2020.9.12(土)
律「仕方ないでしょ。
娯楽が目的じゃないんだから。
み「ピンクコンパニオンとか、呼べんのか」
律「聞いてみたら、フロントに」
↑聞ける雰囲気ではありません。
み「嫌がらせで、イタコを派遣されたら困る」
↑海洋堂のイタコフィギュア。持ってます。
み「しかし、テレビもないってのは、現代の宿じゃおませんがな」
律「WI-FIも届かないでしょうから、見る手段はなさそうね」
み「やっぱり、団体で泊まる人たちは……。
花札とか持って来てるんでしょうな」
み「翌日、裸で帰る人がいたりして」
律「いるわけないでしょ。
そうだ、裸と云えば、お風呂がまだだったわね。
いただきましょうよ。
せっかくなんだから」
み「んだすな。
それも、12,000円のうちだで。
浴衣、浴衣」
み「サイズとか、あるのかな?」
律「子供用じゃなきゃ、みんな一緒でしょ」
み「デカかったら、松の廊下になるではないか」
律「折って、帯で締めればいいんじゃないの」
み「ちょっと長めかも」
律「お端折りしなさいよ」
み「脱いでまた着るのに、そんな面倒なこと出来ませんがな。
こうやって端折ればいいんでないの」
律「岡っ引きか」
み「浴衣で思い出したけど……。
ユカタン半島ってあったよね」
律「何それ?」
み「どこかにある半島でんがな」
↑ここにありました。中米だとは思わななんだ。
み「あと、スケベニンゲン。
どっかの都市」
↑オランダでした。ほかの地名もすべて実在のようです。
み「わたしが学校の地理で覚えた地名は……。
この2つだけです」
律「胸を張って言うな」
み「あ、財布は忘れられませんぞ。
帰りに、ビールを買わねばならぬ。
どうやって持っていくかな。
やっぱり、このアメニティ袋か」
律「ポーチとか、持ってきてないの?」
み「ポチ?」
↑ポチではありませんが、面白かったので。飼い主の入れ歯を咥えてしまったようです。
み「なんで犬を連れてこにゃならんのだ」
律「わざとボケてるわね」
み「ま、旅行にありがちなハイテンションですな」
律「わたしのポーチに入れていく?」
み「先生の財布も、そこに入れたの?」
律「そうよ」
み「危険」
律「何が?」
み「そのポーチが盗まれたら……。
われらは、無一文ではないか」
↑こんなに可愛ければ、何とかなります。
律「急に用心深くなったわね」
み「キャッシュカードとかクレジットカードは置いてった方がいい。
お金も、小銭と千円札以外は置いていく。
しかし……。
この部屋、金庫がないではないか」
↑たいがい、床の間付近にありますよね。
律「そういえばそうね」
み「だだっ広いばかりで、隠し場所がない」
律「洋服入れの中は?」
み「却下。
ありきたりじゃ。
泥棒が真っ先に開けるわい」
律「座布団に挟むとか」
み「よその部屋で宴会が入ったとかで……。
座布団だけ運び出される可能性がある」
律「ここに宴会が入るわけないでしょ!
あ、いっそ、ゴミ箱の中は?」
↑ゴミ箱は置いてないっぽいですね。
み「ぱきゃもーん!
忘れたまま帰ったら、捨てられてしまうではないか」
律「忘れる方がバカでしょ」
み「いっそ、トイレのタンクに沈めるか」
↑ここにゴミ箱があった! 入れる気にはなりませんが。
律「あんたのだけにしてよ」
み「靴の中はどうだ?」
律「財布が臭くなるでしょ!」
み「足臭さですか?」
↑飼い主の足を嗅いだ猫の反応。
律「そもそも財布なんて入らないわよ。
長靴じゃないんだから」
み「どうやら、安心して隠せる場所は見あたらんな。
畳剥ぐ?」
律「お断り」
み「忍者なら、畳返しという技で一発なのだが」
↑立ち位置が間違ってるのでは?
律「畳の下に隠したら、畳が膨らんで、一発でバレるでしょ」
み「愚か者。
床板も剥ぐんじゃないですか」
↑甕が埋まってたら嬉しい。
律「付き合ってられない。
あ、ここでいいでしょ。
お茶セットの中」
み「ありきたりじゃ。
ポットの中にするか」
律「財布を煮る気?」
み「そんなら、どこにすんだよ!」
律「鍵を掛けて出るんだから、この部屋自体が金庫みたいなものでしょ」
み「マスターキーで入れると思います」
律「そこまで疑う気?」
み「ま、仕方おへんか。
妥協のしどころですかね」
律「早く行くわよ」
↑2階にあります。
み「ここは、何するところ?」
律「お話ししたりするんじゃないの」
み「なんで、部屋でしないわけ?」
律「お部屋は、男女別でしょ。
団体さんとかでは」
み「しかし、見事に何もおへんな。
灰皿もない」
律「いいじゃないの、すっきりしてて」
み「おー、こっちじゃな」
律「ちょっと、そっちは男湯でしょ」
み「ありゃりゃ、うっかりしましたな」
律「あんなにデカデカと書いた暖簾が出てるじゃないの」
み「お約束のギャグですよ」
律「せんでいい」
み「お。
自販機発見。
ヤツの云うことは、デマではなかったな。
よしよし、売り切れのランプは点いてないな。
しかし、返す返すも、部屋に冷蔵庫がないのが難点じゃ。
それさえあれば、先に買い占められるものを。
落ち着いて、風呂にも入れんではないか」
律「食堂で、誰も飲まないって確認したじゃないの」
み「気が変わるやも知れん。
剣呑剣呑。
早いこと入らねば。
行きますぞ」
自販機のある場所ですが、ネットでは確認出来ませんでした。
お風呂にはカメラを持参しないため、誰も撮らなかったのかも知れません。
わたしが思うに、男湯と女湯の間にある衝立(?)の裏側じゃないですかね。
↑この裏が怪しい。
あるいは、この写真を撮った方の後ろ側かも知れません。
み「お、何やら注意書きが」
み「『スリッパは下足棚へお入れ下さい』。
なるほど、床に脱ぎ散らかしちゃダメですよってことか」
↑これはマシな方。
み「温泉旅館でありがちですね。
自分が履いて来たスリッパを、誰かが履いて帰っちゃうってこと。
裸足で帰るわけにいかないから……。
こっちも、人のを履いて帰る。
そいつが水虫だったらどうしてくれる」
↑やっぱり、スリッパでも感染しますよね。
律「確かに、あれは不衛生よね。
そういうことが無いように、下足棚に入れるんじゃないの」
み「一番取りにくい、遠いところに入れるべきじゃな。
左の方。
これは、ちょっと面白いことが書いてありますぞ。
午後7時30分ころ、“従業員が出入りする”とある。
今、何時ころ?」
律「部屋を出たのが、7時ころだったんじゃないの?」
み「てことは……。
来ますな。
従業員」
律「それがどうしたのよ?」
み「宿坊に、女の従業員がいると思います?」
律「じゃ、男の従業員が、女湯に入ってくるってこと?」
み「そうとしか思えませんがな。
ぜひ、確認せねば。
次」
↑「当温泉はイオウ泉ですので入浴時間は三分~十分程度とし、長湯しないようご注意下さい」
み「入浴時間は、3分から10分にせいとな」
律「そんなに短いの?」
み「先生は普段、どのくらい浸かってるわけ?」
律「20分くらいじゃないの」
↑こういうことしてる人、ほんとにいるんですかね?
