2020.1.8(水)
「ほほ。
そうよね。
ええ、そうよ。
強請じゃないのよ。
出資よ。
立派なビジネスだわ」
万里亜は、床に置いたボストンバッグを持ちあげると、膝の上に載せた。
静まった部屋に、ファスナーの擦過音がメロディのように流れた。
覗きこむのも失礼なので、由美は前を向いていた。
テーブルの上に万里亜が置いたものを目にし、ギョッとした。
札束だった。
テレビドラマなどでしか見たことがない。
まさしく、帯状の封がしてあるお札の束だ。
確か、一束100万円のはずだ。
万里亜の手は、ボストンバッグとテーブルを5往復した。
テーブルの上には、5つの札束が積まれた。
500万円。
「ご確認下さい」
万里亜は、重なった札束を、女教授に向かって滑らせた。
こんな無防備にぽかんとした女教授の顔は、初めて見た。
女教授は、ワイングラスを横に除けた。
コースターを使ってないので、黒いテーブルは濡れていた。
女教授は、ドレスの袖でテーブルを拭った。
札束を両手で掴み、引き寄せる。
「驚いたわ。
まさか、現ナマで持って来てるなんて」
女教授は札束をひとつ拾いあげ、短辺の縁を指の腹で弾いた。
「本物のようね。
こんな現ナマ、初めて見たわ。
使うのは得意なんだけどね。
貯めるのは苦手なのよ」
「それで結構です。
お金は回すものです」
「あなた、ほんとに学生?
このお金、どうしたの?」
「綺麗なお金ですから、ご安心下さい。
この500万は、2人分の出資金です」
「ふふ。
いいわ。
消費税は負けといてあげる」
「申告なさるおつもり?
でも、出資金は不課税ですわよ。
それと、わたしからも出資させていただきます」
そうよね。
ええ、そうよ。
強請じゃないのよ。
出資よ。
立派なビジネスだわ」
万里亜は、床に置いたボストンバッグを持ちあげると、膝の上に載せた。
静まった部屋に、ファスナーの擦過音がメロディのように流れた。
覗きこむのも失礼なので、由美は前を向いていた。
テーブルの上に万里亜が置いたものを目にし、ギョッとした。
札束だった。
テレビドラマなどでしか見たことがない。
まさしく、帯状の封がしてあるお札の束だ。
確か、一束100万円のはずだ。
万里亜の手は、ボストンバッグとテーブルを5往復した。
テーブルの上には、5つの札束が積まれた。
500万円。
「ご確認下さい」
万里亜は、重なった札束を、女教授に向かって滑らせた。
こんな無防備にぽかんとした女教授の顔は、初めて見た。
女教授は、ワイングラスを横に除けた。
コースターを使ってないので、黒いテーブルは濡れていた。
女教授は、ドレスの袖でテーブルを拭った。
札束を両手で掴み、引き寄せる。
「驚いたわ。
まさか、現ナマで持って来てるなんて」
女教授は札束をひとつ拾いあげ、短辺の縁を指の腹で弾いた。
「本物のようね。
こんな現ナマ、初めて見たわ。
使うのは得意なんだけどね。
貯めるのは苦手なのよ」
「それで結構です。
お金は回すものです」
「あなた、ほんとに学生?
このお金、どうしたの?」
「綺麗なお金ですから、ご安心下さい。
この500万は、2人分の出資金です」
「ふふ。
いいわ。
消費税は負けといてあげる」
「申告なさるおつもり?
