2018.10.3(水)
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夜の蝉が鳴いていた。
去りゆく夏を惜しんでいるかのように。
いや。
蝉にとって夏の終わりは、自らの命の終わりでもあるのだ。
自らの命を惜しんで鳴いているのかも知れない。
かなえの家からの帰り道だった。
あの家には、まだ3体の遺体が横たわっているはずだ。
もちろん、本物の死体ではない。
意識を失っているだけだ。
しかし、もし第3者が発見したら、凄惨な殺人現場にも見えるのではないか。
若い3人の男女が、全裸で転がっているのだから。
由美の高校の後輩、かなえ。
2年下だから、高2だ。
その弟の歩 。
こちらは中1。
そして、歩の同級生のトシオ。
まだ子供のような少年2人が、激しく射精したシーンが、また脳裏に蘇った。
由美は深呼吸した。
とにかく、家に帰ろう。
このヘンな気分に流されたら、自分は何をするかわからない。
そんな不安を感じていた。
この日は、共働きの両親が、共に残業になると言っていた。
そうそう。
今、由美がいるのは、東海地方にある実家なのだ。
美弥子と過ごすはずだった夏休みの終わりは……。
思いがけない出来事により、由美を実家に連れ戻した。
実家マンションの隣室のご主人が亡くなったのだ。
そのマンションで生まれた由美は、隣室の夫婦に孫のように可愛がられて育った。
葬儀に出ないわけにはいかなかった。
その葬儀も済み、東京に帰ろうと思っていた矢先、かなえと再会したのだった。
由美は、はたと歩みを止めた。
このまま真っ直ぐ家に帰っても、夕食が用意されているわけではない。
今日は残業になるので、1人で食べてほしいと言われていた。
しかし、ほんとに残業なのだろうか?
怪しい気もした。
こんな夏の最中、公務員がそんなに忙しいものだろうか。
ひょっとしたら2人で、どこかで楽しんで来るつもりではないのか。
たとえば……。
ラブホとか。
夜の蝉が鳴いていた。
去りゆく夏を惜しんでいるかのように。
いや。
蝉にとって夏の終わりは、自らの命の終わりでもあるのだ。
自らの命を惜しんで鳴いているのかも知れない。
かなえの家からの帰り道だった。
あの家には、まだ3体の遺体が横たわっているはずだ。
もちろん、本物の死体ではない。
意識を失っているだけだ。
しかし、もし第3者が発見したら、凄惨な殺人現場にも見えるのではないか。
若い3人の男女が、全裸で転がっているのだから。
由美の高校の後輩、かなえ。
2年下だから、高2だ。
その弟の
こちらは中1。
そして、歩の同級生のトシオ。
まだ子供のような少年2人が、激しく射精したシーンが、また脳裏に蘇った。
由美は深呼吸した。
とにかく、家に帰ろう。
このヘンな気分に流されたら、自分は何をするかわからない。
そんな不安を感じていた。
この日は、共働きの両親が、共に残業になると言っていた。
そうそう。
今、由美がいるのは、東海地方にある実家なのだ。
美弥子と過ごすはずだった夏休みの終わりは……。
思いがけない出来事により、由美を実家に連れ戻した。
実家マンションの隣室のご主人が亡くなったのだ。
そのマンションで生まれた由美は、隣室の夫婦に孫のように可愛がられて育った。
葬儀に出ないわけにはいかなかった。
その葬儀も済み、東京に帰ろうと思っていた矢先、かなえと再会したのだった。
由美は、はたと歩みを止めた。
このまま真っ直ぐ家に帰っても、夕食が用意されているわけではない。
今日は残業になるので、1人で食べてほしいと言われていた。
しかし、ほんとに残業なのだろうか?