み「ふやけまっせ。
わたしはたぶん、30秒くらいだね」
↑短いですが、何度でも浴びます。
律「何のために浸かるかわからないじゃないの」
み「しゃぶしゃぶより早いぞ」
↑たぶん、食べたことないです。
律「どういう自慢よ」
み「さらに、窓を開けて、換気を良くして入れとな。
覗き放題ではないか」
律「こんなところで、覗きをする輩なんていないわよ」
み「覗くのは……。
この世のものではないかも知れん」
み「魂魄この世に留まりてというやつじゃ。
おなごの裸が恋しゅうて、死んでも死にきれましぇん」
↑かの有名な出歯亀氏。
律「哀れな亡霊ね。
見せてやんなさい」
み「金、取るかな」
律「取れる裸か」
み「失礼千万な」
律「ほら、行くわよ。
あんたと一緒だと、事が進まないわ」
律「綺麗な脱衣所じゃない。
洗面台には、ドライヤーもあるし」
↑ドライヤーは、硫黄で壊れないんですかね?(壊れてたら恐ろしいことに……)
律「普通の旅館と変わりないわ」
み「大ありでんがな。
見んさいな、この脱衣カゴを」
律「どこがヘンなの?」
み「昭和の銭湯か。
鍵も何も付いておらん。
板の間稼ぎの天国じゃおませんか」
律「ここでそんなことする人いないわよ。
銭湯と違って、お金持って来る人なんていないんだから」
み「持って来てまんがな、わたいら」
律「小銭と千円札が何枚かじゃない」
み「小銭をバカにするものは、小銭に泣く!」
律「別にバカにはしてないわよ。
でも確かに、銭湯なんかじゃ、これだと物騒かもね」
み「だしょ」
律「だけど、それが大問題にならなかったのは、日本人の国民性じゃない」
み「ちゃいまんがな」
律「何が?」
み「銭湯には、番台というものがあったでしょ」
↑「み」(台東区上野『下町風俗資料館』)。2年前の『単独旅行記Ⅴ』で、わたしが撮った写真です。
み「入口の男湯と女湯の間の高いところ。
男性の憧れの職業第1位。
あれは決して、客の裸を見るための設備ではありません」
律「当たり前だわ」
み「つまり、あの高いところから……。
妙な動きをする客がいないか、見張ってたんです。
間違いでもあったら、すぐに評判が広がるからね。
女湯の伝播力はそうとうなものだったはず。
客が来なくなるよ。
昔は近所に銭湯なんか、ひとつだけじゃなかったんだから。
つまり、番台の使命は重要だったわけ。
裸に気を取られてるようでは、店が立ち行かないんです。
その使命に専心するため……。
番台に上がる主人は、去勢手術を受けてたと云う」
↑トルコの去勢(1466年)。これは、竿を切り落としてるんですかね? 怖すぎ。
律「うそおっしゃい。
猫じゃあるまいし」
み「最後のは、ちょっとだけ盛りましたが……。
つまり、そういうこと。
番台から、ランランと目を光らせてたわけ」
み「だから、板の間稼ぎなんか出来なかったのよ」
律「ま、それはある程度、わかるけど」
み「ところが!
やはり、女湯の脱衣所を堂々と見渡せる位置に男が座るというのに……。
はなはだ抵抗を感じるようになってきたわけだな。
日本人も」
律「当然でしょうね」
み「時代は変わりました。
なにしろ、昔の銭湯は、混浴だったからね」
↑ペリーの来日中に描かれたスケッチ。
み「男の三助が、女湯で客の背中を流してたし」
み「来日した外国人は、びっくら仰天こいたわけよ。
こいつらは、猿かーって」
↑こういう顔のおじいさん、いますよね。
律「そのころはまだ、温泉に入る猿はいなかったんじゃないの?」
み「ま、そうでしょうが。
話を進めていいか」
律「打ち切ってよし」
み「ご無体な。
で、時は流れ、世相は代わり……。
番台から主人に裸を見られることを嫌がるご婦人が増えた」
律「当たり前だわ」
み「ということで、番台は徐々に廃止され……。
代わりに、脱衣所の外に、カウンターを設けるようになった」
み「そこで、料金を受け取るシステムになったわけ。
すると!
