2018.6.16(土)
しかし反応がない。
早くも眠りに落ちてしまったようだ。
さすがに医療用睡眠薬の効果は絶大だ。
衣葡が眠ったことを確認した内田と山口は次の行動に移った。
内田と山口は衣葡を抱えあげ右奥の患者がいない空きベッドへと運んだ。
空きベッドにはあらかじめ天井からロープが吊るされている。
準備に手抜かりがないようだ。
内田たちは足音を忍ばせそっと衣葡をベッドに寝かせた。
すぐさま口にタオルを咬ませる。
目を覚ました際大声を出されては困るのだ。
内田たちは衣葡の身体を抱き起こすと、両手首を別々に紐で縛り、天井から吊るされたロープにしっかりと結わえた。
ロープを引っ張り、衣葡の上体を吊り上げる。
膝立ちで両手をあげた姿で緊縛されているが、眠っているため頭がだらりと前に垂れている。
内田は眠っている衣葡の耳元でそっとささやいた。
「ふふふ、それにしてもあんたは超がつくほどの美人看護師だぜ。毎日あんたに世話してもらっているけど、そのたびに俺のせがれが元気になって困ってたんだよ。もっぱらあんたは知らないふりをしていたかも知れないが。禁欲生活で溜まりに溜まっているところへ、あんたのようないい女がやってくるのは男にとって罪なんだなあ」
などと好き勝手な御託を並べながら内田はついに白衣に手を掛けた。
「さあてと、それじゃぼちぼち脱いでもらうとするか」
(ブチッ!)
内田が乱暴に白衣を引っ張ったため、ボタンが千切れ床に転がった。
それを見ていた山口が横から口を出した。
「内田さん、せっかくのリアル白衣の女だし破いちゃうともったいないじゃないですか。コスプレならともかく本物の白衣にありつくことなんて滅多に無いんだし。できれば白衣は残して下着は全部脱がすのはどうですかね?」
「うん、そうだな」
山口の二倍ほど年齢を重ねた内田だが、日頃弟分のように可愛がっている山口の意見はよく聞く。
白衣の下に現れた白いキャミソールを若い山口が無造作に引き裂くと、純白のブラジャーとパンティが現れた。
染みひとつない透き通った肌が否応でも男たちの劣情をくすぐる。
その劣情をさらに煽ったのは、衣葡が発する甘い牝の香りであった。
「うわっ……刺激的な匂いだ~」
山口がそうつぶやくと内田はにやりと笑った。
「いい女は匂いもいいもんだ。こういう女を上玉っていうんだよ、覚えておきな、山口。俺たちは入院のせいで久しく女を抱いていない。そこへ持ってこんな上玉が現れりゃそれだけで暴発しそうだぜ。お前だってもうビンビンじゃねえのか?」
「ははは、図星ですよ。鼻血が出そうっす」
「そうか、がはははは~」
男たちの野卑な会話が弾む。
その目はまるで飢えた狼のようにぎらぎらと輝いていた。
◇◇◇
ちょうどその頃、横田と詩織はナースステーションに戻り計画を実行していた。
睡眠薬入りの茶を飲んだ吉岡医師と看護師の幸子は確認したところ深い眠りに落ちており起きる気配がない。
二人が起きる推定時刻は午前5時である。
もしも他の患者からナースコールがあった場合は、詩織が対応することになっている。
間が悪く重篤な患者が現れた場合即座に計画は中止し、吉岡医師を揺り起こし対応させる手筈となっている。
午前1時から午前5時の4時間……これが彼らに与えられた自由時間であり、衣葡にとっては悪夢の時間であった。
◇◇◇
515号室内に照明が灯る。
明かりが廊下に漏れないように内側からカーテンが引かれた。
天井から伸びるロープに吊るされた衣葡は薬がよく効いているようで、まだよく眠っている。
身につけていたブラジャーは無情にも床に捨てられ、パンティはやっとのことで足首にとどまっていた。
衣葡の真正面には内田が仁王立ちし、秘所に指をあてがい亀裂に沿って入念に往復させている。
「おおっ! おい、山口。こりゃあすげえ絶品だぜ!」
「絶品?」
「この看護師、そんじょそこらの美人じゃねえぞ。すごい名器の持ち主だ。知ってるか? 『数の子天井』って。ほれ、てめえも指を入れて確かめてみろ。ザラザラとヒダヒダだらけだから」
早速山口は衣葡の狭い肉道に指を挿し込んでみた。
指先に襞が触れる。確かに他の女性より襞が多いようには思うが、もうひとつその違いがよく分からない。
「確かにヒダヒダは多いみたいだけど、こういうのが名器なんですか?」
「指だけじゃ無理かも知れねえな。数の子天井っつうのはせがれをピストンするたびに、亀頭が数の子のようなたくさんの粒々のものにこすられるのさ。その挿入感は強烈で、昇天するような射精ができるってわけさ」
「つまりチンポを挿し込んでみないと分からないって訳ですね」
「まあそういうこった」
「早く入れたいよ~」
「今は我慢しろ。その前にやることがいっぱいあるだろう? がはははは~」
その時、突然衣葡が目を覚ました。
男たちの会話が耳障りとなり予定より早く目覚めてしまったのだ。
「おっ、看護師さんが早いお目覚めだぜ」
「うぐぐぐっ!」
衣葡は今置かれている状況がすぐに呑み込めず、ただ狼狽するばかりであった。
まだぼんやりしていて、どういう訳か頭が痛い。
それでも尋常ではない現状に急速に意識が回復していく。
何故ここに内田と山口がいるのだろうか。彼らに恨まれるようなことはしていないはずだ。
衣葡は拘束されて不自由な身体で髪を振り乱し激しくもがいた。
助けを呼ぼうとしたが、口にタオルを咬まされて声が出せない。
「ここがどこだか知りたいか? ここは俺たちの病室515号室だよ。今からたっぷり可愛がってやるから楽しみに待ってろよ~」
さらに内田は続けた。
「おい、山口。俺たちはこの看護師さんにお礼をしなくちゃいけなかったな」
「そうそう、以前、手術の前に俺たちの陰毛を丁寧に剃ってくれたのが衣葡さんだったからね」
「せがれを摘み上げてタマタマ周辺を剃られたとき、俺はつい興奮しちまってせがれが大きくなってしまってよ~。それでもこの看護師さんは顔を赤らめながらも一生懸命剃ってくれたもんだ。あの時はすまなかったな~」
コメント一覧
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1. Mikiko- 2018/06/16 08:37
