2018.10.7(日)
遊歩道が、ほぼ直角を形作るコーナーを曲がる。
そこから先は、比較的真っ直ぐに道が伸びていた。
街灯の明かりが、遊歩道を真っ白に浮かびあがらせている一角があった。
まるで、舞台のセットのようだった。
そこだけにスポットライトがあたっているのだ。
ベンチがひとつ。
もちろん、誰も座ってはいない。
逝く夏を惜しむ蝉が、街灯の照らし出す樹冠で鳴いている。
その蝉の声が、ふと途絶えた。
と……。
スポットライトの下に、俳優が現れた。
由美は足を止めた。
コートのようなものを着ている。
コート?
この暑い中、雨も降っていないのに。
シルエットは、明らかに女性だった。
ベンチの向こうから現れた女優は、遊歩道の真ん中に立つと、由美に向かって歩み始めた。
シルエットが、スポットライトの下に入り、光を浴びた。
全身が浮かびあがる。
やはり、コートを着た女性だった。
若くはない。
自分の母親の世代……。
いや、もっと上かも知れない。
纏めていたのを解いたような髪が、ほほを半分覆っている。
化粧が濃い。
夜の女性だろうか。
しかし、この見た目では、男性は躊躇してしまうのではないか。
それに……。
目つきが尋常ではなかった。
いわゆる、座っているという目だ。
酔っ払っているのかとも思ったが、足取りに乱れはなかった。
由美の方に真っ直ぐに向かってくる。
遊歩道には、人が間隔を置いてすれ違えるだけの幅があった。
由美は、止めていた足を、再び歩ませ始めた。
コートから覗く華奢な脚を見ても、危険な相手ではないと判断したのだ。
女性同士が、夜の公園ですれ違うだけだ。
蝉が再び鳴き始めた。
遠くかすかに、救急車のサイレンが聞こえた。
女性のハイヒールの音が、耳に届く距離になった。
赤いハイヒールだった。
女性は、寒さに震えるように、両手でコートの前をかき合わせている。
手には、バッグも何も持っていない。
もちろん、寒いわけはない。
蝉の鳴く夜だ。
ひょっとしたら……。
何か、薬でもやっているのかも知れない。
だとしたら、女性の年齢や体格だけから、安全と判断するのは危険だ。
薬が、突拍子もない力を出させることがあるという。
これは、高校時代、道場主の雑談で聞いた話だ。
薬は、脳のリミッターを外すことがあるのだそうだ。
自分の腕が折れているのに、笑いながら殴り続ける男を見たと云う。
そこから先は、比較的真っ直ぐに道が伸びていた。
街灯の明かりが、遊歩道を真っ白に浮かびあがらせている一角があった。
まるで、舞台のセットのようだった。
そこだけにスポットライトがあたっているのだ。
ベンチがひとつ。
もちろん、誰も座ってはいない。
逝く夏を惜しむ蝉が、街灯の照らし出す樹冠で鳴いている。
その蝉の声が、ふと途絶えた。
と……。
スポットライトの下に、俳優が現れた。
由美は足を止めた。
コートのようなものを着ている。
コート?
この暑い中、雨も降っていないのに。
シルエットは、明らかに女性だった。
ベンチの向こうから現れた女優は、遊歩道の真ん中に立つと、由美に向かって歩み始めた。
シルエットが、スポットライトの下に入り、光を浴びた。
全身が浮かびあがる。
やはり、コートを着た女性だった。
若くはない。
自分の母親の世代……。
いや、もっと上かも知れない。
纏めていたのを解いたような髪が、ほほを半分覆っている。
化粧が濃い。
夜の女性だろうか。
しかし、この見た目では、男性は躊躇してしまうのではないか。
それに……。
目つきが尋常ではなかった。
いわゆる、座っているという目だ。
酔っ払っているのかとも思ったが、足取りに乱れはなかった。
由美の方に真っ直ぐに向かってくる。
遊歩道には、人が間隔を置いてすれ違えるだけの幅があった。
由美は、止めていた足を、再び歩ませ始めた。
コートから覗く華奢な脚を見ても、危険な相手ではないと判断したのだ。
女性同士が、夜の公園ですれ違うだけだ。
蝉が再び鳴き始めた。
遠くかすかに、救急車のサイレンが聞こえた。
女性のハイヒールの音が、耳に届く距離になった。
赤いハイヒールだった。
女性は、寒さに震えるように、両手でコートの前をかき合わせている。
手には、バッグも何も持っていない。
もちろん、寒いわけはない。
蝉の鳴く夜だ。
ひょっとしたら……。
何か、薬でもやっているのかも知れない。
だとしたら、女性の年齢や体格だけから、安全と判断するのは危険だ。
薬が、突拍子もない力を出させることがあるという。
これは、高校時代、道場主の雑談で聞いた話だ。
薬は、脳のリミッターを外すことがあるのだそうだ。
自分の腕が折れているのに、笑いながら殴り続ける男を見たと云う。
コメント一覧
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1. Mikiko- 2018/10/07 07:38
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5文字の昆虫を捜せ!
