Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
ウルトラウーマン(5)
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「ウルトラウーマン」作:八十八十郎(はちじゅうはちじゅうろう)


(5)初めての絶頂


 目まいにも似た愉悦がウルトラウーマンの全身を駆け巡った。
 互いのまつげが微かに触れ合って、徐々に揉み込むように、ついには貪るように蓬莱に唇を重ねる。
 初めての女同士の口づけで、トラコはどうしようもなく瞼が熱くなるのを覚えた。

 ところが夢見心地で唇を重ねていた時ふと蓬莱の唇が緩んで、甘い蜜を纏った舌が滑り出て来た。
 “!!”
 驚く間もなくトラコの舌は蓬莱の舌にねっとりと絡みつかれる。
 何とそのまま蓬莱の口の中に誘い込まれて優しく甘噛みされたのだ。
 “んんん………”
 恋人と口づけを交わす夢でもみているのだろうか、蓬莱の思いがけない挑発でウルトラウーマンの体中の血が逆流した。
 蓬莱の唇から逃れて胸の奥から荒い息を吐く。
「はあ、はあ………きっと貴女にはいい人がいるのね……。その男の人と貴女はいつもこんな風に……」
 そうつぶやくとトラコは改めて蓬莱の顔を見た。
 まるで口づけされるのを待っているかのように、艶やかな唇の隙間で白い歯が輝いている。
 トラコは切なげにその眉を寄せた。
 “やっぱりもう我慢出来ない”
 太ももの肌をじわじわと熱い雫が伝い降りていく。
 トラコはおずおずと蓬莱の裸体に覆い被さっていった。

 “ああ……、温かくてとっても柔らかい……”
 気を失ったままの蓬莱と肌を合わせて、ウルトラウーマンは頭が真っ白になるような気がした。
 “……それに、なんていい匂い……”
 蓬莱から漂って来る匂いでトラコの背筋に震えが走った。
 愛おしさの奥から妖しい衝動が急激に身を苛み始める。
 蓬莱の右腕を上げると、数本の繊毛が煙る脇の柔らかみにその鼻先を埋めた。
「うう~ん……」
 汗の匂いを含んだ若い女性特有の甘酸っぱい体臭にウルトラウーマンは呻いた。

 トラコの豊かな乳房を押し付けられたにも関わらず、上品に膨らんだ蓬莱の乳房は少しもその形を崩さなかった。
 いやそれどころか、やや硬さを増した乳首が下からトラコの乳房に無邪気に食い込んでさえくる。
 “ああ可愛い!”
 上から蓬莱の華奢な体を抱くと、たまりかねた様にトラコは再びその唇を重ねた。
 “んぐう……!!”
 とたんに蓬莱の舌が口中に滑り出て来て、無意識に脇の下から回された両手がトラコの背中を抱く。
 しなやかな女体と逞しく伸びやかな女体が地面の上で硬く抱き合っていた。
 そして二人の女性は夢見るように首を振りながら唇を重ね合っている。
 やがてトラコはその唇を振りほどくと、蓬莱の両手首をつかんで仰向けにその裸身を押し開いた。
 夢中で蓬莱の胸に顔を埋める。
 顔中でその乳房の弾力を味わうと、その頂点の桜色を強めて弾き立った乳首を口に含んだ。
「ん……んうう………」
 その時、身の重みを受け止めていた蓬莱の口から微かなうめき声が漏れた。
 ウルトラウーマンは急いで蓬莱の上から起き上がりその脇に身を添わせた。
 そっと両手で肩を抱いてその顔を見つめる。
 まさに腕の中で蓬莱は意識を取り戻しつつあった。
 こうなった以上、それはウルトラウーマンにとってもある意味喜びではあった。
 一方的に無意識の相手に情欲を傾けることに一抹の寂しさを覚え始めていたのである。

