Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
シチリアの熱い風(第7話/第8話)
コメント一覧へジャンプ    コメント投稿へジャンプ
『シチリアの熱い風(官能小説)』 作:Shyrock


第7話:卵形のチョコレート


 久しぶりに会うというのに、すっぴんのままなんて・・・

(少し早めに連絡をくれればいいのに)

 私は大きく息を吸って、玄関ドアのノブを握った。
 胸の鼓動が自分でも分かるほど、激しく脈を打っている。

 ドアを開けると、そこには懐かしい顔があった。
 少し日に焼けたようだが、笑顔はあの時のままだ。
 手にはラッピングをした大きな包みを持って立っている。

「イヴ、元気かい? マジで心配してたよ。ひとことぐらい言ってくれても良かったのに」
「そんなぁ~・・・。別れた人に行き先を言って旅立つ人なんていないわ~。でも嬉しいわ。よく来てくれたわね」
「イヴ・・・」
「なに?」
「相変わらずきれいだね」
「もう! 急に来るから、化粧をする暇がなかったじゃないの~。ちょっと早めに電話をくれたらいいのに~」
「あぁ、そうだったね。ごめんね。でも・・・」
「でも? でもなあに?」
「君は化粧をしなくても充分に美しいよ」
「う、もう! 口だけは上手いんだからぁ~」
「いや、お世辞じゃないよ」
「そうなんだ。嬉しい・・・」
「あの」
「なに?」
「あの、部屋に入れてくれない? 立ち話もなんだし」
「あっ! ごめん! 気が利かなくて。どうぞ、入って」

 部屋の中央にあるソファに俊介を案内して、自分は向かい側に座った。
 本当は真横に腰を掛けたかったけど、私から別れの言葉を切り出したことから、些かの遠慮が私の胸をよぎった。

 彼は手に持っていたラッピングをした大きな包みを差し出した。

「あの、これを受け取ってくれないか?」
「え? なに・・・?」
「君へのプレゼントだ」
「どうして? どうして別れた女にプレゼントするの?」
「まあ、そんな硬いことは言わないでとにかく開けて」

 ためらいはあったものの、そのまま返す訳にも行かず、ラッピングのリボンを解くことにした。
 リボンがテーブルの上でパラリと解ける。
 そして大きな箱の中の蓋を取った。

「ええ? これなに? 卵? それもチョコレートでできた・・・」

 どうしてチョコレートなんかくれるんだろう。
 バレンタインデーでもなければホワイトデーでもない。
 私は卵形のチョコレートを眺めながら首をかしげた。

 彼は私をじっと見つめて、静かに語り始めた。


第8話:復活祭


「クレモナのパスクァって知ってる? キリスト教の復活祭のことなんだけど」
「ええ、知ってるわ。でも確か4月20日頃じゃなかった? 今はもう9月よ」
「うん、そのとおり。復活祭は4月19日、20日のヨーロッパ全土で行われるキリスト教の祭りなんだ。キリストが十字架に処刑され、埋葬された後、復活して甦ったとされる記念日なんだ。その日に親しい人に贈るのが、UOVA DI PASCUA・・・つまりパスクァの卵なんだ」

 俊介はキリストの復活祭のことを説明し始めたが、私たちとどういう関係があるのだろうか。
 チョコレートはとても大きくて、高さが60cmほどある。

 俊介は説明を中断して、バッグから木のハンマーを取り出した。

「イヴ、このハンマーでチョコレートを割ってごらん」
「え? チョコレートを割るの?」

 私は彼のいうままに、ハンマーを持ちチョコレートを割った。
 卵形のチョコレートの中央には予め、割れ目が入っていたようで、いとも簡単に二つに割れてしまった。
 そしてその中から透明の小さな箱が出てきた。

