2022.7.7(木)
再び時間は遡って、ウルトラウーマンを見送ったハンナは………。
青空の中にウルトラウーマンが姿を消した後、ハンナは不思議そうに周囲を見回した。
「ねえおじさん」
「ああ……」
ハンナの背中からナントモおじさんの返事が聞こえた。
「近くにラクダがいないけど、おじさんどうやって砂漠の真ん中からここにやって来たの?」
何故かおじさんの返事が返ってこない。
「ねえおじさんってば……」
ハンナは背後のナントモおじさんを振り返った。
不思議なことに、じっと佇んでいるおじさんの顔から一切の表情が消えていた。
「おじさん……?」
ハンナはただの洞穴のようになったおじさんの瞳を見つめる。
「あ、あなた、おじさんじゃないわね……」
「くっくっくっく………」
能面の様に無表情の顔から不気味な笑い声が聞こえた。
「もうすぐウルトラウーマンもいなくなり、ウルトラ一族も地球と縁を切り、地球は俺のものになる」
勇気を振り絞ってハンナは相手を睨みつけた。
「怜子さんの居場所を密告したのもあなたね。あなたは何者? そして本物のおじさんをどうしたの!」
おじさんの姿が、まるで強力なバイブレーターのように激しく振動を始めた。
そしてみるみる“さやえんどう”の様な形に変化していく。
「あんなおやじのことなんかどうでもいい。もうすぐ俺は地球の支配者になるのだ」
すっかり鞘エンドウの親玉の様な姿を現わしたメトロン星人は、吐き捨てるように言い放った。
「答えなさい! おじさんはどこ!」
「べ~!」
「許さない!」
勇敢にもハンナはメトロン星人に掴みかかっていった。
「あ! このばばあ!」
「ばばあとは何よ!」
ハンナに突き飛ばされたメトロン星人は地面に転がった。
知能が高く悪知恵に長けたメトロン星人だったが、喧嘩はからっきし弱かったのだ。
ハンナは転がったメトロン星人に馬乗りになって、その頭部をひねり上げる。
「言わないと夕食のスープにするわよ。さあ、本物のおじさんはどこなの!」
「いたたた、やめてくれ! く、薬を飲ませて、自宅の納屋で眠ってる。ラクダに舐められて、今ごろは死んだ女房の夢でも見てるはずだ」
「あんたみたいな悪者は、一生牢屋に入ってもらう」
ハンナは着けていたエプロンを外してメトロン星人を縛ろうとする。
しかしツルツルの皮膚で滑って、メトロン星人は身を転がしてハンナの足の間から逃げ出した。
「覚えてろ、このくそばばあ。俺はしばらくこの地球から姿を消す。直接手を下さないでも、もうじき洗脳した人間どもが俺を支配者に祭り上げてくれる。そうしたらお前なんか、真っ先に裸でさらし者にしてやる!」
「そんなことはさせない! さあ、勝負しなさい!!」
ハンナの叫びにメトロン星人は腰ベルトのボタンを押した。(ウルトラ一族を始め多くの宇宙人がそうであるように、メトロン星人も宇宙スーツを着用しているのです。中身がどんなんかは分かりませんが。汗)
無重力装置が働いて、緑色の身体がするすると空中に浮かび上がっていく。
「地球の支配者になる準備が整ったら、俺は再び地球に姿を現わす。しかしその時お前たちには、誰が俺なのかは分からないだろう」
「なんですって!?」
ハンナは次第に上空に遠ざかっていくメトロンを見上げた。
「東洋の独裁者か、北国の大統領か、もしかしたら姿の見えぬ新種のウイルスかもしれん」
「待て! 卑怯者!!」
「ふはははは……………」
不気味な笑い声を残して、メトロン星人は忽然と中空に姿を消した。
窓の外に人影が無くなったことを確認して、怜子はスワンを振り返った。
「今だわ。さあ行きましょう」
「うん!」
怜子は廊下に人がいないことを確かめると、スワンに付いて来るよう手で合図する。
廊下の突き当りから外に出た二人は、身を低めて周囲の車を覗き込んでいく。
“あ……”
怜子は一台の車に目を止めた。
“タントだ!”
