Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
由美と美弥子 3074
コメント一覧へジャンプ    コメント投稿へジャンプ


 久しぶりに母から電話が架かってきた。
 上京当初は寂しさから、由美からも頻繁に実家に架けていた。
 しかし、美弥子と出会ってからは……。
 まるでカチンコでも鳴ったかのように、日々が動き出した。
 東京の渦に巻きこまれたという感じだろうか。
 母と電話で話す機会も、次第に少なくなり……。
 最近では、用がない限り架けることはなくなっていた。
 ひょっとしたら最後に電話で話したのは、夏休みの終わり……。
 実家マンションの隣人の葬儀に呼ばれたときかも知れない。

 由美は、一人っ子である。
 両親にとっては、ただひとりの子供だ。
 こんなにあっけなく疎遠になってしまうものなのだろうか。
 改めて考えると、ちょっと憮然とした気持ちにもなる。
 それなら自分から架ければいいだけだが……。
 最近は、美弥子に加え、万里亜と一緒にいることも多く……。
 なかなか、ひとりになって実家に電話するような時間がなかった。
 それに、もしそんな時間が出来たとしても……。
 実家に電話してみようとは思わないだろう。
 ま、別に仲違いをしてしまったわけでもないし……。
 自然な流れに任せるしかないのだろう。

「レターパック、送ろうと思って」
「中身は?」
「手紙」
「なんでレターパックで送るのよ」
「厚いのよ」
「そんな長い手紙書いたの?」
「わたしが書いたわけじゃないわよ。
 預かったの」
「ぜんぜん話が見えないんだけど」
「じゃ、黙って聞いて。
 山本先生が持ってらしたのよ」

 山本先生というのは、由美が子供のころから通っていた拳法道場の師範だった。

「山本先生からの手紙なの?」
「違うの!
 だから、黙って聞いてって。
 道場に、初老の男性が訪ねて来たんだって。
 なんでも、その男性の奥さんが、公園で倒れたところを、若いお嬢さんに助けられたそうなの。
 奥さんが気がつくまで、そばに付いててくれて……。
 そのとき、そのお嬢さんが山本先生の道場に通ってたという話を聞いたみたいなの。
 でもその後、奥さんが気がついたりしたどたばたで、名前を聞くのを忘れたんだって。
 それで、礼状を書いて、山本先生の道場に持って来られたそうよ。
 なんでも、アイドル歌手みたいな綺麗なお嬢さんだったって。
 で、山本先生、由美だって直感したんだけど……。
 いちおう、道場の新年会で撮った集合写真を見せたそうなの。
 この中にいますかって。
 その男性、躊躇なく由美を指差したそうよ。
 で、先生、その手紙、受け取っちゃったんですって。
 いちおう、封筒の中に金品類が入ってないことだけは確認したそうだけど。
 でも先生は、由美の東京の住所を知らないでしょう。
 それで、うちに持ってらしたわけ。
 あなた、先生に暑中見舞いとかも出さなかったの?」
「そんなの、誰にも出してないわよ。
 年賀状なら出すつもりだけど」
「これからのことじゃない。
 で、由美には、覚えがあるの?
 今の話。
 封筒の裏には、宮高昭夫って名前だけしか書いてないの」
「うん。
 お葬式で帰ってたとき」
「何にも言わなかったじゃない」
「だって、奥さんも気がついて、何ごともなかったんだから」
「だけど、こんな厚い礼状を書くくらい感謝してたら……。
 名前を聞かないってのは不思議よね」
「名乗るほどの者じゃありませんから」
「ただの町人ですって?
 由美、名刺作ったら。
 便利よ。
 それ渡せば済むんだから」
「そんなの持ってる子いないよ」
「じゃ、送るわよ。
 スマートレターで」
「さっき、レターパックって言わなかった?」
「その小型版よ。
 A5サイズの。
 180円って安いわよね。
 でも、今度帰ってきたら、返してね」
「ケチ」
由美と美弥子 3073目次由美と美弥子 3075


