Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
東北に行こう!(131)
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僧「一番上の横書き、読めますかな?」
一番上の横書き

み「喝(かつ)の観五」
僧「当たっていると思いますか」
み「3割ほどは」
テレワークしたら、必要じゃなかった
↑会社では絶対必要でしたが、テレワークしたら、ぜんぜん必要じゃありませんでした。

僧「そもそも、読む方向が違います。
 右から左です」
み「なんで右から読むのじゃ。
 アラビア語じゃあるまいし」
アラビア語は右から左
↑これを見ただけで挫折。

僧「それは、これをトラックの右側面に貼るためです」
み「はぁ?」
僧「トラックの右側って、社名を右から書いてありますでしょ」
トラックの右側
↑「所業エロ山」ではありません。「山口工業所」です。

み「何でトラックに貼るのじゃ!」
僧「思いついただけです」
み「僧が思いつきで喋るな」
僧「あなたの耳と一緒です」
み「何で」
僧「右から左でしょ」
右から左でしょ

み「なんだか、酔っ払いと喋ってる気がしてきた」
酔っ払いと喋ってる気がしてきた

僧「それは、わたしのセリフです」
律「どうか、これにかまわないで下さい」
僧「修業が足りてませんな」
み「千年修業せい」
千年修業せい

僧「関わりませんぞ。
 この横書きは、『五観の偈(ごかんのげ)』と読みます。
 あなたはさっき、“喝(かつ)”とおっしゃいましたが……。
喝

僧「あれは口偏です。
 “偈(げ)”は、人偏。
 “偈”とは、元はサンスクリット語で……。
 仏の教えや徳をたたえるために、韻文の形式で述べたものです」
偈
↑お経の一種なわけですかね?

み「早い話、詩であるわけだな」
僧「左様です。
 耳に心地よいリズムを持っております。
 内容がわからなくても、覚えやすい。
 古くから、教えを広めるために用いられてきた形式ですな。
 それではまず、わたしに続いてご唱和ください。
 まずは、意味がわからなくてもけっこうです。
 リズムある文章の流れで、沐浴するようなお気持ちで。
 それでは、始めます。
 一(ひとつ)には功の多少を計り彼(か)の来所を量る」
皆「一には功の多少を計り彼の来所を量る」
僧「二(ふたつ)には己れが徳行の全缺(ぜんけつ)を忖(はか)って供(く)に應ず」
皆「二には己れが徳行の全缺を忖って供に應ず」
僧「三(みっつ)には心(しん)を防(ふせ)ぎ過(とが)を離るることは貧等(とんとう)を宗(しゅう)とす」
皆「三には心を防ぎ過を離るることは貧等を宗とす」
僧「四(よっつ)には正に良薬を事とするは形枯(ぎょうこ)を療(りょう)ぜんが為めなり」
皆「四には正に良薬を事とするは形枯を療ぜんが為めなり」
僧「五(いつつ)には成道(じょうどう)の為めの故に今此(こ)の食(じき)を受く」
皆「五には成道の為めの故に今此の食を受く」
僧「みなさん、暗記できましたかな?」
鎌倉幕府の成立年
↑現在、鎌倉幕府の成立年は、1192(いいくに)ではなく、1185(いいはこ)になってます。

み「でけるか!」
でけるか!

僧「暗記できないと、地獄に落ちます」
地獄に落ちます

み「脅してどうする!」
僧「もちろん冗談です。
 この中で地獄に落ちるのは、この方だけです」
この方だけです

み「なんでじゃ!」
僧「それでは、一文ずつ解説して参ります」
み「まだ食えんのか!」
僧「食事すなわち、修業そのものです」
食事すなわち、修業そのもの

み「自分がウンチクを垂れたいだけだろ」
僧「わたしが垂れるのはウンチクですが……。
 あなたのは“ク”を抜いたものじゃないですか」
み「ウンチを垂れる……」
ウンチを垂れる