その車は怜子にも馴染みのある車だった。
二年間ほど公用車として仕事に使ったことがある車だったのだ。
急いで車に駆け寄り中を覗き込む。
怜子はスワンを振り返って親指を立てた。
基地の中ということもあってか、ハンドルの脇にはキーが差し込んだままだった。
「さあ行きましょう」
「やった!」
二人は急いで車に乗り込んだ。
「入り口ゲートを強行突破するわよ。シートベルトを締めて、しっかり捕まって」
「わかった」
スワンがシートベルトを締めたことを確かめると、怜子は静かに車を発進させた。
資材倉庫の角を曲がると正面にゲートが見えた。
「行くわよ、スワンちゃん。しっかり捕まって!」
怜子はアクセルを踏み込む。
大きなエンジン音と共にみるみるゲートが近づいてくる。
“あと50メートル、いけるわ”
怜子がそう思った時、ゲート脇から一人の女が姿を現わした。
女は腰のホルダーから銃を抜き、車に向かって両足を踏ん張った。
“あれはグレタ!”
直後に銃声が響き、車がバランスを失った。
パンクしてハンドルの自由が効かず、二人を乗せた車はゲート手前で横転した。
「ケガはない? 私の子猫ちゃん」
空を向いたドアが開いて、グレタの顔が上から覗き込んだ。
「ここから逃げようなんて悪い子たちだわね。お仕置きが必要なのかしら?」
怜子はスワンの肩を抱く。
「この子に乱暴しないで!」
グレタは鼻で笑うと、怜子に片手を差し出す。
「ふふ、すっかりお姉さま気取りね。さあとにかく、一緒に来てもらうわよ」
怜子は身体の痛みに顔を歪めながら、仕方なくグレタの手につかまった。
「本部長、脱走を試みた科学者を連行しました」
直立不動で報告したグレタの後ろには、怜子とスワンが警備兵に腕を掴まれて拘束されていた。
「ん、そうか! ご苦労だった」」
そう労った大河内本部長は、椅子から立ち上がって小林に目を向ける。
「この女性は君と同じ特捜隊所属の科学者らしいが、何故ここにいるのか、君は何か検討が付かないかね?」
小林隊長と篠原怜子はじっと目を見つめ合った。
「いえ、私にはまったく見当がつきません。それに特捜隊からも何も連絡を受けていませんし」
「そうか……」
大河内は小林隊長と恵子の顔を交互に見つめた。
「まあいい。ここでこうして拘束していれば作戦遂行に支障をきたすこともなかろう」
本部長の言葉に頷いたグレタは、薄笑いを浮かべて怜子の頬を手で撫でる。
眉を寄せた怜子は、ロングヘアを揺らしてグレタの手から顔を背けた。
「じゃあ、そろそろ………」
大河内はカウンターから爆破ボックスを取り上げた。
「小林くん、その席に着き給え。そろそろウルトラウーマンも姿を現わすに違いない。作戦遂行だ」
小林が指定された席に座ると、大河内はその前のテーブルにボックスを置いた。
内ポケットから鍵を取り出して防護カバーを外す。
小林の目の前に、ロック解除のキーホールとその横に赤い爆破ボタンが現れた。
「ロックは私が解除する。君はその後にボタンを押すのだ」
「わかりました」
小林は緊張した面持ちで頷いた。
「核ミサイルの用意はいいな?」
「準備OK、いつでも発射出来ます」
大河内の確認に操作技師が答える。
その間目加田恵子は、目立たぬように後退りして、少し離れた壁際に背中を付けていた。
ウルトラウーマンは音もなくゼットンと飛鳥ゆり子の前に舞い降りた。
「ふふ、来たか」
“まぼろしで、構わない~♪ 時間よ~♪ 止まれ~♪」
その時曲が変わって、日本語の歌が流れ始めた。
「あ、Aちゃんだね」
ゼットンは話しかけたゆり子に頷いた。
「Aちゃんって……、佐藤?」
それを聞いたウルトラウーマンがつぶやく。
「ふる(古)~!」
思わずゼットンは叫んだ。
「Aちゃんって、違うAちゃんに決まってるだろ。第一何でそんな古いこと知ってるんだ」
「ハンナさんとこのテレビで、“激動の昭和”って特番で出てたの」
「何でこんな砂漠で“激動の昭和”が放送されるんだよ」
ぐずぐずの展開にゆり子が業を煮やす。
「もう、こんな事してる場合じゃないでしょ! いつまでたっても戦えないじゃない」
「そりゃあ仕方ないよ。だって流れてる歌が“時間よ止まれ”、だもの。え~、お後がよろしいようで」
「うるさい!」
ゆり子はゼットンの頭を叩いた。
「落語のCDばかり聞いてないで、早くやっつけちゃいなさい!」
「ようし、ウルトラウーマン、覚悟はいいか。今日こそ決着を着けてやる」
「望むところよ!」
攻撃態勢に入ったゼットンにウルトラウーマンも身構えた。