怪しい気もした。
こんな夏の最中、公務員がそんなに忙しいものだろうか。
ひょっとしたら2人で、どこかで楽しんで来るつもりではないのか。
たとえば……。
ラブホとか。
コメント一覧
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1. Mikiko- 2018/10/03 07:22
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章題
「惜命」は、“しゃくみょう"と読みます。
辞書を引いても出て来ません。
石田波郷という俳人の句集に付けられた書名です。
波郷は結核を患い、療養所でも暮らしました。
ある年、療養所で催された七夕の短冊に、「惜命」の文字を見つけたそうです。
戦後間もないころのことです。
当時、結核はまだ死病でした。
「惜命」は文字どおり、“命を惜しむ"という意味でしょう。
それまでの波郷は……。
自分の病と、正面から向き合っていなかったのかも知れません。
自分だけは、なんとかなるんじゃないか。
そういう根拠のない楽観。
これは、自然災害のときなどにも起こる「正常性バイアス」ですね。
自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりしてしまう人の心理です。
災害時には、これによる逃げ遅れが多々起こります。
波郷も、自分の病に対し、そういう心理でいたのではないでしょうか。
そんなとき、同じ療養者の書いた「惜命」の文字を突きつけられるのです。
それを見た波郷は……。
自分も命を限られた病人なんだという現実に、叩きのめされたと思います。
そしてようやく、病と正面から向き合うことが出来たわけです。
というか、限られた命と向き合ったということでしょうか。
その思いを、句集の書名としたわけですね。
●七夕竹惜命の文字隠れなし(波郷)
続きは次のコメントで。
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2. Mikiko- 2018/10/03 07:23
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章題(つづき)
なお、貴乃花が、横綱昇進の口上に使った『不惜身命(ふしゃくしんみょう)』という四文字熟語。
これは、まったく意味が逆の言葉です。
『不惜身命(ふしゃくしんみょう)』は、“この身や命を惜しまない"という意味ですから。
石田波郷は、わたしが大好きな俳人です。
『Mikikoのひとりごと』の中でも……。
『石田波郷(https://mikikosroom.com/archives/2697999.html)』という一文をしたためてます。
でもわたしは、後期の療養俳句より、若いころの颯爽とした句が好きなんです。
●立春の米こぼれをり葛西橋
●バスを待ち大路の春をうたがはず
●初蝶や吾が三十の袖袂
さて。
なぜわたしが、今日から始まった章題に『惜命』と付けたのか?
ていうか、それ以前に、万里亜のエクササイズスタジオの話はどうなったのか?
ま、なんというか……。
エクササイズスタジオは、これにて中断です。
将来、続きを書くかも知れませんし……。
書かないかも知れません。
なぜか?
端的に言って、ちょっと書き飽きました。
やはり、エロ一辺倒の場面は、だんだん煮詰まってしまいます。
書いてて楽しいのは、エロに至るまでの過程なんです。
ということで、その過程を書くために、お話をリセットしました。
内容と『惜命』の関連については、あさって以降をお楽しみに。
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3. 手羽崎 鶏造- 2018/10/03 10:39
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由美さんが女子大生として、その後両親、特に
母親は推定50歳頃。オンナ盛りですね。
(ワタシの好みの美味な世代)
自宅で、組んず解れつはやりたくとも
子どもに知られたくないので、夫婦で
ご旅行或いはラブホというのは分かります。
ラブホでカップルと鉢合わせしたような時、
ご夫婦かそうでないかは、まず分かって
しまうものだと思います。
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4. Mikiko- 2018/10/03 19:44
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両親と同居の娘さんの話
友達と、泊まりがけの旅行に出たのですが……。
途中で喧嘩して、その日の内に家に帰ってしまいました。
腹が立ってたので、ただいまも言わず玄関を入りました。
すると、お風呂の脇を通ろうとしたとき……。
中から、愉しそうな話し声が聞こえて来たそうです。
両親が、一緒にお風呂に入ってたんですね。
娘さん、びっくり仰天しましたが、娘に知られたと気づかれたら今後気まずくなると思い……。
抜き足差し足で玄関に戻り、時間を潰すために外に出たそうです。
出来た娘さんです。
もちろん、わたしではありませんよ。