み「食事時にそんな下品なこと言っていいのか!」
僧「おっしゃったのはあなたです」
み「僧が罠を仕掛けてどうする」
罠

僧「それでは、解説を始めます。
 まずは……。
 『一(ひとつ)には功の多少を計り彼(か)の来所を量る』。
 この食事は、いきなりここに現れ出たものではありません」
み「出来たら、ドラえもんじゃ」
出来たら、ドラえもん

僧「続けます。
 まず直近は、うちの厨房の者が料理したわけですが……」
厨房の者が料理
↑『吉祥閣』ではありません。

僧「その前に、材料はお店から買い求めます。
 お店では、棚に商品を並べる人がいます」
棚に商品を並べる人

僧「さらにお店には、納入業者がトラックで運んできます」
納入業者がトラックで運んできます

僧「その前には、市場などで競りにかけられるのでしょう」
市場などで競りにかけられる

僧「そこに持ちこむのは、農協さんでしょうかね」
そこに持ちこむのは、農協さん
↑トウガン(冬瓜)だそうです。食べたこと無いかも。

僧「さらにもちろん、その前には、農家の方の苦労がある」
農家の方の苦労がある
↑生まれ変われたら、こんなところで農家がやりたいです。

僧「さらに遡れば、種苗を生産する工場がある」
種苗を生産する工場がある

僧「この一膳の料理が、こうして調うのは……。
 数限りない人々の働きがあってこそなのです。
 まずは、その来歴に思いをはせ……。
 人々に感謝をするところから、食事は始まるわけです」
み「ぐぅ~」
僧「何ですか?」
み「感謝しすぎて、お腹が鳴った」
感謝しすぎて、お腹が鳴った

僧「健康な証拠です。
 ありがたいことです。
 続けます」
み「やっぱり」
僧「『二(ふたつ)には己れが徳行の全缺(ぜんけつ)を忖(はか)って供(く)に應ず』。
 そうして調えられた食事を、はたして自分はいただくに値するのか。
 それを心に問い、反省するのです」
それを心に問い、反省する
↑月曜の朝は、わたしもこんな感じです。

み「胸を張って値する」
僧「大した自信ですな」
み「1万2千円も払っておる。
 いただくに値するに決まっておる」
僧「続けます。
 『三(みっつ)には心(しん)を防(ふせ)ぎ過(とが)を離るることは貧等(とんとう)を宗(しゅう)とす』」
み「よく覚えられますな」
僧「意味を知れば自然と胸に入ってきます。
 しかし、これは少しく難しいですな」
み「トントンを投げたら、シュート回転したというところはわかった」
僧「トントンとは何です?」
み「パンダではないか」
トントン
↑トントン(年1986~2000年)の剥製【国立科学博物館】。死因は癌だったそうです。

み「大陸伝来の教えに、パンダが出て来ても不思議ではない」
パンダが出て来ても不思議ではない

僧「パンダのことなど、どこにも書いてませんがな。
 確かに、『貧等(とんとう)』はわかりにくいですな。
 これは、三種の煩悩である『貪(とん)・瞋(じん)・癡(ち)』のいわゆる三毒を指します。
 『貧(とん)』は、むさぼりですな。
 美味しいものを前にすると、貪り食べてしまいます」
『貧(とん)』は、むさぼりです

僧「『瞋(じん)』は、怒りや憎しみ。
 粗末な食膳に怒ったり不平を言ったりする心です」
粗末な食膳に怒ったり不平を言ったり

僧「『癡(ち)』は、愚かさ。
 食することの意義や作法をわきまえないことです」
食することの意義や作法をわきまえない

僧「すなわち、心を正しく保ち、あやまった行いから身を遠ざけるためには……。
 毎日の食においても、『貪瞋癡(とんじんち)』を常に意識していなければならないということです。
 続けます」
み「なかなか粘り強いではないか」
毎朝食べてます。ウマいぜ!
↑毎朝食べてます。ウマいぜ!

