Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
ウルトラウーマン(16)
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「ウルトラウーマン」作:八十八十郎(はちじゅうはちじゅうろう)


(16)江戸川の3人


 JR津田沼駅で快速電車に乗り込んだ小林は、吊革につかまって深いため息をついた。
 性欲は人間にとって生きる重要な要素である。
 その性的な欲求によって、人は子孫を残し世代は受け継がれていく。
 だが全体に比して少数ではあるが、その枠に入らない人もいる。
 異性も同性も愛せる人、同性しか愛せない人、自分以外は愛せない人、そして自分さえ愛せない人。
 本当はそんな基本的な枠組みなど存在しないのかもしれなかった。

 小林は、何故そんなに女性同士の性愛に魅力を感じるのか自分自身も分からなかった。
 と言って、男性に興味を感じる訳ではない。
 ただ国際本部の圧力を受けた時は、罪もない弱者を無視し、一方的にマイナーセクシャリティーを押し潰すような暴力に対して、小林は激しい怒りを覚えたのである。

 国際本部から爆破の指令を受けた今、小林がやろうとしていることは明らかに反逆行為に違いなかった。
 もっとも、現地で国際本部のエージェントに囲まれた状態では、その反逆行為の実行にまで及ばない可能性もある。
 こうなったら一刻も早く矢野彩香と目加田恵子を現場に派遣し、小林の爆破阻止の根回しをするしか望みはなかった。
 特捜部の穂茂田本部長は、調子はいいが小林の考えに同調してくれている。
 たとえ国際本部から特捜隊に圧力がかかっていても、彼女たちを爆破阻止の援護に送り出してくれるに違いない。

 JR市川駅で快速を下車した小林は、重い足取りで北口の階段を下りていく。
 パチンコドラゴンの手前まで差し掛かると、店の前の自転車の荷台に座って、足をぶらぶらさせている若い女性が目に入った。
「あ、矢野君……」
 小林に気づくと、その女性は笑みを浮かべて手を振った。
「お疲れ様。聞いたわよ、小林隊長。大変だったんですってね」
「君、どうしてそれを……?」
「穂茂田さんから聞いたのよ。ダブルブッキングになったみたいね。あたし穂茂田さんからも直接依頼を受けたの、どうしても助けたい男がいるって」
「本部長……」
「もう目加田さんは待ち合わせ場所に行ったわ。さあ、あたしたちも行きましょ!」
「あ! な、何するんだ! ……ああ!」
「あららら、だめじゃん。大丈夫……?」
 急に彩香から腕組みされた小林は、沿道の縁石につまづいて歩道に転がったのである。

 うららかな午後の日差しを浴びながら、3人は江戸川の土手に座っていた。
「大方の説明は済みましたが、何か質問は……?」
 眉を寄せた彩香が、片手で日差しを避けながらながら口を開く。
「あたしは飛鳥隊員を見つけた後に関係を持って、通信機能を備えた精液を彼女の子宮に射精すればいいのね。そして出来れば、ウルトラウーマンとゼットンの戦いで彼女を援護するようにたらし込む」
 小林は大きく頷いた。
「飛鳥隊員を見つけさえすれば、あとは簡単なことだわ」
「しかし飛鳥君もなかなかしたたかですよ。現に特捜隊関係で男女とも彼女にしてやられてる」
 彩香の愛らしい顔に不適な笑みが浮かんだ。
「うふふ……小林さん、アマチュアと一流プロの違いを見せてあげるわ」
 小林は頼もし気に彩香の顔を見つめた。
「うふふふ……」
 その隣で、黒縁眼鏡を指で押し上げながら目加田恵子も含み笑いを漏らす。
「どうしたんですか、目加田さん?」
「何だか、かっこよかったから真似してみたのよ」
「はあ……」
「先日の予定を変更して、あたしは彩香ちゃんじゃなくて小林隊長の援護に回るのね」
「はい」
 小林の表情が一転して引き締まる。

