2018.3.5(月)
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万里亜のエクササイズスタジオ。
美弥子にとって、2回目のレッスンが始まっていた。
1回目と同様、万里亜はプラチナブロンド、美弥子は赤毛のウィッグを着けていた。
美弥子は、ディスコミュージックに合わせて身体を動かす会員たちの間を巡りながら、足元にペットボトルを配って回った。
会員たちの汗止めのバンダナは、すでに色が変わっていた。
今日は、前回より室温が高いのではないだろうか?
ペットボトルの消費ペースも、前回以上だった。
「しっかり!
水分補給ね!」
万里亜が声を張りあげる。
声を張らなければ、サウンドに掻き消されてしまう。
万里亜が両手を頭上に伸ばし、拍手をしながらリズムを取る。
万里亜は、そのまま部屋の隅に歩み寄った。
大きなボールが載ったような機械を操作している。
部屋のライトが消えた。
スタジオには、防音のためか窓がない。
しかし、漆黒となったのは一瞬だった。
たちまち、七色の光がスタジオを満たした。
ディスコライトだった。
七色の光の玉が、天井、壁、床を、シームレスに泳ぎ回る。
どちらが床で、自分がどの面に立っているのかわからなくなりそうだった。
美弥子は、自分用に手に持ったボトルから、喉を潤した。
前回のときより、少し味が濃い気がした。
アルコールなどは入っているはずはないのだが、なぜか陶然となるテイストだった。
室温の高さとボトルの濃度には、何か関係があるのかも知れない。
今日、用意されていたボトルは、2箱だった。
前回の倍だ。
実際、会員たちの消費ペースも、前回よりは遙かに早い。
美弥子は、ボトルを数本ずつ抱えながら、会員たちの足元を回った。
全員、首にまで汗が流れている。
美弥子も、ジャージの下に伝う汗を感じていた。
万里亜が、頭上でリズムを取っていた腕を下ろした。
ジャージのファスナーが下ろされた。
サウンドに掻き消されて、擦過音は聞こえない。
しかし美弥子には……。
ジャージ以外の何かが開かれる音が、聞こえたように思えた。
万里亜のエクササイズスタジオ。
美弥子にとって、2回目のレッスンが始まっていた。
1回目と同様、万里亜はプラチナブロンド、美弥子は赤毛のウィッグを着けていた。
美弥子は、ディスコミュージックに合わせて身体を動かす会員たちの間を巡りながら、足元にペットボトルを配って回った。
会員たちの汗止めのバンダナは、すでに色が変わっていた。
今日は、前回より室温が高いのではないだろうか?
ペットボトルの消費ペースも、前回以上だった。
「しっかり!
水分補給ね!」
万里亜が声を張りあげる。
声を張らなければ、サウンドに掻き消されてしまう。
万里亜が両手を頭上に伸ばし、拍手をしながらリズムを取る。
万里亜は、そのまま部屋の隅に歩み寄った。
大きなボールが載ったような機械を操作している。
部屋のライトが消えた。
スタジオには、防音のためか窓がない。
しかし、漆黒となったのは一瞬だった。
たちまち、七色の光がスタジオを満たした。
ディスコライトだった。
七色の光の玉が、天井、壁、床を、シームレスに泳ぎ回る。
どちらが床で、自分がどの面に立っているのかわからなくなりそうだった。
美弥子は、自分用に手に持ったボトルから、喉を潤した。
前回のときより、少し味が濃い気がした。
アルコールなどは入っているはずはないのだが、なぜか陶然となるテイストだった。
室温の高さとボトルの濃度には、何か関係があるのかも知れない。
今日、用意されていたボトルは、2箱だった。
前回の倍だ。
実際、会員たちの消費ペースも、前回よりは遙かに早い。
美弥子は、ボトルを数本ずつ抱えながら、会員たちの足元を回った。
全員、首にまで汗が流れている。
美弥子も、ジャージの下に伝う汗を感じていた。
万里亜が、頭上でリズムを取っていた腕を下ろした。
ジャージのファスナーが下ろされた。
サウンドに掻き消されて、擦過音は聞こえない。
しかし美弥子には……。
ジャージ以外の何かが開かれる音が、聞こえたように思えた。
コメント一覧
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1. Mikiko- 2018/03/05 07:34