僧「こういうお客様のお相手をするのも、修業の一環です」
み「なんだか、クレーマーみたいではないか」
クレーマーみたい

僧「『四(よっつ)には正に良薬を事とするは形枯(ぎょうこ)を療(りょう)ぜんが為めなり』」。
 『形枯(ぎょうこ)』は、痩せ衰えること。
 すなわち食とは、この命を支えるためにいただく良き薬なのです」
「薬食い」と称して獣肉を食した
↑江戸時代では、「薬食い」と称して獣肉を食べたそうです。

僧「よろしいですか?」
み「続けてよし」
僧「今日は、ひたすら修業です。
 それでは、ようやく最後になります。
 『五(いつつ)には成道(じょうどう)の為めの故に今(いま)此(こ)の食(じき)を受く』。
 『成道(じょうどう)』とは、悟りを開くことです」
『成道』とは悟りを開くこと

僧「その究極の目的を果たすために、今、この食事をいただきます。
 それでは、みなさん、たいへん長らくお待たせいたしました。
 いただきます」
皆「いただきます」
いただきます

僧「あ、みなさん」
み「まだあるのか!」

僧「お食事後、箸は箸袋に収め、お部屋にお持ち帰り下さい。
 明朝の食事にも使いますので、忘れずにご持参下さい。
 なお、その後は、お持ち帰りになってけっこうです。
 それではわたしは、これで失礼します」
み「風のように去っていったな」

↑ふなっしー、驚異の逃げ足。

律「あなたがあんまり絡むからよ。
 恥ずかしいんだから」
み「げ、この箸……」
律「ちょっとスゴいわね」
ちょっとスゴい箸

み「家で使う気になりまっか?」
律「これはやっぱり、お仏壇とかに供えるんじゃないの」
お仏壇とかに供える

み「で、死んだとき、枕元のご飯に刺すんだな」
死んだとき、枕元のご飯に刺す
↑枕飯(まくらめし)と云うようです。

律「もう、準備万端じゃないの。
 いつでも死ねるわよ」
秩父市の奇祭「ジャランポン祭り」
↑ご存じ、秩父市の奇祭「ジャランポン祭り」。

み「よし、善は急げだな。
 って、何が善じゃ。
 この箸を使うのは、まだ当分先だわい。
 それよりこれ、オークションで売れませんかね?」
オークションで売れませんかね?

律「罰があたるわよ」
み「それではいただきますか。
 まずは手を合わせましょう。
 なんまいだ」
律「ちょっと!」
み「あ。
 うっかりと箸を刺してしまった」
うっかりと箸を刺してしまった

律「おまえはもう死んでいる」
おまえはもう死んでいる

み「えんがちょ」
えんがちょ
↑「縁がチョン(切れる)」が語源だとか。

み「なかったことにします」

み「しかしなんだすな。
 この料理、死んだ父に食べさせたかったな」
律「急に殊勝なこと言うじゃない」
み「父は若いころ、胃潰瘍で胃を3分の2くらい切っててね」
胃潰瘍で胃を3分の2くらい切って
↑どういう手術だったかまでは聞いてませんが。

み「ほんと、食が細かった。
 背が高かったから、まさしく鶴が歩いてるみたいだった」
サギの方が近いかも
↑やっぱり、サギの方が近かったかも。

み「その父なら、この料理でもお腹一杯になったろうね」
律「何が言いたいわけ」
み「どう考えても、少なくね?」
どう考えても、少なくね?