「でも目加田さんの方は、今回この依頼を辞退していただいてもけっこうです。非常に危険を伴うどころか………、公安の指示にも何か変化がありませんでしたか?」
 恵子はその視線を江戸川の対岸に向けた。
 その辺りは柴又の少し下流で、フーテンの寅のロケが幾度となく行われた場所である。
「実を言うと、今回の指令は取り消されたの。たぶん上に何か圧力がかかったのは間違いないわ」
「そうですか………」
 小林は焦点の合わぬ目で川面の輝きを眺める。
 しばらくの静寂の後、目加田恵子はふと笑みを漏らした。
「で、あたしはどうすればいいって?」
「目加田さん……!」
 小林は驚いて顔を上げた。
「小林さん、分かってるって。あなた自分の命と引き換えに爆破ボタンを死守するつもりなんでしょ? あたしも、ここで逃げたら女がすたるわ」
「国際本部のエージェントやSPと戦闘になる可能性が高いんですよ!」
「私の得意な分野じゃない。もう分かったわ。じゃあ、出発はいつ?」
 小林は微かに目を潤ませた。
「明朝7時です。朝6時に錦糸町北口の西友ストア前に集合してください。車で専用ヘリにご案内します。それからこれが、矢野さんが使う2021改良型ペニスバンド“SHINOHARA”です」
「はい、確かに……」
「ヘリはモンゴルの仮設基地で目加田さんを下ろした後、彩香さんをタクラマカン現地へ護送します。私はなるべく爆破を遅くするためこちらで時間を稼ぎます。明日以降再び会えるかどうか分かりませんが、連絡はSMSで取り合い、各々が爆破阻止に向かって行動するのみです」
「了解」
「OK」

 彩香がポーチを背負うと、3人はゆっくりと立ち上がった。
「しかし矢野さん、今回は目加田さんの援護がなくなってしまいましたが、大丈夫ですか?」
「平気よ。だって今までも援護なんかなかったんだから。それに私、復帰したあと依頼が詰まってんのよ。今度は北川圭子が相手なんだって」
「北川圭子?! 北川圭子ってあの、北川圭子?」
 目加田恵子が驚きの声を上げた。
「そうよ、女優の。ライバルのプロダクションからの依頼で、誘惑して一緒にセックスしてるお宝映像が欲しいんだって」
「な、な、何ですと?!」
 小林の目が輝いた。
「なに小林隊長、急に元気になっちゃって……。見たい?」
「い、いや別に……」
「ほんと? ……ほんとは、ちょっと見たいんでしょ?」
「み………見たい……」
「じゃあ~隊長のためにい~……後でDVD、分けてあげよっか………?」
 小林は股間を固くしてうんうんと頷く。
「でも条件があるよ」
「え? ど、どんな………」
 固唾を呑んだ小林に、彩香は悪戯っぽい笑みを浮かべてガッツポーズをとった。
「元気で帰って来て!」
 そのまま彩香は土手の上を歩き去っていく。
「じゃあ、お先に。向こうで待ってます」
 目加田恵子も彩香の後を追う。

 小林は歩き去っていく二人を、まるでフーテンの寅の様に見送った。
「ねえ彩香ちゃん、出発前にこれ試運転しようよ。あたし案外得意なのよ、これ」
「いやよ」
「じゃ、あたしにして。たまには女らしく乱れるのもいいかな~なんて……」
「い~や!」
「それ予備も入れてカプセル4つしかないから、無駄使いしちゃだめですよう!」
 小林は叫んだ。
「あたしは1回分あれば成功するけどね」
「じゃあ余っちゃうじゃん。ねえ使ってみようよ」
「いやだよ~ん」
「あ! 待て!!」
「あっはははは……!」
 二人は笑いながら走り去っていく。
「大丈夫かなあ……。俺は最近ほんとに1回しか出ないけど。まったく男はつらいよ……」
 みるみる夕日の中に小さくなっていく二人を見送りながら、小林は心配そうにつぶやいたのだった。


 タクラマカン砂漠のとあるオアシス。
 表で埃を払う音が聞こえて、飛鳥ゆり子は粗末なベッドから身を起こした。
 きしんだ音とともにドアが開くと、サファリ服に身を包んだ女性が入ってくる。
「お疲れ様」
「ええ、飛鳥さん休めました?」
 その女性は帽子を壁掛けに預けて、ベッドの飛鳥に微笑んだ。
 その風貌と言葉から、彼女は日本人に違いなかった。
 小野田遥は、地方の国立大学の理学部を卒業して地元の地質調査会社に就職した。
 しかし会社務めが肌に合わず、今は海外青年協力隊の活動に身を投じていた。
 この中央アジア一帯の遺跡発掘調査に携わって2年目になる。
 年は飛鳥と同じ30前後に見えるが、その年の割には黒髪を三つ編みにして背中に垂らしている。
 目鼻立ちもはっきりとして、一文字に濃い眉が理知的な雰囲気を醸し出していた。
 細身の体を砂漠でよく見るカーキ色のサファリ服に包んで、下は半ズボンを履いている。