コメント一覧
コメント投稿へジャンプ    ページトップへ

    • ––––––
      1. Mikiko
    • 2020/07/01 06:06
    • 今日は何の日
       7月1日は、『ウォークマンの日』。
       1979(昭和54)年7月1日(今から41年前)……。
       ソニーが、携帯式ヘッドホンステレオ「ウォークマン」の第1号機「TPS-L2」を発売しました。
       カップルで楽しめるようにヘッドホンの端子が2つあり、定価は33,000円でした(当時の大卒初任給は11万円)。
       発売当初はマスコミの反応が芳しくなく、新聞掲載もごくわずかだったため……。
       発売1ヵ月での売上は、わずか3,000台に留まってました。
       しかし、宣伝部や国内営業部隊のスタッフらによる広告宣伝活動により、若者たちの間で評判が広がり……。
       8月に初回生産の3万台を完売すると、供給が需要に追い付かない状態が年内いっぱい続きました。
       上記の記述は、こちら(https://zatsuneta.com/archives/10701h.html)のページから転載させていただきました。
       さらに同じページから、引用を続けさせていただきます。
       その後、ウォークマンは、ソニー製の各種ポータブルオーディオプレーヤーのブランド名に引き継がれました。
       カセットウォークマンに続き、CDウォークマン、MDウォークマン、メモリースティックウォークマンなどが発売されました。
       場所を選ばず、いつでもどこでも音楽を聴くことのできる製品は画期的で、世界的な大ヒットとなりました。
       そのため、「ウォークマン(WALKMAN)」は、長らくポータブルオーディオの世界的代名詞となりました。
       以上、引用終わり。
       続きは次のコメントで。

    • ––––––
      2. Mikiko
    • 2020/07/01 06:06
    • 今日は何の日(つづき)
       ウォークマン、わたしも持ってました。
       でも、そんなに高価だった時代ではありません。
       しかし、33,000円って、すごいですよね。
       今の大卒の初任給は、21万円くらいだそうです。
       発売当時の、2倍弱。
       当時の33,000円を今の初任給で換算すると……。
       63,000円になります。
       簡単には手の出せる商品ではありません。
       わたしが持ってたのは……。
       ソニーの製品だったかどうかも定かでないです。
       カセットテープでしたが、通常サイズのカセットではなく……。
       マイクロカセットだったと思います。
       色は、真っ赤。
       通勤の行き帰りに聞いてました。
       特に思い出深いのが、金曜日の夜。
       当時は、東京タワーの真下近くの会社に勤めてました。
       自室マンションがあったのは、西新宿のさらに西側。
       住所は、渋谷区本町です。
       ここは、2018年の『単独旅行記Ⅴ』で訪ねてます(『総集編4』参照⇒https://mikikosroom.com/archives/34477244.html)。
       金曜の夜は、会社が引けてから、マンションまで歩いて帰ることがよくありました。
       3時間くらいかかりましたかね。
       途中、西新宿の高層ビル街を通ります。
       ここが、3時間の散歩のクライマックスでした。
       ウォークマンでは、必ず……。
       ルイ・アームストロングの『What a Wonderful World』を聞くことにしてました。
      https://www.youtube.com/watch?v=A3yCcXgbKrE
       高層ビル群の窓の明かりが、頭上に輝いてます。
       それを眺めながら、この曲を聞いてると……。
       自分には、無限の未来が開けてると思えたものです。
       今考えると、そんな希望に胸を膨らませてるときが……。
       一番幸せなのかも知れません。

    • ––––––
      3. 手羽崎 鶏造
    • 2020/07/01 08:44
    • ワタシも持ってましたよ。
      Walkman高価だったので、たしか
      AIWA製のカセットボーイだったと思います。
      就職して間もなくラジオ付を奮発して持ってました。
      カセットテープはゼッタイTDK製品でした。
      理由ですか?素野社長は母校の偉大なる
      卒業生だと聞いてましたから。