『香川照之の昆虫すごいぜ!(https://www.nhk.or.jp/school/sugoize/)』最新回(5時間目)が……。
「NHK・Eテレ」で、明日10月8日、AM9:00から放送されます。
で、今回の昆虫は……。
不明です!
題名は、「5時間目 ○○○○○(秘密)」となってます。
カマキリ先生こと、香川照之さんからは、次のヒントが出されてます。
「そこらへんにはなかなかいない」
「小さい」
「高貴」
で、5文字ですが、カマドウマやダンゴムシのように名前に濁点は入っていないそうです。
よく、名前のフリガナをマス目に記入するとき、「濁点も1文字」と書いてありますが、これと同じですね。
さて、その虫の正体は?
誰も知らない虫だったら反則です。
そもそも、番組にならないでしょう。
でも、「小さい」というのは注意が必要ですね。
そもそも、虫は小さいものですから。
でも、ここで云う「小さい」というのは……。
虫の中でも「小さい」ということなのでしょう。
ここで、香川さんが更に重要なコメントを残してました。
「人間が作り出した文明を通して大きくして見ることができて、小さくて美しいものを子細に眺められる」
「人間が作り出した文明」で大きくして見る。
これは、顕微鏡じゃないでしょうか。
しかし、細菌は虫じゃないですよね。
わたしがふと思いついたのは、「トリオプス」。
おととし、これの飼育キットを買ったんです。
でも、飼育を始めたのが遅すぎたらしく、孵化したとたん、消滅してしまいました。
それに「トリオプス」はカブトエビの一種で、つまりは甲殻類です。
これは、昆虫じゃないですよね。
それに「プ」も問題です。
濁点じゃありませんが、半濁点です。
これも、マス目に書くときは1文字になります。
続きは次のコメントで。
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2. Mikiko- 2018/10/07 07:38
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5文字の昆虫を捜せ!(つづき)
さて、それではなんでしょう。
「高貴」というのが、難問です。
「ハンミョウ」なんてのはどうでしょう?
金属製みたいで綺麗ですよね。
でも、「小さい」はどうかな。
虫としては、普通の大きさだと思います。
あと、5文字で思いつくのをあげてみます。
●「アキアカネ」
小さくも高貴でもないですよね。
●「カイチュウ(回虫)」
これは、虫ですかね?
高貴ではあり得ません。
●「クツワムシ」
これは、虫の中でも大型です。
●「ハサミムシ」
最近、見かけなくなりました。
別名は、「ちんぽきり」、「ちんぽばさみ」。
高貴とはほど遠いです。
●「キクイムシ」
これは小さいです。
でも、決して高貴とは言えないでしょう。
とにかく、昆虫の名前には、濁点が付くのが多いんですよ。
高貴と云えば、シルクを創り出す蚕かなと思ったんですが……。
野蚕(野生の蚕)は「ヤママユガ」で、濁点が入ってしまいます。
一番高貴で小さな虫となれば「タマムシ」でしょうが、決定的に1文字足りません。
今、カンニングするため、ネットを探してみました。
もちろん、答えは見つかりません。
でも、「人間が作り出した文明」というのが、顕微鏡ではなく……。
カメラであるらしいことが判明。
ということは、肉眼で十分見れるレベルの「小ささ」です。
「ハンミョウ」の成虫は、2㎝だそうです。
これなら、「小さい」と言えそうです。
やっぱり、「ハンミョウ」ですかね。