもありません」
実際の結婚式のようです
↑実際の結婚式のようです。新郎は33歳だとか。老けてるのぅ。

み「家来も、殿様の部屋から、カンカン音がしたら……。
 『あ、やってるやってる』ってなもんよ」
客「話を戻していいですか」
み「ご随意に」
客「で、碁の相手をしてた龍造寺又七郎が斬り殺されました」
碁の相手をしてた龍造寺又七郎が斬り殺されました

客「悲しみくれた又七郎の母は……。
 恨み言を飼猫に語った後、自害してしまいます」
恨み言を飼猫に語った後、自害してしまいます

客「で、その母の血を舐めた飼い猫が……」
その母の血を舐めた飼い猫が……

客「にゃぁおぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」
にゃぁおぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ

み「ぎゃー。
 ば、化けた」
律「2人とも、大きな声を出さないでよ。
 みんな見てるじゃないの」
み「で、殿様を食い殺したわけだね?」
殿様を食い殺したわけだね?

客「いいえ。
 光茂の家臣、小森半左衛門にあっさり退治されてお終いです」
左が小森半左衛門
↑左が小森半左衛門。中央の女性が光茂の愛妾お豊の方で、化け猫が乗り移ってるそうです。

み「それは、ヒドい話ではないか。
 龍造寺又七郎も、その母も、猫も……。
 まったくの死に損ですがな」
客「わたしに苦情を言われても困ります。
 そういう話なんですから」
そういう話なんですから

み「龍造寺家の行灯は、鰯油だったのきゃ?」
鰯の塩焼きは、大好物のひとつ
↑鰯の塩焼きは、大好物のひとつ。頭から骨まで、丸ごと食べてしまいます。ハラワタのほろ苦いのが、またいいのよ。

客「殿様の碁の相手をする家柄ですから、それはないでしょ。
 菜種油でしょうね」
菜種です。これを絞るわけですね。
↑菜種です。これを絞るわけですね。種の収穫って、どうやるんでしょうね?

み「じゃ、猫は舐めないんじゃないの?」
客「猫にとっては、鰯油に越したことはないでしょうが……。
 菜種油でも、舐めたみたいですよ」
み「なぜじゃ?
 キャノーラ油好きの健康志向の猫なのか?」
キャノーラ油好きの健康志向の化け猫なのか?

客「昔の猫の餌は、今みたいに専用のキャットフードではありません」
舐めとんのか
↑舐めとんのか。

み「そりゃそうだ。
 わたしの家で小学生のころまで飼ってた猫は、ばあちゃんが世話してたんだけど……。
 生涯に、キャットフードはもちろん、猫缶さえ一度も食さなかったはず」
缶詰に猫の絵が書いてあるのに仰天したとか。猫肉の缶詰だと思ったんですね。
↑叔父が東京の学生のとき、田舎から出てきた友人で、猫缶を初めて見た人がいたそうです。その人は、缶詰に猫の絵が書いてあるのに仰天したとか。猫の肉の缶詰だと思ったんですね。

律「何を食べさせてたのよ」
み「もちろん、猫マンマですがな。
 冷や飯の残りに鰹節をかけて、指でにっちゃにっちゃ練るんです」
律「なんで練るのよ」
み「猫が贅沢して、表面の鰹節だけ食べないよう……。
 ご飯の中に練りこむの」
こういうふうに、上っ面に掛けてあるんじゃダメなんです
↑こういうふうに、上っ面に掛けてあるんじゃダメなんです。

律「何か、貧乏くさい」
み「ビンボですよ。
 昔の日本なんて」
ビンボですよ

み「猫に専用の食べ物を与えようなんて、誰も考えなかったの。
 たまーに、鮭の切れ端なんかを載せると……。
 躍りあがって喜んでた」
ひゃっほー
↑ひゃっほー。

律「なんだか気の毒な猫」
み「昔の猫マンマと行灯の油に、何か関係があるのか?」
客「猫は当然肉食ですから……。
 本来は、狩った獲物から脂肪分を摂取してました。
 でも、人間の与える餌には、ほとんど脂肪分が含まれてないわけです」
味噌汁かけご飯。犬にはこのタイプをやってました。
↑味噌汁かけご飯。犬にはこのタイプをやってました。

み「なるほど。
 それで、菜種油でも舐めたわけか」
客「行灯の火皿に舌を伸ばすために、後ろ足で立ったわけですな」

↑立ったままバックする猫。表情が秀逸。

客「その姿が、障子に映ってるところを目撃したら……」
み「したら……?」
客「にゃぁおぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」
にゃぁおぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ

