2021.11.25(木)
「じゃわたし戻ります。そろそろ穂茂田部長が疑い始めてますから」
先に身じまいを済ませた希美は、怜子にそう声をかけた。
怜子は焦点の合わない眼差しで希美を振り返る。
先ほどまで後背位で希美と繋がっていた姿勢のまま、下半身むき出しでデスクに突っ伏していたのだ。
「最初のころに比べると、あなたすごいわ。あたしに合わせて射精してくるんだもの」
すでに事務職の顔に戻っていた希美の顔が、心なしか赤みを帯びた。
「初めて装着した時はほとんど我慢できなかったし、その後もしばらくは怜子さんが達するまで必死に射精を耐えてました。でも今は怜子さんが達すると同時に、私も自然に高まって出してしまいます」
「私にしてくれるように、ご主人もあなたにしてくれる?」
「いいえ、そんなこと……」
希美は口ごもった。
多少気持ちよくなることはあっても、夫とはそんな一心同体の営みではなかった。
気になってネットその他で調べても、その程度の状況は新婚夫婦の間でもごく普通の状態で、特に気にする様な問題ではないとの記述が多かった。
しかるにここ数回の交接で、希美は怜子を突き動かしてオーガズムに導いたと同時に、追いかけるようにダミーの熱い精液を怜子の奥深くに浴びせていた。
そして希美が射精の快感にうなり声を上げる時、怜子も目が眩むような二度いきの快感に身も世もない泣き声を上げるのである。
その行為はお互いの情欲が押しひしぎ合う、まさにまぐわいの喜びであった。
そして二人とも胸の内で、それがもう仕事を離れた女同士の行為だということを認めざるを得なかった。
二度目の実験の時、希美は怜子と約束を交わしていた。
以後キスをしないこと。科学特捜隊の施設の外では合わないこと。
そしてその約束は今も二人の間で守られていた。
より仕事上の関係ということを明確にする意味での提案であったが、今となっては怜子との関係にのめり込んで行きそうな自分が怖かったような気がする。
初めての実験から帰宅したとき、夫の顔を見て希美は多少胸が締め付けられる感じを覚えた。
怜子とひとつに交わり、唇を重ねながら奈落に落ちたことが生々しく脳裏に蘇ったからである。
さらに今は、希美の方がペニスバンドを装着するのが当たり前になっていた。
これから怜子を自分のものにすることを思うと、希美は実験室に向かいながら体中の血が沸き立つ感触を覚えたのである。
「では室長、これで失礼します」
「ちょ、ちょっと待って」
怜子は床からパンツとスカート拾い上げて手早く身に着けた。
そのまま希美に歩み寄ると、その事務服の襟の乱れを整えてやる。
「この器具の開発趣旨を考えると、私たちベストパートナーなのかもね。こんな言い方をしたくはないんだけど、開発者冥利に尽きるということになるのかしら」
希美は背の高い怜子の顔をわずかに見上げる。
「味気ない結果ですけど、そういう風に実験を終えるのがいいのかもしれません。も、もうすぐ………会えなくなるんですもの……」
希美は恐れていた言葉をようやく口に出した。
「中山さん」
怜子は希美の肩をそっと抱いた。
「分かってるわ。ええそう………初めから分かってたことだものね」
「キスはだめですよ……」
希美は怜子の身体を受け止めた。
「私ね、何度もあなたにされてると、本当にあなたの赤ちゃんが出来そうな気になってくるのよ」
怜子の言葉を聞いた途端、希美は体中の血が頭に上りそうな気がした。
「あなたは、父親にも母親にもなれるの」
何とも言えぬ感慨が希美の胸に満ち溢れた。
「本物の精子を装着すると、私と怜子さんの子供が………」
怜子はゆっくりと頷く。
「ええ、出来るわ。それにここには、開発機器の性格上、精子の保管器具や設備も整ってるのよ……」
希美は言葉を失くして怜子に寄り添ったままだった。
「うふふ………、そんな夢みたいなことをぼーっと考えたことがあるのよ。もちろんあなたは、ご主人とのかわいい赤ちゃんを産めるのに間違いないわ」
笑い声を上げた怜子は、希美の肩から手を引いた。
「ごめんなさい。時間が無いのに引き留めちゃって。もう会える回数もあまりないのね。分かったわ」
いつものクールな研究者に戻って、怜子は自分のデスクに向かう。
希美は無言のまま頭を下げると、壁に付けられた出口のボタンを押した。
「ええ!? 大分の上津江? ………たこ焼き八ちゃんで、たこ焼きとソフトクリーム食べてる?
