2020.10.9(金)
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「お隣の吉崎さん、あなたに気があるんじゃないの?」
夕食のテーブルだった。
憧れだったという専業主婦になった志津子は、毎晩、心づくしの料理を用意してくれていた。
買って来た惣菜を並べたようなものではない。
食器棚には、レシピ本が並んでいた。
まさに、新婚夫婦の食卓だ。
「美味しい?」
「うん」
最初は気恥ずかしかった会話にも、すっかり慣れてしまった。
実はわたしも、吉崎さんの妙な態度には気がついていた。
最初は、引っ越しの挨拶に、隣の部屋を訪ねたときだった。
もちろん、そのときが初対面だったのだが、わたしを見て驚いた様子だった。
その後、マンションの廊下ですれ違うときなど……。
頭を下げながらも視線を逸らし、どぎまぎした素振りがあからさまだった。
志津子が勘ぐるのも無理はない。
「ほんとに初対面なの?」
「まったく知らない人だよ」
「外観が変わったのかも知れないわよ。
昔、すごく痩せてたとか」
吉崎さんは、そうとうにボリュームのある体型だった。
豊満を少し通り越したレベルだ。
「でも、あのタッパの女性は滅多にいないよ。
知ってたら忘れるはずないさ」
おそらく、170㎝はあるのではないか。
あの身長であの肉付きなら、体重は90kgを越えていてもおかしくない。
「そうよね。
でもあなた、好きでしょ?
ああいうタイプ」
笑って誤魔化すしかなかった。
吉崎さんは、まさにわたし好みの体型だったのだ。
志津子との新婚生活は、われながら呆れるほど楽しかった。
知らない土地、新しい住まい。
見るものすべてが、真新しいものばかり。
自らが経てきた時間を、実感させられることがない。
それが、お互いの年齢を忘れさせてくれたのかも知れない。
「お隣の吉崎さん、あなたに気があるんじゃないの?」
夕食のテーブルだった。
憧れだったという専業主婦になった志津子は、毎晩、心づくしの料理を用意してくれていた。
買って来た惣菜を並べたようなものではない。
食器棚には、レシピ本が並んでいた。
まさに、新婚夫婦の食卓だ。
「美味しい?」
「うん」
最初は気恥ずかしかった会話にも、すっかり慣れてしまった。
実はわたしも、吉崎さんの妙な態度には気がついていた。
最初は、引っ越しの挨拶に、隣の部屋を訪ねたときだった。
もちろん、そのときが初対面だったのだが、わたしを見て驚いた様子だった。
その後、マンションの廊下ですれ違うときなど……。
頭を下げながらも視線を逸らし、どぎまぎした素振りがあからさまだった。
志津子が勘ぐるのも無理はない。
「ほんとに初対面なの?」
「まったく知らない人だよ」
「外観が変わったのかも知れないわよ。
昔、すごく痩せてたとか」
吉崎さんは、そうとうにボリュームのある体型だった。
豊満を少し通り越したレベルだ。
「でも、あのタッパの女性は滅多にいないよ。
知ってたら忘れるはずないさ」
おそらく、170㎝はあるのではないか。
あの身長であの肉付きなら、体重は90kgを越えていてもおかしくない。
「そうよね。
でもあなた、好きでしょ?