み「やかましい!
 窓から捨てるぞ」
JR東海『リニア・鉄道館(名古屋市港区)』
↑大湊線の車両ではありません。JR東海『リニア・鉄道館(名古屋市港区)』の展示です。

客「そればかりは……。
 とにかく、これが化け猫の正体です」
み「なんとも。
 幽霊の正体見たり枯れ尾花ってわけか」
幽霊の正体見たり枯れ尾花

客「そういうことです」
み「行灯を舐めるとこを目撃されて、殺された猫もいたんじゃないの?」
客「かも知れませんね」
み「気の毒な。
 『半七捕物帳』にも、化け猫と思われて殺された猫の話が載ってた」
半七捕物帳にも、化け猫と思われて殺された猫の話が載ってた

客「油を舐めたんですか?」
み「うんにゃ。
 三味線の音を聞いて、踊り出したんです」
熊本の踊る猫
↑熊本の踊る猫。

客「それは、立派な化け猫じゃないですか」
夜な夜な猫またあまた出ておどりける
↑画/与謝蕪村。深夜の古屋敷で『夜な夜な猫またあまた出ておどりける』とのことです。猫が頭に載せてるのは手ぬぐいです。

み「興行用に仕込まれたんですよ」
客「大変じゃないですか。
 猫なんて、お手を仕込むだけでも一苦労ですよ」
猫なんて、お手を仕込むだけでも一苦労ですよ
↑好きでやってないのは明らか。

み「子猫のころから仕込むんです。
 三味線を引きながら、上から紐で吊って、焼けた鉄板の上を歩かせるわけ」
上から紐で吊って、焼けた鉄板の上を歩かせるわけ
↑猫を吊った画像は見つかりませんでした。

み「猫は熱いから、足を交互に上げるでしょ」
こういう上げ方ではありません
↑こういう上げ方ではありません。

み「これが、踊ってるように見えるわけです。
 そのうち、鉄板の上じゃなくても、三味線の音を聞くだけで足を上げるようになる」
三味線の音を聞くだけで足を上げるようになる
↑『PIPOS DOLL』という韓国メーカーのようです。

客「パブロフの犬ですな」
パブロフの犬ですな

み「で、その興行師の留守中に友達が上がりこんで、勝手に酒なんか飲んでたわけよ。
 いい気持ちになってると、床の間に三味線を見つけた。
 お、乙なものがあるじゃねえかと、勝手に引っ張りだして、ペンペンと爪弾いてたら……。
 突然、それまで丸くなって寝てた猫が立ち上がり、足を交互に上げて踊りだした。
 すわ化け猫だってんで、男は三味線で猫をぶち殺してしまったんですよ」

 半七捕物帳の『三河万歳』というお話でした。
 ↑のリンクから、『青空文庫』で読めます。

客「気の毒な猫ですね」
み「だしょー。
 ほんま、なんという人生……。
 いや、にゃん生なんだ。
 江戸時代は、猫にとって受難の時代だったのかも知れんね。
 三味線にされたりさ」
三味線にされたりさ
↑現在では、猫皮のほか、犬皮も使われるそうです。ほぼすべてが輸入品で、国内の猫や犬が三味線にされることは、まず無いとのこと。

み「それに比べたら、今の猫は幸せですよ。
 食って寝てればいいんだから」
電気コタツは、猫にとって最高の発明品
↑一酸化炭素中毒の危険がない電気コタツは、猫にとって最高の発明品じゃないでしょうか?

み「ときどき、猫になりたいと心底思います」
客「確かに今は、犬より猫の方が、いい人生を送ってる気がします。
 犬は気の毒ですよね。
 繋がれて」
ブロック塀から覗く犬
↑ブロック塀から覗く犬。元に戻れるんでしょうか?

客「江戸時代の犬は、自由の身でしたからな」
市中で、堂々と喧嘩する犬
↑市中で、堂々と喧嘩する犬。でも、こんな取っ組み合いみたいなこと、しますかいな?

