Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
東北に行こう!(1505)
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声「確かに、先生と呼ばれていた」
先生と呼ばれていた

み「違うんですけど。
 声が違うんですけど」
首を振っております
↑首を振っております。

声「ここ恐山で迷っていたら……。
 ひとすじ、脳天気な女の気が漂うておった」
脳天気な女の気

声「わたしには、この世に係累などないはずなのだが……。
 その気だけは、あまたのほかの気とは違っておった」
み「恐山で迷うって……。
 ここで道に迷ったんですよね」
ここで道に迷った

み「まさか、あの世への……」
自転車の青年は、戻ってきた
↑自転車の青年は、こちらへ戻ってきたんですかね?

み「否!
 断じて、否!
 そんなものおるわけがない。
 あなた、ここの泊まり客ですか?
 こんな声の人は記憶にないのですが」
声「よくしゃべる女だ」
み「怖いからに決まってるでしょ。
 悪い冗談は、止めて下さい。
 お坊さん、呼んできますよ。
 叱られますからね」
叱られますからね

み「か、関係のない善良な市民を脅かしたりして」
声「関係ないだと?
 おまえは、この世で、たった一人……。
 わたしと関係のある人間だ」
み「なんでですかー。
 心当たりありませんけど」
わたしと関係のある人間

み「えー、そうですとも。
 これっぽっちも」
声「まだ、そんなことを言うか。
 おまえは、わたしを殺したではないか」
み「そんなー。
 わたしはそんな重罪は、犯しておりません。
 いえ、決して清廉潔白とは申しません。
 確かに、500円玉を拾って自分のものにしたことはあります」
500円玉を拾った
東北に行こう!(1504)目次東北に行こう!(1506)


コメント一覧
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    • ––––––
      1. Mikiko
    • 2020/10/02 06:11
    • 幽霊話
       わたし自身は、明確に幽霊を見たことはありません。
       気配は感じたことがありますが。
       でも、怖くはありませんでした。
       亡くなったばかりのじいちゃんでしたから。
       今日は、ちょっと時間がないので、ズルさせていただきます。
       2年前(2018年)7月27日に投稿した『由美と美弥子 2572(https://mikikosroom.com/archives/33009907.html)』のコメントの転載です。
       怪談話。
       ばあちゃんからの聞き書きです。
       なんと、そのコメント自体も再掲だったようです。
       てことは、3度目ですかね。
       ま、焼き直しは、狐狸庵先生も何度もやっておられたことですし(丸写しはなかったと思いますが)。
       ↓それでは、3度目にお付き合いください。
      +++
       それではここで、わたしがばあちゃんから聞いた怪異譚をご披露します。
       といっても、かなり前、コメントに書いたネタです。
       もう覚えてる人はいないだろうと思うので、再掲します。
       ばあちゃんの実家は、昔の街道沿いにありました。
       街道と言っても、山の中なので、やっと人がすれ違えるほどの道幅でした。
       雨戸を開けると、縁側の向こうに踏みしめられた土の庭があって……。
       昼間は鶏が遊んでたそうです。
       庭は、ところどころほころびた低い生垣に囲まれ、その外側が街道でした。
       昼間はのどかな庭も、夜になると街灯ひとつありませんから……。
       真っ暗闇になります。
       で、その地方の古い家では、厠(かわや:トイレ)が家の外にあったんです。
       夜中におしっこに立つときは、雨戸を開け、縁側伝いに厠まで通うわけです。
      +++
       続きは次のコメントで。

    • ––––––
      2. Mikiko
    • 2020/10/02 06:12
    • 幽霊話(つづき)
      +++
       で、ばあちゃんが、まだ幼かったころのこと。
       寝ぼけ眼で厠に立ちました。
       用を足し、厠を出て手水(ちょうず)を使い、再び縁側伝いに寝間に戻ろうとしたとき……。
       異様な寂しさを覚えたそうです。
       何かに引ぱっられるように、顔が生垣の方を向きました。
       生垣の向こうは街道です。
       生垣は、大人の腰のあたりの高さでした。
       その街道を、ひとりの旅人が歩んでいたそうです。
       その人は、髷を結ってました。
       男の人です。
       つまり丁髷。
       ほつれた髪が、頬で揺れてるのまで見えたとか。
       旅人は、道中合羽のようなものを羽織り、肩から振り分け荷物を下げてました。
       ばあちゃんがこれを見たのは、おそらく昭和に入ってしばらく経ったころだと思います。
       いくら田舎とは言え、その時代に、そんな格好で旅をする人などいませんでした。
       男の人は、ひどく先を急いでる様子だったそうです。
       大きく見開いた瞳が、一心に前を見つめてます。
       後にばあちゃんは、テレビドラマを見てて、突然画面を指差しました。
       「この目だ。こんな目をしてた」
       画面には、仲代達矢が映ってました。
      +++
       続きはさらに次のコメントで。

    • ––––––
      3. Mikiko
    • 2020/10/02 06:12
    • 幽霊話(つづきのつづき)
      +++
       話を戻します。
       最初ばあちゃんは、夜中にあんなに急いで行くなんて、よほど大事な用があるんだろうと思ったそうです。
       で、その人を横目で見ながら、縁側を寝間に向かった。
       男の人は、ばあちゃんには目もくれず、一心に歩いてました。
       振り分け荷物が肩で揺れてたそうです。
       そのときばあちゃんは、不思議なことに気づきました。
       あんなに急いで歩いているのに、その人の立つ位置がまったく変わらないのです。
       ばあちゃんは、視線を下に落としました。
       低い生垣はかなり疎らで、男の人の足元が見えました。
       両足は、地面を掻き回すように懸命に動いています。
       しかし、同じ場所を掻くばかりで、身体はまったく前に進んでなかったんです。
       ようやくばあちゃんは、街道を急ぐ男が、この世のものではないことを悟りました。
      「おっかねー」
       泣き叫びながら、縁側を転げるようにして寝間に飛びこんだそうです。
       布団を被って震えながら、あることに気づき……。
       自分が幽霊を見たことを確信しました。
       つまり、生きた人なら、姿が見えるわけはなかったんです。
       縁側の外は街灯もない真っ暗闇で、月も出てなかったんですから。
       厠に向かうときは、雨戸に手を伝わせながら、縁側を歩んでいったのです。
       ばあちゃんは、すっかり温和しくなったわたしに、こう続けました。
       おそらく江戸のころ、急ぎの旅の途中で斃れた人だろう。
       心が残ったまま成仏できず、まだ街道を歩き続けているのだろう、と。
      +++
       以上です。
       ばあちゃんは、聞いた曲をすぐにハーモニカで吹けるという特技を持ってました。
       この世のものではないものを見てしまう回路と、何か関係があったのかも知れません。
       なお、わたしとは血が繋がってませんので……。
       わたしには、まったくその資質がありません。
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