何やってんのよ、もう……」
飛鳥ゆり子隊員は情けなさそうに水甕の柄杓を放り投げた。
「わかった、わかった。美味しいのは分かったから、早くこっちに来てちょうだい。M.G.S.F.に潜り込むルートも出来たんだから、胴元を乗っ取った後はウルトラ一族が手出しできないようにウルトラウーマンを捕らえるのよ」
ゆり子は便器から腰を浮かせて、左手で水甕から水をすくって股間を洗う。
「ああもう! この宿屋はトイレットペーパーもないの?! ……い、いえ、こっちの話。じゃ、頼んだわよ。2,3日中にはこっちに来てよ。はい、はい、頼みます」
ゆり子はパンツを右手にぶら下げたままリビングに向かった。
引き締まったお尻の筋肉がぷりぷりと左右に弾む。
“仕方ない。乾くまでノーパンでいよう”
ゆり子はM.G.S.F.の案内人と合流するため、砂漠のとある安宿の一室に入っていた。
ソファーに腰を下ろして足を開くと、夕暮れの砂漠の風が心地よく股間を撫でていく。
「あ~しばらくご無沙汰だわね。こんな時は男より若い女の子とクリでも舐め合いたいわ。胸がキューンとする様な可愛い子と………。でもたまには“いやいや!”なんてぶりっ子ぶって、お姉様にいかされちゃうのも刺激的。う~ん……、アラフォーくらいの女性って素敵よね、優しく言葉責めされながら………ふふふ」
ゆり子は艶やかな陰毛に人差し指を絡ませながら夢想を膨らませていた。
「うう………ちょっとお尻が寒くなってきたわね。そろそろ店に出向いて熱燗で温まらなきゃ風邪ひいちゃうわ」
砂漠の風は日が暮れるにつれ急に冷たさを増していく。
案内人に会うために遥から指示された条件は、“毎晩この町の酒場に顔を出しなさい“というものだった。
広大な砂漠の片隅にある小さなオアシスの部落。
辛うじて旅人を受け入れる宿と、簡単な食事を出す店があった。
食事ができるといっても地元の住人が外食をするはずもなく、行商人やトラック運転手が小腹を満たし、夜は近くの酒好きな男が数人とぐろを巻いていた。
石積みの建物の壁に、古びた電灯が鈍い紫の光を放っている。
入口のドアを開けた途端、たばこ、料理、アルコールなどの匂いが入り混じった空気が飛鳥ゆり子の鼻を突いた。
石造りの店内は意外に広く、4人掛けのテーブルが7,8台据えられていた。
電力の供給が安定していないのか、時折照明の灯りが点滅したり明るくなったり暗くなったりする。
その度に、YouTubeの音楽を流している壁掛けモニターの画像が乱れた。
しかしゆり子は、この様な異次元の空間がそう嫌いでもなかった。
まだ時間が早いせいか、店内は3人ほど年配の男が席についているばかりだった。
酒場に限らず、この土地で若い世代の姿を見るのは稀なことである。
昼間から入り浸っているのか、一人は机に突っ伏して眠っている。
ゆり子が入って来るのに気付くと、奥のカウンターで女主人が頬杖から顔を上げた。
何と言ってるのかは分からないが、笑いながら手招きでゆり子を呼ぶ。
もう50はとうに過ぎていると思われたが、でっぷりと太った身体を難儀そうに小さいスツールの上に乗せていた。
その妙に色気のある顔を見ると、時には裏で客の相手をするという噂も頷けるような雰囲気を漂わせている。
ここ二度ほど店を訪れた際、言葉が通じずゆり子は注文に難儀した。
だが今夜の女主人は、口を開こうとするゆり子を制するように笑顔の前に人差し指を立てた。
「Aya! Aya?」
女主人がそう叫ぶと、厨房の通用口から一人の若い女性が姿を現した。
ゆり子は目を見開いた。
その女性はまるで魔界に現れた夢のようだった。
チャイナ服に若くしなやかな身体を包んで、彼女の廻りの空気がその魅力で揺らめいている。
「あ、ああ……あの……」
注文を伝えようとゆり子が口ごもった時、
「何にします?」
その若い女性は小首をかしげてゆり子に笑いかけた。
「え!? あなた、に……、日本人?」
「ええ、日本人です。遥さんの紹介ということで、あなたここではVIP待遇ですよ。詳しいお話は後ほど。で、何になさいます?」
「え? ええ、じゃパイカルを少し温めて。つまみは任せるわ」
「うふふ、いける口ですね。少々お待ちを……」
柳腰をひねって厨房に消える後姿を、ゆり子はぼんやりと見送った。
女主人が笑いながら右手の親指を立てる。
ぎこちない笑みを返しながら、ゆり子はゆっくりと両足を閉じ合わせた。
“ああもう、辛抱たまらん……”
ゆり子は太ももの奥が滑らかに溶け始めるのを覚えたのである。
「もう温まりました?」
「ええ、もうポカポカよ」
「お食事の方は………?」
「もうたくさん。お腹いっぱい……」