脱衣所を見張るものがいなくなってしまったわけよ。
このままじゃ、板の間稼ぎの天国になってしまう。
ということで……。
脱衣カゴじゃなくて、鍵付きのロッカーになったということ」
律「結局、何が言いたいわけ?」
み「つまりじゃ。
脱衣カゴなら、番台があるべき。
番台がないのなら、鍵付きのロッカーにすべき。
しかるにここは、番台がないにもかかわらず……。
脱衣カゴになっとる。
こういう組み合わせの銭湯は、かつてなかったはず」
律「ここは銭湯じゃないでしょ」
み「旅館でも一緒じゃん。
番台のある大浴場はないだろうから……。
すなわち、鍵付きのロッカーにすべき。
でも、なんでロッカーにしないのかね?
カゴを入れる棚は作ったんだから……。
そこに鍵付きの蓋を付けるくらい、大した投資じゃないと思うのだが」
律「やっぱり、ご老人が多いでしょうから……。
鍵をなくしたりのトラブルが心配だったんじゃないの。
あ、わかった。
鍵を付けるというのは、人を疑うと云うこと。
修行の場である宿坊に、そういう設備を付けるわけにはいかなかった」
↑これが出来れば、もう修行は終わりだと思います。
み「ま、建前的にはそうでやんしょうな。
でも本当は……」
律「本当は?」
み「鍵が開かなくなるんでないの?
硫黄泉による影響で。
鍵自体、真っ黒になっちゃうと思うし」
↑シルバーの指輪は、真っ黒になってしまうとか。
律「ま、そんなところかしらね。
いい加減、入りましょう」
み「だすな。
従業員、まだ来ませんな。
せっかく脱ぐところなのに。
先生にしか見せられん」
律「職業柄、女性の裸は毎日のように見てますから。
お先に」
み「もう脱いじゃったの。
早業じゃな。
マジシャンになれるぞ」
↑Tシャツを一瞬で脱ぐ方法。いったい、何の意味が……。
律「脱ぐのが遅い患者さんも少なくないわけよ。
もたもたもたもた。
さっさと脱げ、後がつかえてるんだから。
そう言いたくなる人もいるの。
そういうのを見てるから……。
自分が脱ぐときも、少しでも手間取ると腹が立つわけ」
み「悲しい性よのぅ」
↑“さが”違い。
み「男の前でそれやったら、百年の恋も醒めまっせ」
律「そういう心配は要りません。
それじゃ、お先に行ってるわよ」
み「プリケツじゃ」
み「おー。
広い。
しかも、空いとる」
み「お、先生はもう浸かってますな。
どれどれ、わたすも」
律「ちょっと、かけ湯したの?」
↑フリーアナの森たけしさん。温泉ロケで必ず決めるギャグだそうです。
み「おっと、忘れるとこだった。
桶はと……。
あったあった」
み「おー、なんと、木の桶じゃござんせんか」
確かに、画像では木桶に見えます。
でも、ほんとにそうでしょうか?
問題は、タガの方です。
タガというのは、銅か真鍮のようです。
画像を調べたところ、真鍮は明るい金色でした。
吉祥閣の画像では、いわゆる銅色なので、銅製のタガでしょう。
でも、硫黄で変色しないものですかね?
ひょっとしたら、プラの桶を木製風に着色したものかも。
↓しつこく楽天で探したら、ありましたよ。
この商品、桶は木製ですがタガは樹脂製。
お値段は、金属製より遙かに安いです。
最初の真鍮製タガの桶は、2万3千円とかでした。
ま、桶も木曽檜だそうですから。
吉祥閣のは、おそらく樹脂製のものじゃないですかね?
でも、それで十分だと思います。
律「ちょっと待ちなさい」
み「なんでっか?」
律「頭から被る気?」
↑花祭りのお釈迦様。かけられてるのは、甘茶です。
み「あきまへんのん?」
律「さっきの注意書き、読まなかったの?
浴槽の水で顔を洗わないで下さいってあったでしょ」
↑これは、境内の温泉の注意書き。同じことが書かれてます。
み「そんなこと書いてあった?」
律「ほんとに、こういうお客がいるから困るのよ。
何のための貼り紙かしら。
硫黄泉でしょ」
↑浴槽のお湯は、白濁してます。
律「目に入ったら大変よ」
み「おー、そうであった。
じゃ、首から下だけ。
それじゃ、ちょっくらご免なすって」
↑美しき“御免なすって”。
み「あちゃ!」
↑全然関係ない動画ですみません。面白かったので。お湯から飛び出る画像を探してて見つけました。
み「熱いではないか」
律「そうでもないわよ」
み「従業員の三助を呼ばねば」
↑どう考えてもオイシい仕事。股間、妙な具合になってませんか?
律「三助なんて書いてなかったでしょ。
首まで浸かりなさい」
↑こんな猫もいるんですね。このまま寝落ちしてしまうこともあるとか。
み「人を幼児扱いすな!
