2020.10.2(金)
声「確かに、先生と呼ばれていた」

み「違うんですけど。
声が違うんですけど」

↑首を振っております。
声「ここ恐山で迷っていたら……。
ひとすじ、脳天気な女の気が漂うておった」

声「わたしには、この世に係累などないはずなのだが……。
その気だけは、あまたのほかの気とは違っておった」
み「恐山で迷うって……。
ここで道に迷ったんですよね」

み「まさか、あの世への……」

↑自転車の青年は、こちらへ戻ってきたんですかね?
み「否!
断じて、否!
そんなものおるわけがない。
あなた、ここの泊まり客ですか?
こんな声の人は記憶にないのですが」
声「よくしゃべる女だ」
み「怖いからに決まってるでしょ。
悪い冗談は、止めて下さい。
お坊さん、呼んできますよ。
叱られますからね」

み「か、関係のない善良な市民を脅かしたりして」
声「関係ないだと?
おまえは、この世で、たった一人……。
わたしと関係のある人間だ」
み「なんでですかー。
心当たりありませんけど」

み「えー、そうですとも。
これっぽっちも」
声「まだ、そんなことを言うか。
おまえは、わたしを殺したではないか」
み「そんなー。
わたしはそんな重罪は、犯しておりません。
いえ、決して清廉潔白とは申しません。
確かに、500円玉を拾って自分のものにしたことはあります」


み「違うんですけど。
声が違うんですけど」

↑首を振っております。
声「ここ恐山で迷っていたら……。
ひとすじ、脳天気な女の気が漂うておった」

声「わたしには、この世に係累などないはずなのだが……。
その気だけは、あまたのほかの気とは違っておった」
み「恐山で迷うって……。
ここで道に迷ったんですよね」

み「まさか、あの世への……」

↑自転車の青年は、こちらへ戻ってきたんですかね?
み「否!
断じて、否!
そんなものおるわけがない。
あなた、ここの泊まり客ですか?
こんな声の人は記憶にないのですが」
声「よくしゃべる女だ」
み「怖いからに決まってるでしょ。
悪い冗談は、止めて下さい。
お坊さん、呼んできますよ。
叱られますからね」

み「か、関係のない善良な市民を脅かしたりして」
声「関係ないだと?
おまえは、この世で、たった一人……。
わたしと関係のある人間だ」
み「なんでですかー。
心当たりありませんけど」

み「えー、そうですとも。
これっぽっちも」
声「まだ、そんなことを言うか。
おまえは、わたしを殺したではないか」
み「そんなー。
わたしはそんな重罪は、犯しておりません。
いえ、決して清廉潔白とは申しません。
確かに、500円玉を拾って自分のものにしたことはあります」

