2019.12.8(日)
■
学内で囁かれる噂話に耳をそばだてつつ……。
由美と美弥子は、戦々恐々とした日々を過ごしていた。
しかし、暑い夏が退いていくにつれ、マスコミの喧噪も次第に鎮まってきた。
どうやら、あの隠し撮りされた映像は、警察の手には渡らなかったようだ。
秋風と共に2人も、ようやく平穏の兆しを感じるようになっていた。
しかし……。
やはり、そうはいかなかったのだ。
その日、大学で顔を合わせた美弥子は、化粧を間違えたんじゃないかと思うほど青ざめていた。
「どうしたの?」
美弥子は無言で、由美を校舎の外へと促した。
秋めいたとは云え、まだ落葉樹は葉の色を変えていない。
もう授業が始まる時間なので、サークルベンチには、誰の姿もなかった。
「授業、始まっちゃうよ」
「授業を受けられる気分じゃないの。
悪いけど、由美も付き合って」
授業をサボタージュする提案を美弥子から受けたのは、おそらく初めてだろう。
その顔色を見れば、頷かないわけにはいかなかった。
「どうしたの?」
「福島先生から、着信があったの。
ちょうどお風呂に入ってて、出れなかった」
女教授が、美弥子の携帯番号を知っていることは不思議ではない。
あの、フィールドワークと称した風俗店探訪に出る前、3人で番号を交換したのだ。
フィールドワークでは、はぐれることもあるから……。
チームのメンバーは、事前に携帯番号を教え合っておくものだと、女教授から要請があったのだった。
そのときは、女教授の正体を知らないから……。
何の気なしに教えてしまった。
美弥子が、着信が女教授からとわかったのも、着信名を登録してあったからだろう。
「架けてみた?」
「まだ。
だから、その相談よ」
学内で囁かれる噂話に耳をそばだてつつ……。
由美と美弥子は、戦々恐々とした日々を過ごしていた。
しかし、暑い夏が退いていくにつれ、マスコミの喧噪も次第に鎮まってきた。
どうやら、あの隠し撮りされた映像は、警察の手には渡らなかったようだ。
秋風と共に2人も、ようやく平穏の兆しを感じるようになっていた。
しかし……。
やはり、そうはいかなかったのだ。
その日、大学で顔を合わせた美弥子は、化粧を間違えたんじゃないかと思うほど青ざめていた。
「どうしたの?」
美弥子は無言で、由美を校舎の外へと促した。
秋めいたとは云え、まだ落葉樹は葉の色を変えていない。
もう授業が始まる時間なので、サークルベンチには、誰の姿もなかった。
「授業、始まっちゃうよ」
「授業を受けられる気分じゃないの。
悪いけど、由美も付き合って」
授業をサボタージュする提案を美弥子から受けたのは、おそらく初めてだろう。
その顔色を見れば、頷かないわけにはいかなかった。
「どうしたの?」
「福島先生から、着信があったの。
ちょうどお風呂に入ってて、出れなかった」
女教授が、美弥子の携帯番号を知っていることは不思議ではない。
あの、フィールドワークと称した風俗店探訪に出る前、3人で番号を交換したのだ。
フィールドワークでは、はぐれることもあるから……。
チームのメンバーは、事前に携帯番号を教え合っておくものだと、女教授から要請があったのだった。
そのときは、女教授の正体を知らないから……。
何の気なしに教えてしまった。
美弥子が、着信が女教授からとわかったのも、着信名を登録してあったからだろう。
「架けてみた?」
「まだ。
だから、その相談よ」
コメント一覧
-
––––––
1. Mikiko- 2019/12/08 06:40
-
今日は何の日
12月8日は、『御事納め』。
2月8日に、農作業など一年中の行事の始まりである「御事始め(おことはじめ)」または「事始め」があるのに対し……。
12月8日は、これを終えることから「御事納め(おことおさめ)」または「事納め」と云います。
地方によっては、「御事終い(おことじまい)」というところもあります。
また、2月8日と12月8日をまとめて「事八日(ことようか)」とも云います。
この日は、農作業など一年の作業が終わる日であり……。
農事が終わることを祝って行った行事のことも意味します。
この日には、里芋、こんにゃく、にんじん、小豆を入れた「御事汁」を食べる風習がありました。
上記の記述は、こちら(https://zatsuneta.com/archives/112081.html)のページから転載させていただきました。
まったく知らない行事でした。
しかし、今ごろまで農作業なんて、やってないでしょう。
あ、田んぼじゃなくて畑か。
雪が積もる直前まで、収穫作業があったんですかね。
大根とか、ニンジンとか、白菜とか。
そうか。
その収穫を終えて……。
それらを大量に漬物にしたわけだ。
もちろん、青物のない冬の間の保存食用です。
昔の人も、野菜を摂らないと身体に悪いと云うことは、わかってたんでしょうね。
それなら、12月8日も納得できます。
続きは次のコメントで。
-
––––––
2. Mikiko- 2019/12/08 06:41
-
今日は何の日(つづき)
でも、2月8日から、何が出来ますかね?