中で小便するぞ」
↑すごい勢いです。
律「汚い女ね。
したら、顔まで浸かってもらうわ」
み「したってわかりませんがな。
幼児のころは、家の風呂の中で毎日しておった」
律「ぜったい止めてちょうだいね」
み「浸かってたら、大分熱さにも慣れて来たな。
しかし、なんですな。
この広い湯船に、わたしらだけでっせ」
律「確かに贅沢よね」
み「大祭のときは、ここが芋洗いになるんでしょうな」
↑どこかはわかりませんでした。でも、混浴ではなく女性だけのようです。
み「あ、芋洗いは、男湯だけか」
↑想像するだけで気鬱。
律「下ネタは止めて」
み「こうまで広いと、ちょっくら泳ぎたくなるわい」
律「やめなさい。
顔を付けられないんだから」
み「クロールするバカがいますか」
↑クロールするおもちゃのようです。
律「平泳ぎか」
み「自慢じゃありませんが、わたしは平泳ぎは出来ません。
だんだん足が沈んできて、身体が縦になってしまう」
↑こうなっていきます。
み「友達には、釣りのウキみたいと言われた。
おんなじ場所で、上下してるだけだから」
律「じゃ、まさか背泳ぎ?」
↑溺れてるようにしか見えません。
み「アホきゃ。
前が見えない泳ぎ方なんか、まったくの非実用的じゃ。
ロープを張ったプールでしかできない泳法ではないか。
こんなところでやったら、縁に頭をぶつけて沈没してしまうわ。
ま、それ以前に、背泳ぎは出来んがの」
↑メドレーリレーで、「背泳ぎ」が必ず第1泳者なのは……。飛びこめないからです。
律「じゃ、何泳ぎよ。
立ち泳ぎじゃ、足が着いちゃうでしょ」
↑「おたる水族館」のアザラシ。
み「わたしの唯一可能な泳法。
ご覧あれ」
律「……。
犬かきね」
↑「Dog Paddle(犬かき)」泳法。なんで、顔を浸ける必要があるんです?
み「犬かきといいますがね。
たいがいの動物が泳ぐときは、この泳法ですよ。
海峡を渡る鹿とかもね」
↑こちらは、洞爺湖を泳いでます。余裕です。冬は無理でしょうけど。
み「クロールで泳ぐ鹿なんか、どこにもいませんがな。
すなわち、最も自然で理に適った泳法が……。
犬かきということです。
動物は、習わずとも、この泳ぎを知っているわけ。
人間も同じですよ。
わたしは、小学校の水泳の検定でも、犬かきで受けた」
律「受けられたの?」
み「平泳ぎしようとしたんだけど……。
途中から無理と判断し、犬かきに切り替えたのじゃ。
機転が利くよな。
笑われたけど。
ほろ苦い思い出じゃ」
律「あんたらしいわ」
み「恐山の湯で、犬かきしてるかと思うと……」
み「しみじみと、人生の不思議を感じるわい」
律「馬鹿馬鹿しい。
そろそろ、上がるわよ」
み「いつもは、20分浸かるんでないの?」
律「入浴時間は、3分から10分って書いてあったでしょ」
↑外湯の注意書きですが、内湯も同じです。
み「なんか、ウルトラマンみたいですな」
み「そんなら、上がりまっか。
しかし、こんなに空いてる大浴場は、初めてだね」
み「ここ、10時までだっけ?」
律「食堂で、お客さんがそう言ってたわね」
み「たとえば、24時間入浴可能にした場合……。
夜中に入る気になる?」
律「ま、いくら眠れなくても……。
誰もいないようなお風呂に行こうとは思わないわね」
み「だすな。
脱衣所のカゴに、脱いだものがひとつもなかったのに……。
扉を開けたら、湯船に人影がある」
律「部屋から裸で来たっていうの?」
み「あほきゃー。
それじゃ、変態ですがな」
み「そうじゃなくて!
早い話、その人影は、この世のものじゃないってこと」
律「幽霊ってこと?
何でお風呂に入るの?」
み「幽霊は、お風呂が好きなの!
目玉おやじとか、垢舐めとか」
律「それは妖怪でしょ」
↑垢舐め。変態としか思えません。
み「早い話!」
律「ちっとも早くないんですけど」
み「10時以降は、そういうものたちの貸し切りなわけよ。
この大浴場は。
だから……。
決して、10時以降に入浴しようなどとは思ってはなりませぬ」
律「電気も消えてるお風呂に、誰が入るのよ。
さ、出るわよ」
み「もう洗ったのか?」
律「あんたの馬鹿話を聞きながら、ずっと洗ってたでしょ」
み「人の話は真剣に聞け!」
律「真剣に聞ける内容か。
それじゃ、お先に」
み「待たんきゃーい。
こんなところに、ひとりで取り残されたら……。
変態妖怪の餌食になってしまうわ。
妖怪、股舐めとか」
律「下ネタはやめてって」
律「10分も入ってなかったのに、温まるわね。
ポカポカ」
み「うむ。
ビールがわたしを呼んでいる」
↑これこれ。
み「よしよし。
小銭も盗まれてないぞと。
ほれ、行きますぞ。
いざ、自販機へ」
律「髪、乾かしてから」
み「落ち着くでない。
急に気がせく。
今しも、残り少ないビールを、誰かが買ってるやも知れん」
律「それじゃ、先に買っててよ」
み「何本買う?」
律「2本ずつでいいんじゃないの」
み「2本目は温いぞ」
↑温かったんだと思います。
律「1本飲むごとにここまで来るんじゃ、忙しないでしょ」
み「うむ。
1本目は、一気だろうしな。
最初は、2本ずつ買って……。
次からは、1本ずつってのはどう?」
律「いいわよ」
み「あ、いいこと思いついた。
2回目からは、じゃんけんにしよう」
↑気迫の「グー」。
み「負けた方が買いに行く。
如何?」
律「オッケー」
み「では、買って先に帰ってるぞ」
律「お願い」
自販機については、情報がありません。
唯一、見つけたのがこちらのページ。
↓の一文だけです。
+++
内湯の入り口には自動販売機があって、ちゃんとビールが売っていました(^^;)
+++
この「入り口」というを、どう捉えるかです。
文字どおり「内湯」を、湯船のある洗い場と捉えれば……。
その「入り口」は、脱衣所内ということになります。
でもねー。
となると、脱衣所内での飲酒が可能ということになります。
そんなことしますかね。
あ、それに……。
それだと、男湯女湯2カ所に自販機を置かなければなりません。
まさか、男湯だけってわけにはいかないでしょう。
もしそうなら、それは、お酒を飲む女性に対する偏見です。
↑こうなると、ちと問題ですが……。それは男性も同じことです。
娯楽が目的じゃないんだから。
み「ピンクコンパニオンとか、呼べんのか」
律「聞いてみたら、フロントに」
↑聞ける雰囲気ではありません。
み「嫌がらせで、イタコを派遣されたら困る」
↑海洋堂のイタコフィギュア。持ってます。
み「しかし、テレビもないってのは、現代の宿じゃおませんがな」
律「WI-FIも届かないでしょうから、見る手段はなさそうね」