「その箱を開けてごらん」

 私は小箱を手に取り、そっと開けてみた。

「えぇっ! なあに~!? これってダイアモンドの指輪じゃないの!?」
「それは君へのプレゼントだ。今日は君と僕との復活祭だ」
「え・・・?」

 頬からは幾筋もの涙が伝った。

「イヴ・・・結婚してくれ」


 私たちはフロントに連絡し、部屋をダブルに変更してもらった。
 つまりホテル内の引越しである。
 新しい部屋もベランダが南側に面していて、日当たりが良い。

「いい部屋だね」
「そうね。海も一望できるわね」

 荷物をクローゼットに片付けた後、ソファに腰を掛けてコーヒーを飲んだ。
 イタリアではコーヒーといえば普通エスプレッソだ。
 私にとっては少し苦い。
 早速ミルクをたっぷり注ぎ、シュガーをひとさじ入れる。
 俊介はブラックのままでゆっくりとコーヒーカップを傾けている。

 私は俊介にもジョルジョにも謝らなくてはならない。
 口に含んだエスプレッソがひときわ苦く感じる。
 再びミルクを継ぎ足す。

「俊介、あのぅ・・・、あなたに謝らなくてはいけないの・・・」
「どうしたの? 急に改まって」
「私ね、浮気してたの、このシチリアで・・・」
「ふ~ん、そうなんだ。別にいいよ、オレ、イタリア男になんか負けね~からさ」
シチリアの熱い風【第5話/第6話】目次シチリアの熱い風【第9話/第10話】


コメント一覧
コメント投稿へジャンプ    ページトップへ

    • ––––––
      1. Mikiko
    • 2019/03/09 07:53
    • パスクァ
       本編にもあるとおり、『復活祭』のことです。
       「パスクア」とも表記されます。
       これはおそらく、“パスクァ"が入力しにくいからじゃないでしょうか。
       わたしも、“クァ"が打てなくて、文字をコピーしてました。
       調べたら、“qa"とありました。
       でも、変換できませんでした。
       わたしの使ってるATOKでは、変換されないようです。
       ようやくわかりました。
       ATOKでは、“kwa"でした。
       これは、入力しづらい。
       ということで、以下の表記は、「パスクア」とさせていただきます。
       さて、そのパスクア。
       『復活祭』ですね。
       これは、聞いたことはあります。
       キリスト教関係であることも想像できます。
       しかし、何なのかは知りませんでした。
       Wiki(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%A9%E6%B4%BB%E7%A5%AD)によれば……。
       「十字架にかけられて死んだイエス・キリストが三日目に復活したことを記念・記憶する、キリスト教において最も重要な祭」だそうです。
       キリストって、生き返ってたんですか?
       知りませんでした。
       しかし、その後、長生きしたわけではなく……。
       40日後に昇天したそうです。
       さて、その『復活祭』。
       実は、日付は固定されてないようです。
       「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」だそうです。
       なんじゃそりゃ。
       つまり、日曜日ではありますが……。
       4月の第何日曜と云うことではありません。
       しかも、西方教会と東方教会では、使う暦が違うとかで、日付が一致しません。
       ちなみに今年(2019年)は……。
       西方教会が4月21日、東方教会が4月28日だそうです。
       続きは次のコメントで。

    • ––––––
      2. Mikiko
    • 2019/03/09 07:54
    • パスクァ(つづき)
       キリスト教にとっては、最も重要な祭とのことですが……。
       日本では、まったく普及してませんね。
       キリスト教関係の記念日で、もっとも馴染んでるのは……。
       何と云っても、キリストの誕生日である、クリスマス。
       12月25日です。
       そして、最近急激に普及してきたのが、ハロウィン。
       10月31日。
       トレンド急上昇の角度は、節分の「恵方巻き」と肩を並べるでしょう。
       それに対して、『復活祭』。
       まったく普及してませんね。
       やはり、日付のややこしさが、一番のネックなんじゃないですか。
       しかも、西と東で、統一されてないってんですから。
       これじゃ、普及は無理ですよ。
       同じ意味合いで、存在が希薄になって来てるものに……。
       ハッピーマンデーの祝日があります。
       でも、調べてみると、そんなに多くないんですね。
      ●成人の日(1月第2月曜)
      ●海の日(7月第3月曜)
      ●敬老の日(9月第3月曜)
      ●体育の日(10月第2月曜)
       4つだけでした。
       「海の日」は、新しくて元々普及してないからかまいませんけどね。
       ほかの日は、固定でもいいんじゃないですか。
       わかりづらいですよ。
       それに、月曜が祝日だと……。
       イベントの翌日が出勤日で、ちと楽しくないです。
       イベントの翌日は、ゆっくり休みたいですよね。
       金曜の方がいいんじゃないですか。
       ハッピーフライデー。
       でもこれだと、準備が出来ないか。
       あ、そうだ。
       最高の解決策がありますよ。
       祝日を、日曜にすれば良いんです。
       日曜が祝日なら、翌日の月曜は振替休日になります。
       すなわち……。
       土曜が準備で、日曜がイベント、月曜が休養。
       完璧じゃないですか。
       どうして思いつかなかったんですかね?
    コメントする   【シチリアの熱い風(第7話/第8話)】
コメント一覧へジャンプ    ページトップへ


