Mikiko's Room

　ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています（完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね）。
　「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
　文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた（挿絵：加藤かほる）、みたいな感じを目指しています。
　美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。

管理人：Mikiko

由美と美弥子 2553

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2018.6.30（土）

　少しすると、スマホを仕舞った反対のポケットから、少女の手が現れた。
　顔は斜め上方を見たまま、まだ思考をさまよわせているようだ。
　少女の手は何かを掴んでいた。
　膝の上に持ってくる。
　仕草から、取りだしたものがわかった。
　タバコだ。
　外に出たのは、電話をする用事のほかに、タバコも吸いたかったのだろう。

　ライターの火が灯った。
　少女の顔のシルエットが浮かぶ。
　一瞬だが、綺麗な横顔が見えた。
　年齢は、おそらく高校生だ。
　タバコを吸うくらいだから、真面目一方の少女でないことは明らかだ。
　しかし、完全に向こう側に行ってしまっているわけでもないようだ。
　タバコを吸う仕草も、まだ様になっていない。
　煙も、口の中でただ吹かしているだけに見える。

　あなたは、ゆっくりと歩き出す。
　まだ、何も起こってはいない。
　トレンチコートの女が、夜の遊歩道を歩いているだけだ。
　この少女に襲われることは、万が一にもあり得ないだろう。
　ただ前を通り過ぎれば、何ごとも起きないのだ。

　少女が、遊歩道に響くヒール音を認めたようだ。
　顔がこちらを向く。
　警戒する猫のような瞳だった。
　指に挟むタバコを、チラリと見た。
　タバコを足元に落とし、スニーカーの靴底で踏みつける。
　ひょっとしたらあなたを、補導員か何かと思ったのかも知れない。

　あなたは、少女の姿など見えないように、少女に近づいていく。
　少女の視線は、あなたに真っ直ぐ定まっている。
　少女の前に差しかかった。
　あなたは、初めて少女と視線を合わせた。
　少女の瞳に、かすかな怯えの翳が射した。
　通り過ぎようか迷っていたあなたの脚が、少女の前で止まった。
　身体を半転させ、少女に正対する。
　見あげる少女。
　見下ろすあなた。
　視線が、真っ直ぐに合った。

「な、なんだよ」

　少女は、虚勢を張ろうとして明らかに失敗した。
　語尾が震えたのだ。
　自らの失敗を恥じるように、唇を噛んだ。
　あなたの口角が、あがった。
　あなたの冷たい美貌は、笑うと凄みを湛える。
　少女の瞳に、はっきりと恐怖が宿った。

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コメント一覧

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  1. Mikiko
- 2018/06/30 07:54
- 今日は何の日
  　6月30日は、『ハーフタイムデー』。
  　まさしく、1年の半分が終わる日だからです。
  　でも、ほんとに1年の真ん中なのでしょうか？
  　日にちを数えてみましょう。
  　前半の6ヶ月の日数は……。
  　31+28+31+30+31+30＝181日。
  　後半の6ヶ月の日数は……。
  　31+31+30+31+30+31＝184日。
  　7月以降の方が、3日も長いです。
  　これで見ると、1年のちょうど真ん中の日は、7月2日ですね。
  　1月1日から7月1日までが、182日。
  　7月3日から12月31日までが、182日。
  　7月2日のお昼12時が、ちょうど真ん中ということです。
  　閏年では、7月2日の午前0時が、真ん中になります。
  　つまり、7月2日が、毎年、真ん中の日だったんですね。
  　知りませんでした。
  　ちょっと短かったので、もうひとつ。
  　6月30日は、『アインシュタイン記念日』。
  　1905（明治38）年6月30日（今から113年前）……。
  　アルベルト・アインシュタインが、相対性理論に関する最初の論文『運動物体の電気力学について』を、ドイツの物理雑誌『アナーレン・デル・フィジーク』に提出しました。
  　当時、アインシュタインは、スイス連邦特許局の無名の技師だったそうです。
  　そう云えば、今朝のニュース。
  　衝撃的な映像が目に飛びこんで来ました。
  　民間企業が打ちあげたロケットが、直後に失速し、墜落炎上したんです。
  　保険なんか掛けられないでしょうし……。
  　丸損なんですかね？
  　どうやら、出資を募って開発されたようですね。
  　堀江貴文さんも出資してたとか。
  　北朝鮮に外注した方がいいんでないの？