2022.1.16(日)
あたりに人がいないことを確認し、美咲と正対する。
絵里子がメジャーを持ちあげると、美咲は困惑した表情を見せた。
「首回り、測るから」
「え?」
「動かないで」
美咲の首にメジャーを巻きつける。
29㎝だった。
憎たらしいほど細い。
首輪のサイズ表を見ると、中型犬用でいいようだ。
今日の美咲は、紺色のワンピースだった。
お気に入りなのか、たびたびこれを着て来る。
ま、目立ちたくないので、無地の紺を選んでいるのかも知れないが。
これに合う首輪の色と云えば……。
やはり赤だろう。
絵里子は、シンプルな濃いめの赤の首輪を選んだ。
もう一度あたりを見回し、美咲の首にあてがう。
ぴったりだ。
お揃いの色のリードも選ぶ。
「よし、これでいいね。
もちろん、わたしの奢りだよ」
「絵里子さん、あたしのは?」
「買いたきゃ自分で買いな」
レジではレジ袋を購入し、首輪とリードを入れてもらった。
剥き出しで持ち歩くわけにもいくまい。
「これから、お散歩っすか?」
香織と同じことを、美咲も感じていたはずだ。
顔色はすでに蒼白だった。
なにしろ絵里子は、さっきのレジで、商品タグを切ってもらっていたのだ。
すぐに使うためだと想像するのは当然だろう。
「首輪とリード着けて、商店街歩こうっての?」
「……。
無理っすよね」
「当たり前だろ」
絵里子が向かったのは、いつものトイレだった。
トイレのある階段ホールには、今日も人影がなかった。
「おまえは、ここで待ってな」
「また見張りっすかぁ」
「今日は、すぐに出て来るから」
美咲を従えて、トイレに入る。
入口には扉がなく、鈎形に回りこむ構造だ。
トイレの中は、深閑と静まりかえっていた。
個室の扉は、すべて開いている。
まるで異世界のようだった。
そう。
ここは一種の異世界。
治外法権を誇る空間だ。
公共のスペースでありながら……。
人が性器を剥き出しにすることが許された場なのだ。
絵里子がメジャーを持ちあげると、美咲は困惑した表情を見せた。
「首回り、測るから」
「え?」
「動かないで」
美咲の首にメジャーを巻きつける。
29㎝だった。
憎たらしいほど細い。
首輪のサイズ表を見ると、中型犬用でいいようだ。
今日の美咲は、紺色のワンピースだった。
お気に入りなのか、たびたびこれを着て来る。
ま、目立ちたくないので、無地の紺を選んでいるのかも知れないが。
これに合う首輪の色と云えば……。
やはり赤だろう。
絵里子は、シンプルな濃いめの赤の首輪を選んだ。
もう一度あたりを見回し、美咲の首にあてがう。
ぴったりだ。
お揃いの色のリードも選ぶ。
「よし、これでいいね。
もちろん、わたしの奢りだよ」
「絵里子さん、あたしのは?」
「買いたきゃ自分で買いな」
レジではレジ袋を購入し、首輪とリードを入れてもらった。
剥き出しで持ち歩くわけにもいくまい。
「これから、お散歩っすか?」
香織と同じことを、美咲も感じていたはずだ。
顔色はすでに蒼白だった。
なにしろ絵里子は、さっきのレジで、商品タグを切ってもらっていたのだ。
すぐに使うためだと想像するのは当然だろう。
「首輪とリード着けて、商店街歩こうっての?」
「……。
無理っすよね」
「当たり前だろ」
絵里子が向かったのは、いつものトイレだった。
トイレのある階段ホールには、今日も人影がなかった。
「おまえは、ここで待ってな」
「また見張りっすかぁ」
「今日は、すぐに出て来るから」
美咲を従えて、トイレに入る。
入口には扉がなく、鈎形に回りこむ構造だ。
トイレの中は、深閑と静まりかえっていた。
個室の扉は、すべて開いている。
まるで異世界のようだった。
そう。
ここは一種の異世界。
治外法権を誇る空間だ。
公共のスペースでありながら……。
人が性器を剥き出しにすることが許された場なのだ。
コメント一覧
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1. Mikiko- 2022/01/16 06:19
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今日は何の日
毎月16日は、『トロの日』。
回転寿司チェーン「かっぱ寿司」を、全国で運営する……。
『カッパ・クリエイト㈱(https://www.kappa-create.co.jp/)/神奈川県横浜市西区』が制定。
