2018.10.20(土)
短かった梅雨が明けるころでした。
給湯室でコーヒーを入れてると、客のお茶を下げに来た志津子と一緒になりました。
そのとき、思い切って夕食に誘ったんです。
これまで、いろいろ教えてもらったお礼をしたいって。
志津子は、こっちこそいろいろ助けてもらったんだから、お礼なんてって言いましたが……。
夕食は、オッケーしてくれました。
でも、その日じゃありません。
志津子は、軽自動車で通勤してたんですが……。
行き帰り、事務服のまんまだったんですよ。
事務服で飲みに行くわけにも行きませんから、週末の約束をしました。
で、その週末です。
連れだって退社したんじゃ目立つんで、時間をずらして会社を出て……。
社内メールで指定した待ち合わせ場所に行きました。
着替えて来るだろうから待つつもりではいましたが、けっこう時間がかかりました。
でも、現れた志津子を見て、なるほどと思いましたよ。
小綺麗な藤色のワンピースを着て、化粧も直してました。
普段は銀縁のメガネなんですが、それも外してたんです。
コンタクトに替えたんでしょう。
会社の更衣室でこんな格好になったら、噂が立ちます。
そのときは聞かなかったんですが……。
後になって教えてくれました。
会社近くに、市のコミュニティ施設があるんですよ。
バリアフリーの広いトイレがあるんで、そこで着替えたそうです。
志津子の赤い口紅を見て……。
ひょっとしたらって思いましたね。
店は予約してたわけじゃありません。
居酒屋にでも入ろうと思ってたんですが……。
志津子の格好を見て、カウンターレストランに変えました。
カウンターにしたのは……。
初めてのデートで、向かい合ったら話しづらいと思いまして。
前の会社で何回か使ったことのある店に、タクシーで向かいました。
2人だけの飲み会は、ほんとに楽しかったです。
こんなに良く笑うんだって思いましたね。
目尻の皺は目立ちましたが……。
メガネを外した顔は、思いのほか若く見えました。
けっこう飲むんで驚きました。
注げばいくらでも入るみたいでした。
わたしも弱い方じゃないので、2人で赤ワインのボトルを2本も空けましたよ。
給湯室でコーヒーを入れてると、客のお茶を下げに来た志津子と一緒になりました。
そのとき、思い切って夕食に誘ったんです。
これまで、いろいろ教えてもらったお礼をしたいって。
志津子は、こっちこそいろいろ助けてもらったんだから、お礼なんてって言いましたが……。
夕食は、オッケーしてくれました。
でも、その日じゃありません。
志津子は、軽自動車で通勤してたんですが……。
行き帰り、事務服のまんまだったんですよ。
事務服で飲みに行くわけにも行きませんから、週末の約束をしました。
で、その週末です。
連れだって退社したんじゃ目立つんで、時間をずらして会社を出て……。
社内メールで指定した待ち合わせ場所に行きました。
着替えて来るだろうから待つつもりではいましたが、けっこう時間がかかりました。
でも、現れた志津子を見て、なるほどと思いましたよ。
小綺麗な藤色のワンピースを着て、化粧も直してました。
普段は銀縁のメガネなんですが、それも外してたんです。
コンタクトに替えたんでしょう。
会社の更衣室でこんな格好になったら、噂が立ちます。
そのときは聞かなかったんですが……。
後になって教えてくれました。
会社近くに、市のコミュニティ施設があるんですよ。
バリアフリーの広いトイレがあるんで、そこで着替えたそうです。
志津子の赤い口紅を見て……。
ひょっとしたらって思いましたね。
店は予約してたわけじゃありません。
居酒屋にでも入ろうと思ってたんですが……。
志津子の格好を見て、カウンターレストランに変えました。
カウンターにしたのは……。
初めてのデートで、向かい合ったら話しづらいと思いまして。
前の会社で何回か使ったことのある店に、タクシーで向かいました。
2人だけの飲み会は、ほんとに楽しかったです。
こんなに良く笑うんだって思いましたね。
目尻の皺は目立ちましたが……。
メガネを外した顔は、思いのほか若く見えました。
けっこう飲むんで驚きました。
注げばいくらでも入るみたいでした。
わたしも弱い方じゃないので、2人で赤ワインのボトルを2本も空けましたよ。
コメント一覧
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1. Mikiko- 2018/10/20 07:53
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モデル
小説を書くとき、自分をモデルにすると、ヒジョーに楽です。
取材したり調べたりしなくていいわけですから。
頭の中だけで書けます。
今回の章は、志津子と昭夫という中年カップルのお話です。
経理課員という設定から……。
志津子のモデルはわたしだと思われる方もおられるかも知れませんが……。
違います。
自分をモデルにしたのは、昭夫の方です。
昨日の回では……。
昭夫が、EXCELのマクロを使って業務の効率化を行ったというエピソードを書きました。
これはまさしく、今の会社に入ったとき、わたしがやったことなんです。
わたしは、前任者から半月しか業務の引き継ぎを受けられませんでした。
前任者が、会社の新たな方針に反発して、急に辞めることになったようなんです。
急遽、後任が必要になり、わたしが採用されました。
ハローワークからの紹介で、人事の面接と役員面接を受けました。
おそらく、前任者の退職日の方が先に決まってたのでしょう。
会社としても、適任者が応募して来るのを、のんびり待ってはいられなかったんだと思います。
でも、非正規とはいえ事務職だったので、応募はかなりあったようです。
何でわたしが採用になったのかわかりませんが……。
プログラマー出身で、経理事務所でも勤務経験があったというところが買われたのかも知れません。
続きは次のコメントで。
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2. モデル(つづき)- 2018/10/20 07:54
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モデル(つづき)
で、引き継ぎですが……。
もちろん、退職が決まってる前任者は、熱心にはしてくれませんでした。
また、ひとつの業務に時間をかけていては、全業務を引き継げないので……。
ほとんど、相手がまくし立てるのを聞いてるだけみたいな引き継ぎでした。
で、あっという間に半月が過ぎ……。
わたしひとりが残されたわけです。
何とかしなくてはなりません。
もし、丁寧な引き継ぎを受けてたら……。
前任者のやってたことをそのままなぞるかたちを取ってたでしょう。
でも、そうじゃありませんでした。
難しい仕事は無かったのですが、とにかく量が多かったです。
工夫しなきゃならんと思いました。
で、役に立ったのがプログラミングの技術。
それまで、EXCELのマクロなんか作ったことがありませんでした。
でも、アルゴリズムは一緒です。
毎週土曜日に出勤し、コツコツとマクロを組んでいきました。
もちろん、無給でやりましたよ。
数ヶ月後には、もう残業をしなくても全業務をこなせるようになってました。
前任者は、かなり遅くまで残る日もあったようです。
しかし……。
わたしは今、将来の大きな難問が気になり始めてます。
すなわち、わたしが会社を去るとき……。
後任者に、業務を引き継がなければならないわけです。
わたしが組んだマクロは、常に変更を加えていかなければなりません。
会社の部署が追加になったり、勘定科目が追加になったりするごとに変更が生じるからです。
新たにマクロを組まないまでも、既存のマクロを修正できる能力が必要なわけです。
はっきり言って、経理事務の経験者で、EXCELのマクロを習得している人は非常に少ないと思います。
ま、今日明日の問題ではありませんが……。
考えると、ちょっと気が重くなります。