み「そうそう。
 そういえば最近、ハスキー犬を見ないですよね」
そういえば最近、ハスキー犬を見ないですよね
↑どう見ても外人です。

客「一時期、流行りましたね」
み「漫画の影響だったですかね」
佐々木倫子『動物のお医者さん』。2,000万部売れたそうです。
↑佐々木倫子『動物のお医者さん』。2,000万部売れたそうです。

律「狼みたいな顔した犬でしょ」
み「そうそう。
 でも、日本で繋がれて飼われてるハスキー犬は、切ないわな」
日本で繋がれて飼われてるハスキー犬は、切ないわな

律「どうして?」
み「シベリアンハスキーですよ。
 本名が。
 シベリアの大地を駆けまわってる犬なの」
飼い主と一緒に遊べて、嬉しくてしょうがないんじゃないでしょうか
↑犬ぞりを動物虐待だと言う人がいますが……。犬は、喜んで走ってるようにしか見えません。飼い主と一緒に遊べて、嬉しくてしょうがないんじゃないでしょうか。

み「彼らにとって、日本の夏が、どれほど暑いか。
 毛皮を脱げないんだよ」
毛皮を脱げないんだよ

律「毛刈りしたら?
 羊みたいに」
毛刈りしたら?

み「みすぼらしすぎだろ。
 そんなハスキー犬」
客「たぶん、日本で飼うと、短命なんじゃないですか?
 目をやられるって話も聞きました」
律「どうしてやられるんです?」
客「外人みたいな青い目をしてるでしょ」
日本語は通じません
↑日本語は通じません。

律「してるしてる」
客「夏の強烈な日差しで、やられるんですよ」
み「なるほど。
 シベリアは緯度が高いから、日差しも斜めなんだね」
シベリアの夏。北海道に似てますよね。
↑シベリアの夏。北海道に似てますよね。

み「ヨーロッパ人も、夏はサングラスかけてるもんね」
ヨーロッパ人も、夏はサングラスかけてるもんね

律「犬用のサングラスが必要ね」
客「実際、売ってますよ。
 こないだ、かけてるの見ました」
似た人を知ってます
↑似た人を知ってます。

み「さすが東京ですね。
 服を着せるのはどうかと思うけど……。
 サングラスは必要だわな。
 犬は視点が低いから、アスファルトとかの照り返しも強いだろうし」
肉球の火傷防止に、靴も必要だそうです。『沓はけ我が背』。
↑肉球の火傷防止に、靴も必要だそうです。『沓はけ我が背』。

律「シベリアンハスキーがサングラスかけてたら、怖すぎるんじゃないの?」
み「ほとんど、ロシアのヤクザでんな」
ほとんど、ロシアのヤクザでんな
↑こういうのと路上で出会ったら、マジで凝固すると思います。

律「でも、スゴく利口そうな顔してるわよね」
み「アホ犬ですよ」
毛刈りされたハスキー犬。日本の夏は、この方が快適かも。
↑衝撃画像発見! 毛刈りされたハスキー犬。日本の夏は、この方が快適かも。でも、蚊には刺されるわな。

律「どうしてよ?」
み「竹輪が異常に好きなハスキー犬の話を聞いた」
律「犬が竹輪食べるの?」
犬が竹輪食べるの?
↑日本犬も、普通に好きなようです。

み「竹輪は魚のすり身ですから、動物食ですよ」
竹輪は魚のすり身ですから、動物食ですよ

み「白身魚だから、低脂肪、高タンパクだって、今や海外でも人気なんだって。
 白人も食べるんだから、シベリアンハスキーだって食べるわけよ」
『豊橋祭り』。ヤマサのちくわが踊ります。
↑『豊橋祭り』。ヤマサのちくわが踊ります。

律「どういう連想よ」
み「とにかく、竹輪が異常に好きなハスキー犬がいてね」
わたしも、“ク”と“ワ”の書き分けが苦手です
↑わたしも、“ク”と“ワ”の書き分けが苦手です。

み「飼い主が、いったい何本食べるのか試してみたんだって。
 その与え方が変わっててね。
 竹輪を、1本ずつ空中に投げ上げるわけ」
竹輪を、1本ずつ空中に投げ上げるわけ

み「ハスキー犬は、飛びあがって竹輪にかぶりつき……。
 着地した時には、もう飲みこんでたって」
これってもしや、駅弁?
↑関係ない画像ですが、見つけてしまったので。これってもしや、駅弁?