律「さっきの『五観の偈(ごかんのげ)』、ぜんぜん頭に入ってないじゃないの」
み「あれは、料理が少ないことへの布石ですか?」
律「あなたは早食いだから、足りなく感じるのよ」
早食いだから、足りなく感じる

律「噛みしめてゆっくり食べれば……。
 その間に血糖値があがって、満腹感を得られるものよ」
噛みしめてゆっくり食べれば……
↑か、過酷。

み「そういう先生も、早食いですがな」
律「職業柄、仕方ないわ。
 ゆっくりとなんか食事を摂れないことがほとんどなんだから」
職業柄、仕方ない

み「一番豪勢なのは、この天ぷらですかね」
一番豪勢なのは、この天ぷら

み「でもこんなの、箸で浚えば一口だわ」
律「そうできないように、塗り箸なんじゃないの。
 ひとつずつ食べなさい」
み「しかし、酒なしで夕食を摂るのは、年2回と決めておるのじゃが……」
酒なしで夕食を摂るのは、年2回
↑内視鏡検査と職場健診の前日です。

み「今年は、3回になってしまった」
律「だからゆっくり食べなさいって。
 公園の鳩じゃないんだから」
鳩ではなく……。イグアナです。
↑これはもちろん鳩ではなく……。イグアナです。

み「おっと、あやうくオカズを食べきってしまうところだった。
 もう1杯、お代わりせねば。
 のりたまでも持ってくれば良かったな」
久しぶりに食べたくなりました
↑久しぶりに食べたくなりました。

み「先生は?、おかわり」
律「いただこうかしら。
 誰かのせいで待たされた分、お腹へっちゃった」
み「当然ここは、あのジャーからのセルフサービスじゃな」
あのジャーからセルフサービス

み「お茶碗、寄こしなせい。
 わたしがよそってきてくれる」
律「お椀、間違わないでよ。
 区別つかないんだから」
み「間違ったって実害なかろう。
 毒など持っておらんわ」
こういう派手な見た目を、警告色
↑スポーツカーみたいですね。こういう派手な見た目を、警告色と云います。「毒持ってんぞー」と警告してるわけです。

律「怪しいもんだわ」
み「医者とは思えない発言。
 そんなら、茶碗の縁に、鼻くそでも付けておきんさい」
律「食べてるときに!」
み「そんなら、その豆腐の味噌を付ければいいではないか」
豆腐の味噌を付ければいい

律「ほんとに、なんでこんなことをしなきゃならないのかしら。
 ほら、ここに付けたからね。
 舐めたりしないでちょうだい」
み「妖怪じゃあるまいし」
ただの変態だと思います
↑妖怪「垢舐め」。ただの変態だと思います。

み「盛りはどうする?」
律「もりって?」
み「大盛りか、てんこ盛りか?」
てんこ盛りか?

律「普通でいいわよ」
み「こんなとこで気取ってもしょうがないぞ」
律「気取ってません」
み「確かに、このオカズの量じゃな。
 白米ばっかり食ってたら、脚気になるわ」
脚気は“江戸患い”
↑脚気は“江戸患い”とも称されました。

律「一食くらいじゃ、関係ないわよ」
み「そんじゃ、ちょっくら行ってまいります」
律「見張ってるからね、お椀。
 あ、すみませんね。
 わたしたちだけ、うるさくて。
 あれも、決して悪い人間じゃないんですよ。
 頭が悪いだけで」
頭が悪いだけ

み「盛ってきたぞ。
 ほれ、先生のが、これじゃ。
 ちゃんと、味噌が縁に付いとる」
盛ってきたぞ

律「あんた……。
 少しは、恥というのを知りなさい。
 それじゃ、枕飯でしょ」
み「箸を刺すか」
箸を刺すか

律「やめなさいって」
み「オカズが足りん」
律「わかりきってたことじゃないの」
み「お味噌汁は飲んじゃってるから……。
 ぶっかけるわけにいかんしな。
 あ、これでいいか」
それ天つゆでしょ

律「ちょっと、それ天つゆでしょ」
み「何も味がないよりはマシじゃ。
 ほれ、これをちょろっと。
 うわ。
 ドバッといってもうた」
律「そんなの残して立てないわよ。
 みっともないから。
 全部食べなさい」
み「きびしー。
 あ、けっこうイケます」
うちの犬も好きでした
↑うちの犬も好きでした。