日付は、「ト(10)ロ(6)」と読む語呂合わせから、毎月16日に。
同社の人気食材である美味しい「トロ」のネタで、お客様に喜んでもらい……。
各店舗ならびに業界を活気づけることが目的。
記念日は、『(社)日本記念日協会(https://www.kinenbi.gr.jp/)』により認定、登録されてます。
上記の記述は、こちら(https://zatsuneta.com/archives/101166.html)のページから転載させていただきました。
さらに同じページから、「トロについて」を引用させていただきます。
「トロ」とは、寿司のネタなどとして使われる、マグロの特定部位の呼称です。
脂質の含量が高い、腹部の身を指します。
特に、よく脂の乗った部分を「大トロ」、やや劣るものを「中トロ」と呼びます。
大トロ、中トロ以外の部分は、「赤身」または単に「マグロ」と称して、「トロ」とは別物とされます。
続きは次のコメントで。
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2. Mikiko- 2022/01/16 06:19
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今日は何の日(つづき)
引用を続けます。
「トロ」の語源は、肉質がトロリとしてることからで……。
『吉野鮨本店(https://yoshinozushi.net/)』の客が……。
「口に入れるとトロッとするから」と命名したと云われてます。
この語の定着以前は、脂身であることから「アブ」と呼ばれてました。
かつての日本、特に江戸時代以前では、マグロといえば赤身を指し……。
赤身に比べて品質が劣化しやすいトロの部分は、上等な部位とは考えられてませんでした。
現在では、トロは赤身の2倍以上の値段がつき、高級品としてのイメージを持ってます。
以上、引用終わり。
「ト(10)ロ(6)」と読む語呂合わせであれば、10月6日でいいですよね。
10月6日の記念日を探したら、『とろソースの日』がありました。
と思ったら、違ってました!
読み間違い。
『どろソース』でした。
ウスターソースを伝統的な沈殿製法を用いて製造する際、副産物としてとれる「どろ」をベースとして作られたソースだとか。
ぜんぜん関係ありませんでしたね。
いずれにしろ、『トロの日』を10月6日にせず、毎月16日にしたのは太っ腹です。
『日本記念日協会』の登録料は、年1回なら、15万円。
でも、毎月の年12回だと、75万円になります。
60万円も違います。
でも、年1回では、誰も覚えてくれないかも知れませんしね。
考えようです。
登録した後には、更新料は発生しませんから。
75万円を15万円で割ると、5倍。
この値段で、12倍の12回の記念日を登録できるわけです。
これを得だと考えるかどうかは……。
経営者の感覚でしょう。
続きはさらに次のコメントで。
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3. Mikiko- 2022/01/16 06:19
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今日は何の日(つづきのつづき)
さて。
トロ。
とんと食べた記憶がありません。
お寿司は、ご飯でお腹いっぱいになっちゃいますよね。
お刺身なら、いろんなのを食べられるんじゃないですか。
あ、そうか。
お刺身でお腹いっぱいになろうとしたら……。
相当量、食べなければなりません。
それじゃ、財布がすっからかんです。
必ずご飯が付いてるお寿司なら……。
ネタの美味しさを味わいつつ、お腹も満足出来るというわけですかね。
そもそも、お寿司は、江戸時代のファストフードでしたから。
屋台で売られてたそうです。
もちろん、立ち食いです。
江戸っ子は、それをいくつか摘まんで小腹を満たしたのでしょう。
わたしが、お寿司めいたものを食べるのは、年に1度、節分のとき。
もちろん、恵方巻きです。
たいがい、コンビニで買ってきます。
海鮮巻きですね。
でも、ちょっと量が多いんですよね。
今年はどうするかな。
お刺身を少し買って、その上から海苔を巻きますかね。
ご飯の入らない鉄火巻きみたいな感じで。
もう、節分は18日後ですよ。
その翌日は、立春!
待ち遠しかった春が、もう目の前です。