あ。
旧暦ですよ。
これは、旧暦の日付のはず。
ちなみに、2019年12月8日を旧暦の日付とした場合……。
新暦換算では、2020年1月2日。
漬物作業を、このころまでやってたというのは、納得できないことはないです。
それなら、2020年2月8日を旧暦の日付とした場合の新暦は……。
2020年3月2日です。
こちらは、大納得ですね。
もう、雪も解けたころですから。
畑を耕せます。
うちの花壇の球根も、このころ芽を出します。
でも、12月8日から2月8日の2ヶ月間は……。
休みだったんですかね?
そんなわけ、ありませんよね。
農作業が出来ないのは確かでしょうが……。
内職とかは家の中で出来ますから。
草鞋を編んだりでしょうか。
でも、囲炉裏のそばは暖かいし……。
つい、ウトウトもしそうです。
秋田のなまはげは、そういう怠け心を諫めるのが起源だと聞いたことがあります。
語源は「なもみ剥ぎ」。
「なもみ」とは、囲炉裏に長時間あたってると出来る“火だこ”だそうです。
怠け者を懲らしめるため、その「なもみ」を剥ぎに鬼が来るわけです。
つまり包丁は、「なもみ」を剥ぐ道具なんですね。
恐ろしいです。
不器用に決まってますから、ぜったい肉まで剥がれます。
続きはさらに次のコメントで。
-
––––––
3. Mikiko- 2019/12/08 06:41
-
今日は何の日(つづきのつづき)
でもわたし、やってみたい藁細工があるんです。
新潟県岩船郡関川村に伝わる、“猫ちぐら”作り。
まさしく、藁で作った猫ハウス。
大人気で生産が追いつかず……。
注文しても、納品まで3年待ちだそうです。
猫の時間にしてみれば、20年待ちくらいでしょうか。
ま、猫に待ってる感はないでしょうが。
わたしは元々、単純作業の繰り返しは嫌いじゃなくて……。
飽きずに続けられる方だと思います。
なので、“猫ちぐら”作りも、1日楽しんでやれると思うんですよ。
あれって、弟子入りして、それを専業に出来ないものですかね。
関川村は豪雪地帯ですが……。
1日中、家の中で出来るんだから平気でしょう。
食べ物は、宅配弁当を頼めばいいし。
一冬中籠もっていられます。
弁当屋に化けて、なまはげが来ると困りますが。
昔の農家の人の中にも……。
農作業より、冬の囲炉裏のそばでやる手仕事の方が好きだった人、いたはずですよ。
そういう人は、冬が来るのが楽しみだったかも知れませんね。
冬の手仕事の日々を夢見て、暑い夏の農作業を頑張ってたのかも。
『御事納め』、嬉しかったでしょうね。
逆に、『御事始め』はイヤだったかも。
遠くの山の雪形が解けていくのを見ながら……。
またあの辛い1年が始まるのかと、心で泣いてたかも知れません。
実際、家で仕事が出来るなら……。
冬は、そんなに辛くないと思います。
リタイヤしたら家にいるわけだから……。
きっと、辛くないですよ。
となれば……。
リタイヤしたら、移住する意味、ないじゃん。
-
––––––
4. 手羽崎 鶏造- 2019/12/08 08:36
-
なまはげとは、「怠け者剥げ」かなと
直観的に思っていましたが、語源・
根拠が有ったという訳なんですね。
ところで、「春のうららの隅田川」
という唱歌がありました。
隅田川なんて知らないカンサイの
子であったワタシは、
その後の歌詞が
「のらりくらりの舟人が」
と怠け者の船頭が春の陽気に
誘われて、いい加減なシゴトしてる
情景を思い浮かべていました。
-
––––––
5. Mikiko- 2019/12/08 11:52
-
隅田川は知らずとも……
「上り下り」はわかるでしょうに。
最近は、あんまり唱歌を学校で教えないようです。
歌詞が、現在の生活と乖離してしまったからでしょうか。
でもそれなら、音楽の授業ではなく……。
国語か歴史の授業として教えたらどうでしょう。
子供時代に、日本の原風景を胸に刻ませるのは、大事なことだと思うのですが。