「今日の調査はいかがでした? 遺跡から何か出ましたか?」
「いえ、何も。それに作業員も疲れがたまってたので、今日は早めに切り上げました」
 遥は流しに向かうと、傍らの桶に溜めてある水を柄杓で洗面器に汲み上げる。
 洗面器に水を満たして顔を洗い始めた。
 飛鳥は急いでベッドから起き上がって、顔を洗っている遥の後ろに立った。
「遥さん、あなたもお疲れだったんでしょう? 昨夜も余り眠れてなくて……」
 飛鳥は後ろから遥のスリムな腰に両手を回した。
「あ、ちょ、ちょっと………」
 まだ目を開けられないまま遥は戸惑ったつぶやきを漏らす。
「身体が濡れないようにタオルを持ってきたんですよ、ほら……」
 遥と流しの間に挟んだタオルを片手に握らせる。
「あ、ああ……ありがとう」
 顔を拭き終えると、思いがけず近くに飛鳥の顔があった。
 飛鳥は遥の手からタオルを取りあげる。
「あらあら胸元までこんなに濡れて……」
「あ、いえ、自分で……」
 身を引く間もなく前のボタンが外されて、飛鳥の手がサファリ服を引き開ける。
「ちょっと、飛鳥さん」
「大丈夫、あたしの方からよく見えるから、まだ砂がついてるわよ」
「すみません」
「ほうらきれいになった」
 間近で笑いかける飛鳥に、つい遥も笑みを返す。
「凄くきれい……」
 そう言うが早いか、飛鳥の唇が胸元の乳房の盛り上がりに触れた。
「滑らかで、すべすべ……」
 ゆっくりと顔を上げると、飛鳥は遥の目を覗き込む。
「昨夜はごめんなさい。いつの間にか夜明けになってたわね」
「いいえもう……、忘れてください」
「忘れることなんて出来ないわ。それにあなただって、女の人と経験があるんでしょう? 逆さまに抱き合ったら、とうとうあなた私にも………」
「やめて……んぷ……」
 遥の声は飛鳥の唇に飲み込まれた。
 そして唇を揉み合わされるにつれ、遥の唇も柔らかく交わり始めて、その両手は飛鳥の背中を伝い始めたのである。
ウルトラウーマン(15)目次ウルトラウーマン(17)

コメント一覧
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    • ––––––
      1. Mikiko
    • 2021/08/05 05:43
    • 電車に乗って
       本編に、2つの駅名が出て来ます。
       JR津田沼駅とJR市川駅。
       もちろん、どちらも聞いたことのある駅です。
       市川が千葉だと云うことはわかりますが……。
       津田沼は違いますよね。
       神奈川だったんじゃ?
       調べて見ましょう。
       げ。
       津田沼も千葉でした。
       習志野市の駅でした。
       総武本線だったんですね。
       東京にいたとき、会社の同僚で、津田沼から通ってる人がいました。
       わたしはずっと、神奈川からだと思ってました。
       あ、鵠沼からの連想だ。
       江ノ電の駅にありますよね。

       しかし、当時の会社は、渋谷の道玄坂にありました。
       津田沼からだと……。
       会社に9時に入るには、何時に出ることになるんでしょう。
       調べたら、けっこう乗り換えがありました。
       津田沼、7:40分発です。
       JR総武線快速(逗子行)に乗ります。
       錦糸町着、8:03分。
       錦糸町発、8:05分(乗り替えられるの?)。
       JR中央・総武線(中野行)。
       代々木着、8:30分。
       代々木発、8:32分(乗り替えられるの?)。
       JR山手線(渋谷・品川方面行)。
       渋谷着、8:37分。
       時間にすれば、1時間ですから、さほどのことはありません。
       でも、乗り換えが2回。
       しかも、乗り換え時間、どちらも2分です。
       たぶん、ホームが向かい合ってるんだと思います。
       それなら、2分あれば十分です。
       でも、平常運行であればということ。
       少しの遅れなら待ってくれると思いますが……。
       5分以上遅れたら、たぶん待たずに出ちゃいますよ。
       そうしないと、遅れがどんどん伝播していってしまいますから。
       今、首都圏では、さまざまな路線が、相互乗り入れしてます。
       なので、1箇所の遅れが、遙か遠くにまで影響することがあるんです。
       ま、でも、5分も待たずに次のが来るのか。
       それなら、あわてることもありません。