ああいうタイプ」
笑って誤魔化すしかなかった。
吉崎さんは、まさにわたし好みの体型だったのだ。
志津子との新婚生活は、われながら呆れるほど楽しかった。
知らない土地、新しい住まい。
見るものすべてが、真新しいものばかり。
自らが経てきた時間を、実感させられることがない。
それが、お互いの年齢を忘れさせてくれたのかも知れない。
コメント一覧
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1. Mikiko- 2020/10/09 06:28
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今日は何の日
10月9日は、『散歩の日』。
東京商工会議所渋谷支部の「シブヤ散歩会議(http://shibuyasanpokaigi.jp/)」が制定。
日付は、「て(10)く(9)てく」と読む語呂合わせから。
「てくてく」は、散歩の時の歩くイメージを想起したもの。
散歩を通じて、広域の渋谷圏の魅力を発信することが目的。
記念日は、2015(平成27)年、『(社)日本記念日協会(https://www.kinenbi.gr.jp/)』により認定、登録されました。
上記の記述は、こちら(https://zatsuneta.com/archives/11009b.html)のページから転載させていただきました。
さらに同じページから、引用を続けさせていただきます。
明治期の渋谷には、小説家・国木田独歩(くにきだ どっぽ/1871~1908年)の住まいがありました。
そこで著された小説『武蔵野(1901年)』にも「散歩」という言葉が登場するなど、渋谷は散歩と縁が深い土地です。
目的地を定めずに好奇心を持って、てくてく街歩きを楽しむ「散歩」は、街の新たな発見にもつながります。
「シブヤ」という言葉は、単純に渋谷駅周辺を指すのではなく……。
渋谷区や近隣の地域を含めた広域渋谷圏を表します。
「シブヤ」には、渋谷ヒカリエや109などの誰もが知っているランドマークがあります。
さらに、区内各地域には、多くの路面店や特色のある商店街、歴史・文化施設、公園等の緑など……。
「てくてく」または「ぶらぶら」歩く「散歩」を楽しむことのできる魅力があふれてます。
以上、引用終わり。
続きは次のコメントで。
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2. Mikiko- 2020/10/09 06:28
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今日は何の日(つづき)
渋谷には、わたしが初めて勤めた会社がありました。
道玄坂を登る途中にあったと思います。
スクランブル交差点を、毎日渡ってました。
さて、↑の引用文で、まず気になったのは……。
「てくてく」。
もちろん、歩くことの擬態語だと云うことは知ってました。
でも、なんで「てくてく」なんでしょうか?
ネットで、ざっと探しましたが、見つかりませんでした。
ここで閃いたのが、英語じゃないかということ。
もちろん歩くは、“walk”です。
わたしが閃いた単語は、“take”でした。
でも、“take”の意味は、「取る」とかですよね。
でも、しつこく探したら、↓ちょっと気になる例文を発見。
●Father takes the dog for a walk before breakfast.
意味は、「父は、朝食前に犬を散歩に連れて行く」。
「散歩」は、“walk”ですがね。
でも、外人さんが犬を散歩に連れて行くとき、↓みたいに言ったんじゃないですか。
●I take the dog for a walk.
これを聞いた日本人には、“take”が一番耳に残ると思います。
で、犬を連れたこの外人さんに道で会うと……。
お愛想半分に、「ていく?」と聞いたんじゃないでしょうか。
外人さんも「Yes,I take.」とか応えたでしょう。
ということから、「ていく」が散歩を表す擬態語みたいになった。
それがやがて「てくてく」に変化したわけです。
如何?
いまいちすっきりしませんか?
実はわたしもそうなので、この話は打ち切り。
続きはさらに次のコメントで。
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3. Mikiko- 2020/10/09 06:29
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今日は何の日(つづきのつづき)
散歩は、昔から好きでした。
大学のころは、徹夜で本を読んだ翌朝……。
白みかかった街を歩くのが大好きでした。
会社勤めのころは……。
二日酔いの朝とか、週末の帰り、歩いて会社と自室を行き来してました。
3時間くらいかかりましたが、楽しかったです。
なにしろ東京は、どこを歩いても退屈することのない街ですから。
今、住んでる町でこれをやったら、途中で飽きてしまうと思います。
延々と田んぼが続いてたりしますからね。
なので今は、自転車で散歩してます。
ちょうど良いですね。
歳を取ったら、電動アシスト自転車に替えて続けたいと思います。
よし来年は、また東京に行くぞ。
それまでには、少し足腰を鍛えなきゃなりません。
近年、散歩の大敵として、腰痛が現れました。
難敵です。
なんとかなりませんか。