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心電計を買いました(Ⅰ)
恒例となった『単独旅行記』ですが……。
第1回は、今から4年前、2014(平成26)年のことでした。
実はこのときは、旅行が主目的ではなかったのです。
埼玉の病院で「心臓ドック」を受けるために行ったのです。
その翌日、大宮の『鉄道博物館』を見学し、その経緯を『単独旅行記Ⅰ(http://mikikosroom.blog43.fc2.com/blog-entry-2029.html)』にまとめたわけです。
で、その「心臓ドック」の結果ですが……。
微妙なものでした。
早い話が、要経過観察。
無罪放免ではなく、執行猶予ということです。
その後、幸いなことに、無事に過ごしてきました。
しかし、昨年冬の健診で……。
心電図に異常が見つかりました。
「虚血性ST変化」。
心電図に異常が出たのは2度目でした。
「心臓ドック」を受ける前に出たのは……。
「下壁梗塞の疑い」。
今回、2度目と云うことで、かかりつけのクリニックの先生に紹介状を書いてもらい……。
病院の循環器科を受診し、「心エコー検査」をしてもらいました。
結果は、「ま、大丈夫でしょう」とのことでした。
でも、ちょっと軽いノリの先生だったので、わたしの心には疑念が残りました。
そもそも、心臓が悪い人でも、常に異常波が出てるわけではないと思います(そんなんだったら、とっくに死んでるでしょう)。
検査のときに普通に動いていれば、異常は見つかりにくいんだと思います。
うちの会社の人で、健診の心電図で重篤な異常が見つかり……。
その場から救急車で運ばれて、事なきを得た人がいます。
ほんとに運のいい人だったと思います。
日常生活の中で異常が出てたら、間に合わなかったかも知れないんですから。
続きは、水曜日に。
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2. 八十郎- 2018/03/05 20:09
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少々恐れ多いのですが、Mikikoさんの本稿にお邪魔しました。
エクササイズから心電図にお話が及びましたか・・。
Mikikoさんの生真面目な雰囲気を感じました。
大雑把な例えで、命に縁がある人無い人などと言いますが、これは私もなるほどと思います。
「用心するにこしたことはない」なんて言い古された言葉が、改めて意味を持ってきますね。
美弥子さんは、ジッパーの開く音から何か別の感性の開花を感じました。
それは一体なんでしょうか。(乞うご期待)
首筋からジャージの下を流れる美弥子さんの汗は、木の幹に刻まれた溝を伝う漆のように意味を持つものです。
すでに適量お酒をいただいた私には、それが何かは分かりませんが。(じゃあ出てくるな・・笑)
いずれにせよ、読みやすく的確に場面を見せてくれるMikikoさんの文章はさすがです。
長々と駄弁を弄してすみませんでした。
ではまたしばらく、失礼します。
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3. Mikiko- 2018/03/05 20:29
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なるほど
ご酒の入ったらしい、おおらかな良い(酔い)文章です。
土曜日のひな祭りの日に、スーパーで甘酒を買ってきました。
酒粕から作った甘酒ではなく、米麹から作られたものです。
なので、甘酒と表示されてますが、アルコールは入ってません。
砂糖も使われておらず、酵素がお米を糖化させた自然な甘みです。
なぜ、アルコールの入ってないのを買ったかというと……。
これでブランデーを割ってみようと思ったからです。
結果、とても美味しかったです。
というか、美味しすぎました。
なんと、ブランデーをボトル半分も空けてしまいました。
大酩酊。
昼酒だったのも影響したのでしょうが……。
久しぶりに、記憶が飛びましたね。