み「やっぱり、団体で泊まる人たちは……。
花札とか持って来てるんでしょうな」
み「翌日、裸で帰る人がいたりして」
律「いるわけないでしょ。
そうだ、裸と云えば、お風呂がまだだったわね。
いただきましょうよ。
せっかくなんだから」
み「んだすな。
それも、12,000円のうちだで。
浴衣、浴衣」
み「サイズとか、あるのかな?」
律「子供用じゃなきゃ、みんな一緒でしょ」
み「デカかったら、松の廊下になるではないか」
律「折って、帯で締めればいいんじゃないの」
み「ちょっと長めかも」
律「お端折りしなさいよ」
み「脱いでまた着るのに、そんな面倒なこと出来ませんがな。
こうやって端折ればいいんでないの」
律「岡っ引きか」
み「浴衣で思い出したけど……。
ユカタン半島ってあったよね」
律「何それ?」
み「どこかにある半島でんがな」
↑ここにありました。中米だとは思わななんだ。
み「あと、スケベニンゲン。
どっかの都市」
↑オランダでした。ほかの地名もすべて実在のようです。
み「わたしが学校の地理で覚えた地名は……。
この2つだけです」
律「胸を張って言うな」
み「あ、財布は忘れられませんぞ。
帰りに、ビールを買わねばならぬ。
どうやって持っていくかな。
やっぱり、このアメニティ袋か」
律「ポーチとか、持ってきてないの?」
み「ポチ?」
↑ポチではありませんが、面白かったので。飼い主の入れ歯を咥えてしまったようです。
み「なんで犬を連れてこにゃならんのだ」
律「わざとボケてるわね」
み「ま、旅行にありがちなハイテンションですな」
律「わたしのポーチに入れていく?」
み「先生の財布も、そこに入れたの?」
律「そうよ」
み「危険」
律「何が?」
み「そのポーチが盗まれたら……。
われらは、無一文ではないか」
↑こんなに可愛ければ、何とかなります。
律「急に用心深くなったわね」
み「キャッシュカードとかクレジットカードは置いてった方がいい。
お金も、小銭と千円札以外は置いていく。
しかし……。
この部屋、金庫がないではないか」
↑たいがい、床の間付近にありますよね。
律「そういえばそうね」
み「だだっ広いばかりで、隠し場所がない」
律「洋服入れの中は?」
み「却下。
ありきたりじゃ。
泥棒が真っ先に開けるわい」
律「座布団に挟むとか」
み「よその部屋で宴会が入ったとかで……。
座布団だけ運び出される可能性がある」
律「ここに宴会が入るわけないでしょ!
あ、いっそ、ゴミ箱の中は?」
↑ゴミ箱は置いてないっぽいですね。
み「ぱきゃもーん!
忘れたまま帰ったら、捨てられてしまうではないか」
律「忘れる方がバカでしょ」
み「いっそ、トイレのタンクに沈めるか」
↑ここにゴミ箱があった! 入れる気にはなりませんが。
律「あんたのだけにしてよ」
み「靴の中はどうだ?」
律「財布が臭くなるでしょ!」
み「足臭さですか?」
↑飼い主の足を嗅いだ猫の反応。
律「そもそも財布なんて入らないわよ。
長靴じゃないんだから」
み「どうやら、安心して隠せる場所は見あたらんな。
畳剥ぐ?」
律「お断り」
み「忍者なら、畳返しという技で一発なのだが」
↑立ち位置が間違ってるのでは?
律「畳の下に隠したら、畳が膨らんで、一発でバレるでしょ」
み「愚か者。
床板も剥ぐんじゃないですか」
↑甕が埋まってたら嬉しい。
律「付き合ってられない。
あ、ここでいいでしょ。
お茶セットの中」
み「ありきたりじゃ。
ポットの中にするか」
律「財布を煮る気?」
み「そんなら、どこにすんだよ!」
律「鍵を掛けて出るんだから、この部屋自体が金庫みたいなものでしょ」
み「マスターキーで入れると思います」
律「そこまで疑う気?」
み「ま、仕方おへんか。
妥協のしどころですかね」
律「早く行くわよ」
↑2階にあります。
み「ここは、何するところ?」
律「お話ししたりするんじゃないの」
み「なんで、部屋でしないわけ?」
律「お部屋は、男女別でしょ。
団体さんとかでは」
み「しかし、見事に何もおへんな。
灰皿もない」
律「いいじゃないの、すっきりしてて」
み「おー、こっちじゃな」
律「ちょっと、そっちは男湯でしょ」
み「ありゃりゃ、うっかりしましたな」
律「あんなにデカデカと書いた暖簾が出てるじゃないの」
み「お約束のギャグですよ」
律「せんでいい」
み「お。
自販機発見。
ヤツの云うことは、デマではなかったな。
よしよし、売り切れのランプは点いてないな。
しかし、返す返すも、部屋に冷蔵庫がないのが難点じゃ。
それさえあれば、先に買い占められるものを。
落ち着いて、風呂にも入れんではないか」
律「食堂で、誰も飲まないって確認したじゃないの」
み「気が変わるやも知れん。
剣呑剣呑。
早いこと入らねば。
行きますぞ」
自販機のある場所ですが、ネットでは確認出来ませんでした。
お風呂にはカメラを持参しないため、誰も撮らなかったのかも知れません。
わたしが思うに、男湯と女湯の間にある衝立(?)の裏側じゃないですかね。
↑この裏が怪しい。
あるいは、この写真を撮った方の後ろ側かも知れません。
み「お、何やら注意書きが」
み「『スリッパは下足棚へお入れ下さい』。
なるほど、床に脱ぎ散らかしちゃダメですよってことか」
↑これはマシな方。
み「温泉旅館でありがちですね。
自分が履いて来たスリッパを、誰かが履いて帰っちゃうってこと。
裸足で帰るわけにいかないから……。
こっちも、人のを履いて帰る。
そいつが水虫だったらどうしてくれる」
↑やっぱり、スリッパでも感染しますよね。
律「確かに、あれは不衛生よね。
そういうことが無いように、下足棚に入れるんじゃないの」
み「一番取りにくい、遠いところに入れるべきじゃな。
左の方。
これは、ちょっと面白いことが書いてありますぞ。
午後7時30分ころ、“従業員が出入りする”とある。
今、何時ころ?」
律「部屋を出たのが、7時ころだったんじゃないの?」
み「てことは……。
来ますな。
従業員」
律「それがどうしたのよ?」
み「宿坊に、女の従業員がいると思います?」
律「じゃ、男の従業員が、女湯に入ってくるってこと?」
み「そうとしか思えませんがな。
ぜひ、確認せねば。
次」
↑「当温泉はイオウ泉ですので入浴時間は三分~十分程度とし、長湯しないようご注意下さい」
み「入浴時間は、3分から10分にせいとな」
律「そんなに短いの?」
み「先生は普段、どのくらい浸かってるわけ?」
律「20分くらいじゃないの」
↑こういうことしてる人、ほんとにいるんですかね?