    • ––––––
      4. Mikiko
    • 2020/07/01 19:12
    • わたしのもたぶん……
       ウォークマンではなかったです。
       テープを出し入れするところが壊れて、ご臨終になったと思います。
       素野福次郎さん。
       育英の卒業生なんですね。
       1937年、当時従業員4名だった東京電気化学工業(現・TDK)に入社とのこと。
       現在の従業員は、10万人超のようです。
       育英高校野球部のユニフォームは格好良いので、また甲子園で見たいです。
    コメントする   【由美と美弥子 3074】
コメント一覧へジャンプ    ページトップへ


Comment:本文 絵文字  ※入力できるのは、全角で800字までです。

↓お帰りのさいには↓
愛のワンクリ お願いします
新しいウィンドウは開きません

相互リンクサイトのみなさま(Ⅰ)
熟女・おばさんの性体験談 新・SM小説書庫2 問答無用の吸血鬼R18 知佳の美貌録
熟女と人妻エロンガ 官能文書わーるど 未知の星 Japanese-wifeblog
赤星直也のエロ小説 愛と官能の美学 [官能小説] 熟女の園 只野課長の調教日記
電脳女学園 西園寺京太郎のSM官能小説 都会の鳥 変態小説

相互リンクサイトのみなさま(Ⅱ)
人妻の浮気話 艶みるく 人に言えない秘密の性愛話 ちょっとHな小説 Playing Archives
Mikiko's Roomの仮設テント 女性のための官能小説 性小説 潤文学ブログ 官能の本棚
HAKASEの第二読み物ブログ ぺたの横書き かおるの体験・妄想 黒い教室
被虐願望 性転換・TS・女体化劇場 羞恥の風 女の陰影
女性のH体験告白集 むね☆きゅんファンサイト 週刊リビドー あおいつぼみ 葵蕾
最低のオリ 魔法の鍵 恥ずかしがりたがり。 官能的なエロ小説

相互リンクサイトのみなさま(Ⅲ)
SMX工房 淫芯 お姫様倶楽部.com 被支配中毒
出羽健書蔵庫 かめべや 女教師と遊ぼう 平成な美少女ライトノベル
禁断の体験 エッチな告白集 おとなの淫文ファイル エッチのあとさき 恥と屈辱の交差点 潤文学
ましゅまろくらぶ 空想地帯 恍惚團 ~ドライ・オーガズムの深淵~ Angel Pussy 週刊創作官能小説
ろま中男3 渡硝子の性感快楽駆け込み寺 漂浪の果てに アダルト検索一発サーチ

快感小説 SM・お仕置き小説ブログ 官能秘宝園 制服美少女快楽地獄
秘密のエッチ体験談まとめ 18's Summer 淫鬼の棲む地下室 被虐のハイパーヒロインズ
ひめ魅、ゴコロ。 おしっこ我慢NAVI 妄想ココット ライトHノベルの部屋
レズ画像・きれいな画像倉庫 riccia 調教倶楽部 ちょっとHなおとなのための…
緊縛新聞 Eros'Entertainment オシッコオモラシオムツシーン収集所 エピソードセックス
マルガリテの部屋 アダルト官能小説快楽機姦研究所 渋谷子宮 RE:BIRTH 羞恥集
黒塚工房 プライド 女性作家専門官能小説 官能小説 レイプ嗜好
人妻!人妻!人妻! wombatの官能小説 黒イ都 羊頭狗肉
ひよこの家 美里のオナニー日記 エロショッカー軍団 相互リンク、募集してます!
★相互リンク募集中!(メールしてね)★

ランキング/画像・動画(1~10)
シンプルアダルト動画サーチ 人気ブログランキング
にほんブログ村 ライブドアブログ
官能小説アンテナ エログちゃんねる
官能文章アンテナ アダルトブログランキング


ランキング/画像・動画(11~30)
GL Search Adult Novels Search オンライン小説検索・R小説の栞 おたりんく
△Top