2016.2.13(土)
「それじゃ。
……。
あの、浴衣を貸してもらえませんか?
すぐに別のをお持ちしますから。
部屋まで、この格好じゃ……」
「あら。
自分の宿でしょ。
客はわたししかいないんだし。
恥ずかしがることないじゃない」
「でも、部屋にはたぶん、涼太もいますし」
「そうか。
母親が裸で帰ってきたら、びっくりするかもね。
あなたのその身体見たら、反応しちゃうかも。
涼太くん、もう立派な大人よ」
「それは、わたしも感じてます。
だから……。
気を悪くされると困るんですが……。
もう、涼太とご一緒でのお風呂は……」
「なるほど。
わかったわ。
時の経つのは早いものね。
大丈夫。
気なんか悪くしてないわよ。
でも、これからは……。
あなたたちだって、同じ部屋だと、いろいろとマズいんじゃないの?」
「わたしも、それは感じてます。
でも、涼太の部屋を作ろうとすれば、客室をひとつ潰さなきゃなりませんし」
「そうよね。
忙しいときは、満室になるんでしょ?
もったいないわよね。
いっそ、わたしが預かろうか?」
「そんな」
「はは。
飛んでもないって顔した。
離れて暮らす気はないわけね」
「考えたこともありません。
たった一人の家族ですし」
「あなた、実家のご両親はご存命なの?」
「はい。
元気にしてます」
「どこにいるんだっけ?」
「群馬県です。
高崎」
「なんだ。
案外近いじゃない。
涼太くん、そこに預けたら?」
「無理です。
兄夫婦と同居してますから。
孫が3人もいて、ひとりはまだ小さいので、兄夫婦の部屋で寝てるらしいんですけど……。
その子が大きくなったら、あてがう部屋が無いって言ってました。
いっそ、庭にプレハブでも建てようかって」
「それだ!
その手があるじゃない。
ここの庭、プレハブ1棟くらい、建つでしょ」
……。
あの、浴衣を貸してもらえませんか?
すぐに別のをお持ちしますから。
部屋まで、この格好じゃ……」
「あら。
自分の宿でしょ。
客はわたししかいないんだし。
恥ずかしがることないじゃない」
「でも、部屋にはたぶん、涼太もいますし」
「そうか。
母親が裸で帰ってきたら、びっくりするかもね。
あなたのその身体見たら、反応しちゃうかも。
涼太くん、もう立派な大人よ」
「それは、わたしも感じてます。
だから……。
気を悪くされると困るんですが……。
もう、涼太とご一緒でのお風呂は……」
「なるほど。
わかったわ。
時の経つのは早いものね。
大丈夫。
気なんか悪くしてないわよ。
でも、これからは……。
あなたたちだって、同じ部屋だと、いろいろとマズいんじゃないの?」
「わたしも、それは感じてます。
でも、涼太の部屋を作ろうとすれば、客室をひとつ潰さなきゃなりませんし」
「そうよね。
忙しいときは、満室になるんでしょ?
もったいないわよね。
いっそ、わたしが預かろうか?」
「そんな」
「はは。
飛んでもないって顔した。
離れて暮らす気はないわけね」
「考えたこともありません。
たった一人の家族ですし」
「あなた、実家のご両親はご存命なの?」
「はい。
元気にしてます」
「どこにいるんだっけ?」
「群馬県です。
高崎」
「なんだ。
案外近いじゃない。
涼太くん、そこに預けたら?」
「無理です。
兄夫婦と同居してますから。
孫が3人もいて、ひとりはまだ小さいので、兄夫婦の部屋で寝てるらしいんですけど……。
その子が大きくなったら、あてがう部屋が無いって言ってました。
いっそ、庭にプレハブでも建てようかって」
「それだ!