 やがてうっすらと蓬莱の瞼が開いて、真上から降り注ぐ日の光に眩しそうに瞬いた。
 そしてそこに、自分を抱いている褐色の逞しい女性を認めた。
「きゃあああ!!!」
 突然蓬莱は悲鳴を上げた。
 先ほどの巨大な飛行物体出現の記憶も相まって、蓬莱の全身をすさまじい恐怖が襲ったのである。
 蓬莱は激しく身をばたつかせて、この何者かから逃れようとした。
 しかしこの褐色の女性は別段力を入れている様子もなく、蓬莱の激しい抵抗にも全くその身体を揺るがせることはなかった。
「いや~!! 離して! 助けて~!」
 トラコは戸惑いながら口を開いた。
「ね、あたしの話を聞いて。あたしは、あなたを傷つけるつもりはないの。ほら、あたしの顔を見て。あたしはあなたと仲良くしたいだけなの。ね、お願い……」
 トラコは精一杯の優しさを込めて言った。
「いや! やめて! 離して!!」
 しかし突然の恐怖に見舞われた蓬莱にトラコの言葉が通じるはずもなかった。
「お願い怖がらないで! あたし初めて地球に来て、あなたと仲良くなりたいだけなのよ」
「いや! いやあ! 助けて~!!」
 蓬莱はトラコの言葉を聞く精神状態ではなかった。
 実際はたから見れば、アマゾネスのような女が小娘を蹂躙しているようにしか見えなかったのである。

 蓬莱にとって力の限りの抵抗も、この相手には何の功も奏さなかった
 まるで強い空気の塊を相手にしているような感じだった。
 力づくで押さえつけられている訳ではない。
 だから無理な抵抗をしなければどこも痛いところはないのだが、ただ恐怖に支配されている蓬莱にはそんな判断が出来るはずもなかった。
 死に物狂いの蓬莱は、平手でトラコの頬を叩いた。
 トラコは瞬きひとつしただけで優しく口を開く。
「いいのよ。あなたがそれで気が済むのなら何回でもあたしを叩いて」
 蓬莱は必死で手を伸ばすと、思いきりトラコの乳房を掴んで爪を立てた。
 追い込まれた彼女は本能的に女の弱点をついたのである。
「ああ……少し痛いわ。でも私はあなたに危害を加えるつもりはないの。あなたと愛し合いたいだけなの。ごめんなさい。でも早くそうしないと地球では自分を見失いそうなのよ。そうなったらどうなるのか私も怖い……。だからお願い、許して」
 もうウルトラウーマンは自分を抑えることは出来なかった。
 まるでむずがる幼児をあやす様に蓬莱を抱き寄せていく。
「ひゃ! いやあああ!!!」
 抵抗する蓬莱を易々と抱き寄せて、その弾む若い乳房にトラコの唇が吸い付く。
「きゃあ! やめて~!!!」
 広大な砂漠のオアシスに蓬莱の悲鳴が響き渡った。
ウルトラウーマン(4)目次ウルトラウーマン(6)

コメント一覧
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    • ––––––
      1. Mikiko
    • 2021/03/04 05:53
    • ハヤタ隊員の謎
       八十郎さんのウルトラウーマンを読んでて、改めて感じた疑問があります。
       それは、ウルトラマンに変身するハヤタ隊員とは……。
       いったいどういう存在だったのかということです。

       ウルトラウーマンもそうですが(笑)……。
       ウルトラ一族は、ずっとウルトラ一族の格好をしてるわけです。
       人間が変身するわけではありません。
       それではなぜ、ウルトラマンだけはハヤタ隊員が変身するのか?
       考えてもわかりっこありませんので、↓Wiki(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%83%B3)を引かせてもらいました。
      +++
       科学特捜隊のハヤタ隊員は小型ビートルで青い球体と赤い球体を追跡するが、赤い球体と衝突したうえに墜落死してしまう。
       赤い球体の正体はウルトラマンだった。
       M78星雲人の彼は、宇宙の墓場への護送中に逃亡した宇宙怪獣ベムラー(青い球体の正体)を追って地球までやって来た。
       そして、自分の不注意でハヤタを死なせたことに対する罪の意識からウルトラマンは、ハヤタに自分の命を分け与えて地球の平和を守るために戦うことを決意。
       こうして、ウルトラマンとハヤタは一心同体となった。
       以後、ハヤタはベーターカプセルを点火させてウルトラマンに変身し、怪獣や宇宙人と戦う。
      +++

       続きは次のコメントで。

    • ––––––
      2. Mikiko
    • 2021/03/04 05:53
    • ハヤタ隊員の謎(つづき)
       うーむ。
       「こうして、ウルトラマンとハヤタは一心同体となった」ってのは……。
       説明として、あっさりすぎませんか。
       どういう仕組みでそんなことが出来るのでしょう。