「そうですか。じゃあ、あとは宿に戻ってゆっくり休むだけですね」
「ええ、まあそうなんだけど……」
その女性はゆり子の顔をじっと見つめた。
「ごめんなさい。私ちょっとトイレへ……」
女性の姿は店内のトイレの中に消えた。
おぼつかない表情のゆり子に、女主人は意味深なウインクを送る。
「私もトイレ……」
ゆり子はカウンターを離れて女性用トイレへと向かった。
矢野彩香は何やら色々と顔の向きを変えながら、入念にトイレの鏡で化粧を直している。
ほどなくドアが開いて飛鳥ゆり子がトイレに入って来た。
彩香はちらりとゆり子に視線を送ると、また鏡へ向き直る。
「チャイナドレスを着るんで中国風のメイクにしたんですけど、なんだか少しどぎついでしょう?」
「ううん、そんなことないわ。とってもきれいよ」
「うふふ、うれしい」
彩香はゆり子に笑顔を向けた。
ゆり子は早速要件を切り出す。
「あなたがM.G.S.F.への案内人なんでしょう?」
「ええ、遥さんからその件は依頼を受けています」
「ああよかった。ここ一両日中には手伝ってくれる友達も来るんだけど、そしたら案内してもらえるかしら……」
「わかりました。私はこの店にいますから声をかけてください。すぐ会場に案内します」
「ありがとう、本当に助かるわ。で、あなたトーナメント中も会場にいるの?」
「いいえ。あなたを案内したら私は移動します。何か問題が起こった時にとばっちりを受けたくないですから」
再び彩香は鏡の中に視線を向けた。
「それはまあ、そうよね。だけどあなたチャンピオンに勝った女性だって、見た目では………」
「うふふ、そうは見えませんか?」
彩香は笑いながら目じりのアイラインにティッシュを使う。
「出来ればあたしにも教えてほしいわ」
「教えるって……、どうやって?」
ゆり子は彩香の横に歩み寄る。
「日本人の女同士、安宿の窓から砂漠の満天の星を見ながら、なんてのはどう?」
彩香はゆり子を振り向いた。
「へえ、そんなことを言う方だとは……」
「お互い見かけによらないってことでどうかしら」
「あははは……」
彩香は思わず笑い声を上げた。
ゆり子は腰のくびれに手を回して、彩香の華奢な身体を引き寄せる。
そのままキスしようとする唇を、彩香は人差し指で止めた。
「今はだめですよ、化粧が乱れちゃうから。先にホテルに帰っててください。後で行きますから」
「じゃそれまで我慢するから、唾ちょうだい?」
「ツバ……?」
ゆり子は彩香に向かってゆっくりと口を開く。
「そんなの欲しいの? しょうがないなあ……。じゃあ……」
彩香は右手の平に透明の雫を垂らした。
「直接より、その人の肌に触れた後の方が美味しいのよ。試してみて」
ゆり子は彩香の手の平の上の輝きを舌で舐め取る。
官能の味わいにゆり子は背筋を震わせた。
「どう?」
彩香の悪戯っぽい瞳がゆり子を覗き込む。
次の瞬間、再び抱きすくめようとしたゆり子の両手を彩香はするりとすり抜けた。
「あはは、だめだめ。大人しくお部屋で待ってて」
そう言いながらトイレのドアを出て行く彩香を、飛鳥は唇を噛んで見送ったのである。
コメント一覧
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1. Mikiko- 2021/11/25 05:56
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安宿のトイレ
トイレットペーパーさえ無いんですね。
小なら、我慢も出来ますが……。
大は困るでしょう。
わたしは今、海外旅行に行きたいという気持ちが皆無になってます。
同様に、過去への時間旅行も。
最たる理由は、トイレです。
さすがに紙はあるでしょうが……。
ウォシュレットがありません。
紙で拭く気にはなりませんよ。
なにしろ、わたしの黄門様の周りの皮膚は……。
日ごろのウォシュレットの使いすぎにより、はなはだ脆弱になってます。
「温水便座症候群(ウォシュレット症候群)」と云うやつです。
↓『あびこ内科外科大橋クリニック(https://www.abiko-clinic.com/)』さんのページから引用させていただきます。
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温水便座症候群とは、ウォシュレットの使いすぎによって肛門粘膜や周囲皮膚に傷がつき、生体のバリアとしての機能が破綻し、炎症や感染を悪化させることを意味します。
ウォシュレットの適切な使用は、衛生的にも排便誘発刺激としても多いに役立ちますが、過度な使用は避けることをお勧めします。
