2018.10.8(月)
由美は、再び足を止めた。
逃げればいいわけだが、それも業腹だ。
ただすれ違うだけなら、それでいい。
しかし……。
妙な動きがあれば、もちろん対応する。
女は、街灯が降り注ぐ真下まで来た。
女の顔が、ハレーションを起こしたようにはっきりと浮かびあがった。
濃い化粧に、皺が見て取れた。
やはり、由美の母親より上の世代だろう。
五十をかなり過ぎているのではないか。
女は、はっきりと由美に目を据えていた。
平和的なコミニュケーションが取れそうな雰囲気ではない。
何ごともなくすれ違う意思がないことは明らかだった。
歩道の片側に身を避けようとしないのだ。
まっすぐ、由美に向かってくる。
女の脚が止まった。
由美との間は、試合前に向かい合う距離に縮まっていた。
ハイヒールを履いていることもあるだろうが、背丈は由美と同じほどあった。
相変わらず、自らを抱くようにコートの胸前をかき合わせている。
この陽気で寒いとしたら、やはり薬の影響だろう。
ひょっとしたら、薬代をせがもうとしているのかも知れない。
もちろん、応じるつもりはない。
女が顔を引き攣らせた。
いや。
どうやら、笑ったらしい。
刹那……。
女が羽ばたいた。
コートが、大きく広がったのだ。
胸前に合わせていた腕が、前身頃を左右に広げたのだ。
女は、化鳥のごとく笑った。
……ように思えただけだろう。
声は出なかった。
しかし、顔面で感情が爆発していた。
さっきまでの引き攣った笑みからは一変している。
開口部は、すべて目一杯に開いていた。
口は街灯の明かりを頬張り、口蓋垂まで覗けそうだった。
目も、結膜が裏返りそうなほど見開かれていた。
しかし、それよりも異常なのは、首から下だった。
逃げればいいわけだが、それも業腹だ。
ただすれ違うだけなら、それでいい。
しかし……。
妙な動きがあれば、もちろん対応する。
女は、街灯が降り注ぐ真下まで来た。
女の顔が、ハレーションを起こしたようにはっきりと浮かびあがった。
濃い化粧に、皺が見て取れた。
やはり、由美の母親より上の世代だろう。
五十をかなり過ぎているのではないか。
女は、はっきりと由美に目を据えていた。
平和的なコミニュケーションが取れそうな雰囲気ではない。
何ごともなくすれ違う意思がないことは明らかだった。
歩道の片側に身を避けようとしないのだ。
まっすぐ、由美に向かってくる。
女の脚が止まった。
由美との間は、試合前に向かい合う距離に縮まっていた。
ハイヒールを履いていることもあるだろうが、背丈は由美と同じほどあった。
相変わらず、自らを抱くようにコートの胸前をかき合わせている。
この陽気で寒いとしたら、やはり薬の影響だろう。
ひょっとしたら、薬代をせがもうとしているのかも知れない。
もちろん、応じるつもりはない。
女が顔を引き攣らせた。
いや。
どうやら、笑ったらしい。
刹那……。
女が羽ばたいた。
コートが、大きく広がったのだ。
胸前に合わせていた腕が、前身頃を左右に広げたのだ。
女は、化鳥のごとく笑った。
……ように思えただけだろう。
声は出なかった。
しかし、顔面で感情が爆発していた。
さっきまでの引き攣った笑みからは一変している。
開口部は、すべて目一杯に開いていた。
口は街灯の明かりを頬張り、口蓋垂まで覗けそうだった。
目も、結膜が裏返りそうなほど見開かれていた。
しかし、それよりも異常なのは、首から下だった。
コメント一覧
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1. Mikiko- 2018/10/08 07:37
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今日は何の日
10月8日は、『足袋の日』。
『日本足袋工業懇談会』が、1988(昭和63)年に制定。
10月以降は……。
七五三、お正月、成人式と、着物を着る機会が多くなるシーズンです。
ということで、末広がりで縁起の良い8日を『足袋の日』としたそうです。
11月8日じゃ、七五三までに間が無さ過ぎということでしょう。
ところで!
わたしは、足袋を履いたことがありません。
なぜなら、着物を着たことが無いからです。
成人式は出ませんでした。
せっかくの休みに、なんであんなとこに行かなきゃならんのですか。
大学は中退で、卒業式も出てません。
お見合いも未経験。
ということで、着物は、綿入り半天しか着たことが無いのです。
『足袋の日』の「足袋」は、いわゆる「白足袋」のことでしょうが……。
正直これには、まったく興味がありません。
でも、別の「足袋」には興味があります。
「地下足袋」です。
職人さんは、「地下足袋」とは言わず、ただ「足袋」と言うそうです。
今、この地下足袋が、外国人に人気だそうです。
日本に来て、真っ直ぐ『ワークマン』に行く外人がいるほどだとか。
「ニンジャシューズ」と呼ばれてるようです。
パリなどでは、おしゃれな柄の地下足袋も販売されてるそうです。
続きは次のコメントで。
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2. Mikiko- 2018/10/08 07:37
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今日は何の日(つづき)
さて、この地下足袋。
利点はもちろん、歩きやすいことでしょう。
脱げる心配がありませし……。
親指が分かれてるので、しっかり地面を掴んで踏ん張れます。
まさしく、職人には無くてはならない履き物です。
この利点は、一般の人が履いても感じられると思います。
でも、「地下足袋」は、土の上や梯子とかでは威力を発揮しますが……。
アスファルトで履くには、実は適してないのです。
まず、地面を掴む感覚を大事にするため、底が薄いです。
これでアスファルトを歩くと、かなりな衝撃を受けます。
四国の歩き遍路は、ぜったいに普通の地下足袋でやっちゃダメだそうです。
必ず、足がトラブるとか。
今、「普通の」と書きましたが……。
実は、アスファルト用のが売られてるのです。
エアークッション入りの地下足袋。
歩き遍路で地下足袋の人は、これを履いてるわけです。
それを知らずに、ホームセンターでクッションの無いやつを買って行くと……。
間違いなく、泣きを見ます。
あと、エアークッション入りの地下足袋は、お祭りなどでも使われます。
アスファルトの上で神輿を担ぐわけですからね。
クッションが無かったら、怪我をしかねません。
https://item.rakuten.co.jp/omaturihashim/6794005hikyak01/
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3. 手羽崎 鶏造- 2018/10/09 00:10
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全裸に足袋だけの女性。
着物を脱がされたシーンです。
なかなかいいと思います。
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4. Mikiko- 2018/10/09 07:12
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それだけ……
白足袋は、脱ぎにくく、脱がせにくいということでしょう。
↓こはぜの無い、ストレッチ白足袋というのがあるようです。
https://item.rakuten.co.jp/auc-kurihara/a1220-01/
雨天の外出時など……。
白足袋の上から、カバーとして履く場合もあるとか。