み「かすかに、天ぷらの味も残ってて。
 なんか、わびしいけど」
律「こんなに綺麗な料理なのに……。
 どうしてそう汚くしてしまうのかしら。
 みなさんもう、お湯を召しあがってるわよ。
 早く食べなさい」
み「かっこんでもいいか?」
律「そんなにビショビショにしたら……。
 お箸で拾ってられないでしょ」
み「それじゃ、失礼して。
 シャカシャカシャカ」

↑豪快です。スパゲッティをスプーンで食べるのは高等技術です。

律「静かに食べなさい」
み「仏教らしい音ではないか」
律「何でよ?」
み「お釈迦シャカシャカ」
シャカシャカ

律「バカらしい」

僧「みなさん、そろそろお済みですかな」
み「ぶ」
律「鼻から出さないでちょうだい」
鼻から食べてる
↑この方は、鼻から食べてるんですかね?

僧「約1名、お済みでない方がおられますな」
律「この人は数に入れないでください。
 どうぞ、お続けください」
僧「それでは、みなさん。
 『食後の偈(げ)』を唱えましょう」
み「まさか、また五つもあるんじゃなかろうな!」
僧「ご飯粒が飛んでますぞ」
ご飯粒が飛んでます

僧「ご安心下さい。
 食後は1行です。
 箸袋を今一度、お取り下さい。
 下の方に書いてあります」
下の方に書いてあります

僧「それでは……。
 『願わくはこの功徳を以って、普(あまね)く一切に及ぼし、我等と衆生と、皆共に仏道を成ぜんことを』」
客「願わくはこの功徳を以って、普く一切に及ぼし、我等と衆生と、皆共に仏道を成ぜんことを」
僧「ごちそうさま」
客「ごちそうさま」
僧「この後は、自由時間になります。
 大浴場に入られるのもよし、宿坊の外の温泉に入られるもよし……」
入る度胸、あります?
↑入る度胸、あります?

僧「今日はお天気も良いので、夜の恐山を散策されるのもよし」
散策する度胸、あります?
↑散策する度胸、あります?

僧「しかし、お気を付け下され。
 もし、迷子になられても、携帯は圏外です。
 助けを呼ぶことは出来ません。
 あたりは真っ暗闇です。
 朝まで彷徨ったお客様もおられました。
 朝、宿に戻られたときは、髪の毛が真っ白になってましてな」
髪の毛が真っ白

僧「人相もまるで別人でした」
人相もまるで別人
↑NHK時代。髪の分け方が逆でしたね。

僧「よほど怖い思いをしたのでしょうな」
よほど怖い思いをした
↑東京に住んでたとき、つのだじろうさんの自宅を偶然発見したことがあります。ちゃんと表札に「つのだじろう」と出てました。

み「貴僧は、よほど人を怖がらせるのが好きなようじゃな」
僧「ご忠告をしたまでです。
 なお、当館の消灯は22時です。
 廊下やロビーなどの照明が消されます。
 もちろん、室内の明かりは点けていてもかまいません。
 明日の朝は、6時に館内放送で起床の呼びかけがあります。
 この放送がありましたら、身支度を調えられて下さい。
 宿坊の1階から繋がる長い廊下がございますので……」
宿坊の1階から繋がる長い廊下
↑この先は、撮影も禁止です。

僧「6時半までに、地蔵殿においで下さい。
 朝のお勤めをご一緒していただきます。
 それではみなさん。
 食器はそのままで結構です。
 お箸だけは忘れずにお持ち下さい。
 朝食でも使いますので。
 それでは」
み「またもや、風のように去っていったな」

↑北九州市に実在するそうです。

律「あんたとかかわりたくないからだわ」
み「修業の足りんやつ。
 しかし、なんで一緒に食べないのかな?」
律「これは、お客さん用の御膳だからでしょ。
 お坊さんは、賄いみたいなのをいただくんじゃないの」
み「ビフテキとか、食ってないだろうな」
野菜も食え!
↑野菜も食え!