み「ふやけまっせ。
わたしはたぶん、30秒くらいだね」
↑短いですが、何度でも浴びます。
律「何のために浸かるかわからないじゃないの」
み「しゃぶしゃぶより早いぞ」
↑たぶん、食べたことないです。
律「どういう自慢よ」
み「さらに、窓を開けて、換気を良くして入れとな。
覗き放題ではないか」
律「こんなところで、覗きをする輩なんていないわよ」
み「覗くのは……。
この世のものではないかも知れん」
み「魂魄この世に留まりてというやつじゃ。
おなごの裸が恋しゅうて、死んでも死にきれましぇん」
↑かの有名な出歯亀氏。
律「哀れな亡霊ね。
見せてやんなさい」
み「金、取るかな」
律「取れる裸か」
み「失礼千万な」
律「ほら、行くわよ。
あんたと一緒だと、事が進まないわ」
律「綺麗な脱衣所じゃない。
洗面台には、ドライヤーもあるし」
↑ドライヤーは、硫黄で壊れないんですかね?(壊れてたら恐ろしいことに……)
律「普通の旅館と変わりないわ」
み「大ありでんがな。
見んさいな、この脱衣カゴを」
律「どこがヘンなの?」
み「昭和の銭湯か。
鍵も何も付いておらん。
板の間稼ぎの天国じゃおませんか」
律「ここでそんなことする人いないわよ。
銭湯と違って、お金持って来る人なんていないんだから」
み「持って来てまんがな、わたいら」
律「小銭と千円札が何枚かじゃない」
み「小銭をバカにするものは、小銭に泣く!」
律「別にバカにはしてないわよ。
でも確かに、銭湯なんかじゃ、これだと物騒かもね」
み「だしょ」
律「だけど、それが大問題にならなかったのは、日本人の国民性じゃない」
み「ちゃいまんがな」
律「何が?」
み「銭湯には、番台というものがあったでしょ」
↑「み」(台東区上野『下町風俗資料館』)。2年前の『単独旅行記Ⅴ』で、わたしが撮った写真です。
み「入口の男湯と女湯の間の高いところ。
男性の憧れの職業第1位。
あれは決して、客の裸を見るための設備ではありません」
律「当たり前だわ」
み「つまり、あの高いところから……。
妙な動きをする客がいないか、見張ってたんです。
間違いでもあったら、すぐに評判が広がるからね。
女湯の伝播力はそうとうなものだったはず。
客が来なくなるよ。
昔は近所に銭湯なんか、ひとつだけじゃなかったんだから。
つまり、番台の使命は重要だったわけ。
裸に気を取られてるようでは、店が立ち行かないんです。
その使命に専心するため……。
番台に上がる主人は、去勢手術を受けてたと云う」
↑トルコの去勢(1466年)。これは、竿を切り落としてるんですかね? 怖すぎ。
律「うそおっしゃい。
猫じゃあるまいし」
み「最後のは、ちょっとだけ盛りましたが……。
つまり、そういうこと。
番台から、ランランと目を光らせてたわけ」
み「だから、板の間稼ぎなんか出来なかったのよ」
律「ま、それはある程度、わかるけど」
み「ところが!
やはり、女湯の脱衣所を堂々と見渡せる位置に男が座るというのに……。
はなはだ抵抗を感じるようになってきたわけだな。
日本人も」
律「当然でしょうね」
み「時代は変わりました。
なにしろ、昔の銭湯は、混浴だったからね」
↑ペリーの来日中に描かれたスケッチ。
み「男の三助が、女湯で客の背中を流してたし」
み「来日した外国人は、びっくら仰天こいたわけよ。
こいつらは、猿かーって」
↑こういう顔のおじいさん、いますよね。
律「そのころはまだ、温泉に入る猿はいなかったんじゃないの?」
み「ま、そうでしょうが。
話を進めていいか」
律「打ち切ってよし」
み「ご無体な。
で、時は流れ、世相は代わり……。
番台から主人に裸を見られることを嫌がるご婦人が増えた」
律「当たり前だわ」
み「ということで、番台は徐々に廃止され……。
代わりに、脱衣所の外に、カウンターを設けるようになった」
み「そこで、料金を受け取るシステムになったわけ。
すると!