       それにしても、ベーターカプセルって何でしょう?
       あ、ハヤタ隊員が変身するとき、手に持ってるやつですかね?
       ↓かなり詳しい説明が載ってました。
      +++
       ハヤタがウルトラマンに変身する際に使用する機器。
       第1話でハヤタがウルトラマンと一体化する際に、ウルトラマンから託される。
       カプセル内部には超小型プラズマスパーク核融合装置とベーターコントローラーが内蔵されている。
       これがないと、ハヤタはウルトラマンには変身できず、常に隊員服の内ポケットに携帯しているが、何度かカプセルを落とすシーンもある。
       ウルトラマンでいる時もどこかに携帯しているらしく、第26話ではゴモラとの格闘中に落としたのを現場にいた子供に拾われる。
       第39話ではウルトラマンを迎えに来たゾフィーが、自ら持ってきたベーターカプセルを使ってハヤタに命を与えると同時に、ハヤタとウルトラマンを分離させる。
      +++

       続きはさらに次のコメントで。

    • ––––––
      3. Mikiko
    • 2021/03/04 05:54
    • ハヤタ隊員の謎(つづきのつづき)
       うーむ。
       核融合ですか。
       なんとなくわかりましたぞ。
       つまり、ハヤタ隊員の身体がドロドロに溶融されて……。
       ウルトラマンの身体に再合成されるってことじゃないですか。
       すなわち、完全変態の昆虫の蛹にあたる期間が、瞬時に行われる。
       で、幼虫が、一瞬で成虫に変じるわけです。
       しかし、ウルトラマンがベーターカプセルを携帯してるってのは、ちとお粗末。
       しかも、落としたりしてるんですよね。
       スーツと一体化するような仕組みにすべきです。

       でも、さらに大きな疑問がひとつ。
       ウルトラマンって、戦いが終わると、飛んで行っちゃいますよね。
       地球上で、ハヤタ隊員に戻らなきゃならないんじゃないですか?
       Wikiには、それが書かれてないようです(斜め読みなので、書かれてるかも知れません)。
       いろいろ調べたら、宇宙に飛んで行ってしまってるわけじゃないようです。
       なぜ、飛んで行くのか。
       それは、ハヤタ隊員に戻るためです。
       なぜなら、その場でハヤタ隊員に戻ったら、正体がバレバレになってしまうからです。
       なので、人目に付かない場所に飛んでいって、ハヤタ隊員に戻るのでしょう。
       しかし!
       ハヤタ隊員は、そこからどうやって科学特捜隊まで帰って来るのでしょう。
       人目が無いところなんですから、かなりの僻地ですよ。
       電車やバスもないかも知れません。
       無断欠勤の常習者になって、普通ならクビになるはずです。
       タクシーを使っても、経費精算できないでしょう。
       わたしが科学特捜隊の経理なら、使途不明のタクシー代なんて、もちろん却下です。

    • ––––––
      4. 八十郎
    • 2021/03/04 16:32
    • なるほど、私はライブで見ていながら全然覚えていませんでした。
      ウルトラマンに変身してて落しちゃうなんてところは、現実味を出してまた親近感を持たそうという制作関係者の必死の意図でしょうか。

      スーパーマンはちょっと物陰に隠れて変身して飛び出して行き、逆はまた物陰に入ってネクタイとスーツ姿に戻るというパターンが多かったようですね。(主人公はケントさんだったかな)
      これなどまるで歌舞伎の早変わりのようです。
      (大きさは一緒で、スーツ姿がタイツ姿に変わるだけなので。笑)

      勤務先の経理がMikikoさんだったら、私の領収書は紙飛行機になって車内を飛び回ったことでしょう。

    • ––––––
      5. Mikiko
    • 2021/03/04 18:14
    • ベータカプセルは……
       ウルトラマンに変身したとき、一緒に大きくなるんですかね。
       ウルトラマンの身長は、40メートルだそうです。
       ハヤタ隊員を演じた黒部進さんは、175センチ。
       22.9倍になるわけです。
       ベータカプセルが20センチだとすると……。
       22.9で割ると、約9ミリ。
       これじゃ、一瞬でなくしてしまいますね。

       スーパーマン。
       着替え中を見られたら、変態として通報されるでしょう。

    • ––––––
      6. 手羽崎 鶏造
    • 2021/03/04 23:05
    • もっと昔、月光仮面のおじさんは
      ただ姿を替えただけでした。
      松田優作という俳優も映画で
      キャラの違う二人を演じ分けていました。