コメント一覧
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1. Mikiko- 2020/10/02 06:11
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幽霊話
わたし自身は、明確に幽霊を見たことはありません。
気配は感じたことがありますが。
でも、怖くはありませんでした。
亡くなったばかりのじいちゃんでしたから。
今日は、ちょっと時間がないので、ズルさせていただきます。
2年前(2018年)7月27日に投稿した『由美と美弥子 2572(https://mikikosroom.com/archives/33009907.html)』のコメントの転載です。
怪談話。
ばあちゃんからの聞き書きです。
なんと、そのコメント自体も再掲だったようです。
てことは、3度目ですかね。
ま、焼き直しは、狐狸庵先生も何度もやっておられたことですし(丸写しはなかったと思いますが)。
↓それでは、3度目にお付き合いください。
+++
それではここで、わたしがばあちゃんから聞いた怪異譚をご披露します。
といっても、かなり前、コメントに書いたネタです。
もう覚えてる人はいないだろうと思うので、再掲します。
ばあちゃんの実家は、昔の街道沿いにありました。
街道と言っても、山の中なので、やっと人がすれ違えるほどの道幅でした。
雨戸を開けると、縁側の向こうに踏みしめられた土の庭があって……。
昼間は鶏が遊んでたそうです。
庭は、ところどころほころびた低い生垣に囲まれ、その外側が街道でした。
昼間はのどかな庭も、夜になると街灯ひとつありませんから……。
真っ暗闇になります。
で、その地方の古い家では、厠(かわや:トイレ)が家の外にあったんです。
夜中におしっこに立つときは、雨戸を開け、縁側伝いに厠まで通うわけです。
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続きは次のコメントで。
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2. Mikiko- 2020/10/02 06:12
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幽霊話(つづき)
+++
で、ばあちゃんが、まだ幼かったころのこと。
寝ぼけ眼で厠に立ちました。
用を足し、厠を出て手水(ちょうず)を使い、再び縁側伝いに寝間に戻ろうとしたとき……。
異様な寂しさを覚えたそうです。
何かに引ぱっられるように、顔が生垣の方を向きました。
生垣の向こうは街道です。
生垣は、大人の腰のあたりの高さでした。
その街道を、ひとりの旅人が歩んでいたそうです。
その人は、髷を結ってました。
男の人です。
つまり丁髷。
ほつれた髪が、頬で揺れてるのまで見えたとか。
旅人は、道中合羽のようなものを羽織り、肩から振り分け荷物を下げてました。
ばあちゃんがこれを見たのは、おそらく昭和に入ってしばらく経ったころだと思います。
いくら田舎とは言え、その時代に、そんな格好で旅をする人などいませんでした。
男の人は、ひどく先を急いでる様子だったそうです。
大きく見開いた瞳が、一心に前を見つめてます。
後にばあちゃんは、テレビドラマを見てて、突然画面を指差しました。
「この目だ。こんな目をしてた」
画面には、仲代達矢が映ってました。
+++
続きはさらに次のコメントで。
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3. Mikiko- 2020/10/02 06:12
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幽霊話(つづきのつづき)
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話を戻します。
最初ばあちゃんは、夜中にあんなに急いで行くなんて、よほど大事な用があるんだろうと思ったそうです。
で、その人を横目で見ながら、縁側を寝間に向かった。
男の人は、ばあちゃんには目もくれず、一心に歩いてました。
振り分け荷物が肩で揺れてたそうです。
そのときばあちゃんは、不思議なことに気づきました。
あんなに急いで歩いているのに、その人の立つ位置がまったく変わらないのです。
ばあちゃんは、視線を下に落としました。
低い生垣はかなり疎らで、男の人の足元が見えました。
両足は、地面を掻き回すように懸命に動いています。
しかし、同じ場所を掻くばかりで、身体はまったく前に進んでなかったんです。
ようやくばあちゃんは、街道を急ぐ男が、この世のものではないことを悟りました。
「おっかねー」
泣き叫びながら、縁側を転げるようにして寝間に飛びこんだそうです。
布団を被って震えながら、あることに気づき……。
自分が幽霊を見たことを確信しました。
つまり、生きた人なら、姿が見えるわけはなかったんです。
縁側の外は街灯もない真っ暗闇で、月も出てなかったんですから。
厠に向かうときは、雨戸に手を伝わせながら、縁側を歩んでいったのです。
ばあちゃんは、すっかり温和しくなったわたしに、こう続けました。
おそらく江戸のころ、急ぎの旅の途中で斃れた人だろう。
心が残ったまま成仏できず、まだ街道を歩き続けているのだろう、と。
+++
以上です。
ばあちゃんは、聞いた曲をすぐにハーモニカで吹けるという特技を持ってました。
この世のものではないものを見てしまう回路と、何か関係があったのかも知れません。
なお、わたしとは血が繋がってませんので……。
わたしには、まったくその資質がありません。











![[官能小説] 熟女の園](https://livedoor.blogimg.jp/mikikosroom2008/imgs/3/e/3e07a9c3.gif)





































































