脱衣所を見張るものがいなくなってしまったわけよ。
このままじゃ、板の間稼ぎの天国になってしまう。
ということで……。
脱衣カゴじゃなくて、鍵付きのロッカーになったということ」
律「結局、何が言いたいわけ?」
み「つまりじゃ。
脱衣カゴなら、番台があるべき。
番台がないのなら、鍵付きのロッカーにすべき。
しかるにここは、番台がないにもかかわらず……。
脱衣カゴになっとる。
こういう組み合わせの銭湯は、かつてなかったはず」
律「ここは銭湯じゃないでしょ」
み「旅館でも一緒じゃん。
番台のある大浴場はないだろうから……。
すなわち、鍵付きのロッカーにすべき。
でも、なんでロッカーにしないのかね?
カゴを入れる棚は作ったんだから……。
そこに鍵付きの蓋を付けるくらい、大した投資じゃないと思うのだが」
律「やっぱり、ご老人が多いでしょうから……。
鍵をなくしたりのトラブルが心配だったんじゃないの。
あ、わかった。
鍵を付けるというのは、人を疑うと云うこと。
修行の場である宿坊に、そういう設備を付けるわけにはいかなかった」
↑これが出来れば、もう修行は終わりだと思います。
み「ま、建前的にはそうでやんしょうな。
でも本当は……」
律「本当は?」
み「鍵が開かなくなるんでないの?
硫黄泉による影響で。
鍵自体、真っ黒になっちゃうと思うし」
↑シルバーの指輪は、真っ黒になってしまうとか。
律「ま、そんなところかしらね。
いい加減、入りましょう」
み「だすな。
従業員、まだ来ませんな。
せっかく脱ぐところなのに。
先生にしか見せられん」
律「職業柄、女性の裸は毎日のように見てますから。
お先に」
み「もう脱いじゃったの。
早業じゃな。
マジシャンになれるぞ」
↑Tシャツを一瞬で脱ぐ方法。いったい、何の意味が……。
律「脱ぐのが遅い患者さんも少なくないわけよ。
もたもたもたもた。
さっさと脱げ、後がつかえてるんだから。
そう言いたくなる人もいるの。
そういうのを見てるから……。
自分が脱ぐときも、少しでも手間取ると腹が立つわけ」
み「悲しい性よのぅ」
↑“さが”違い。
み「男の前でそれやったら、百年の恋も醒めまっせ」
律「そういう心配は要りません。
それじゃ、お先に行ってるわよ」
み「プリケツじゃ」
み「おー。
広い。
しかも、空いとる」
み「お、先生はもう浸かってますな。
どれどれ、わたすも」
律「ちょっと、かけ湯したの?」
↑フリーアナの森たけしさん。温泉ロケで必ず決めるギャグだそうです。
み「おっと、忘れるとこだった。
桶はと……。
あったあった」
み「おー、なんと、木の桶じゃござんせんか」
確かに、画像では木桶に見えます。
でも、ほんとにそうでしょうか?
問題は、タガの方です。
タガというのは、銅か真鍮のようです。
画像を調べたところ、真鍮は明るい金色でした。
吉祥閣の画像では、いわゆる銅色なので、銅製のタガでしょう。
でも、硫黄で変色しないものですかね?
ひょっとしたら、プラの桶を木製風に着色したものかも。
↓しつこく楽天で探したら、ありましたよ。
この商品、桶は木製ですがタガは樹脂製。
お値段は、金属製より遙かに安いです。
最初の真鍮製タガの桶は、2万3千円とかでした。
ま、桶も木曽檜だそうですから。
吉祥閣のは、おそらく樹脂製のものじゃないですかね?
でも、それで十分だと思います。
律「ちょっと待ちなさい」
み「なんでっか?」
律「頭から被る気?」
↑花祭りのお釈迦様。かけられてるのは、甘茶です。
み「あきまへんのん?」
律「さっきの注意書き、読まなかったの?
浴槽の水で顔を洗わないで下さいってあったでしょ」
↑これは、境内の温泉の注意書き。同じことが書かれてます。
み「そんなこと書いてあった?」
律「ほんとに、こういうお客がいるから困るのよ。
何のための貼り紙かしら。
硫黄泉でしょ」
↑浴槽のお湯は、白濁してます。
律「目に入ったら大変よ」
み「おー、そうであった。
じゃ、首から下だけ。
それじゃ、ちょっくらご免なすって」
↑美しき“御免なすって”。
み「あちゃ!」
↑全然関係ない動画ですみません。面白かったので。お湯から飛び出る画像を探してて見つけました。
み「熱いではないか」
律「そうでもないわよ」
み「従業員の三助を呼ばねば」
↑どう考えてもオイシい仕事。股間、妙な具合になってませんか?
律「三助なんて書いてなかったでしょ。
首まで浸かりなさい」
↑こんな猫もいるんですね。このまま寝落ちしてしまうこともあるとか。
み「人を幼児扱いすな!