      人は誰もが変身願望があるのだと
      思います。
      「自分もいつかは変われるんだ」
      そういう夢は持ち続けていただきましょう。

    • ––––––
      7. Mikiko
    • 2021/03/05 05:45
    • 月光仮面
       白タイツのもっこりが印象的です。

       永井豪に、パロディの「けっこう仮面」という作品があります。
       顔を隠して体を隠さない丸裸の女という斬新なスタイル。
       変身ヒロイン物であるにも関わらず……。
       「けっこう仮面」の正体が読者にも知らされなかったそうです。
       リアルで読んでた人は楽しかったでしょうね。
       ↓「けっこう仮面の歌」。
      http://www.kget.jp/lyric/21716/%E3%81%91%E3%81%A3%E3%81%93%E3%81%86%E4%BB%AE%E9%9D%A2%E3%81%AE%E6%AD%8C_%E7%AF%A0%E5%8E%9F%E6%81%B5%E7%BE%8E

    • ––––––
      8. 八十郎
    • 2021/03/10 18:06
    • リアルで読んでましたが、無念にもほとんど覚えていません。(笑)
      永井豪と吾妻ひでおはよく読んでました、ラーメン屋で。
      ただけっこう仮面にはビアン要素も盛り込まれていて、
      それこそ”けっこう!”と、胸中快哉を叫んでいましたね。

      白タイツのもっこりは、男なら誰しも歓迎すべき格好ではないでしょう。
      何故なら多くの男性は、もっこりに優越感より劣等感を抱いているからです。
      え・・違う?皆さん裏切らんでくださいよ。

      変身願望はまったくその通りだと思います。
      一日一日というか、まさに一刻一刻が変身願望の継続のような気がします。

      絶世の美女に変身するなんてのも面白そう。
      きれいな女性とビアン体験なんて夢のようです。
      しかしそれで沢山の男に言い寄られたら、これはちょっと気持ち悪いですね。(丁重に辞退)

    • ––––––
      9. Mikiko
    • 2021/03/10 18:43
    • ラーメン屋
       わたしも、ラーメン屋でマンガ本を読むのが好きでした。
       一番よく読んだのは、「ゴルゴ13」です。
       あと、野球漫画。
       「わたるがぴゅん!」とか。
       題名は忘れましたが、格闘漫画も読みました。
       小説での由美の身のこなしなどに使わせていただいたものです。

       変身譚。
       よく、男女が入れ替わる話があります。
       そうしたお話は、あまりにもきれい事すぎですよね。
       ほんとにそうなったら、あそこを弄りまくりだと思います。

    • ––––––
      10. 八十郎
    • 2021/03/29 20:24
    • 今ごろ書込みして申し訳ありませんが、Mikikoさんの最後のコメントが面白かったので。

      男性器の場合はふにゃふにゃした状態なら結構遊び道具になると思いますが、元気に弄びまくりはつらいかと思います。
      もうどうにか決着をつけてくれと。(笑)

      やはり年代が違いますね。
      野球漫画で「わたるがピュン」って、いったい何でしょう?
      それじゃあ、目が燃えませんぞ。

      ラーメン屋でゴルゴ13を読みふけっている女性に気が付いた時、私は箸が止まります。(笑)
      「はいからさんが通る」なら分かりますが。

      赤ワインをお湯割りにせず飲んだ結果このようなコメントを入れて、大変恐縮しています。
      懐かしくなって嬉しかったので。

      こちら桜吹雪が舞い始めました。
      では、失礼しました。

    • ––––––
      11. Mikiko
    • 2021/03/30 06:29
    • ラーメン屋に……
       「はいからさん」は、あまり置いてないと思います。
       わたしは、「ゴルゴ」を読みながらラーメンを食べるのが好きすぎて……。
       古本屋で買った「ゴルゴ」を持ちこみ、ラーメン屋の本棚に入れておくということを何度かやりました。
       ラーメン屋の蔵書は、何度も繰り返し読んでしまってたので。
       本棚の整理をしてた大将が、首を傾げてましたね。

       こちらも昨日(3月29日)、ソメイヨシノが開花しました。
       観測史上最も早く、平年より11日も早かったそうです。
       新潟のサクラは例年、入学式のころ咲くんですよ。
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