2020.10.4(日)
そして……。
気がついたときには、中段回し蹴りが女の脇腹に決まっていた。
女は、全身を“く”の字に曲げたまま横歩きし……。
園路を外れた芝生の上で転倒した。
仰向いた顔に意識が無いのは明らかだった。
そこに、女の名前を叫びながら現れたのが……。
封書の差出人、昭夫だった。
そうだ。
女の名前は、志津子。
その志津子が気づくまでの間……。
昭夫から、長い身の上話を聞くことになったのだ。
そうそう。
封書の表書きには「宮高昭夫」とある。
由美は、男の苗字を知らなかった。
聞いたのかも知れないが、覚えていなかった。
しかし、女の苗字は覚えていた。
宮高だった。
ということは……。
2人は結婚し、女の苗字を名乗ったというわけか。
事情はわからないが。
奇しくも由美は、結婚の申込みを間近で目撃したのだ。
気絶から目覚めた女に、男が裸で重なった。
公園の芝生の上で、全裸でまぐわいながら……。
2人は叫んだのだ。
「志津子!
もう出そうだ」
「わ……。
わたしも一緒にイク!」
「一緒に行こう。
これからどこまでも。
志津子。
結婚しよう!」
「昭夫!
嬉しい!」
あのときの約束どおり、初老に近い男女は結婚したということだろう。
プロポーズの瞬間を目撃した者として……。
素直に嬉しかった。
しかし……。
今ごろ封書を送って来るとはどういうことだろう。
結婚式の招待状ではあり得ない。
こんなに厚いのだから。
由美は、嵩高い封書の手触りを改めて感じた。
この封書には、あの夏が詰まっているのかもしれない。
あの暑かった夏の夜が、夢のように蘇る。
由美は、ペン立てからペーパーナイフを取りあげると……。
封書のフラップの隙間に差し入れた。
気がついたときには、中段回し蹴りが女の脇腹に決まっていた。
女は、全身を“く”の字に曲げたまま横歩きし……。
園路を外れた芝生の上で転倒した。
仰向いた顔に意識が無いのは明らかだった。
そこに、女の名前を叫びながら現れたのが……。
封書の差出人、昭夫だった。
そうだ。
女の名前は、志津子。
その志津子が気づくまでの間……。
昭夫から、長い身の上話を聞くことになったのだ。
そうそう。
封書の表書きには「宮高昭夫」とある。
由美は、男の苗字を知らなかった。
聞いたのかも知れないが、覚えていなかった。
しかし、女の苗字は覚えていた。
宮高だった。
ということは……。
2人は結婚し、女の苗字を名乗ったというわけか。
事情はわからないが。
奇しくも由美は、結婚の申込みを間近で目撃したのだ。
気絶から目覚めた女に、男が裸で重なった。
公園の芝生の上で、全裸でまぐわいながら……。
2人は叫んだのだ。
「志津子!
もう出そうだ」
「わ……。
わたしも一緒にイク!」
「一緒に行こう。
これからどこまでも。
志津子。
結婚しよう!」
「昭夫!