       続きは次のコメントで。

    • ––––––
      2. Mikiko
    • 2021/08/05 05:44
    • 電車に乗って(つづき
       しかし……。
       混むんでしょうね。
       東京に住んでたとき、地下鉄で通ってたことがありました。
       あれは辛かったです。
       混みすぎて、脚が宙に浮いたこともあります。
       身体が斜めになって浮いてるんです。
       どうしようもありません。
       あの通勤をもう1度やれと言われたら……。
       とても無理です。

       しかしあなた、通勤時間って、ほんとに無駄ですよ。
       人生の無駄遣い。
       片道1時間として、1日2時間。
       1ヶ月平均20日勤務だとすると、月40時間。
       残業より長いでしょう。
       1年で、480時間ですよ。
       つまり、丸20日。
       これを40年続けると……。
       800日。
       これだけの時間、通勤に費やすことになります。
       これだけの通勤時間を無駄にしないために……。
       みなさん、勉強とかしてるんでしょうね。
       本を開くことは出来ないでしょうから……。
       イヤホンで聞くしかありません。
       英会話とか?
       でも電車の中では、「repeat after me」は出来ません。

       そうそう。
       今、思い出しました。
       わたしもやってましたよ。
       英会話ではありませんが、時間つぶし。
       多湖輝さんの「頭の体操」。
       新書版でした。
       でも、本を丸ごと持っていったら嵩張るので……。
       1ページずつ、切り取って持って行ってました。
       で、乗りこむ駅のホームで、問題を読むんです。
       そして、満員の車中で考えるんですね。
       使うのは頭の中だけですから……。
       身体が宙に浮いてても構いません。
       答えを見るのは、駅を下りてから。
       当たってると、気分が良かったです。
       けっこう難しかったですよ。
       今調べたら、23巻も出てました。
       シリーズ累計で、1200万部売れたそうです。
       今は、文庫で出てるようです。
       懐かしくなりましたが……。
       あの満員電車は、もう御免です。

    • ––––––
      3. 手羽崎 鶏造
    • 2021/08/07 04:20
    • 津田が付く地名。
      関東には駅名で
      津田沼、津田山、長津田とあります。

      さて、ここで問題です。
      この3つの駅でひとつだけ仲間はずれがあります。
      それはどれ?でどんな?仲間はずれかを
      Mikikoクン、さあ答えなさい。
      解らなかったり、間違った場合の罰ゲームは
      ここで視聴者の見ている前で衣服を脱いで
      もらいます。なーんて。

    • ––––––
      4. Mikiko
    • 2021/08/07 06:21
    • 一番単純な答えは……
       津田山と長津田は、神奈川県。
       津田沼が千葉県ということです。
       でも、3つのうち1つが仲間はずれという事項は……。
       探せば、いくらでもありそうですけど。

    • ––––––
      5. 手羽崎 鶏造
    • 2021/08/07 20:13
    • はい それも正解です。
      初級者。

      これはワタシが考えたというか
      見つけたのですが、
      欲しい答えは、長津田です。
      JRとか私鉄ではありません。
      実は、長津田はツダではなく
      ナガ「ツタ」なのです。
      現地に住んでいる人も
      ナガツダと呼ぶ方は少なく
      ありません。

    • ––––––
      6. Mikiko
    • 2021/08/08 06:02
    • なるほど
       「イバラギ」と「イバラキ」みたいなものですね。
       「津田」の由来が違うんでしょうか。
       不思議なのは、「津田山」。
       「津」も「田」も、低地を表す文字です。
       矛盾してますよね。
       ひょっとしたら「津田山」の「津田」は、人名由来かもしれません。

       現地に住んでる人と云っても……。
       大半が、地方からの移住者じゃないですか。
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