律「そんなわけないでしょ」
み「あの、みなさま。
 先ほどは、この女の遅延行為のせいで……。
 食事開始が遅れ、誠に申し訳ありませんでした」
律「何でわたしなのよ!
 100%、あんたじゃないの」
み「ところで、みなさんにお尋ねしたいのですが……。
 これから、ビールを飲まれるつもりの方はおられますかな?
 おや。
 どなたもおられませんか。
 あなた、お好きでしょうに。
 酒焼けしてますよ」
日本一の大天狗面
↑浜松市天竜区春野町「春野文化センター」にある日本一の大天狗面。縦8m、横6m、鼻の長さ4m。

客「かつては大いに飲みました。
 しかし、肝臓を壊しましてな。
 今はまったく嗜みません」
人ごとに非ず
↑人ごとに非ず。

み「それで、幸せですか?」
幸せですか?

律「大きなお世話でしょ!
 ほんとにすみません。
 失礼なことばっかりで」
客「いえいえ。
 お酒の好きな方からすれば、当然の感想でしょう」
ほんとに美味しそうに飲みます
↑この人は、ほんとに美味しそうに飲みます。見ていて、こちらまで幸せになります。

客「わたしなら、十分、幸せです。
 でも、これで健康な身体でお酒を飲めたら……。
 もっと幸せでしょうね」
み「ほれみんさい」
客「十分、飲みましたから。
 この先は、命と引き換えになってしまいます」
広島県のお酒
↑広島県のお酒のようです。

律「ご立派ですわ。
 ちゃんと、ご自分で節制できて。
 あんたも、よく聞いておきなさい」
み「ほかの方も、ビールは飲まれませんか?」
律「聞いちゃいないわ」
客「夜、ビールを飲みたい人は、ここには泊まらないんじゃないですか」
み「なるほど。
 ということは……。
 この宿の自販機のビールは、われらで独占ということでよろしいですかな?」
律「われらって、誰よ?」
み「わたしと先生に決まってるでしょ」
律「人聞きの悪い」
み「飲まないの?」
律「飲むけど」
み「ところで、ビールの自販機がどこにあるか、ご存じかな?」
客「それなら、内湯の入口にありましたよ」
み「ロビーじゃなかったか。
 聞いて良かった。
 あなたは恩人です」
魂の土下座
↑魂の土下座。

客「大げさな。
 でも、あまり飲み過ぎないようにしませんとな。
 霊が寄ってきます」
み「そんなわけあるかい。
 蚊じゃあるまいし」
こういうO型、いますね
↑こういうO型、いますね。

客「それじゃ、わたしはこれで」
み「これから、長い夜、どうするのじゃ?」

↑毛のあるころ。諸行無常。

客「本を持ってきておりますので。
 こちらの副住職さんのご本です」


↑わたしはこの本、買って読みました。もちろん、ネタ本として買ったのですが、面白かったです。

み「まさか、さっきの生臭坊主じゃあるまいな」
まさに生臭い坊主
↑魚が化けた坊主。まさに生臭さです。どうやら、鵜が怖いようです。

客「いえ、あの方じゃありません」
み「そうじゃろう。
 あいつは、一から修業のやり直しじゃ。
 しかし、ご飯食べて本を読んでたら、眠たくならない?」


↑こんな本もありました。ひょっとして、面白くないからなのでは?