Comment:本文 絵文字  ※入力できるのは、全角で800字までです。

↓お帰りのさいには↓
愛のワンクリ お願いします
新しいウィンドウは開きません

相互リンクサイトのみなさま(Ⅰ)
熟女・おばさんの性体験談 新・SM小説書庫2 問答無用の吸血鬼R18 知佳の美貌録
熟女と人妻エロンガ 官能文書わーるど 未知の星 Japanese-wifeblog
赤星直也のエロ小説 愛と官能の美学 [官能小説] 熟女の園 只野課長の調教日記
電脳女学園 西園寺京太郎のSM官能小説 都会の鳥 変態小説

相互リンクサイトのみなさま(Ⅱ)
人妻の浮気話 艶みるく 人に言えない秘密の性愛話 ちょっとHな小説 Playing Archives
Mikiko's Roomの仮設テント 女性のための官能小説 性小説 潤文学ブログ 官能の本棚
HAKASEの第二読み物ブログ ぺたの横書き かおるの体験・妄想 黒い教室
被虐願望 性転換・TS・女体化劇場 羞恥の風 女の陰影
女性のH体験告白集 むね☆きゅんファンサイト 週刊リビドー あおいつぼみ 葵蕾
最低のオリ 魔法の鍵 恥ずかしがりたがり。 官能的なエロ小説

相互リンクサイトのみなさま(Ⅲ)
SMX工房 淫芯 お姫様倶楽部.com 被支配中毒
出羽健書蔵庫 かめべや 女教師と遊ぼう 平成な美少女ライトノベル
禁断の体験 エッチな告白集 おとなの淫文ファイル エッチのあとさき 恥と屈辱の交差点 潤文学
ましゅまろくらぶ 空想地帯 恍惚團 ~ドライ・オーガズムの深淵~ Angel Pussy 週刊創作官能小説
ろま中男3 渡硝子の性感快楽駆け込み寺 漂浪の果てに アダルト検索一発サーチ

快感小説 SM・お仕置き小説ブログ 官能秘宝園 制服美少女快楽地獄
秘密のエッチ体験談まとめ 18's Summer 淫鬼の棲む地下室 被虐のハイパーヒロインズ
ひめ魅、ゴコロ。 おしっこ我慢NAVI 妄想ココット ライトHノベルの部屋
レズ画像・きれいな画像倉庫 riccia 調教倶楽部 ちょっとHなおとなのための…
緊縛新聞 Eros'Entertainment オシッコオモラシオムツシーン収集所 エピソードセックス
マルガリテの部屋 アダルト官能小説快楽機姦研究所 渋谷子宮 RE:BIRTH 羞恥集
黒塚工房 プライド 女性作家専門官能小説 官能小説 レイプ嗜好
人妻!人妻!人妻! wombatの官能小説 黒イ都 羊頭狗肉
ひよこの家 美里のオナニー日記 エロショッカー軍団 相互リンク、募集してます!
★相互リンク募集中!(メールしてね)★

ランキング/画像・動画(1~10)
シンプルアダルト動画サーチ 人気ブログランキング
にほんブログ村 ライブドアブログ
官能小説アンテナ エログちゃんねる
官能文章アンテナ アダルトブログランキング


ランキング/画像・動画(11~30)
GL Search Adult Novels Search オンライン小説検索・R小説の栞 おたりんく
△Top