その手があるじゃない。
ここの庭、プレハブ1棟くらい、建つでしょ」
コメント一覧
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1. Mikiko- 2016/02/13 08:23
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新潟の農家では……
プレハブではなく、息子夫婦の2階建ての家が、庭に建つ場合があります。
農家の母屋は、たいがい平屋ですね。
土地が広いので、2階建てにする必要がないのです。
町中でも、古くからのお屋敷には平屋が多いです。
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2. ご隠居ハーレクイン- 2016/02/13 10:44
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大人の涼太
それはわかるけど、しかし自分の母親に村村するものかねえ。
わたしの母親の実家。
庭に別棟が建っていましたが、ばあちゃん、つまり母親の母親の住まい、隠居所でした。夏休みに遊びに行くと、たいていこの隠居所で寝たものです。
このばあちゃん、わたしの名付け親でもあります。懐かしいなあ。もちろん、もうとっくにお亡くなりですが。
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3. Mikiko- 2016/02/13 12:19
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隠居所
トイレやお風呂、台所なんかも付いてたんですかね?
もしそうなら、楽しい暮らしですね。
高齢者の生活満足度調査では……。
家族と同居の人より、独居の人の方が、満足度が高かったそうです。
自分のペースで生活できるというのが、一番なんですね。
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4. 昔はよかったHQ- 2016/02/13 15:10
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田舎の隠居所
トイレ、風呂、台所、一切ありません。すべて母屋で、です。
隠居所は寝るだけ、でした。
それにしても田舎の母屋。
トイレはぼっとん、風呂は薪で焚く五右衛門、台所に水道は無く井戸でした。しかも井戸にポンプなんて梨、釣瓶です。懐かしいなあ。
今はもう跡形もありません。ごく近くに、ですが新しい家を建てて引っ越しちゃいました。
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5. Mikiko- 2016/02/13 18:08
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寝るだけって……
トイレに起きたら、母屋まで通うんですか。
それは不便極まりないですね。
あ、庭ですればいいのか。
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6. チビりませんHQ- 2016/02/13 19:21
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子供の頃は……
おしっこで起きた記憶は無いですね。
おねしょもしなかった。
自宅では何回かしましたが……やはり一応よその家、という意識があったのかなあ。
庭は、母屋と隠居所に囲まれた狭い中庭でした。
あそこではやりにくかった。
中庭の一番奥にはどでかいザクロの木が植わってた。やるならあの根元しかなかったけど……。
それより、隠居所の裏が寺の境内だったから、やるならそこだったろうけど……。隠居所の出入り口は中庭側なんでね、寺の境内に出るには隠居所をぐるっと回り込まなならんかった。やはり夜には行きづらいよね。墓場は無かったんだけどね。
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7. Mikiko- 2016/02/14 07:48
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子供は起きなくても……
おばあさんが、朝まで一度もトイレに立たないなんてないでしょ。
雨が降ってたら、傘さして行かなくちゃなりません。
完全に目が覚めてしまいます。
どうしてそういう隠居所を作ったんですかね?
ひょっとしたら、裏の寺は博打場だったんじゃないですか?
で、手入れがあったときの逃走用に地下トンネルが掘られ……。
その出口が、隠居所だったとか。
おばあさんも、一味ですね。
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8. おもひでぽろぽろHQ- 2016/02/14 11:46
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まあよく……
そういう話を思いつくねえ。
さすが「妄想の女王」(って称号!? あったよね)。
裏の寺の本堂には、板張りの回り廊下があってね、ここで本を読んだり、何となくぼんやりしたりしました。ばあちゃんもよく一緒だったなあ。
で、時折、すぐ裏を通っている東海道本線を列車が走りぬける……。
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9. Mikiko- 2016/02/14 12:24
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江戸時代、お寺では……
頻繁に賭場が開かれてました。
お寺は寺社奉行の管轄で、町奉行は手が出せなかったからです。
町奉行が旗本職なのに対し、寺社奉行は大名職ですから、喧嘩することも出来ません。
博打の寺銭という言葉は、ここから出てるわけです。
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10. 博打打ちハーレクイン- 2016/02/15 10:39
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江戸の賭場
を開くことを「開帳」と云いました。寺の秘仏などを一般に公開する「御開帳」からきているそうです。
御開帳は寺社の稼ぎどころだったようです。「坊主丸儲け」というやつですね(違うって)。
しかし、わたしが母親の実家に遊びに行っていたのは小学生の頃。昭和30年代だよ。寺に賭場なんぞあるわけなかろ。