中で小便するぞ」
↑すごい勢いです。
律「汚い女ね。
したら、顔まで浸かってもらうわ」
み「したってわかりませんがな。
幼児のころは、家の風呂の中で毎日しておった」
律「ぜったい止めてちょうだいね」
み「浸かってたら、大分熱さにも慣れて来たな。
しかし、なんですな。
この広い湯船に、わたしらだけでっせ」
律「確かに贅沢よね」
み「大祭のときは、ここが芋洗いになるんでしょうな」
↑どこかはわかりませんでした。でも、混浴ではなく女性だけのようです。
み「あ、芋洗いは、男湯だけか」
↑想像するだけで気鬱。
律「下ネタは止めて」
み「こうまで広いと、ちょっくら泳ぎたくなるわい」
律「やめなさい。
顔を付けられないんだから」
み「クロールするバカがいますか」
↑クロールするおもちゃのようです。
律「平泳ぎか」
み「自慢じゃありませんが、わたしは平泳ぎは出来ません。
だんだん足が沈んできて、身体が縦になってしまう」
↑こうなっていきます。
み「友達には、釣りのウキみたいと言われた。
おんなじ場所で、上下してるだけだから」
律「じゃ、まさか背泳ぎ?」
↑溺れてるようにしか見えません。
み「アホきゃ。
前が見えない泳ぎ方なんか、まったくの非実用的じゃ。
ロープを張ったプールでしかできない泳法ではないか。
こんなところでやったら、縁に頭をぶつけて沈没してしまうわ。
ま、それ以前に、背泳ぎは出来んがの」
↑メドレーリレーで、「背泳ぎ」が必ず第1泳者なのは……。飛びこめないからです。
律「じゃ、何泳ぎよ。
立ち泳ぎじゃ、足が着いちゃうでしょ」
↑「おたる水族館」のアザラシ。
み「わたしの唯一可能な泳法。
ご覧あれ」
律「……。
犬かきね」
↑「Dog Paddle(犬かき)」泳法。なんで、顔を浸ける必要があるんです?
み「犬かきといいますがね。
たいがいの動物が泳ぐときは、この泳法ですよ。
海峡を渡る鹿とかもね」
↑こちらは、洞爺湖を泳いでます。余裕です。冬は無理でしょうけど。
み「クロールで泳ぐ鹿なんか、どこにもいませんがな。
すなわち、最も自然で理に適った泳法が……。
犬かきということです。
動物は、習わずとも、この泳ぎを知っているわけ。
人間も同じですよ。
わたしは、小学校の水泳の検定でも、犬かきで受けた」
律「受けられたの?」
み「平泳ぎしようとしたんだけど……。
途中から無理と判断し、犬かきに切り替えたのじゃ。
機転が利くよな。
笑われたけど。
ほろ苦い思い出じゃ」
律「あんたらしいわ」
み「恐山の湯で、犬かきしてるかと思うと……」
み「しみじみと、人生の不思議を感じるわい」
律「馬鹿馬鹿しい。
そろそろ、上がるわよ」
み「いつもは、20分浸かるんでないの?」
律「入浴時間は、3分から10分って書いてあったでしょ」
↑外湯の注意書きですが、内湯も同じです。
み「なんか、ウルトラマンみたいですな」
み「そんなら、上がりまっか。
しかし、こんなに空いてる大浴場は、初めてだね」
み「ここ、10時までだっけ?」
律「食堂で、お客さんがそう言ってたわね」
み「たとえば、24時間入浴可能にした場合……。
夜中に入る気になる?」
律「ま、いくら眠れなくても……。
誰もいないようなお風呂に行こうとは思わないわね」
み「だすな。
脱衣所のカゴに、脱いだものがひとつもなかったのに……。
扉を開けたら、湯船に人影がある」
律「部屋から裸で来たっていうの?」
み「あほきゃー。
それじゃ、変態ですがな」
み「そうじゃなくて!
早い話、その人影は、この世のものじゃないってこと」
律「幽霊ってこと?
何でお風呂に入るの?」
み「幽霊は、お風呂が好きなの!
目玉おやじとか、垢舐めとか」
律「それは妖怪でしょ」
↑垢舐め。変態としか思えません。
み「早い話!」
律「ちっとも早くないんですけど」
み「10時以降は、そういうものたちの貸し切りなわけよ。
この大浴場は。
だから……。
決して、10時以降に入浴しようなどとは思ってはなりませぬ」
律「電気も消えてるお風呂に、誰が入るのよ。
さ、出るわよ」
み「もう洗ったのか?」
律「あんたの馬鹿話を聞きながら、ずっと洗ってたでしょ」
み「人の話は真剣に聞け!」
律「真剣に聞ける内容か。
それじゃ、お先に」
み「待たんきゃーい。
こんなところに、ひとりで取り残されたら……。
変態妖怪の餌食になってしまうわ。
妖怪、股舐めとか」
律「下ネタはやめてって」
律「10分も入ってなかったのに、温まるわね。
ポカポカ」
み「うむ。
ビールがわたしを呼んでいる」
↑これこれ。
み「よしよし。
小銭も盗まれてないぞと。
ほれ、行きますぞ。
いざ、自販機へ」
律「髪、乾かしてから」
み「落ち着くでない。
急に気がせく。
今しも、残り少ないビールを、誰かが買ってるやも知れん」
律「それじゃ、先に買っててよ」
み「何本買う?」
律「2本ずつでいいんじゃないの」
み「2本目は温いぞ」
↑温かったんだと思います。
律「1本飲むごとにここまで来るんじゃ、忙しないでしょ」
み「うむ。
1本目は、一気だろうしな。
最初は、2本ずつ買って……。
次からは、1本ずつってのはどう?」
律「いいわよ」
み「あ、いいこと思いついた。
2回目からは、じゃんけんにしよう」
↑気迫の「グー」。
み「負けた方が買いに行く。
如何?」
律「オッケー」
み「では、買って先に帰ってるぞ」
律「お願い」
自販機については、情報がありません。
唯一、見つけたのがこちらのページ。
↓の一文だけです。
+++
内湯の入り口には自動販売機があって、ちゃんとビールが売っていました(^^;)
+++
この「入り口」というを、どう捉えるかです。
文字どおり「内湯」を、湯船のある洗い場と捉えれば……。
その「入り口」は、脱衣所内ということになります。
でもねー。
となると、脱衣所内での飲酒が可能ということになります。
そんなことしますかね。
あ、それに……。
それだと、男湯女湯2カ所に自販機を置かなければなりません。
まさか、男湯だけってわけにはいかないでしょう。
もしそうなら、それは、お酒を飲む女性に対する偏見です。
↑こうなると、ちと問題ですが……。それは男性も同じことです。