2019.9.1(日)
わたしは次の角を、アパートとは反対方向に折れた。
妻が残業で遅くなるときなんか、時間つぶしにアパートの周りを散歩することがあった。
だから、その道も初めてじゃなかった。
そしてその先に、古い公園があることも知っていた。
公園には、樹木が鬱蒼と茂っていた。
椎などの常緑樹が花を咲かせる季節だった。
白い小さな花は目立たない。
その代わり、強烈な芳香で存在をアピールしていた。
いや、これは“芳香”なんてものじゃないだろう。
もっと生々しい。
生殖の匂いだ。
さらに端的に云えば、精液の臭いに似ていた。
若い女性など、この木の下を通るだけで妊娠しそうなほどだった。
舗装がひび割れて湿った園路には、そこここに苔が生えていた。
頭上は樹冠に覆われ、木漏れ日さえ落ちてこない。
夜など、とても女性は歩けないだろう。
昼でも、ひとり歩きは怖いくらいだ。
この時間、犬の散歩も終わったのか、園路には誰の姿も見えなかった。
わたしが目指したのは、園路が分岐して、遠回りする場所だった。
そこには、おそらくこの公園が設置されるときに建てられたであろう、公衆トイレがあった。
樹木は年と共に勢いを増し、鬱蒼と茂っていくのに……。
人工物は、年と共に古び、滅びに向かっていく。
そのトイレも、よほど火急のときでなければ入りたくない佇まいに変じていた。
ここでちょっと、余談だけどね。
こういう公園は、東京にもたくさんある。
でも当時、そうした公園には、ホームレスが住み着いていることが多かった。
森のようになった樹木の間に、ブルーシートのテントを張ったりしてね。
でも、N市では、そうした森の住人は見られなかった。
公園どころか、街中でさえ、ホームレスを見かけることはない。
最初は、行政の取り締まりが徹底しているのかと思い、感心した。
でも、そのことを話した支社の社員は、笑いながらこう言った。
妻が残業で遅くなるときなんか、時間つぶしにアパートの周りを散歩することがあった。
だから、その道も初めてじゃなかった。
そしてその先に、古い公園があることも知っていた。
公園には、樹木が鬱蒼と茂っていた。
椎などの常緑樹が花を咲かせる季節だった。
白い小さな花は目立たない。
その代わり、強烈な芳香で存在をアピールしていた。
いや、これは“芳香”なんてものじゃないだろう。
もっと生々しい。
生殖の匂いだ。
さらに端的に云えば、精液の臭いに似ていた。
若い女性など、この木の下を通るだけで妊娠しそうなほどだった。
舗装がひび割れて湿った園路には、そこここに苔が生えていた。
頭上は樹冠に覆われ、木漏れ日さえ落ちてこない。
夜など、とても女性は歩けないだろう。
昼でも、ひとり歩きは怖いくらいだ。
この時間、犬の散歩も終わったのか、園路には誰の姿も見えなかった。
わたしが目指したのは、園路が分岐して、遠回りする場所だった。
そこには、おそらくこの公園が設置されるときに建てられたであろう、公衆トイレがあった。
樹木は年と共に勢いを増し、鬱蒼と茂っていくのに……。
人工物は、年と共に古び、滅びに向かっていく。
そのトイレも、よほど火急のときでなければ入りたくない佇まいに変じていた。
ここでちょっと、余談だけどね。
こういう公園は、東京にもたくさんある。
でも当時、そうした公園には、ホームレスが住み着いていることが多かった。
森のようになった樹木の間に、ブルーシートのテントを張ったりしてね。
でも、N市では、そうした森の住人は見られなかった。
公園どころか、街中でさえ、ホームレスを見かけることはない。
最初は、行政の取り締まりが徹底しているのかと思い、感心した。
でも、そのことを話した支社の社員は、笑いながらこう言った。
コメント一覧
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1. Mikiko- 2019/09/01 06:45
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今日は何の日
2019年9月1日は、『二百十日』。
『二百十日』は雑節のひとつで……。
『立春』を起算日として210日目(立春の209日後)です。
2019年の『立春』は、2月4日。
この209日後が、9月1日なわけです。
『二百十日』の日付けには、閏年が大きく影響します。
『立春』と『二百十日』の間に、2月の末日があるからです。
来年は、オリンピックイヤーで閏年。
2月が29日まであります。
ということで、2020年の『二百十日』は、8月31日になります。
と言っても、閏年が8月31日で、そうじゃない年が9月1日というわけではありません。
2021年は、閏年じゃ有りませんが……。
『二百十日』は、8月31日なんです。
ところで!
『二百十日』の、正しい読み方をご存じですか?
“にひゃくとうか”か“にひゃくとおか”か?
つまり、「十日」を、“とうか”と読むか“とおか”と読むかです。
実はわたし、間違ってました。
“とうか”とばかり思ってました。
正解は、“とおか”です。
これは、漢字変換してみるとわかります。
“とうか”では、「十日」が出て来ません。
“とおか”と打つと、真っ先に表示されます。
またひとつ、利口になりました。
調べるって面白いですね。
さて、『二百十日』。
昔から、農家の方にとっては、怖い日とされてました。
『八朔(旧暦8月1日)』や『二百二十日』とともに、農家の三大厄日とされてるんです。
台風襲来の特異日であり、荒天になりやすいそうです。
特に今ごろは、いろんな作物が収穫を迎えようとする時期です。
その直前での被害は、泣いても泣ききれません。
続きは次のコメントで。
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2. Mikiko- 2019/09/01 06:46
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今日は何の日(つづき)
富山市の八尾地区で、毎年9月1日から3日にかけて行われる有名なお祭りに……。
『おわら風の盆』があります。
このお祭り、『二百十日』の風を鎮めるためのものなんだそうです。
さて。
9月1日。
この日は、『防災の日』でもあります。
1923(大正12)年9月1日。
『関東大震災』が発生しました。
マグニチュードは、7.9。
死者14万人の大災害でした。
この日を忘れることなく災害に備えようと……。
1960(昭和35)年に、9月1日が「防災の日」として閣議決定されました。
この日を挟んだ、8月30日から9月5日の1週間が「防災週間」となってます。
また、『防災システム研究所』の防災アドバイザー山村武彦氏により……。
『防災用品点検の日』としても提唱されてます。
点検……。
耳に痛いです。
点検以前に、準備してませんから。
準備したのは、2リットル入りの水、3本だけ。
6リットル。
1人分、9リットル必要だと言われてます。
1日3リットルで、3日分。
わが家は2人家族なので、18リットル必要です。
あと、12リットル足りません。
2リットルのペットボトルなんて、100円程度です。
すぐ買えばいいだけの話。
でも……。
賞味期限をずらしたいんですよね。
賞味期限が来たとき、1本ずつ交換できるように。
いっぺんに18リットルの賞味期限が来たら……。
使い切れないじゃないですか。
ということで……。
備蓄した3本の賞味期限は、それぞれ2021年の3月、4月、5月なんです。
ところがその後、6月がまだ出ないんですよ。
今は、この発売を待ってるところ。
待ってる間に災害が起きないことを、ひたすら祈るばかりです。