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2時間ドラマなどの演出で……
薬剤を染みこませたハンカチで口を塞ぎ、眠らせるという場面があります。
薬剤名を出すときは、「クロロホルム」とされる場合が多いようです。
では、実際に、ああいうことが可能かと云うと……。
まず、無理だとか。
刺激臭が非常に強くて、静かに眠るというわけにはいかないそうです。
しかも、意識を失わせるには、5分くらい嗅がせ続けなければならないみたいです。
意識を失うときも、眠るようにというのにはほど遠く、ほとんど昏倒に近いもの。
手当てしなければ、そのまま死んでしまう場合もあるとか。
しかし2時間ドラマのような場面を、わたしは決して「嘘っぱちじゃん」と言っているわけではありません。
あれは一種の、「お約束」としての演出なんです。
主人公(主として)が眠らされることにより、場面転換を図るわけですね。
Shyさんのこの小説でも、そのように使われてるということです。
しかし今は、ああいう場面を見て、実際にやってみようと考える人間がいかねないから恐ろしい。
新幹線車内での虐殺や、看護師の拉致殺人などです。
現実の世界では、監督の「カット」の声と共に、死んだ人が起きあがることはないのです。
命が失われてしまったら、ほんとにもう取り返しがつかない。
そういうことがわからなくなっている人間が、今、後ろを歩いているかも知れない時代。
もう少し真剣に、「自衛」と云うことを考えてみるべきかも知れません。
防犯ベルや催涙スプレーなどを、バッグに常備するとか。
後悔したときには、もう遅いんですから。
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2. 手羽崎 鶏造- 2018/06/16 11:57
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「自衛」。そんなことの必要のない社会を
望みますが。
そうは申しても、何が起こるか分かりません。
或る特集で、履いている「靴」を使いなさい
という記事を見たことがあります。
裸足にはなりますが、刃物を持った相手とか猛獣とか、とっさの時、両手に嵌めて、防御・反撃に使えるとか。
そういえば、昔、軽四のクルマを下り坂道に停めて、
うっかりサイドブレーキ引かず下車してしまい、
ゆっくりクルマが動き出したとき前に回ってカラダで
止めたことがあります。
周囲に人が居なかったので、助けも呼べず、
咄嗟(とっさ)の判断で、履いていた革靴を
だめモトで、両前輪の前に押し込んでみました。
すると、ビンゴ!動かなかったのです。
少し動いたかもしれませんが、運転席に飛び乗る
時間的余裕は充分にあり、命拾いしました。
ちゃんちゃん。
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3. Mikiko- 2018/06/16 18:11
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靴ですか!
それは盲点でした。
女性のヒールは、凶器にもなりますね。
軽四で良かったですね。
ランクルとかだったら、潰されてたでしょう。
昔、車検の代車に軽に乗ったことがあります。
冬だったのですが、滑って怖かったです。
軽で通勤してた男子社員の中には、助手席にセメント袋を載せてる人もいました。
軽いと滑るんだそうです。
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4. Shyrock- 2018/06/18 18:50
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Mikiko様
修正の件、色々とお手数をおかけして、申し訳ございませんでした
これだけ色々な犯罪が起こると、うっかりサスペンスタッチの小説書けないですねえ。
現実と空想の世界を分別できて当たり前……と言う常識が、今の時代通用しなくなっているのかも知れませんから。
う~ん……
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5. Mikiko- 2018/06/18 19:49
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それはともかく……
大阪、大変でしたね。
ご無事でなによりです。
でも、熊本地震みたいに、これから本震が起こる可能性もあります。
お気を付けください。
しかし……。
朝、8時の地震。
通勤途上だった人の中には……。
家に戻らず、無理矢理出社しようとした方が大勢いたようです。
何考えてるんですかね。
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6. Shyrock- 2018/06/21 21:23
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お心遣いいただきありがとうございます。
私は無事でしたが、大阪府内各所にかなりのダメージを受けました。
通勤途上に被災し、行くか戻るか迷ったと思いますが、
会社に向かい辺りは、日本人らしいのかも知れませんね。
いい意味でも、悪い意味でも。
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7. Mikiko- 2018/06/22 07:26
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ご無事でなによりでした
わたしの場合、会社の手前に信濃川があります。
この川にかかる橋が渡れなくなっていれば……。
会社に行こうにも行けず、会社にいたら帰れないということになりますね。
今回の大阪地震で意外だったのは、ガス復旧の遅さ。
水道なら、管が破れてるところから水が噴き出してたりして、破損箇所がすぐにわかります。
ガスは、難しいんでしょうね。
電線はやっぱり、電柱で空中に張るべきですよ。
破損箇所が一目でわかりますから。