律「かなりのバカ犬ね」
み「25本かそこらやっても、まだ欲しがってたけど……。
 残念ながら竹輪が無くなっちゃったんだって」
竹輪が無くなっちゃったんだって

み「あのまま続けてたら、何本食べたかわからなかったって」
律「ロシアに竹輪はあるのかしら?」
み「ありまっかいな」
律「じゃ、竹輪を食べるDNAは無いわけよね」
み「ロシアは、タラとかの白身魚がたくさん捕れそうじゃない」
ロシア人、カニ獲り過ぎ
↑ロシア人、カニ獲り過ぎ。

み「きっと、ハスキー犬も、そういう白身魚を食べてたんだよ」
ロシアの魚料理。このセンスはいかがなものか。
↑ロシアの魚料理。この盛り付けセンスはいかがなものか。食欲ゼロです。

律「それで、日本の竹輪を食べるってわけ?」
み「日本製品は品質がいいからね。
 竹輪も普通に美味しいし。
 安いしさ」
40円! わたしなら、飛びつき買いです。
↑40円! わたしなら、飛びつき買いです。

み「何にもしなくても、わさび醤油さえ付ければ、立派な酒の肴ですよ」
わさび醤油さえ付ければ、立派な酒の肴ですよ

客「確かにそうですね」
み「わたしは基本的に魚の練り物を好みませんが……。
 竹輪は、唯一と言っていいくらい嫌いじゃない」
客「どうして練り物がダメなんです?
 さつま揚げとか、美味しいじゃないですか」
さつま揚げとか、美味しいじゃないですか

み「食感がイマイチじゃない。
 歯ざわりがよろしくない」
歯ざわりがよろしくない
↑汚ねー歯。

客「そうですか?」
み「あなた、もう歯がダメなんじゃないです?」
客「ときどき沁みますが、まだ自分の歯だけです」
歯欠けでしたっけ?
↑歯欠けでしたっけ?

み「やっぱり、固さが均一なのが、噛んでて面白みがない。
 歯を立てたところから噛み切るとこまで、ずーっと同じ固さでしょ」
固さが均一なのが、噛んでて面白みがない

客「ゴボウが入ったのもありますよ」
ゴボウが入ったのもありますよ
↑細かく刻まれて入ってるようです。

み「ゴボウねー。
 ありますね」
客「あと、イカとか」
あと、イカとか
↑これも刻まれて入ってます。

み「それは食べたことが無いな。
 イカは、歯ごたえに醍醐味が出そうですね」
律「何の醍醐味だか」
み「練り物系で好きなのは、魚肉ソーセージくらいかな」
なんか、別のものに似てる気がする
↑なんか、別のものに似てる気がする。

客「あぁ。
 あれは安いですよね」
み「スーパーで、束ねられて売られてるよね。
 なぜか、赤いテープで束ねられてる」
スーパーで、束ねられて売られてるよね
↑うーむ。なぜか、赤いテープの画像が無かった。記憶違いか?

客「生でもいけますしね」
み「十分」
剥き方には、ちょっとしたコツがあります
↑剥き方には、ちょっとしたコツがあります(参照)。

み「大学に入ったころ、学校に行かずに、昼間ずーっと本を読んでた。
 集中するために、雨戸閉めきってさ」
集中するために、雨戸閉めきってさ
↑こんなに古風ではありませんでしたが、木製でした。

み「食事にも出ない。
 そのとき食べてたのが、魚肉ソーセージよ」
律「生で?」
そのとき食べてたのが、魚肉ソーセージよ
↑こんな食べ方もあるんだ!

み「生でって、あれはすでに加工品でしょ」
律「でも、炒めると美味しいわよ」
み「確かに。
 キャベツとソースで炒めると、1品出来上がりだよね」
キャベツと魚肉ソーセージのソースソテー
↑『キャベツと魚肉ソーセージのソースソテー』。ソースは、中濃を使うそうです。

律「何で作らないわけ?」
み「集中するって言ったでしょ。
 若いころは、寝食を忘れても本が読みたいわけ」
読書タイム。ありましたね。
↑読書タイム。ありましたね。わたしは、コナン・ドイルを読んでました。この画像は、茨城県神栖市の中学校。垢抜けませんな。

律「忘れてないじゃない」
み「言葉の綾です」
言葉の綾です
↑言葉の綾。左はカラ松のようです。右はたぶんチョロ松。

み「お腹が空くと集中力が削がれるから、何か詰めこむわけです。
 でも、本は読み続けたい。
 というわけで、本を読みながら食べれるものを選ぶの」
やっぱり、別のことを想像してしまいますね
↑やっぱり、別のことを想像してしまいますね。

み「料理に時間をかけるなんてのは論外です」
律「ファストフードは?
 ハンバーガーとか」
こういうのは、どうやって食べるんでしょうね
↑こういうのは、どうやって食べるんでしょうね。