嬉しい!」
あのときの約束どおり、初老に近い男女は結婚したということだろう。
プロポーズの瞬間を目撃した者として……。
素直に嬉しかった。
しかし……。
今ごろ封書を送って来るとはどういうことだろう。
結婚式の招待状ではあり得ない。
こんなに厚いのだから。
由美は、嵩高い封書の手触りを改めて感じた。
この封書には、あの夏が詰まっているのかもしれない。
あの暑かった夏の夜が、夢のように蘇る。
由美は、ペン立てからペーパーナイフを取りあげると……。
封書のフラップの隙間に差し入れた。
コメント一覧
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1. Mikiko- 2020/10/04 06:24
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今日は何の日
10月4日は、『イワシの日』。
「大阪府多獲性魚有効利用検討会(大阪おさかな健康食品協議会)」が、1985(昭和60)年に制定。
日付は、「い(1)わ(0)し(4)」と読む語呂合わせから。
安くて美味しくて栄養豊富なイワシをPRすることと……。
豊かな海を愛しはぐくむ心を育て、水産資源の有効利用について理解を深めてもらうことが目的。
この検討会は、全国でも有数のイワシの漁獲量を誇る大阪湾域をひかえた大阪府が……。
学識経験者、魚業、加工、流通の各関係者を集めて開いたものです。
上記の記述は、こちら(https://zatsuneta.com/archives/110041.html)のページから転載させていただきました。
さらに同じページから、「イワシについて」を引用させていただきます。
イワシ(鰯)は、狭義には魚類ニシン目ニシン亜目の複数種の小魚の総称です。
日本でイワシといえば、ニシン科のマイワシとウルメイワシ、カタクチイワシ科のカタクチイワシ、計3種を指します。
英語のアンチョビ(anchovy)は、カタクチイワシ科の魚を指します。
海水魚で、沿岸性の回遊魚です。
遊泳能力が高く、群れで行動します。
全長は、成魚で10~30cmほど。
プランクトン食で、微小な歯があります。
体は細長く、断面は円筒形ないし、やや側扁(縦長)。
背が青く腹が白い、赤身の青魚です。
鱗が剥がれやすいのが特徴。
続きは次のコメントで。
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2. Mikiko- 2020/10/04 06:24
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今日は何の日(つづき)
引用を続けます。
名前の由来には諸説ありますが……。
水から出すとすぐに弱って死んでしまうので、「よわし」が「いわし」となった説。
これは、魚へんに「弱」と書く漢字の由来でもあります。
ほかにも、貴族の食べ物ではない卑(いや)しい魚という意味で……。
「いやし」から「いわし」になったとする説など。
体に良い栄養素を多く含み……。
刺身、塩焼き、天ぷら、煮物、干物から加工食品まで、幅広く利用されてます。
稚魚や幼魚はちりめんじゃこ(しらす干し)、釜あげ(釜あげしらす)、煮干しの材料になります。
食用以外にも、魚油の採取、養殖魚や家畜の飼料、肥料などの用途もあります。
以上、引用終わり。
食べるだけでも、さまざまな料理法、加工法があり……。
幼魚から成魚まで食べられてます。
しかも、食用以外にも用途があるわけです。
まさに万能魚ですね。
水族館では、群になって泳いでますよね。
小鳥の大群みたいです。
空でも海でも、弱いものは群れて暮らしてます。
わたしが捕食者だったら、大口を空けて突っこんでいけば……。
群を抜けたときには、口一杯頬張れてるんじゃないかと思うんですけどね。
でも、違うようです。
続きはさらに次のコメントで。
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3. Mikiko- 2020/10/04 06:24
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今日は何の日(つづきのつづき)
昔は、群れ全体を大きな生命体に見せているという説もあったようですが……。
そんなことに騙されるバカじゃ、捕食者は生き残れません。
群れてるのは、危険を早く察知するためのようです。
捕食者に気づいた個体が、まずパニクると……。
その波動が一気に群全体に広がっていくわけです。
これが、1匹1匹泳いでたらどうでしょう?
後ろから、そーっと近づかれたらわかりませんよ。
群の中にいれば、仲間が危険を知らせてくれるわけです。
知らせるというか、本人はパニクってるだけでしょうが。
さて。
いろんな料理法があります。
メザシ、美味しいですよね。
イワシのいいところは……。
骨を気にせず、頭から丸ごと食べられることです。
メザシより、もうちょっと大きくてもイケます。
全体を食べられると云うことは……。
栄養を、トータルで摂取できると云うことでしょう。
メザシ、今度、買って来よう。
わたしが一番好きなのは……。
幼魚の天ぷらです。
しらすみたいな柔らかいヤツではなく……。
尖ってて、口の中に刺さりそうな硬いヤツ。
“ちりめんじゃこ”って云うんですか?
ここらでは、“こうなご”と呼ばれてたと思います。
この天ぷらが、歯ごたえ抜群で美味しいのよ。
天ぷらって、鍋とか使わずに、簡単にできないものですかね?
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4. 手羽崎 鶏造- 2020/10/04 12:57
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本篇より。
昭夫、志津子
久々の登場!
ところで、管理人さま
近頃、中高年の交わりモノが
多くありませんか。
(貴女さまも年輪を重ねたという
ことでなのしょうか)
「アンタに言われたくないわっ」と
逆襲されそう。
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5. Mikiko- 2020/10/04 17:23
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12年も書いてると……
嗜好も変わってきます。
しかし今回のシリーズでは……。
レズビアンシーンも書きたいと思ってます。