客「眠くなったら、眠るまでです」
眠くなったら、眠る
↑野生を失いすぎ。

み「お酒も飲まないで寝たら……。
 夜中にぜったい、お腹が空くぞよ。
 こんな粗食だったんだから」
食べ盛りの人には足りないかも
↑粗食どころではありません。でも、食べ盛りの人には足りないかも(そういう年代の方は、恐山には行かないのでしょうが)。

客「五観の偈(ごかんのげ)を唱えて耐えます。
 というのはウソで……。
 鞄には、カップ焼きそばが常に入ってますから」
み「なぜに?」
客「旅行中は、何が起こるかわかりませんからな。
 財布を落とすかも知れませんし」
財布を落とす

み「野宿することもあり得ると?」
野宿することもあり得る
↑もちろんわたしは、一度も経験がありません。

客「ま、そんなところです」
み「お湯はどうするのじゃ?」
客「コンビニで分けてもらいます」
コンビニでお湯を分けてもらいます

み「コンビニがなかったら?」
客「囓るまでです。
 食べられないはずありません」
囓るまでです

み「壮絶。
 交番に相談したら、お金、貸してくれるんでないの?」
交番に相談したら、お金、貸してくれる
↑ほんとですかね? だって、身分証も一緒になくしてる場合が多いと思いますよ。

客「交番がなかったら?」
み「泥棒する」
泥棒する

客「いけません。
 焼きそばを囓るべきです。
 それもまた人生」
それもまた人生
↑鶏肉って「焼肉」じゃなくて、「焼き鳥」なんじゃないですか?

み「なぜに、焼きそばなんです?
 ラーメンじゃなくて」
ラーメンじゃなくて

客「四角いからです。
 鞄に入れやすい」
み「それはひょっとして……。
 『ペヤングソース焼きそば』ではないか?」
ペヤングソース焼きそば

客「あたりです。
 美味しいですよね」
み「いかにも。
 学生時代を思いだす。
 徹夜で本を読んだ翌朝、よく食べたものです」
焼いてない焼きそばだけど美味しい
↑焼いてない焼きそばだけど、スゴく美味しいです。

客「あなたにも、本を読んだ学生時代があったんですね」
本を読んだ学生時代
↑わたしではありません。

み「何が言いたい?」
客「いや別に。
 それじゃ、わたしはこれで」
み「カップ焼きそば、部屋のポットのお湯で食べる気?」
部屋のポットのお湯で

客「それしか方法はないでしょう」
み「冷めちゃってると思うぞ」
客「生よりはいいでしょう」
み「あ、お風呂があるじゃん。
 お湯が出るでしょ」
頭のミカンは、人が載せる?
↑頭のミカンは、人が載せるんですよね。自分ではできないよな。

客「内湯は、22:00までですな。
 腹が空くのは、おそらくそれ以降」
み「外の温泉は?」
外の温泉は?

客「あなた……。
 あんなところまで、カップ焼きそばにお湯を入れに行けますか?」
み「わたしはいかんよ。
 アホの所業じゃ」
客「そんなら人に勧めないで下さい」
律「お湯なら、お部屋の洗面台で出るんじゃないですか?
 冬なんか、お水じゃ冷たいでしょ」
客「恐山は、冬期間は閉鎖されます」
恐山は、冬期間は閉鎖

客「なので、11月から4月いっぱいまでは、こちらの宿もお休みです。
 お湯は……。
 出ない方に、3000点」
あんたも古いですな

み「あんたも古いですな」
コックは、1つしかないみたい
↑コックは、1つしかないみたいですね。でも、レバーの方向で温度を調節するのかも。

客「それでは、ほんとにこれで」
み「真に飢えたら……。
 境内に出て、お供え物を探せばよろし。
 饅頭くらい、あるじゃろ」
お供え物を探せばよろし

客「餓鬼ですか」
み「おー、懐かしい。
 『がきデカ』」
がきデカ

客「あなたと喋ってると際限がありません。
 これにて失敬」
これにて失敬

み「年齢がわかる去り方じゃ」
律「さ、いい加減、戻るわよ。
 もうすぐ、お片付けのお坊さんが来るんじゃないの?
 一緒に片付けてもらう?」
み「何でわたしが片付かにゃならんのだ」
律「食器棚とかに住み着いたら?」
み「座敷童か」
座敷童か

 客室に戻りました。

み「しかし……。
 娯楽性のない部屋じゃの。
 だだっ広いだけで」
娯楽性のない部屋
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