み「買いに出なきゃならんでしょ」
律「ソーセージだって買うじゃない」
み「ストックできるでしょ。
 魚肉ソーセージなんて。
 束で買って、冷蔵庫に投げこんでおけばいいんです」
束で買って、冷蔵庫に投げこんでおけばいいんです
↑わたしの冷蔵庫も、こんなもんでしたね。

み「コーラだって、でっかいボトルで買っておけば、いくらでも飲めるでしょ」
スーパー尾山(新潟市北区)
↑『スーパー尾山(新潟市北区)』。残念ながら行ったことのないお店です。

律「そんな食事、大問題だわ」
み「若いときには……。
 体の栄養より、心の栄養が必要なんです」
栄養補給中
↑栄養補給中。

客「ほー。
 至言ですな」
至言ですな

客「どんなのを読んでたんです?」
み「……。
 忘れた」
忘れた

律「意味ないじゃないの」
み「たとえ内容は忘れても、それは確実に栄養になってるの。
 あんた、去年の今日、何食べたか覚えてます?」
『みすず書房』、懐かしー
↑『みすず書房』、懐かしー。

律「覚えてるわけないでしょ」
み「たとえ食べたものは忘れても……。
 それは、確実に血となり肉となってるんです」
それは、確実に血となり肉となってるんです
↑面白そうです。図書館で借りてみようかな。

客「ほー。
 またもや至言です」
またもや至言です

律「単なる思いつきのこじつけですよ。
 大得意なんだから」
み「人聞きの悪い」
律「食べたものは忘れても、本の題名くらい覚えてそうだけど」
み「あんまり有名な大長編は読まなかったのよ。
 トーマス・マンくらいかな」
この少年は、映画化されたときの主役
↑この作品が、一番有名でしょう。この少年は、映画化されたときの主役。

み「北杜夫の影響で」
斎藤茂吉の次男です
↑斎藤茂吉の次男です。

み「地下鉄の車中で『魔の山』を読んでた記憶はある」
『魔の山』を読んでた記憶はある

み「登場人物の名前も、一人だけ覚えてる」
律「主人公くらい覚えてるでしょう」
み「そんなの、覚えとるけ。
 わたしが覚えてるのは、脇役も脇役、ほとんど端役の名前だね」
客「どんな名前です?」
み「ゼゼミ・ワイヒブロート」
律「代ゼミ?」
代ゼミ?

み「ゼゼミ!」
客「そんな名前、ドイツ人にありますか?」
み「たしか、婆さんだったと思う」
魔女ではありませんが、外見はこんなイメージ
↑魔女ではありませんが、こんなイメージ。

客「女性名ですか?」
み「ひょっとしたら、ちょっとだけ違うかも知れん」
ひょっとしたら、ちょっとだけ違うかも知れん

律「たぶん、大違いだわ」
み「ふん。
 でも、『魔の山』は、最後まで読み切ったからね」
客「それはスゴいですね。
 文庫でも、分厚い上下2巻になってますよ」
見よ、この厚さ!
↑見よ、この厚さ!

み「そのころは、小説を書こうなんて思ってなかったけど……。
 きっとあの長編を読んだことが、今の血となり肉となってるんだと思う」
客「ほぅ。
 今は、小説を書いておられる?」
み「見えませんか?」
見えませんか?

客「はい」
み「即答すな!」
ほんとですよね
↑ほんとですよね。

み「でも、一番影響を受けたのは、マンの短編ですね。
 知ってます?
 『トニオ・クレエゲル』」
なんと、100円! いつの時代だ?
↑なんと、100円! いつの時代だ?

客「聞いたことはあるような……」
み「あの小説は、一種のポイズンですよ」
一種のポイズンですよ

客「どういうわけで?」
み「人は、2種類に分けられると云うんです」
律「男と女で2種類じゃない」
小学校3,4年生の保健の教科書だそうです。時代は変わりました。
↑小学校3,4年生の保健の教科書だそうです。時代は変わりました。

み「そういう分け方じゃないくて!」
律「どんなよ?」
み「表現される側の人間と、表現する側の人間」
律「そんな分け方が、きっちり出来るの?」
み「わたしの人生は、この違いを噛みしめるためにあったと言っても過言ではない」
こういうシチュ、何度もあった気がする
↑こういうシチュ、何度もあった気がする。

律「過言だと思うけど」
過言です
↑過言です。

み「やかまし。
 そもそも、チミたち2人は、典型的な表現される側の人間ではないか」
律「何でよ?」
み「わたしの紀行小説の登場人物だからじゃ」
律「何か、言ってることが支離滅裂なんですけど」
支離滅裂

客「典型的な統合失調症の症状ですな」
典型的な統合失調症の症状ですな

み「やかましわい。
 わたしは、表現する者としての十字架を背負いつつ……。
 これからの人生も生きて行かねばならんのじゃ」
客「覚せい剤とか、やってませんか?」
覚せい剤とか、やってませんか?