「でも、何で素っ裸でそんなものおっ立てとるの……?」
「もう……あんたも最初から気づきなさいよ」
ゆり子は呆れ果ててゼットンを見つめる。
そんなゆり子にウルトラウーマンは口を開いた。
「愛する飛鳥隊員を悪夢から目覚めさせるためよ」
ウルトラウーマンは輝く瞳でゆり子を見つめた。
「あらあ………」
ゆり子の顔に淫靡な笑みが浮かんだ。
「嬉しいこと言ってくれるじゃない。でもね、あたしの方こそ、ゼットンがあなたを動けなくした後に、あたしのセックス奴隷として目覚めさせてあげるわ」
ゆり子はゼットンに目配せをする。
「ふっふふふ………じゃあいくよ。お嬢ちゃん」
ゼットンはまるで馬鹿にしたように、脱力して空中移動の姿勢を取った。
「今までの私とは違う。愛に染まった力で、あなたを一瞬で消し去る!」
そう言い終えたウルトラウーマンの身体に空中から光が集まっていく。
「う………」
「な、なに………?」
異様な雰囲気に戸惑う二人の前で、ウルトラウーマンの廻りに赤い後光が燃え上った。
「あ……あわわわ…………」
その迫力で、ゼットンはまるで金縛りにあったように動けなかった。
「覚悟!!」
叫びと共にウルトラウーマンを赤い輝きが包む。
次の瞬間、閃光と化したウルトラウーマンがゼットンを吹き飛ばした。
その輝きに包まれたまま、ゼットンの姿は天空の彼方に消えて行った。
そして仁王の様な怒りの炎が静まっていき、この上もなく美しいウルトラウーマンの裸身が現れた。
テレビの緊急速報を見て、全世界で歓声が沸き起こった。
ウルトラウーマンと飛鳥ゆり子の映像にいち早く片手を使っていた人たちも、暫時その動きを止めてガッツポーズや拍手で喜びを爆発させた。
日本科学特捜隊でも基地内各所で拍手が巻き起こる。
穂茂田部長も開発部職員たちと共に、モニターを取り巻いていた。
“よし、今のところ爆発はない。小林君、君が頑張っているに違いない。頼むぞ、小林君!”
心の中でそう叫びながら、穂茂田部長は両手を握り締めた。
呆然と空を見つめたままのゆり子に、ウルトラウーマンは穏やかに話しかける。
「飛鳥隊員、あなたは私のあこがれだった。でもあなたは今悪い宇宙人に洗脳されてる。私はあなたを助けたいの。少し乱暴だけど許して」
ウルトラウーマンはゆり子を抱きすくめた。
50メートルほどに巨大化している二人の女が裸でもつれ合う。
バランスを崩して倒れ込むと、大きな音と共に大地が揺れた。
ウルトラウーマンは素早くゆり子の後ろを取って、ペニスバンドをお尻に押し付けた。
「なるほど、そういうことね」
まさにウルトラウーマンのペニスがお尻の割れ目に入ろうとした時、ゆり子の右手が素早くそれを掴んだ。
そして後ろ手のままペニスをやわやわとしごき始める。
「そう簡単にはいかないわよ。返り討ちにしてあげる。ほうら………」
「あ………」
眉を寄せたウルトラウーマンの裸身に震えが走った
ペニスに浮き出た血管の筋を、ゆり子の指先が絶妙になぞっていく。
「くふう………」
ウルトラウーマンの唇から切なげな呻きが洩れた。
「すご~い………カチンカチンじゃない。ふふ、溜まってるのね。そんな調子で、私が満足するまで我慢出来るのかしら……?」
小意地の悪いゆり子の笑みに向かって、ウルトラウーマンは悔し気に唇を噛んだ。
「頑張ってウルトラウーマン!」
思わず怜子はそう叫んだ。
その声を聞いた大河内が椅子から立ち上がる。
「やはり、君がここに来たのはウルトラウーマンに関係があったんだな」
グレタが大河内に歩み寄ってくる。
「本部長。今ウルトラウーマンが装着しているのは、この女から押収したものと同じものです。さきほど岸部医師から返却がありました」
グレタはテーブルの上に改良型ShinoharaType2(経験者仕様)を置いた。
大河内はうつむいた篠原怜子を睨んだ。
「一体君はこの器具で何をしようと………。いや、今はそんなことを問いただしている場合ではない。ゼットンは早々と消し飛んだが、早急にウルトラウーマンと飛鳥ゆり子を消滅させなければならん」
大河内は小林に歩み寄り、ポケットから爆破ボタンの解除キーを取り出す。
「さあ小林君。爆破ボタンを押すんだ」
「は、はい……。しかし本部長、今素晴らしいシーンじゃないですか。スクリーンを見てください」
「あ、ああ……」
戸惑いの表情を浮かべて、大河内はスクリーンに目を向ける。
そこでは一糸まとわぬ裸体に汗を光らせて、二人の女性が激しく絡み合っていた。