でも、出資金は不課税ですわよ。
それと、わたしからも出資させていただきます」
コメント一覧
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1. Mikiko- 2020/01/08 05:52
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今日は何の日
1月8日は、『遺影撮影の日』。
日本初のシニア世代専門の写真館「えがお写真館(東京都豊島区巣鴨)http://egao-shashinkan.jp/」を運営する「㈱サンクリエーション」が制定。
生前に遺影を撮影し、後世に残すことの大切さを多くの人に知ってもらい……。
遺影撮影を、日本の文化として世の中に根付かせることが目的。
日付は、「い(1)えいと(8)る日」(遺影撮る日)と読む語呂合わせから。
また、正月の晴れやかな雰囲気の中で笑顔の写真を撮ってほしいとの願いから。
記念日は、2017(平成29)年、『(社)日本記念日協会』により認定、登録されました。
上記の記述は、こちら(https://zatsuneta.com/archives/101087.html)のページから転載させていただきました。
同じページから、「えがお写真館について」を引き続き引用させていただきます。
「えがお写真館」では、カメラマン、ヘアメイク、スタイリストが皆様をお迎えし……。
皆様の「えがお」を作り出せるように、それぞれのプロの視点から撮影を行ってます。
東京だけでなく、全国から多くのシニア世代の方々が来店されてます。
同館では、人気No.1の生前の「遺影撮影プラン」の他……。
今のあなたの最高の1枚を撮影する「ベストショットプラン」。
家族揃って記念写真を撮る「ご家族プラン」。
還暦、喜寿、米寿、白寿などのお祝いに花を添える「記念日・長寿お祝いプラン」。
ご夫婦の素敵な写真を撮る「ご夫婦プラン」。
子や孫からの人気No.1の「父の日・母の日・敬老の日プラン」。
など、さまざまなプランで記念写真を撮ることができます。
以上、引用終わり。
続きは次のコメントで。
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2. Mikiko- 2020/01/08 05:52
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今日は何の日(つづき)
これは、いいサービスだと思います。
昨年の初頭、親戚の葬儀がありました。
そのとき、ご家族に話を聞いたのですが……。
遺影選びが、けっこう大変だったそうです。
結局、自分の家の写真ではなく……。
隣の家から、老人会の旅行のときの写真を借りたとか。
葬儀の準備に忙しい中、遺影探しは、けっこう負担になる作業だと思います。
葬儀のときに使う写真が決まっていれば……。
家族はもちろん、本人も安心なんじゃないでしょうか。
本人にしても、あまりに衰えてからではなく……。
元気なころに、納得できる遺影を撮っておけるのは良いことだと思います。
しかし、街の写真館なでどは……。
メーキャップやヘアメイクまでは、難しいでしょう。
このサービスなら、最高の1枚を撮ってもらえそうです。
さて。
気になるのは、お値段。
こちら(https://egao-shashinkan.jp/)にプランごとの料金が載ってました。
思いのほか、リーズナブルでした。
5万円くらい取られるのかと思った。
一生の最後を飾る遺影ですからね。
十分、納得できる料金じゃないでしょうか。
しかし、新潟から行くとなると……。
往復の新幹線代が、2万円プラスになってしまいます。
でも、東京に遊びに行ったついでに撮ってもらうというのもアリですよね。
何年後かの『単独旅行記』で、やってみるかな。
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3. 手羽崎 鷄造- 2020/01/10 02:07
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イェーイ、遺影の話。
ワタシはほぼ三年おきに遺影用の撮影を
しています。
地元、川崎・溝の口に有名な写真館があるから
です。修正技術は折り紙つきで、例えば眼の下のクマ取ってくださいと頼むとその通り、やって
くださいます。出来上がりは急がないので、三千円台だったと思います。名物女将さんが居て、遺影準備する人は長生きしますよと笑って話してくれます。家族には伝えてありますし、パスポートの申請や免許証更新にもそこで撮ったネガを使っていますからお得です。
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4. Mikiko- 2020/01/10 05:34
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ほー
実際にやっておられる方を、初めて知りました。
真面目に考えるかな。
わたしが、今死んだら……。
遺影探しには、ほんとに苦労すると思います。
ぜんぜん写真撮ってませんから。
ヘタすれば、高校の卒業写真ですよ。
引きこもりみたいです。
あと、免許証更新用というのもいいですね。
免許センターで撮ると……。
なんで、横領した行員みたいに写るんですかね。