み「しとらんわい!」
律「まともな神経とは思えないわ」
み「神経ではなく、精神だろ。
 でも、学生のとき、たった1度だけど……。
 総合失調症の入口を覗いたことがある」
総合失調症の入口を覗いたことがある

律「入口だけなの?」
み「だけです!
 離人症って知ってる?」
律「バカにしないでよ。
 専門外とはいえ、医学用語じゃない」
客「どんな病気なんです?」
み「とにかく、自分の身体が、自分のものだと感じられなくなるのよ」
自分の身体が、自分のものだと感じられなくなるのよ

み「わたしの場合、夜、街を歩いてたときだったけどさ。
 自分の足で歩いてるのに、ぜんぜんそういう感覚が無いわけよ。
 なんかさ、マジンガーZを操縦してるみたいなわけ」
マジンガーZを操縦してるみたいなわけ
↑この操縦席は、ホバーパイルダーと云うようです。初めて知った。

律「操縦したことあるの?」
み「あるわけねーだろ!
 例えだよ、例え。
 なんつーか、自分の身体がロボットで……。
 自分の意識は、ちょうどその頭のところに、ちょこんと乗ってる感じ」
どう考えても、脳天が弱点ですよね
↑どう考えても、脳天が弱点ですよね。

み「あ、マジンガーZよりいい例えを思うついた」
律「どんな例えでも、マジンガーZよりマシだと思うけど」
み「猫の散歩です」
猫の散歩です

律「はぁ?」
み「たまーに見かけるんですよ。
 猫を胸の前の袋に入れて、散歩してる人」
猫を胸の前の袋に入れて、散歩してる人

律「そういうのって、猫の散歩って言わないんじゃない?」
これが猫の散歩
↑これが猫の散歩。

客「確かに、人の散歩ですな」
律「なんでそんなことするわけ?」
み「知りませんがな。
 怖がりの猫で、リードを付けて地面に下ろすと、動けなくなるんじゃない?」
いきなり塀に登ったり、なかなか難儀なようです
↑いきなり塀に登ったり、なかなか難儀なようです。

律「そもそも、なんでリードを付けるのよ。
 猫なんて、そこら中自由に歩けるでしょ」
上から見下ろせる場所がたくさんあるのが、猫にとって住みやすいんでしょうか
↑尾道の猫。上から見下ろせる場所がたくさんあるのが、猫にとって住みやすいんでしょうか。

み「危険だろ!
 車とか」
猫車に乗る猫
↑猫車に乗る猫。

み「わたしは、昔飼ってた猫を交通事故で亡くしてるから、その悲しさがわかるの。
 綺麗なメスの黒猫だった」
綺麗なメスの黒猫だった

み「身軽でさ。
 立ってるわたしの肩の上まで、一瞬で駆けあがったのよ」
猫は、不思議と肩に乗りたがります
↑猫は、不思議と肩に乗りたがります。あと、眠ってる人の胸とか(←うなされます)。

み「たぶん、その身のすばしっこさが災いしたのかもね」
客「猫は、自動車が来ると、身動きを止めるからということもありますよ」
大馬鹿猫
↑大馬鹿猫。

み「あ、そうそう。
 ジャングルに住んでたときの、習性なんだろうね」
外見は、ほとんど普通の猫です
↑外見は、ほとんど普通の猫です。

み「怖い敵が来たら、身を潜めてやり過ごそうとする」
客「それを車でやったんじゃ、どうしようもありませんな」
み「んだす。
 会社の近所のお店でも、猫を繋いで飼ってるところがある」
こう見ると、ツチノコにも似てます
↑こう見ると、ツチノコにも似てます。

み「虐待だとは、まったく思わないね。
 ふらふら出歩かせてたら、攫われたりする恐れもあるし」
律「誰が攫うのよ?」
み「猫を攫うのは、猫攫いに決まっておる」
ヒロヤマガタ作『猫さらい』
↑ヒロヤマガタ作『猫さらい』。高さ37.5㎝、ブロンズ像。値段は、34万円!
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