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この症状の対策については……。
『由美と美弥子 2573(https://mikikosroom.com/archives/33028309.html)』のコメントで書いてます。
同様な悩みをお持ちの方は、ぜひお読み下さい。
続きは次のコメントで。
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2. Mikiko- 2021/11/25 05:56
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安宿のトイレ(つづき)
今はビジホなどでも、ウォシュレットのないトイレはまずなくなりました。
でも昔は、けっこうあったものです。
そんなとき、紙で拭きたくない場合、どうするか。
一番いいのは、携帯用のウォシュレットを持っていくことでしょう。
でも、わたしはそれは持ったことがないんです。
やっぱり荷物になりますからね。
さて、ウォシュレットのないビジホ。
わたしは快便女王なので、朝、うんこが出ないことはありません。
さて、どうするか。
ビジホのバスルームは、3点ユニットバスであることがほとんどです。
つまり、トイレのすぐ隣に洗面台があるんです。
ここで事前に、折りたたんだトイレットペーパーに水を含ませます。
これを、最低10セットは作ります。
で、用を足した後……。
次々とこの紙を、黄門様にあてるんです。
こすりません。
押しつけるだけです。
これを、紙に雲古が残らなくなるまで続けます。
あとは仕上げに、隣のバスルームに入り……。
お尻をシャワーで洗います。
最初から、シャワーを使えばいいだろうって?
それじゃ、雲古汁が脚に流れるじゃないですか。
あ、しゃがんでやればいいのか。
でも、そういうことを、ホテルのバスルームでやるのは……。
明らかにマナー違反でしょう。
続きはさらに次のコメントで。
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3. Mikiko- 2021/11/25 05:57
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安宿のトイレ(つづきのつづき)
あ、もうひと言。
トイレ後に、すぐ隣のバスルームに移行できると云うことは……。
すなわち、素っ裸で雲古してるわけです。
前夜、寝るときは、宿の浴衣だけで、下着はつけてません。
下着が寝汗を吸うじゃないですか。
洗い物を増やすだけです。
で、朝、起きたら、寝乱れて、手籠めにされた腰元みたいになった浴衣を……。
リングガウンのように放り投げて、トイレに向かうわけです。
やっぱ、宿に泊まるのは、ひとりに限りますな。
あと、別件。
本編では、酒場の描写があります。
現在、緊急事態宣言が解除され……。
飲食店でも、ほぼコロナ前の営業が出来るようになりました。
でも、今だ元の営業時間に戻せないお店も多いそうです。
なぜかと云うと……。
アルバイトが集まらないからです。
募集しても、応募者が来ないそうです。
アルバイトで生活費をまかなってる学生さんなどからは……。
飲食店が敬遠されてるんだとか。
そりゃそうですよね。
再度、緊急事態宣言が出たら、また雇用打ち切られるでしょうから。
コロナの影響を受けにくい仕事を選びますよね。
なんとかならないものでしょうか。
たとえば、宅配ピザのようなお店と、飲食店が提携する。
緊急事態宣言が出たら、アルバイトは宅配ピザの方で働くわけです。
とうぜん、宅配の需要が増えるでしょうから。
で、緊急事態宣言が解除されたら……。
飲食店に移る。
出来ませんかね?
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4. 手羽崎 鶏造- 2021/11/27 09:30
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そうか、管理人さまの大事な菊門は
陰茎に無理やり犯されているのではなく、
水圧に犯されてしまっているのですね。
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5. Mikiko- 2021/11/27 12:32
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痔ではないのに……
なぜか、ボラギノールが一番効きます。