2019.10.5(土)
繰り返し壷に浸された穂先は、水飴のような液体を滴らせながらありさ姫の女陰を何度も襲った。
「ひぃ~~~~~~~~~~!! ぐわぁぁぁぁぁ~~~~~~!!!!!」
男根であればいかに精力絶倫な男が長丁場に及んだところで、最後は必ず発射という終幕がある。
ところが無機的な張形の場合は操る者がやめない限り終焉がない。
槍をさばく人間が中止を意図しない限り延々と続くことになる。
淀みない快楽の連続に、ありさ姫は何度も絶頂に達した。
そして過酷な絶頂の連続に何度も失神した。
失神しても水を掛けられて、正気へと戻されてしまう。
そして引続き激しい槍攻撃を浴び、快楽の波間をさまよう。
槍の使い手はいつのまにか黒岡から最初の執行役人に代わっていた。
黒岡から「生かさず殺さずの“女陰槍”」を伝授された執行役人たちは、いつしか巧みな槍さばきを見せていた。
繰り返し絶頂に達し、ありさ姫の恥じらい、奥ゆかしさ、そして理性は粉々に崩壊しようとしていた。
やがて陽が西に沈み夜のとばりが下りても、執行役人が交代しただけでありさ姫への槍責めは続行された。
刑は間断なく一昼夜行なわれ、翌日も刑は引き続き行なわれた。
磔という過酷な姿勢と絶頂の繰り返しによる体力の消耗は想像を遥かに超えていた。
水や食物も与えられず、睡眠もままならず、ありさ姫の肉体は次第に衰弱していった。
薄れ行く意識の中、今は亡き父や母そして弟の姿が浮かんでは消えていった。
(父上さまぁ……母上さまぁ……ありさはもう限界です…………まもなくお傍にまいります……景勝…あとを、あとを頼みますぅ…………)
磔刑は三日目を迎え、その日もすでに夕方になっていた。
すでにその場には黒岡や下川の姿はなく、観衆の影もまばらになっていた。
執行役人はありさ姫の様子が急変していることに気づいた。
ありさ姫はうな垂れて、目を閉じていた。
それは実に静かな幕切れであった。
ありさ姫の死は、すぐに執行役人から黒岡源内へと伝えられた。
ありさ姫の陶器のような白い肌は夕陽を浴びて赤く染まっていた。
苦しみから解放されたありさ姫の顔は、穏やかで優しい普段の表情を取り戻していた。
十八才にして儚く散った若い命を惜しむかのように、梢に止まった烏が悲しそうに鳴いた。
コメント一覧
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1. Mikiko- 2019/10/05 06:36
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実際の磔刑
日本における磔刑が、実際にはどのように行われたのか調べてみました。
処刑は、本編の記述とおり、公開で行われたそうです。
牢内で罪を認めた後に獄死した者に対しても……。
死体を塩漬けにして保存しておき、判決が出された後に磔が執行されたとか。
以下、江戸町奉行所での進行です。
まず受刑者は、小伝馬町の牢屋敷から引き出されると……。
付加刑として、市中引き回しにされます。
引き回しの後、牢に戻されることはなく……。
ただちに刑場へ向かいます。
刑場では、磔柱が地面に置かれてます。
柱は、男性用が「キ」の字形、女性用が「十」の字形でした。
男性は、「キ」の下の横棒に両脚を開いた形で、大の字形に固縛されます。
女性は足を揃えて、両腕だけ開いた形になります。
男性用は股間部に、女性用は足の下に体重を支える台がありました。
受刑者はまず、地面に置かれた磔柱に……。
手首、上腕、足首、胸、腰部が、縄で固縛されます。
その後、胸から腹を露出するよう衣類の一部を剥ぎます。
槍で突き刺す部分を露出させるわけです。
続きは次のコメントで。
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2. Mikiko- 2019/10/05 06:36
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実際の磔刑(つづき)
女性ももちろん、乳房は剥き出しの状態です。
剥いだ布は、体の中央で束ねて縛ったそうです。
「中央」の意味は、ちょっと説明しづらいので、↓の画像をご覧ください。
https://livedoor.blogimg.jp/mikikosroom2008/imgs/2/e/2e3af980.jpg
股間部には、布は残されてます。
その後、数人掛りで磔柱を立て……。
柱の下部を地面に掘った穴に差しこみ、垂直に立てます。
検使の与力は、弾左衛門(非人身分の頭領)の手代から、執行の準備が整った旨の報告を受け……。
同心に命じて最期の人改めを行い、受刑者が本人であることを確認させます。
さて、いよいよ執行です。
記述が残酷になりますので……。
苦手な方は、ここでお引き取り下さい。
まず、槍を構えた執行役の非人身分の者が2人、手代の合図で磔柱の左右に並びます。
最初、受刑者の目前で槍を交叉させます。
これを「見せ槍」と称しました。
次に、「アリャアリャ」という掛け声ともに……。
槍でねじり込むように、右脇腹から左肩先にかけて受刑者を串刺しに貫きます。
穂先が、肩先から一尺出るのが正式とされたそうです。
次に、左脇腹から右肩先へ貫通させます。
その後、同様の手順で左右交互に槍を貫通させます。
続きはさらに次のコメントで。
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3. Mikiko- 2019/10/05 06:36
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実際の磔刑(つづきのつづき)
受刑者は、出血多量か外傷性ショックにより、2,3回の貫通で絶命しました。
しかし、死後もこれを30回ほど繰り返したそうです。
突き通すたび、槍の柄に血が伝わらないよう槍をひねり、藁で槍に付いた血を拭います。
腹部を抉られるので……。
腸などの内臓や残留消化物などが掻き出され、凄惨な有様だったそうです。
西洋の磔刑とは、死に至らしむる過程、方式が全く異なり……。
事実上は、槍による刺殺刑と云えます。
しかし、日本の磔刑の方が残酷だとばかりは云えないでしょう。
受刑者は、ほぼ即死に近い最後になるからです。
自然死を待つ西洋の磔刑の方が、考え方によっては、ずっと残酷です。
もし受刑者が、どちらかを選べるとしたら……。
多くが、日本方式をリクエストしたんじゃないでしょうか。
なお、上記の記述は、江戸町奉行所で行われていたもので……。
他の奉行所や藩では、細部が異なっていたそうです。
本編では、役人が槍を使ってますが、そういう藩もあったということでしょう。
ということで、Shyrockさん、素敵な作品をありがとうございました。
ワンシーンだけで、これだけの長丁場を書けるというのは、スゴいと思いました。
なお、Shyrockさんからは、次回作の原稿をいただけていませんので……。
『愛と官能の美学』は、しばらくの間、休止ということになります。
読者の皆様と共に、次回作を待ちたいと思います。