「素晴らしい……。人類という生き物の、最も美しくそして官能的な情景だ……」
「そ、そうですとも。本部長ならきっと解ってくれると思っていました」
小林の顔が輝いた。
「実に素晴らしい……、実に素晴らしいが………」
小林の期待も虚しく、そうつぶやいた大河内の顔から人間らしい表情が消えていく。
「私はボタンを解除する。君はボタンを押す。それだけの話だ」
まるでロボットの様に大河内は解除キーを回す。
解除ボタンに赤い光が点灯した。
「よし。小林君、爆破ボタンを押せ!」
大河内は命令を出して、大型スクリーンを凝視する。
グレタ以下、警備兵や技師達もスクリーンに顔を向けた。
その時突然小林は腰ホルダーから拳銃を引き抜いた。
大河内の後ろ手を取ってその首筋に拳銃を押し付ける。
「あ!」
警部兵たちが驚きの声を上げた。
「動くな!動くと本部長の命はないぞ!」
小林は本部長を引っ張って壁を背にすると、身構える警備兵たちにそう叫んだ。
コメント一覧
-
––––––
1. Mikiko- 2022/07/07 05:32
-
メトロン星人とタント
楽しんで書いておられますね。
今回の『ウルトラウーマン』は、これまでの作品の中で……。
一番、肩の力が抜けてるんじゃないでしょうか。
往年の「ハチャハチャSF」に通じるものを感じました。
そう云えば、「ハチャハチャSF」の代表選手だったヨコジュンこと、横田順彌さん。
2019年に亡くなられてました。
73歳。
心不全だったそうです。
横田さんは、法政大学の落研出身だったそうです。
「ハチャハチャSF」の発想は、そうした素養のおかげなんでしょう。
しかし、あんな小説(失礼)が発表できたんですから……。
いい時代があったものです。
そう云えば、SF作家で、もう1人印象に残ってる人がいます。
かんべむさしさん。
まだご存命でした。
戦後生まれですから当たり前なんですが。
この方、小学生のころ、新潟市に住んでおられたんです。
小学校1年から5年までですから……。
新潟の風土から、かなりの影響を受けたはずです。
この人は、関西学院大学時代、広告研究会だったそうです。
やはり、その素養が作品に生きたんでしょうね。
この人は、もっとメジャーな作家になると思ってました。
ま、メジャーだからいいというわけではありませんが。
続きは次のコメントで。
-
––––––
2. Mikiko- 2022/07/07 05:32
-
メトロン星人とタント(つづき)
さて。
メトロン星人。
わたしは、ずっと似た虫がいると思って探してるんですが……。
見つかりません。
↓一番近いのが、ツマグロヨコバイかな。
https://www.photolibrary.jp/img176/101151_1031045.html
でも、検索してたら、もっと似てる虫を発見。
↓「レッド・リーフ・ホッパー」という南米産。
https://karapaia.com/archives/52216188.html
真っ赤で、色までメトロン星人です。
しかし、プーチンって……。
実はもう、メトロン星人なんじゃないですかね。
しかし……。
砂漠でタントはマズいでしょう。
そりゃ、ひっくり返りますよ。
ま、4WDのグレードなんでしょうけど。
メトロン星人が登場するウルトラセブンでの車と云えば……。
↓なんといっても、ポインター号。
https://www.youtube.com/watch?v=cufzdE9f6bQ&t=18s
↓好きすぎて、作っちゃった人までいました。
https://www.youtube.com/watch?v=sUGSq4QdU6k
でも、ウルトラセブンでは……。
科学特捜隊じゃなくて、ウルトラ警備隊でしたよね。
ま、いいですけど。
↓セブンで一番いいのは、やっぱりアンヌ隊員ですけどね。
https://www.youtube.com/watch?v=HUZ2R071kuo
しかし……。
ペニバンって、一緒に巨大化するんですね。
それが、一番スゴい機能だと思います。











![[官能小説] 熟女の園](https://livedoor.blogimg.jp/mikikosroom2008/imgs/3/e/3e07a9c3.gif)





































































































